社労士になるための勉強時間はどれくらい？必要時間を人気資格と比較

社会保険労務士（社労士）は国家資格であり、改めて資格を取得したいと考える社会人にも人気があります。働きながら勉強する場合、気になるのは必要な勉強時間です。本記事では、他の人気資格と比較しながら、合格までの勉強時間と効率的な勉強法について解説します。忙しいなかで資格取得を目指す人は、ぜひ参考にしてください。

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社労士試験を受けるための受験資格

国家資格である社労士の試験には、どのような受験資格が必要なのでしょうか。詳しく解説します。

社労士試験の受験資格は学歴・実務経験・資格で決まる

社労士試験は「学歴・実務経験・取得済み資格」の3つの条件のうち1つを満たせば受験資格を得られます。大卒や短大卒の経歴を持っていたら、すでに「学歴」の条件をクリアしているので受験可能です。高卒であっても「社労士や弁護士法人での実務経験」「国や地方公共団体の公務員経験」があれば受験資格が得られます。

※参考：受験資格について | 社会保険労務士試験オフィシャルサイト

社労士と人気資格の合格率を比較

社労士と同様に社会人に人気がある資格について、合格率はどのように違うのか、比べてみました。

社労士の合格率

社労士試験の平均合格率は例年6〜7％です。試験では、労働や保険に関する専門知識や一般常識について8科目が出題されます。科目ごとの合格基準点があり、1科目でも下回ると不合格になってしまいます。

行政書士の合格率

令和4年度の行政書士試験の合格率は12.1%です。受験資格が特にないので、多くの人がチャレンジしますが、約1割のみが合格と考えると難易度は高いです。解答方式はマークシート式の「択一式」と40字ほどの「記述式」です。

司法書士の合格率

令和4年度の司法書士試験の合格率は5.2%です。司法書士試験も受験資格は設けられていないため、受験したい人は誰でも挑戦できます。しかし、合格率の低さから、難易度が高いことがわかるため、他の資格以上に充分な学習が必要です。

税理士の合格率

令和4年度の税理士試験の合格率は19.5%です。合格率だけを見ると高めですが、難易度は非常に高いです。試験で課される11科目のうち5科目をクリアすると合格できる科目別合格があるので、数年かけて必要科目を受験する人もいます。

宅建士の合格率

令和4年度の宅建士試験の合格率は17.0%です。試験での総得点が合格基準点より上回ったら合格となります。例年の解答方式はマークシート式で、50問中7割の得点が合格目安だといわれています。

FP（ファイナンシャルプランナー）の合格率

資格試験を実施する団体が2つあり、どちらも学科と実技の試験を課しています。難易度の高い順にFP1〜3級が設けられ、日本FP協会によると2023年1月実施のFP2級試験の合格率は、学科試験56.1%、実技試験59.5％です。

社労士と人気資格の合格に必要な勉強時間を比較

社労士と他の人気資格では、合格に必要な勉強時間はどのくらい違うのでしょうか。
それぞれ比べてみました。

社労士試験の合格に必要な勉強時間

社労士試験に受かるために必要な勉強時間は800〜1,000時間といわれています。合格までに学ぶ必要があるのは、労働や保険などの専門知識で、試験では関連した8科目について出題されます。法令だけでなく一般常識についての知識も求められるため、限られた時間で実務と法令に対して、広く深く理解する必要があります。

行政書士試験の合格に必要な勉強時間

行政書士の資格試験に受かるために必要な勉強時間は、600時間といわれています。公的に提出する書類や手続きの業務に携わるため、法令に関する問題が幅広く出題されます。社労士と比べるとカバーすべき範囲がさらに広い点が特徴です。社労士同様、基本的な法律の知識をしっかり固めることが重要です。

司法書士試験の合格に必要な勉強時間

司法書士の資格試験に受かるために必要な勉強時間は、3,000時間ほどといわれています。試験では、民法をはじめ、不動産登記法や商法、刑法など法律にまつわる11科目が出題され、どの科目も理解を深めておく必要があります。試験は筆記試験と口述試験が行われるので、口頭での解答についても事前の対策が求められます。

税理士試験の合格に必要な勉強時間

税理士試験に必要な勉強時間は各科目によって異なり、400時間や600時間などと幅があります。それらを足した総勉強時間は2,000時間以上が必要だといわれています。試験では会計学と税法について出題され、どちらも高い専門知識を求められます。また、実務と同じ計算の問題が課されることも念頭におきましょう。

宅建士試験の合格に必要な勉強時間

宅建士の資格試験に受かるために必要な勉強時間は、300〜400時間ほどといわれています。試験では不動産にまつわる権利や宅建業法について出題されるので、専門知識について的確に解答できる実力が求められます。各科目で配点が異なるため、得点しやすい科目により注力することが重要です。

FP（ファイナンシャルプランナー）試験の合格に必要な勉強時間

FP資格には1〜3級があり、中程度の難易度であるFP2級に受かるために必要な勉強時間は、150〜300時間といわれています。FP試験では生活や家計に関する問題が出され、なかでもFP3級は出題パターンが決まっているので勉強しやすいといわれています。FP3級は誰でも受験できますが、FP2級は受験資格としてFP3級資格や実務経験が条件となっているので、注意が必要です。どの級でも基礎知識を固める勉強の仕方が向いている資格といえます。

