社労士になるには、試験に合格し、社労士会に登録することが必要です。最初の関門となる社労士試験合格のためには、まずは試験内容や学習時間、受験資格について事前にチェックし、全体像を理解することが大切です。さらにキャリアなど合格後のイメージを具体的に掴むことで、資格を有効活用するだけでなく、学習中のモチベーション維持につなげることもできます。この記事では、社労士試験の受験資格や科目、学習方法について詳しく解説します。また、社会保険労務士の業務内容や働き方、年収についても解説するため、参考にしてください。
社労士になるには
社労士になるには、社労士試験の受験資格を満たした上で、試験に合格する必要があります。試験の合格後は、社労士会に登録すると、社労士として働けます。社労士になるまでの過程を解説するため、参考にしてください。
社労士試験の受験資格を満たす
社労士試験を受験するには、下記の受験資格のなかでいずれか1つを満たす必要があります。
- 学歴
- 実務経験
- その他の国家資格
学歴については、大学や短期大学、高等専門学校、専門学校などを卒業していることが条件です。
実務経験については、社労士事務所や、企業の人事労務担当者として、通算3年以上勤務しているなどが条件です。
その他の国家資格については、司法書士試験や行政書士試験などの、厚生労働省の認めた国家資格に合格しているなどが条件です。
社労士試験オフィシャルサイトで、詳細が確認できます。
※参考:受験資格について | 社会保険労務士試験オフィシャルサイト
社労士試験に合格する
社労士試験は毎年8月に行われます。問題は選択式と択一式の形式で出題され、各科目で合格基準点を満たすと合格できます。
出題される8科目は次のとおりです。
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
- 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
社労士会に登録する
資格を保有する人が、社労士として活動するためには、社労士会が持つ社労士名簿に登録する必要があります。
登録条件は社労士試験に合格した上で、2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験があることです。ただし実務経験が2年未満でも、「事務指定講習」を修了すると、実務経験2年以上と同等の経験があると認められます。
社労士になるための学習について
社労士になるためには、学習に多くのリソースを割く必要があります。本項では、社労士になるために必要な学習の時間と手段について解説します。
社労士になるまでの学習時間
社労士試験に合格するための学習時間は、約800~1,000時間が目安です。例えば毎日平均3時間学習した場合、約1年で1000時間を確保することが可能です。そのため働きながら一発合格を目指す場合、学習期間は10か月~1年程度となるのが一般的です。
次の記事では社労士になるまでの期間や学習時間について解説しているので、参考にしてください。
※関連記事:社労士になるには何年かかる?必要な学習時間や学習を始めるタイミングも解説
社労士になるための学習手段
社労士になるためには、独学か予備校のいずれかで学習することになります。それぞれの学習手段について解説します。
独学する
社労士は、合格率が6~7%という難関資格です。独学でも取り組めますが、合格するためには効率的・効果的な学習法を実践することが必要不可欠です。
社労士試験の開催は年に1度であるため、合格できなかった場合は次の試験まで学習の継続が必要になります。一発合格や短期合格を目指したい場合は、予備校を利用する方が現実的でしょう。
独学と予備校で迷っている場合は、次の記事も参考にしてください。
※関連記事:独学か予備校かで迷った時に考えるべきこと
予備校で学習する
社労士試験の合格を目指して学習する場合は、通学スクールもしくは通信講座などの予備校を利用をおすすめします。通学スクールでは教室に通うことで学習意欲が高まり、学習に集中できるでしょう。また通信講座の場合は費用を抑えたり、時間と場所を選ばずに効率よく学習できたりすることがメリットです。
社労士の仕事内容
社労士の仕事内容は次のとおりです。
- 労働社会保険の手続き代行など
- 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成など
- 人事労務管理のコンサルティングなど
各仕事内容について詳しく解説します。
労働社会保険の手続き代行など
健康保険や雇用保険、厚生年金などに関連する書類を作成し、労働基準監督署などの行政官庁に提出します。労働社会保険の手続き代行を行うためには、複雑多岐にわたる手続き業務をクライアントに代わってスムーズかつ正確に処理する能力が必要です。
労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成など
労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成を担当します。法令に基づいて作成すべき書類の一例は次のとおりです。
- 就業規則
- 労働者名簿
- 賃金台帳
など
とくに法定帳簿である労働者名簿や賃金台帳については、記載事項に不備があると、罰則が適用される可能性のある書類です。企業にとって重要な書類の作成をスムーズかつ正確に処理する能力が必要です。
人事労務管理のコンサルティングなど
専門家として人事労務管理のコンサルティングを行います。近年は働き方の多様化に伴い、人事労務で発生する問題も複雑化しているため、社労士のサポートが欠かせません。
企業のコンプライアンス違反を未然に防止し、職場のトラブルを回避する重要な業務で、深い知識と高いコミュニケーション能力が求められます。
社労士の働き方について
社労士の働き方には、雇われて働く場合と独立する場合があります。それぞれの働き方について解説します。
雇われて働く
企業などに雇われて社労士として働く場合は、次の働き方が考えられます。
- 一般企業で働く
- 社労士事務所で働く
- コンサルティングファームで働く
企業で働く多くの社労士は、人事部や総務部に所属します。高い専門性が求められるポストを担当することが多く、近年重要性が増している点も特徴です。また、金融機関の年金相談窓口や保険会社の営業職として働く社労士もいます。
また、社労士事務所や弁護士事務所、会計事務所、コンサルティングファームなどの専門性の高いサービスを提供する企業で働く社労士も少なくありません。
独立して働く
組織に所属せずに、社労士として独立、開業することも可能です。
独立、開業する場合は、競合との競争に勝って仕事を取る必要があるため、実務能力だけでなく、営業力も求められます。また、顧客にとって有益な情報を提供するためにも、常に最新情報を入手することが一層求められます。
大企業は労務に対応可能な部署を抱えているため、主な顧客層は労務管理を外注することが多い中小企業になると考えられます。
社労士の年収について
賃金構造基本統計調査によると、社労士の年収の全体平均値は496万円です。男女別の年収の平均値は、男性521万円、女性430万円です。社労士の年収は、勤務先や働き方によって差があります。
企業に勤める社労士や開業した社労士、どちらも年収1,000万円以上を稼ぐ人がいますが、企業に勤める社労士の場合は、どうしても年収の上限がある程度定まってくる傾向にあります。
※参考:職業詳細jobtag|厚生労働省
まとめ
社労士になるためには、まずは社労士試験の受験資格を満たし、試験に合格する必要があります。その後、社労士会に登録すると、社労士として働けます。今回は、社労士になるための学習方法や仕事内容、働き方などについて解説しました。社労士を目指す場合は、参考にしてください。
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