社労士試験は簡単？他資格との難易度の比較や資格取得のメリット、効率的な学習方法も解説

2022年12月26日2023年12月14日

社労士とは社会保険労務士の略称で、国家資格の1つです。社労士試験の合格率は低く、簡単に合格できるわけではありません。この記事では、社労士を目指す人に向けて、試験の難易度や学習スケジュールの組み方、効率的な学習方法を解説します。社労士の試験を受ける際は、ぜひ参考にしてください。

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社労士試験は簡単？

社労士の資格取得は簡単であるという意見もありますが、難易度が低い試験ではありません。

合格率は6%前後と低い

社労士試験は、例年の合格率が6〜7%です。厚生労働省によると、2022年の第54回社会労務士試験の合格率は5.3%で、40,633人が受験して2,134人が合格しました。

2021年の合格率は7.9%で、多くの受験者が試験合格の水準に達しておらず、不合格となりました。合格に何年もかかる人もおり、合格者の少なさが社労士試験の難易度の高さを示しています。

※参考：第54回社会保険労務士試験の合格者発表｜厚生労働省

合格点は毎年変動する

社労士試験に合格するためには、合格基準点を超える必要があります。合格基準点は点数が定められておらず、毎年変動しています。2022年度社労士試験の合格基準は以下のとおりです。

選択式試験は満点40点中27点以上、かつ各科目満点5点中3点以上
択一式試験は満点70点中44点以上、かつ各科目満点10点中4点以上

社労士試験は、全体の7割以上の点数を目安に合格を目指しましょう。
※参考：第54回（令和4年度）社会保険労務士試験の合格基準及び正答

社労士試験が簡単ではない理由

社労士試験は試験範囲が広く、覚えなければならないことが多いと言われています。ここでは、社労士試験が簡単ではない理由を解説します。

試験範囲が広い

社労士試験は試験範囲が広く、試験内容には、法律問題に加えて一般常識の問題も含まれているため、膨大な知識を習得する必要があります。また、すべての科目に基準点が設定されているため、出題される科目すべての対策をしなければなりません。以上の理由から、社労士試験は「記憶の試験」、「苦手科目がつくれない試験」であると言われています。

学習時間の確保が難しい

社労士試験の合格には、一般的に800〜1,000時間の学習時間が必要と言われています。1日3時間学習すると仮定した場合でも、1,000時間を学習するには1年近くかかる計算です。また、働きながら取得を目指す受験者が多く、会社に勤めながら学習時間を確保するためには、早朝や就寝前のまとまった時間、通勤時間や休憩時間といったスキマ時間などをうまく利用することが重要です。また、長期間の学習を続けるためには、モチベーションの維持が求められます。

社労士と他資格の難易度の比較

社労士試験の合格には、多くの時間が必要とされます。ここでは、社労士と他の士業の資格試験との難易度を比較します。

司法書士との比較

司法書士は、登記や供託の手続きに必要な資格です。司法書士に合格するための学習時間の目安は3,000時間で、合格まで平均5年以上かかります。試験内容は、民法や商法などの知識が問われます。司法試験に匹敵するほど難易度が高いため、社労士試験よりも難易度が高い点が特徴です。

税理士との比較

税理士は、税に関する手続きに必要な資格です。税理士試験の合格には、3,000時間以上の学習時間が必要で、合格まで5年以上かかるとされています。試験の難易度が圧倒的に高く、税理士の合格は難しいといわれています。会計や税法に関する11科目のうち、5科目合格で資格取得可能です。試験には計算問題が含まれており、論理的な思考が求められます。

行政書士との比較

行政書士は、公的な書類を作成するために必要な資格です。行政書士の合格には、500〜800時間の学習が必要とされています。試験には、憲法や行政法といった法律分野と、政治経済や文章理解などに関する一般知識分野が出題されます。行政書士は科目ごとに合格基準がなく、社労士に比べて試験の難易度が高くないとされ、合格率は社労士よりも高くなっています。

