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社労士試験で横断整理が効果的な理由とは?試験対策の進め方も解説

社労士試験は、科目数が多く試験範囲も広いため、難易度が高い試験の1つとして知られています。社労士試験の対策として、共通点や類似点を体系的にまとめる横断整理がおすすめです。この記事では、社労士を目指している人に向けて、横断整理を活用した学習方法や試験対策の進め方について解説します。社労士試験の学習の際は、ぜひ参考にしてください。

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目次

社労士試験と

社労士の正式名称は社会保険労務士で、社会保険労務士になるための試験を社労士試験と呼びます。社労士は、労働社会保険に関わる手続きや、人事労務管理のサポートなどを行う専門家のことです。社労士になるためには、年1回の国家試験である社労士試験に合格する必要があります。

社労士試験の内容

社労士試験は、労務関連知識に加え年金や保険の知識も問われます。試験は以下の8科目で構成されています。

  • 労働基準法及び労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
  • 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識
  • 社会保険に関する一般常識
  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法

社労士試験の難易度

社労士試験の合格率は10%を下回ります。近年の合格率は、令和6年で6.9%、令和5年で6.4%、令和4年で5.3%、令和3年で7.9%、令和2年で6.4%、令和元年で6.6%となっています。難易度が高い理由として、試験範囲の広さや科目数の多さがあげられます。科目別得点と総得点の双方に基準点が設けられていることや、科目ごとの合格制度がないこと、試験が長時間にわたることも、要因として考えられます。

社労士試験の対策としておすすめの「横断整理」とは

横断整理とは、科目や領域をまたいで、共通点や類似点、相違点を体系的にまとめる学習方法です。社労士試験の問題では、異なる科目や領域をまたがって、類似した内容について問われることが多く場合があります。似たような数字やキーワードであるため覚えづらく、学習段階で混乱を招きます。これらの複数科目・領域にわたる頻出事項について、体系化して整理することを横断整理と呼びます。

社労士試験の対策における横断整理の例

社労士試験の対策では横断整理が効果的です。ここでは、社労士試験の対策における横断整理の例を解説します。

適用除外

労働基準法と労働契約法という異なる科目について、適用除外を整理してみましょう。適用除外とは、法律や保険の対象から外れることを意味します。同居の親族のみで営む事業の場合は、労働基準法も労働契約法も適用除外です。

一方で家事使用人に対しては、労働基準法は適用除外ですが、労働契約法は適用されます。公務員や船員も含めた労働基準法と労働契約法の適用範囲は以下の通りです。

労働基準法労働契約法
同居の親族のみ適用しない適用しない
家事使用人適用しない適用する
公務員地方公務員
→一部を除き適用
適用しない
船員一部適用する一部適用する

傷病手当金と休業補償給付

健康保険法の「傷病手当金」と労災保険法の「休業補償給付」の給付要件を比較してみましょう。傷病手当金を支給するための待機期間は継続3日で、支給額は標準報酬月額を30日で割った金額の3分の2です。支給期間は通算1年6か月までです。

休業補償給付の待機期間は通算3日です。支給額は給付基礎日額の60%で、さらに特別支給金によって20%追加支給されます。支給期間の制限もありません。

傷病手当金休業補償給付
待機継続3日通算3日
支給額直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2給付基礎日額の100分の60(+特別支給金が給付基礎日額の100分の20)
支給期間1年6か月制限なし

社労士試験の対策で横断整理を活用するコツ

横断整理は社労士試験の対策に役立ちます。ここでは、効果的に横断整理を活用するためのコツについて解説します。

一通り学習してから取り入れる

試験範囲を一通り学習してから横断整理を取り入れることをおすすめします。横断整理は、法律ごとの共通点や類似点、相違点を把握し、比較する学習法です。横断整理を効果的に実施するには、前提として、各科目の内容や固有名詞などを理解しておく必要があります。応用的な学習方法であるため、基礎知識を習得した後の段階で行うと良いでしょう。

「わがまま図表」を作成する

「わがまま図表」の作成も、クレアールがおすすめする横断整理の活用方法の1つです。一般的によく見かける整理された表は、文字が多く記憶に適していないとクレアールは考えます。「わがまま図表」は、横断整理した内容のうち、試験で問われる数字やキーワードだけをピックアップした図表です。極限までシンプルにすることで、知識が記憶に定着しやすいというメリットがあります。この学習法は、クレアールの専任講師である北村庄吾氏が昔から提唱してきた横断整理を、さらに進化させたものと言えます。

例外の規定を覚える

横断整理を行う際は、例外の規定を覚えると効果的に学習できます。例えば、労働基準法や労働契約法は、労働者であれば適用されるのが一般的です。しかし、先述の適用除外で解説したように、同居の親族のみで営む事業や家事使用人などは例外として適用されません。適用される対象より、適用除外される例外の方が少ないため、例外を覚える方が効果的な学習につながります。

