社労士試験に合格をしても、必要な手続きを踏まなければ社労士として活動できません。この記事では、社労士としてのキャリアを検討している人に向けて、合格後の流れや選択肢を解説します。社労士として働きたい人は、ぜひ参考にしてください。
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社労士会への登録申請に求められる条件
社労士試験に合格した後に社労士になる場合には、社労士会(全国社会保険労務士会連合会)に登録しなければなりません。社労士会への登録申請に求められる条件は、以下の2点のいずれかです。
・2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験がある
・事務指定講習を受ける
事務指定講習の詳細については後述します。
社労士試験の合格後は2つの選択肢がある
社労士試験の合格後には、以下2つの選択肢を選べます。
・すぐに社労士としてのキャリアを積む
・自分のタイミングで社労士会に登録する
ここからは、2つの選択肢について解説します。
すぐにキャリアを積みたい場合
社労士試験合格後は、すぐに社労士になれるわけではありません。合格時点では、あくまで「社労士試験合格者」の立場です。
すぐにでも社労士としてのキャリアを積みたい場合には、まず社労士会への登録を目指しましょう。登録者以外は社労士としての業務に携わることが法律で禁止されているため、キャリアを積むためには欠かせない一歩です。
自分のタイミングで登録したい場合
社労士試験に合格すれば、社労士会への登録はいつでも問題ありません。すぐにキャリアを積みたいわけではなければ、現在の仕事や状況と照らし合わせて判断することも可能です。その場合、時間の経過とともに社労士としての知識が薄れていく点には注意しましょう。
合格後の流れ
ここからは、社労士試験合格後の流れについて解説します。
1. 通知を受け取る
社労士試験合格後は、社労士会から「登録のお知らせ」が届きます。お知らせが届いた段階で実務経験が2年以上あり、かつ社労士として働く意思があれば社労士会に登録しましょう。
実務経験が2年以上ない場合に社労士会へ登録するなら、事務指定講習を受講する必要があります。
2. 事務指定講習を受講する
事務指定講習は、社労士試験合格後に行われる研修のことです。講習を修了すれば、2年間の実務経験がなくても社労士登録が可能となります。
事務指定講習は、下記2つの内容をクリアすることで修了します。
・通信指導課程を約4か月受講
・指定期間内にeラーニング講習を受講、あるいは面接指導課程(4日間)を受講
申し込み後に受講内容の変更(eラーニングから面接指導過程に変更など)はできないため、この点には注意しましょう。
3.社労士会に登録する
実務経験をが2年以上積む、あるいは事務指定講習を受講したら社労士会に登録しましょう。社労士会に登録すれば、社労士として働けるようになります。
登録の際は、登録区分をしっかり選んで登録しなければなりません。登録区分については後述します。
登録せずに社労士として働くと、社会保険労務士法第27条に基づいて法律違反となるため注意しましょう。
参考:e-GOV「社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)」
事務指定講習とは
ここからは、事務指定講習について詳しい内容を解説します。
概要
事務指定講習の正式名称は「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」です。事務指定講習を受ける対象者は、社労士試験の合格者で実務期間が2年未満の人です。
事務指定講習は、通信指導課程とeラーニング講習あるいは面接指導課程によって行われます。面接指導過程選択時のみ指定の会場に行く必要がありますが、通信指導課程を受ける際とeラーニング講習を選択した際には特定の会場に行く必要はありません。
受講料は77,000円(税込)です。社労士会から申し込み書類を取り寄せたうえで申し込みを進めましょう。
受講するメリット
事務指定講習を受講するメリットは、実務未経験でも知識やスキルが得られる点です。実務に即した内容を教えてくれるだけでなく、短期間で社労士になるための要件を満たせます。2年間の実務経験が必要ない点は、大きなメリットでしょう。
また、面接指導課程では他の合格者と会う機会も生まれます。社労士に関わる業務や働き方、キャリアなどについての情報交換をする、人脈を広げるなどさまざまなチャンスとなるでしょう。
社労士の3つの登録区分
ここからは、社労士の3つの登録区分について解説します。
開業登録
開業登録は、自分自身で社労士事務所を開く場合の登録方法です。社労士法人などから雇用されて社労士として働く際も、法人を運営する立場(法人社員)である場合にはこの登録区分に該当します。
どのエリアの社労士会に登録するかによって具体的な金額は異なりますが、年会費は他の区分よりも高めです。
勤務等登録
勤務等登録は、社労士事務所や社労士法人に雇用される場合の登録方法です。一般企業の人事部や総務部などに所属して社労士として働く場合も勤務等登録を選択します。
開業登録との大きな違いは、顧客との直接契約は不可である点です。勤務先と並行して社労士としての案件を受けることはできません。
その他登録
その他登録は、社労士として登録をしたいときだけに選択する登録方法です。登録をしても営業活動は行えません。
そのため、本業はそのまま続けつつ「社労士の肩書」だけ持っておきたい場合などに選ぶとよいでしょう。正式な登録であるため、営業活動ができなくても登録費用や年会費用が発生する点には注意が必要です。
代表的な働き方
ここからは、社労士としての代表的な働き方について解説します。
企業に就職して働く
社労士として働く方法の1つは、企業に就職して働くことです。
企業で働くのは、知識や経験を徐々に積んでいきたい人におすすめといえます。金融機関や保険会社などでの募集が目立ちますが、業種を問わず多くの企業が社労士を必要としています。
助成金申請をする機会が多い企業や、人事部、総務部などがある企業での需要が高い傾向です。企業によっては資格手当がつくこともあります。
独立・開業して個人でキャリアを積む
社労士として独立・開業をして、個人でキャリアを積む働き方もあります。自分で働き方をコントロールしたい人におすすめです。
企業から雇用される働き方に比べて、頑張り次第で多くの収入が得られる可能性もある点が魅力といえるでしょう。この働き方を選ぶ際には、独立・開業そのものに関する知識を押さえておくことも重要です。
社労士会への登録に必要な費用
社労士会に登録するためには、登録手数料30,000円、登録免許税30,000円など各種費用が発生します。登録にあたってかかる費用を、東京都の例として表にまとめました。
登録種別 | 登録免許税 | 登録手数料 | 入会金 | 年会費 |
開業会員 | 30,000円 | 30,000円 | 50,000円 | 96,000円 |
勤務等会員 その他登録 | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 | 42,000円 |
参考:東京都社会保険労務士会
まとめ
社労士になるためのステップは、試験を受けて合格するだけではありません。実務経験を積む、あるいは事務指定講習を受け、社労士会に登録する必要があることをあらかじめ把握しておきましょう。
また、自らが望む働き方にあわせて、開業登録や勤務等登録などを選ぶ必要もあります。社労士としての働き方は多岐にわたるため、自分自身の考えをしっかりまとめておきましょう。
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