社労士試験の難易度はどれくらい？司法書士や行政書士・税理士など人気資格と比較

2023年5月18日2023年12月14日

社労士とは労働や社会保障に関する法律や制度の専門家であり、社労士になるためには、社労士試験に合格して国家資格を得る必要があります。本記事では、司法書士や行政書士、税理士、弁護士など人気資格と難易度や合格率を比較し、効率的な学習法についても解説します。役立つ資格の取得を目指す人は、参考にしてください。

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社労士の仕事内容と特徴

社労士はどのような仕事を行い、どのような特徴を持つ職業なのでしょうか。詳しく解説します。

社労士は国家資格を持つ職業

社労士（社会保険労務士）は、労働や雇用、保険、年金などの諸問題を取り扱う専門職です。試験を受けて国家資格を取得した人だけが就ける職業で、関連する法令などの専門知識が求められます。

社労士は雇用や労務に関する法令に詳しい

社労士は、行政官庁に向けた社会保険や労働保険に関する手続きを担います。保険や労務に関する法律や制度に精通するのはもちろん、毎年の法改正にも対応し、雇用や労務に関する法令の専門家として活躍しています。

試験科目で比較したときの社労士の難易度

他の専門資格と比べて、社労士試験の難易度はどれくらいでしょうか。各試験科目と内容を比較してみます。

社労士の試験科目と内容

社労士試験では、実務で必ず触れなければならない労働や保険、年金に関する専門的な問題や、関連する領域の一般常識に関する問題が出題されます。解答方法は、5つの選択肢から求められる1つを選ぶ「択一式」、20個の選択肢を使って空欄を補充する「選択式」の2種類があります。どの科目にも合格基準点があり、全てをクリアしないと合格できない点が特徴です。

行政書士の試験科目と内容

行政書士試験では経済や政治に関する法令や一般常識が出題されます。社労士試験も幅広い分野が問われますが、行政書士試験はさらに広範囲で出題されるため、幅広い領域の知識を身につける必要があります。解答方法は「マークシート式」と40字程度の「記述式」です。

司法書士の試験科目と内容

司法書士試験では、民法や不動産登記法、商法、刑法などの11科目が課され、比較的科目数が多い試験といえます。筆記試験に合格した人のみ口述試験へ進める方式です。出題は「択一式」が全70問、「記述式」が2問ありますが、「択一式」には合格基準点があるためクリアしないと「記述式」の採点は行われない点が特徴です。

税理士の試験科目と内容

税理士試験では、会計学と税法の領域から問題が出されます。試験では11科目が課されますが、5科目に合格すればよい点が特徴です。しかし、計算能力が問われる数学系の問題などがあり、難易度は非常に高いといえます。

中小企業診断士の試験科目と内容

中小企業診断士の試験は、1次（筆記試験）を通過した受験者だけが、2次（筆記・口述）を受けられます。企業運営や財務、システム、マーケティングなど、経営に関する問題が出題される点が特徴です。

FP（ファイナンシャルプランナー）の試験科目と内容

FP試験には1〜3級があり、3級は易しく1級の難易度は高いといわれます。試験を実施する団体が2つあり、実技試験の内容が異なります。家計を含めたライフプランニングや資金に関する計画などが出題されます。

宅建士の試験科目と内容

宅建士試験では、宅建業法や権利に関する4科目が課されます。解答方式はマークシート式で、4つの選択肢から1つを選ぶ「択一式」です。これまでの過去問を踏襲した出題が多い傾向がありますが、近年難化してきていると言われています。

弁護士の試験科目と内容

弁護士をめざす司法試験では、憲法、刑法、民法のほか租税法、労働法などの7つの法律についても出題されます。選択肢を選んで解答する「短答式」と記述が求められる「論文式」があり、試験は4日間で実施されます。司法試験についても受験資格があり、弁護士までの道のりは難易度が高いことで有名です。

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学習時間と合格率で比較したときの社労士の難易度

学習時間と合格率に着目すると、社労士の難易度はどのくらいでしょうか。人気資格と比較しました。

社労士の学習時間と合格率

社労士試験の合格に必要な学習時間は800～1,000時間といわれます。1年間で完了させると仮定すると、1日あたり約3時間弱を学習にあてれば到達する計算です。受験者の合格率は6〜7%となっています。

行政書士の学習時間と合格率

合格に必要な学習時間は600時間といわれます。この試験を受けるための資格は不問、誰でも受けられる試験です。行政書士の合格率は例年おおよそ10％で推移し、令和4年度の行政書士試験の合格率は12.1%でした。

※参考：最近3年間における行政書士試験の受験者・合格者の属性

司法書士の学習時間と合格率

合格に必要な学習時間は3,000時間ほどといわれます。司法書士試験も、受験資格は特にないので誰でも挑戦できますが、例年の合格率は4〜5%ほどの狭き門です。令和4年度の司法書士試験の合格率は5.2%でした。

※参考：令和４年度司法書士試験の最終結果について

税理士の学習時間と合格率

税理士試験で選択できる11科目のうち、各科目によって求められる学習時間が400時間や600時間と幅がありますが、総学習時間は2,000時間以上が必要といわれています。令和4年度の税理士試験の合格率は19.5%でした。

