社労士試験とは「社会保険労務士試験」の略称で、合格率が低い難関資格ですが、独学で合格する人もいます。ただし、独学で合格を目指すのは容易ではなく、学習法には工夫が必要です。
また、独学に向いていない人もいるため、自分が独学で合格を目指せるのかを判断したうえで学習に臨む必要もあります。本記事では、独学で社労士を目指す人に向けて、効率のよい学習法なども含めて解説します。
社労士とは?社労士試験の難易度も紹介
社労士とは社会保険労務士の略称で、社会保険労務士法に基づいた国家資格の1つです。労務管理や人事領域のプロフェッショナルで、社労士以外の人が行うと違法行為になる独占業務があります。
厚生労働省の発表によると、2024(令和6)年度の第56回社会保険労務士試験では、受験者数43,174人のうち、合格者数が2,974人でした。2024年度の合格率は6.9%となっている難関資格です。
※参考:第56回社会保険労務士試験の合格者発表
社労士の主な業務
社労士は企業の人材に関する専門家であり、その業務内容は多岐に渡ります。社労士の主な業務としては、労働社会保険の手続き業務や就業規則などの作成業務、労務管理の相談指導などのコンサルティング業務があります。また、トラブルが起きた際に行う紛争解決手続き代理業務を行うこともあります。
社労士の業務の多くは、国家資格に合格した社労士のみに許されるものであり、社労士以外の人が行うと違法行為となってしまう独占業務です。
社労士を独学で目指すのは難しいのか
社労士は難関資格であり、独学で合格するのは難しいです。なかには、独学で合格できる人もいますが、困難を伴うためおすすめできません。ここでは、社労士は独学で合格できないといわれている理由について解説します。
学習範囲が膨大
社労士は独学で合格できないといわれる大きな理由が、社労士試験の試験範囲が広いことです。社労士試験で出題される法律は8科目あり、覚えなければならない知識は膨大です。さらに法改正の内容を踏まえた試験問題のため、常に最新の情報を追う必要があります。
また、一般常識科目の出題範囲は定められていないため、独学ではポイントを絞り込むのが難しいです。社労士試験ですべての範囲を完全にカバーするのはほぼ不可能なため、予備校などでは過去の傾向などから要点を絞って学習します。
時間が足りない
社労士の合格までに必要な学習時間は約800~1,000時間が目安といわれており、多くの人にとって、1年以上の学習期間が必要です。毎日3時間を学習にあてれば1年間で1,000時間を超える学習時間をとれますが、独学では教材や学習方法をすべて自分で決めなければならないので、さらに時間が必要になるでしょう。
モチベーションの維持が難しい
学習期間が1年以上になるため、モチベーションの維持が難しいことも独学が難しい理由です。
社労士は社会人が仕事をしながら目指すことも多い資格ですが、社会人は日々の仕事などで学習時間の確保が難しく、一度中断すると学習意欲を持ち直すのに時間がかかってしまいます。また、予備校と違い学習のフォローを受けたり仲間をつくったりすることができないので、学習意欲が落ちやすく、相談もできず挫折しやすいといった環境の問題もあります。
社労士に独学で合格するための効率的な学習法
予備校では合格のための確固たるノウハウがあり、効率良く学習するカリキュラムが綿密に組まれています。そのため独学で合格を目指すのであれば、それ以上に緻密な学習計画を立てる必要があります。学習に使うのは基本書や問題集、過去問題、模擬試験などで、市販の教材を手に入れることができます。
ここでは、独学で合格を目指すための効率的な学習法を解説します。
学習計画を立てる
学習時間の目安は800~1,000時間ですが、独学の場合はさらに時間がかかるでしょう。最低でも試験約1年前の9月にスタートすることは必須ですが、時期にこだわらずに時間ができたらすぐに始めることをおすすめします。
学習に入る前に大切なのは、年間を通じた緻密な学習スケジュールを立てることです。9月スタートの場合、インプット期(9~4月)、アウトプット期(5月~7月)、総まとめ期(8月)に分けて組みます。9月以前に学習を始められるのであれば、全科目について基礎知識を入れる期間にあてます。また、学習スケジュールを立てたらそれを遵守してください。
基本書を読む
インプット期にあたる9~4月は基本書を読み、すべての範囲を網羅して記憶する期間にします。インプットをメインに進めますが、問題演習などのアウトプットも行いつつ、知識の定着を図ります。
基本書では、基礎となる労働基準法から始め、土台となる知識を固めることを意識しましょう。
問題演習に取り組む
アウトプット期にあたる5~7月は、インプット期に学んだ内容をさらに定着させることに集中します。このとき、インプットが足りないと感じてインプットに時間を割いてしまう人がいますが、積極的にアウトプットしていくことの方が大切です。アウトプットしていくことで、インプット期に定着できなかった知識を埋めていくこともできます。
アウトプット期には、特に横断的な知識の定着を図るため、科目や分野をまたいだ知識の習得を意識しましょう。
反復学習で知識を定着させる
試験が行われる8月は総まとめの時期にあて、頻出問題や苦手問題を反復学習し、知識定着の徹底に努めます。また、この時期には模擬試験を受けて本番の雰囲気に慣れることも大切です。模擬試験は必ず復習をし、間違えた問題や苦手な科目は確実に解答できるようにします。