社労士は司法書士より短く、宅建士より長い勉強時間が必要

社労士になるには、行政書士・宅建士・FP2級よりも長い勉強時間が必要です。
しかし、税理士や司法試験と比べると、勉強時間は短く済み、働きながらでも挑戦しやすい資格といえます。

それぞれの職業には法令と向き合う業務、相談や交渉で人と関わる業務、細かい数字を扱う業務など特徴があります。自分の向き不向きによっても取り組みやすさは違うので、勉強時間のほか、適性も加味して資格を選択するとよいでしょう。

社労士の勉強はいつ始めるべきか

社労士試験に向けた勉強はいつ始めるとよいのでしょうか。
クレアールでは、基本的に勉強時間は多く取れたほうが良いと考えますが、ここでは1年という期限で考えてみます。

社労士試験に1年で合格するためのスケジュール

必要な勉強時間を800〜1,000時間とすると、1日3時間弱のペースで勉強すれば1年で到達します。試験は毎年8月に実施されるので、9月から勉強を始める人が多いです。翌年8月に向けて、知識のインプット期（9～4月）、理解のアウトプット期（5～7月）、総まとめ期（8月）と狙いを分けて勉強するとよいでしょう。

社労士試験に向けた効率的な勉強方法

試験まで限られた時間のなかで、効率的に勉強を進めるにはどうすればよいでしょうか。詳しく見ていきます。

勉強方法の王道は、幅広く余すところなく

社労士試験の場合、各科目にクリアすべき合格基準点があるので、1科目も疎かにできません。幅広い知識が常に求められます。得意分野だけでなく、苦手な分野を含めて余すところなく学べるよう、基本書や問題集に取り組むスケジュールを組みましょう。特に問題集については、何度も解ける時間的な余裕を設けることが重要です。

効率的な勉強方法を知っておく

勉強では、論点といわれる「問われる部分」、つまり覚えるべき知識を押さえることがポイントです。また、基本書や問題集に取り組むほか、効率的な勉強方法について情報を得ておくのも大事です。いつ頃までに何をクリアすればよいか明確な指針があれば、勉強を進める上で頼れるガイドとなり勉強中に迷いません。

社労士試験の過去問題や頻出問題をチェック

過去問題や頻出問題は、繰り返し解く時間をつくりましょう。特に頻出問題は得点が望める問題なので何度も解いて慣れておきます。誰でも解けるような基礎問題は繰り返し解くだけでなく、暗記と組み合わせて確実に得点できるようにします。解答は出題の「パターン」ではなく「理論」として対応できると得点しやすくなります。

1日または1週間の勉強時間を増やす

1年間での合格の可能性を高めるなら、1日または1週間あたりの勉強時間を増やすとよいでしょう。勉強時間はあくまでも目安ですが、時間をかけるほど記憶できる機会が増えるのも事実です。平日は3時間、休日は5時間などで組めば、必要な1,000時間を超えられます。合格までのサブ的な目安と考えると取り組みやすいです。

社労士の勉強を独学で行うのは難しいのか

社労士試験に向けて独学で挑戦する場合は注意が必要です。その理由を詳しく解説します。

社労士には幅広い知識が求められる

社労士試験では、労働基準法をはじめ雇用保険や年金についてなど幅広く出題されます。社労士が法令に沿った文書や手続きをする職業だからこそ、正確かつ幅広い知識が求められます。独学でこれらすべてをカバーするのは難しく、抜け漏れが出やすい傾向があります。効率的な学習法を深く理解して実践しないと合格は難しいといえます。

社労士試験には合格基準点がある

社労士試験の大きな特徴に各科目で「合格基準点」の存在があります。受験した科目のうち1科目でも基準点を下回ると合格できないため、難易度が高いといわれています。だからこそ苦手科目をつくれない試験です。独学で取り組む場合、得意分野には対応できても、弱点に気づいたりそれを強化したりするのは難しいかもしれません。

毎年の法改正に対応が必要

社労士試験でチェックしなければいけない労働や保険に関連する法令は、毎年必ず法改正が行われます。試験はその年の4月1日の法令に合わせて出題され、法改正にからめた問題が必ず出ます。スクールや通信講座なら受講生にまとめて情報を伝えられますが、初学者が独学ですべてを網羅するのは難しい部分です。

通信講座なら1年間で合格をめざせる

スクールに通学して勉強するのは高い費用がかかり、独学によるテキスト学習では疑問点が残ってしまいがちです。一方、合格までのカリキュラムがしっかりしている通信講座は、スクールと独学のデメリットを解消する有効な学習手段です。費用が比較的安く、自分のペースで無理なく学びやすいため、1年間という期限でも効率的に勉強できます。

まとめ

社労士試験の合格に向けて800〜1,000時間が必要と聞くと、長く感じられるかもしれません。独学でコツコツ学ぼうとすると、モチベーションの維持やペース配分が難しいように思えます。しかし効率的な勉強方法を知っている通信講座を見つけて取り組めば、試験までの時間で濃密に学べるようになるはずです。

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