社労士を目指しているものの、実務経験なしで社労士になった場合に活躍できるのかと、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。この記事では、社労士に必要とされる実務経験の内容、社労士になる方法、経験なしから実績を積む方法などを解説しています。実務未経験から社労士を目指している人は参考にしてください。
社労士になるには
社労士として働くには、社労士試験への合格と社労士会への登録の両方を終えなくてはなりません。社労士試験は「大学卒業」や「行政書士資格、司法書士資格の保持」など、いくつかある条件の一つを満たせれば受験可能です。社労士会への登録には社労士試験の合格と2年以上の実務経験が必要です。実務経験がない人は、事務指定講習制度を利用することで登録できます。
社労士の実務経験とは
社労士の実務経験とは、具体的にどのような基準なのでしょうか。実務経験がない人が登録する方法と併せて解説します。
実務経験の基準
社労士として働くために必要とされる実務経験は、一般企業での就労経験といった社会経験ではなく、社会保険労務士法で定められた2年以上の業務のみが認められます。具体的には、公務員としての勤務経験や、一般企業での保険に関係する業務経験、社労士事務所や弁護士事務所での補佐業務などが当てはまります。
実務経験がない人が社労士登録するには
社労士会への登録には2年以上の実務経験が必要とされていますが、実務経験がなくても事務指定講習を受講し修了すると、社労士の登録ができます。つまり、試験に合格した時点では実務経験が無かったとしても、講習を受講すれば社労士として働くことが可能です。
事務指定講習とは
実務経験がない人が受講しなければならない、事務指定講習とはどのようなものでしょうか。基本情報や講習内容を解説します。
基本情報
事務指定講習は、社労士試験の合格者かつ実務経験が2年に満たない人が社労士登録のために受講しなければなりません。受講料は税込み77,000円です。合格後、2~5月の約4か月間をかけて、通信指導課程と、eラーニング講習を受け、修了しなければなりません。
通信指導課程
毎年2~5月に、4か月間かけて実施されます。合格後の1月下旬に教材が送付され、教材をもとに研究した内容を60枚ほどの用紙で報告します。期日内に提出しなければ「事務指定講習を受講していない」とみなされます。指導官から添削されたものが返送されると完了となるものの、提出した用紙が白紙であったり、記載した内容に問題があったりする場合は再提出になるケースもあるため注意しましょう。
eラーニング講習
通信指導課程が完了すると、eラーニング講習に進みます。労働基準法や保険法などの8科目について、1科目3時間の講習を受講します。一定期間配信されるためその間であればいつでも受講でき、多忙であっても自分の都合に合わせやすいでしょう。ただし、通信指導課程を受講した年度と同一年度に受講しなければならないため、注意しましょう。
実務経験があると有利になる
社労士として働く際には、実務の経験が重視されることが多いと言われています。未経験の人と、経験のある人であれば、当然比較して後者が採用されることが多いでしょう。ただし、実務経験がない場合でも、資格取得の過程や、今後どのように経験を積むかを示し、その他の自分の強みと併せてアピールすることで補えます。
公実務経験なしの社労士が経験を積む方法
実務経験のない社労士は、どうすれば経験を積めるのでしょうか。3つの方法を解説します。
社労士事務所の求人を狙う
社労士事務所は3~4月、6~7月、12~1月が繁忙期で、その前の時期には求人が出ることも多くなります。また、繁忙期であれば、実務経験のない社労士でも採用される可能性が上がるでしょう。社労士事務所で経験を積むことで、独立や一般企業でスペシャリストの社労士として働くなどの選択肢が広がります。
実務経験になる仕事を狙う
社労士事務所だけでなく、会計士事務所や弁護士事務所などでの補助業務、健康保険組合や労働保険事務組合などでの業務、公務員として働くなどといった、社労士の実務経験として認められる仕事に就くという選択肢もあります。社労士としての経験とその他の幅広い経験を積み、その後に社労士としてのステップアップを狙うことが可能です。
社労士実務講座を受講する
社労士としての実務経験がなく不安のある人向けに、実務について教えてもらえる社労士実務講座があります。具体的には、社労士の業務について、労働保険や社会保険について、給与計算についてなど、社労士に求められるスキルを学べます。費用はかかりますが、実務経験のない社労士にとっては選択肢の1つです。
社労士の転職先
社労士として働き始める際には、おもに4つの選択肢があります。それぞれの転職先の特徴について解説します。
社労士事務所
未経験で社労士に合格・登録が完了した人にとって、大きな選択肢が社労士事務所への転職です。社労士として働きたい人だけでなく、将来独立を目指して経験を積みたい人にも人気です。事務所の規模や個人事務所、法人などによって仕事内容は異なるため、事前に自分が望む仕事をできるか確認しましょう。
民間企業の総務部や人事部
民間企業においても、社労士は需要があります。総務部や人事部では社労士の人事・労務関連の知識が求められるためです。即戦力を求める企業が多いため、社労士としての経験が問われることもあります。
他士業事務所
弁護士や税理士など、他士業の事務所で社労士が求められるケースもあります。たとえば、税理士事務所内で社労士事務所を併設し、税務顧問だけでなく労務顧問、労働・社会保険関係の手続き顧問をまとめて受注できることを強みにしている場合などです。実務に詳しいことが強みになる場合が多いでしょう。
独立開業
社労士では、最終的に独立を希望する人は少なくありません。実務未経験での独立は難易度が高いため、少しでも実務経験を積んでから独立をしようと考える人も多いです。経験を積み得意な範囲が明確になると、独立開業が選択肢になり得るでしょう。
社労士への転職を成功させるには
社労士への転職を成功させるには、応募時や面接時にどのようなアピールをすべきでしょうか。ポイントを2つ解説します。
実務経験をアピールする
社労士資格の保有に加えて、実務の経験がある際は、両方を積極的にアピールするべきです。資格は持っているものの経験がない、という人との大きな差別化になります。即戦力を求めている企業は多いため、実務の経験があれば強みになります。どのような業務にどの程度の期間携わっていたのか、具体的に説明しましょう。
社労士資格以外の強みをアピールする
実務未経験の場合でも、志があり他の分野での経験・知識をアピールできれば問題はありません。たとえば、IT関連の知識や営業のスキルがあれば、社労士としての知識とともに重宝されやすいでしょう。社労士資格だけでなく、一見すると関係なく思えるこれまでの経験が強みになることもあるため、自分の武器を考えておきましょう。
まとめ
社労士は実務経験がなくても、事務指定講習を受講・修了し、社労士会に登録することで業務に就けます。経験を積むには、社労士事務所の求人や実務経験になる仕事、社労士実務講座の受講を検討するとよいでしょう。
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