※参考：令和4年度（第72回）税理士試験結果表（試験地別）

中小企業診断士の学習時間と合格率

合格に必要な学習時間は1,000時間以上といわれます。1次試験は誰でも受けられますが、1次を通過した受験生のみが2次試験に進みます。令和4年の場合、1次試験、2次試験通しての試験合格率は5.4％でした。

※参考：令和4年度第1次試験
※参考：令和4年度第2次試験

FP（ファイナンシャルプランナー）の学習時間と合格率

難易度が中程度のFP2級では、必要な学習時間は150〜300時間といわれており、社労士試験と比べると短いといえるでしょう。日本FP協会によると2023年1月実施のFP2級試験では学科試験56.1%、実技試験59.5％の合格率でした。

※参考：2023年1月実施2級FP技能検定試験結果

宅建士の受験資格と合格率

宅建士試験の合格に必要な学習時間は300〜400時間といわれます。日本国内に居住する人であれば誰でも受けられる試験ですが、資格登録には一定の条件があります。令和4年度の宅建士試験の合格率は17.0%でした。

※参考：試験実施概況（過去10年間）

弁護士の学習時間と合格率

司法試験の受験資格を得られるのは、法科大学院修了または予備試験の合格者です。合格までは予備試験に3,000～4,000時間、司法試験に3,000～4,000時間の学習時間が必要といわれます。令和4年度の司法試験の合格率は45.5%、例年の合格率20〜40％という数字は高く見えますが、専門分野を学習した人でこの確率なので高難度といえるでしょう。

※参考：令和４年司法試験の採点結果

社労士試験の難易度が高いといわれる理由

他の資格と比べて社労士試験の難易度は高いといわれています。詳しい理由を解説します。

社労士試験には合格基準点がある

社労士試験では「択一式」「選択式」の各総得点と、科目ごとの得点において合格基準点が設けられています。1科目でも下回ると合格できないため、最後まで偏りのない知識が求められる試験です。合格基準点は採点結果が出た後に決められ、その回の平均点に連動するので、事前予想ができない点でも難易度を高めています。

社労士は幅広い知識が求められる

社労士試験では、労働基準法をはじめ、雇用保険法や国民年金法など法令に基づいた科目では専門知識が求められ、そのほか労務管理や社会保険に関する一般常識についても出題されます。幅広い出題範囲にもかかわらず、どれも合格基準点が設定されているため満遍なく学習しなければならず、難易度が高いといえます。

社労士は法改正に対応する必要がある

社労士試験は、試験が行われる年の4月1日現在の法令に基づいた内容で出題されます。前年度の法改正に関係した問題は毎年必ず出るので、変更情報を知らない受験生はその問題を解くことができません。法改正の情報は専門性が高く多岐にわたるので、受験前に独学ですべてを網羅するのは難しいと考えられます。

社労士試験の合格ライン

社労士試験は、例年7割の得点ができれば合格基準点を満たすといえます。ただし、合格基準点は毎回の受験者の成績によって変動するので、どの科目も平均して点を取れるように学習する方法が得策といえるでしょう。

社労士試験に必要な受験資格

社労士試験の受験資格は「学歴・実務経験・厚生労働大臣の認めた国家試験合格」の3つに分けられ、これまでの経験がいずれか1つでも当てはまれば受けられます。大卒、短大卒、高等専門学校（高専）卒の場合は「学歴」という項目において必要な条件をクリアしているので、社労士試験を受けることができます。

社労士試験に向けた学習方法

社労士試験に合格するためには、どのように学習を進めればよいでしょうか。詳しく解説します。

学習スケジュールを組む

まず試験日までの日数を考え、効率的に学習するスケジュールを組みましょう。無理をせず基本から応用に向けて順に学んでいくのがポイントです。学習した内容をきちんと理解できたか確認するために、過去問や問題集を解く時間も設けます。頻出問題は得点が望めるところなので、何度も解いて慣れるようにします。

疑問を解決できる環境をつくる

社労士試験対策としてシリーズ化されたテキストが出ていますが、学習すべき科目数の多さと法改正対応を考えると、独学での合格は難易度が高いといえます。疑問点をすぐ解消できる環境で学習する方法がおすすめです。

社労士向けスクールなどへ通学する

スクールなら教室があるため、授業に出れば確実に進められる学習法といえます。ただし費用が20万円ほどかかるので経済的な負担が増えます。仕事をしながら学習する場合は、時間の調整がしにくいのもネックです。

社労士向け通信講座を活用する

通信講座は、独学とスクールの良い部分を取り入れ、デメリットを解消する学習法といえます。費用は10万円ほどで負担は軽く済みます。仕事をしながらでも好きな時間に学習でき、効率的に学習を進められる方法です。

社労士試験に向けた学習スケジュールとペースをつかむ

社労士試験に向けた基本書と問題集のほかに、学習法についてのガイドがあると心強いでしょう。試験前のどの期間に何をクリアすべきか、明確に書いてあるテキストが役に立ちます。社労士試験は学ぶべき科目の数が多く、学習にあてられる時間が限られるので、効率のよい学習法を確認するのも大事なポイントです。

まとめ

社労士試験は労務や人事に関わる法令の知識や専門知識が求められ、試験では合格基準点が設けられるなどの特徴から、難易度が高い資格の1つに数えられます。合格率から見ても、決して易しい試験ではないかもしれません。
しかし、税理士や弁護士をめざすより学習時間は短く済み、通信講座などで専門知識をカバーする学習方法が確立している資格です。
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