社会人の人気資格として、社労士と中小企業診断士が知られています。ダブルライセンスを考える上でも、この2つの資格は親和性の高い組み合わせといえるでしょう。本記事では、社労士と中小企業診断士の違いに加え、資格取得の難易度とダブルライセンスのメリットまで解説します。
社労士と中小企業診断士の違いとは
社労士と中小企業診断士は、業務内容から年収までさまざまな点において違いがあります。ここでは、社労士と中小企業診断士の違いについて解説します。
業務内容の違い
社労士の扱う業務は「独占業務」を含んでおり、資格を持っていないとできない業務があります。また、中小企業診断士はコンサルティングに関する唯一の国家資格と言われ、中小企業の経営課題の分析や問題解決のためのアドバイスを行うことが主な業務内容です。企業内の課題解決において、社労士、中小企業診断士ともに需要が高いとされています。
働き方の違い
社労士は、一般企業、社労士事務所・社労士法人で働くことが一般的です。対して、中小企業診断士の場合は、企業勤めで活躍することが多くなります。社労士や中小企業診断士で学ぶ知識は、業界や業種を問わず活かせるため、企業規模を問わず、さまざまな企業で活躍できる可能性があります。
社労士、中小企業診断士のいずれの場合も、企業に所属して実務経験や実力をつけてから独立開業して活躍するケースも少なくありません。
独占業務の違い
社労士は、資格を持っていないと取り扱うことができない独占業務があることが特徴です。一方で中小企業診断士は、国家資格として認定されていますが独占業務はありません。
年収の違い
年収は、平均値として公表している機関や、アンケートをとって調査している組織など、さまざまな集計がされているため、一概に比較することはできません。どちらの職種においても、全体に比べると比較的高い年収が期待できます。また、勤める企業や独立後の事業軌道によって年収1,000万円以上を目指すことも可能といえるでしょう。
社労士と中小企業診断士のダブルライセンスを取得するメリット
社労士と中小企業診断士は、業務内容の相乗効果が見込めるため、ダブルライセンスの取得がおすすめとされています。ここでは、社労士と中小企業診断士のダブルライセンスを取得するメリットを解説します。
顧客からの信頼感が増大する
社労士と中小企業診断士のダブルライセンスによって、複数の難関国家資格を有している状態になります。複数の有資格者に業務を任せることは、顧客にとってもより優秀な人材に依頼できているということになるため、安心感につながるでしょう。
また、社労士の業務も中小企業診断士の業務も一手に引き受けることができるため、コミュニケーションもスムーズに取れる点もメリットといえます。
提案の価値が向上する
社労士の観点から「労務」のアドバイス、中小企業診断士の観点から「経営コンサル」のアドバイスを行えることは、経営に対する提案の価値向上につながります。
労務環境の整備は企業にとって重要な課題です。企業が抱えているさまざまな課題を経営コンサルにも熟知した中小企業診断士兼社労士に任せることは、顧客にとって大きなメリットになるでしょう。
業務の幅が広がる
中小企業診断士が行う経営コンサルティング業務は、中小企業診断士のみに認められた独占業務ではありません。
しかし、中小企業診断士は唯一国から資格として認められた経営コンサルタントといえます。そのため、資格を保有しているだけでも無資格者との差別化が図れるため、業務の幅を広げることができるでしょう。
社労士と中小企業診断士の資格取得難易度
社労士と中小企業診断士の資格取得難易度は、受験資格から学習時間などさまざまな観点から判断する必要があります。ここでは、社労士と中小企業診断士の資格取得難易度を解説します。
受験資格
社労士と中小企業診断士の受験資格は以下のとおりです。
社労士の受験資格
- 大学、短大、高等専門学校卒業、または学校教育法により短大卒と同等以上の学力があると認められた人
- 行政書士、弁理士、税理士、司法書士などの厚生労働大臣認可の国家試験に合格した人
- 公務員としての行政事務、社会保険労務士や弁護士、またはそれぞれの法人の補助事務、労働社会保険諸法令に関する事務などの実務経験が3年以上ある人
等
中小企業診断士の受験資格
- 受験資格の制限無し
試験内容
社労士試験は選択式試験と択一式試験の2種類があります。試験方式は両者共にマークシート形式が採用されています。
中小企業診断士試験は1次試験のマークシート形式試験に加えて、2次試験の筆記試験・口述試験の2部構成となっています。
合格難易度
社労士試験の合格率は例年6~7%とされています。一方で、中小企業診断士試験の令和6年度の合格率は1次試験で27.5%、2次試験で18.7、1次試験・2次試験通しての試験合格率は5.2%とされています。それぞれの合格基準は以下のとおりで、どちらも難関資格として知られています。
社会保険労務士試験の合格基準(令和6年度)
- 選択式試験は、総得点25点以上かつ各科目3点以上である(ただし、労務管理その他の 労働に関する一般常識は2点以上)である者
- 択一式試験は、総得点44点以上かつ各科目4点以上である
中小企業診断士の合格基準
- 総点数の60%以上(420点以上)であること
- 1科目でも満点の40%未満(40点未満)のないこと
中小企業診断士は科目での取得点数に応じて「科目免除制度」を採用しています。各科目ごとに難易度には差があるため、数年かけて科目を分散させて受験する人も少なくありません。そのため、中小企業診断士の合格率は科目免除者の合格率も含まれます。
学習時間
社労士試験合格に要する一般的な学習時間は800~1,000時間、中小企業診断士試験合格に要する一般的な学習時間は1,000時間以上とされています。
社労士と中小企業診断士の兼業可否
社労士と中小企業診断士は兼業が可能です。
企業は、会社経営のためのさまざまな課題を常に抱え続けています。そのため、社労士と中小企業診断士両方の知識をもつ人材によるコンサルティングは、どちらか片方の知識を基にしたコンサルティングと比較して需要が高いといえるでしょう。
そのため、両資格は相性のよい資格であるといえます。
まとめ
社労士資格と中小企業診断士は、ダブルライセンスとして取得することで業務の相乗効果が見込める資格です。ダブルライセンス取得を目指す場合は、それぞれの難易度・合格率まで加味したうえで、計画的に学習を行いましょう。
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