社労士試験の学習のポイント|進め方

社労士試験の対策では、学習の進め方も合否を左右する重要な要素です。ここでは、効果的な学習の進め方について解説します。

順序立てて学習をする

順序立てて学習をすることが重要です。試験科目は労働分野、社会保険分野、一般常識分野に分けられます。労働分野には、すべての科目の基礎となる労働基準法が含まれるため、労働分野から学習を開始しましょう。

労働分野の科目

労働分野は以下の通り、基礎から応用へと学習を進めましょう。最初に、労働基準法で基礎を学習します。最後に、労災保険法と雇用保険法の内容を含む労働保険徴収法を学習します。

  1. 労働基準法
  2. 労働安全衛生法
  3. 労災保険法
  4. 雇用保険法
  5. 労働保険徴収法

社会保険分野の科目

社会保険分野は、以下の通り、歴史が古い健康保険法から学習を始めましょう。その後、年金制度の1階部分と呼ばれる国民年金法、2階部分と呼ばれる厚生年金保険法の順で進めると効果的です。

  1. 健康保険法
  2. 国民年金法
  3. 厚生年金保険法

一般常識分野の科目

一般常識の科目は、最後に学習することをおすすめします。厚生労働白書や労働経済白書、時事に関する出題などが多く、対策が困難であることが主な理由です。

  1. 労働に関する一般常識
  2. 社会保険に関する一般常識

計画的に学習をする

計画的な学習が大切です。社労士試験は、毎年8月末に実施され、一般的な学習時間は800~1000時間が目安です。例えば働きながらでも可能な時間として、週に25時間の学習時間を確保できたとすると、800時間学習するために8か月かかる計算です。現実的に自分が確保可能な時間を計算し、学習開始時期などのスケジュールを組むことをおすすめします。以下では、それぞれの時期に適切な学習法を紹介します。

インプットの時期(11月~4月)

11月から4月は、主に基礎知識をインプットします。先述の順番で各科目の学習を進めます。テキストの読み込みや講座の受講などを通じて、基礎的な内容の理解に努めます。インプットだけではなく、合間に演習問題を取り入れることで、学習した知識の確認・定着をはかりましょう。

アウトプットの時期(4月~7月)

4月から7月は、アウトプットによって社労士試験の問題を解く力を身につけます。過去問や予想問題などを解く作業に時間を費やしましょう。知識が定着し、弱点も発見できます。問題を解くための実践力や応用力も身につきます。この時期に、横断整理を活用して知識を再整理しましょう。記憶から知識を取り出しやすくなり、試験問題に対する解答力がアップします。アウトプットだけではなく、あいまいな点や重要な点はテキストに立ちかえって基本を押さえることも重要です。

総まとめの時期(7~8月)

7~8月は学習した内容の総まとめを行います。試験に頻出する重要な論点を、確実に知識として定着させましょう。横断整理の積極的な活用や、模試や演習問題の復習が効果的です。法改正に関する直前の対策も大切です。

社労士試験の学習のポイント|過去問の活用

社労士試験の学習では、過去問の活用も重要です。過去問は過去の本試験であるため、今年の本試験を対策する上で役に立ちます。過去問を活用することで、出題傾向の把握や、自身の実力・習得度合いの判断が可能となります。ここでは、効果的な過去問の活用方法について解説します。

テキストと併用する

過去問に取り組む際は問題を解くだけでなく、テキストに立ちかえって条文・判例・通達などの基礎知識を確認しましょう。自分が確実に理解しているかどうかを把握できます。出題されやすい箇所や出題傾向もつかみやすくなり、より効果的に学習できます。

多くの過去問を解く

多くの過去問を解くことをおすすめします。多くの過去問に取り組むことで、試験時間に合わせた解答のペースをつかめます。また各科目の出題傾向を知ることにもつながります。出題傾向が分かると、学習の優先順位をつけやすく、効率的に学習できるというメリットもあります。

過去問の種類を理解する

過去問には「年度別」と「分野別」の2つのタイプがあります。本試験と同じ出題順序である年度別過去問は、時間配分の検討や本番を想定した練習試合に向いています。

分野別過去問は各科目・各単元の学習を終えたら取り組み、理解度を把握するのにおすすめです。クレアールでは効率的な学習を促すために、さらに「肢別」に編集し提供しています。

まとめ

横断整理は、複数の科目・領域にわたって情報を体系化して整理する学習方法です。社労士試験のように出題範囲が広く、似たような内容を問われる資格試験に有効です。この記事では、横断整理の事例や活用のコツ、社労士試験の学習のポイントを解説しました。学習の際はぜひ役立ててください。

横断整理という考え方を定着させたのは、クレアール専任講師の北村先生です。そのためクレアールではすべてのコースで、横断整理のカリキュラムを活用して学習します。他校ではほとんどの場合、横断整理はオプションのサービスとなっています。クレアールの強みである横断整理を有効活用してください。

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