法改正の情報を追うことは大切ですが、基本書に立ち戻り新たな知識をインプットしていくような学習は避けます。
社労士を独学で目指すメリット
社労士を独学で目指すのは簡単ではありませんが、メリットもあります。独学で目指す3つのメリットについて解説します。
時間の融通が利く
社労士試験を受ける人には社会人が多く、時間が限られている社会人にとって独学は融通が利きやすいです。通学スクールに比べると時間や場所を選ばずに学習が進められ、通学に時間をかける必要もありません。仕事の隙間時間や、深夜・朝方など、生活スタイルに合った時間に学習することができます。
資格取得の費用が安い
独学で社労士の資格取得を目指す場合、テキストをそろえるだけであれば1.5~3万円程度で済みます。予備校の場合は20万円前後、通信講座は10万円前後の費用がかかることを考えると、独学は資格取得までの費用を抑えることができる可能性があります。
自分に合う教材を選べる
自分に合う教材が選べるのも独学のメリットです。予備校の場合はテキストが決まっており、予備校のテキストが合わなくても我慢して使う必要があります。独学であれば自分好みの教材を選ぶことができます。苦手科目を補強するためにテキストを追加していくなど、フレキシブルな学習展開も可能です。
社労士に独学で合格することが難しい人の特徴
社労士は独学で合格できる人もいますが、多くの人にとってはハードルが高い目標です。予備校を利用した方が1年~短期で合格を目指せ、結果的に費用も抑えられることがあるので、自分の適性に合っているかを確認することも大切です。ここでは、独学に向いていない人の特徴を解説します。
時間が確保できない人
社労士に合格するには予備校を使っても、800~1,000時間の学習時間が必要です。それ以上の時間が取れない人は、独学で合格を目指すのは難しいです。予備校はポイントを絞って学習するので、独学よりも効率よく学習できます。
学習の進め方が分からない人
独学は自分で学習方法や時間を設定して進める必要があります。また、わからないときに誰かに質問もできません。
合格するための学習の進め方が分からない人は、独学で合格を目指すのは難しいでしょう。
社労士の独学におすすめのテキストの選び方
社労士を独学で目指すのであれば、テキスト選びが重要です。講師による授業がなく、質問ができない環境なので、いかにテキストのみで理解を深められるかがポイントです。テキストは、自分がわかりやすい・使いやすいと感じるものを選びましょう。図でわかりやすく示してあるものと、試験範囲を網羅的に深く押さえているテキストを併用することもおすすめです。
基本書と問題集がシリーズ展開されているものを選ぶと、基礎知識を入れて演習でアウトプットする流れにスムーズに移行できます。前提として、法改正に対応している新しい教材を選ぶようにします。
クレアール社会保険労務士講座の活用がおすすめ
効率よく社労士試験合格を目指すなら、クレアールの社会保険労務士講座がおすすめです。初めて試験に挑戦する人、再挑戦する人など、レベルに合わせた教材が選べます。
また、学習アドバイザーが、1人ひとりに合わせた学習プランをご案内するサービスもあります。試験直前の集中対策もあり、合格までしっかりとサポートします。
クレアール社会保険労務士講座のメリット
クレアールは通信講座なので自分のペースで学習できるのがメリットです。満点でなく合格点を目指す効率的な学習法「非常識合格法」では、商標登録も取得しています。
コストパフォーマンスに定評があり、初回の受験での合格が心配な人におすすめのセーフティコースがあります。セーフティコースでは、初回の試験が万が一の際にも、追加費用をかけずに最新の講座を受講できます。1年目で無事合格した場合は、2年目の未受講分の受講料は全額返金する仕組みなので無駄がありません。
まとめ
社労士の試験合格は狭き門であり、独学での合格は難しいです。独学で合格するには、効率の良い学習スケジュール作成と、基礎知識の徹底的なインプット、反復学習が大切です。独学での合格を目指すには、学習環境作りやわかりやすい教材選びなどにも重点を置き、モチベーションを維持しながら質の高い学習をする必要があります。
クレアールは、56年の歴史のある資格の学校です。質問無制限の手厚いフォロー体制があり、万が一、不合格になってしまった場合も、追加費用をかけずに翌年の試験に向けて最新講座が受講できる「セーフティコース」もご用意しています。
有名講師陣がそろう社会保険労務士講座は、満点でなく合格点を目指す効率的な勉強法「非常識合格法」で合格をサポートします。一発合格を目指すためのノウハウが詰まった本を、ぜひご覧になってみてください。
その他の記事を読む
-
社労士は独学で合格できるのか|独学のメリットや効果的な学習法を解説
-
社労士試験には過去問が必須|過去問の活用方法や注意点を解説
-
社労士になるための勉強時間はどれくらい?必要時間を人気資格と比較
-
社労士試験合格を目指す勉強方法を紹介|スケジュールや独学のコツも解説
-
社労士試験の本番での時間配分や解く順番は?最短で合格できる学習のコツも解説
-
社労士の試験内容を把握しよう|問題数や配点、試験時間、科目や合格基準まで解説
-
社労士通信講座の選び方と注意点|オンラインで学ぶメリットも解説
-
社労士試験におすすめのテキスト|種類や特徴、選び方、活用の流れも解説
-
2024年度の社労士試験|試験のスケジュールや申し込み方法、手続きも解説
-
社労士の予備校を利用する意義と選び方|通学と通信との違いやメリット・デメリットも解説