社労士の仕事内容

社労士の仕事は、社会保険労務士法2条において、1号・2号・3号に分けられています。ここでは、社労士の仕事内容について解説します。

1号業務は申請書類の作成

1号業務は、労働社会保険諸法令に基づく書類の作成や提出です。健康保険や雇用保険、厚生年金などの書類を作成し、行政官庁に提出します。社労士が1号業務を担当することで、法改正に対応した書類の作成が可能です。1号業務は、社労士の資格保持者のみが対応可能な独占業務に該当します。

2号業務は帳簿書類の作成

2号業務は、労働社会保険諸法令に基づく帳簿作成業務です。法律に則り、企業活動に必要な就業規則や労働者名簿などを作成します。帳簿書類を作成する業務は、企業活動の基本であるため、社労士をはじめとする法律の専門家が担当します。2号業務は1号業務と同様、社労士の独占業務です。

3号業務は人事・労務のコンサルティング

3号業務は、人事や労務のコンサルティング業務です。メンタルヘルスやハラスメント、育児休業などの問題に対して、法律の専門家として助言や指導を行います。3号業務は1号・2号業務とは異なり、独占業務ではありません。法律の知識や専門家の判断を必要とする場合があるため、社労士が業務を担当するメリットは大きいといえます。

社労士資格を取得するメリット

社労士資格を取得すると、就職や転職だけでなく独立開業が可能です。ここでは、社労士資格のメリットを解説します。

就職・転職で有利になる

社労士資格は、労働に関するエキスパートであることの証明です。経営におけるリソースの「ヒト・モノ・カネ」のうち、ヒトに関するエキスパートといわれる場合があります。一般企業で担当できる業務が増えるだけでなく、企業内社労士として活躍する人も多く、企業によっては資格手当が支給される場合もあります。そのため、就職や転職に役立つ資格といえます。

独立開業ができる

社労士は士業であるため、独立開業ができる職業です。社労士の実務経験があればすぐにでも、個人事業主として独立できます。社労士として独立すると高収入を狙えるだけでなく、業務内容や業務量の選択が可能です。また、中小企業診断士や行政書士などの資格と相性が良く、ダブルライセンスやトリプルライセンスとなると対応できる業務がさらに増えて、活躍できる分野を広げられます。

社労士試験に向けた年間スケジュール

社労士試験は1年で合格を狙えるため、年間スケジュールを組むことが重要です。例えば平日2時間、休日5時間を確保すると、1年で約1000時間の計算です。2023年8月の試験を受ける場合は、2022年9月〜2023年4月はインプットを中心に基礎固めに取り組み、2023年4〜7月はアウトプットを中心に応用力を向上させます。7〜8月は試験直前の時期となるため、試験本番に向けて最終調整をしましょう。

社労士試験は独学で合格することも可能

社労士の試験は、受験資格を満たし、適切な努力をすれば誰でも合格できるチャンスがあります。独学でも合格可能ですが、適切な学習法の確立や効率的な学習、スケジュール管理、モチベーションの維持などが必要です。また、受験年度に対応した問題集を購入して、最新の法改正などに対応する学習も必須です。独学で合格する人はいますが、難易度が高い点を考慮しましょう。

社労士試験に向けた効率的な学習方法

独学での合格が難しいと感じる人は、通学スクールや通信講座の利用を検討しましょう。ここでは、通学スクールと通信講座について解説します。

通学スクールを利用する

通学スクールは、教室に通って授業を受ける学習方法です。通学スクールを利用するメリットとして、受験仲間を作りやすい、自習スペースを利用できる場合がある、等といったことが挙げられます。自分だけで学習を継続することに不安を感じる人や、モチベーションを高めたい人向きの学習方法です。

通信講座を利用する

通信講座は、スマートフォンやタブレット、パソコンを通して授業を受ける学習方法です。通信講座を利用するメリットとして、好きな時間・場所で勉強できる、費用が安価、といったことが挙げられます。仕事や育児が忙しく、スキマ時間を使って学習したい人や、学習にかかる費用を抑えたい人におすすめです。

まとめ

社労士の試験は簡単ではなく、合格率6〜7%と合格率は高くありません。合格のためには800〜1,000時間の学習時間が必要とされており、約1年のスケジュールで学習しなければなりません。独学でも試験合格は可能ですが、最短で合格するなら効率よく学べる通信講座や通学スクールの利用をおすすめします。

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