公認会計士の論文式試験とは?出題科目・合格に必要な勉強時間などを解説

公認会計士の論文式試験とは?出題科目・合格に必要な勉強時間などを解説

公認会計士試験の「論文式試験」はどのような試験なのでしょうか。この記事では、出題科目や受験地、合格基準といった試験概要のほか、合格率の推移、合格するための学習方法なども解説します。結果が出たあとに必要な行動についてもお伝えするので、ぜひ参考にご覧ください。

「働きながら2年で受かる 公認会計士最短合格の勉強法」書籍プレゼント

  • 公認会計士の試験概要
  • 合格している人の特徴
  • 勉強方法や時間術
  • 直前期の対策について

公認会計士の試験概要合格している人の特徴 〇勉強方法や時間術 〇直前期の対策について

といった内容を掲載した書籍を無料でプレゼント中!お気軽にお問い合わせください。

目次

公認会計士の論文式試験とは?

公認会計士の論文式試験とは?

論文式試験とは、公認会計士試験の第2次試験に当たる試験です。公認会計士試験に合格するには、「短答式試験」と「論文式試験」両方の試験に合格する必要があり、短答式試験の合格者のみが、次の論文式試験に進めます

マークシート方式の短答式試験に対し、記述式で論理思考力や問題解決能力が試され、会計士としての実務適性が問われるのが論文式試験です。

なお公認会計士自体には受験資格はなく、年齢や学歴に関係なく誰でも受験できます。

公認会計士の論文式試験の概要

公認会計士の論文式試験の概要

論文式試験の具体的な内容はどのようなものなのでしょうか。以下では、試験の日程、試験地、出題科目や合格基準など合格に関する概要を解説します。

試験の日程

論文式試験の日程:8月中旬の3日間

公認会計士試験の論文式試験は、毎年8月中旬に3日間かけて実施されます。論文式試験の開催は、8月に行われる1回のみのため合格のチャンスも年に1回です。

短答式試験は12月と5月と年2回受験できるため、論文式試験と短答式試験は実施回数が異なります。公認会計士試験は例年、以下の日程で実施されています。

【公認会計士試験の日程】

出願期間試験日程合格発表日程
第Ⅰ回短答式試験8月下旬~9月上旬12月上旬翌年1月中旬
第Ⅱ回短答式試験2月上旬~下旬5月下旬6月下旬
論文式試験 8月中旬(3日間)11月中旬
令和6年の公認試験会計士試験の日程はこちら
公認会計士試験の日程・スケジュールについて詳しくはこちら

試験地

東京都・大阪府・北海道・宮城県・愛知県・石川県広島県・香川県・熊本県・福岡県・沖縄県

公認会計士試験は上記11都道府県で実施されます。それぞれ指定された会場で3日間に渡り受験するため、事前に会場を把握してスケジュール調整することが大事です。

とくに、自宅から会場が遠い人は宿の手配が必要となるため、余裕を持って受験準備を始めましょう。

受験料

受験料:19,500円

公認会計士試験の受験料は19,500円です。これは論文式試験の受験料というわけではなく、短答式試験の出願時に納付が必要な受験料を指します。短答式試験に合格すれば、追加の受験料を払わずに論文式試験を受験可能です。

出題科目・過去問

論文式試験では、試験日程の3日間で上記6科目をすべて受験します。

論文式試験は、「科目合格」制度が設けられているのが特徴です。結果が不合格でも、一定の得点比率を満たした科目は、その後2年間の論文式試験において免除が受けられます。

以下で、出題される科目ごとの詳しい内容の解説と、併せて過去問も提示します。

管理会計論は、会計学(2日目の午前と午後に実施)の午前の部として実施される試験です。配点は100点で、原価計算のほか、意思決定など経営方針を決める能力を問う内容が出題されます。管理会計論に合格するには、工業簿記の理解も必須となるでしょう。

財務会計論は、会計学の午後の部として実施される試験です。配点は200点と他の科目よりも高くなっています。

試験を構成する問題の内容は、主に「簿記」と「財務諸表論」です。簿記では帳簿の作成や会計処理の方法、財務諸表論では簿記の計算方法における理論や会計の知識が問われます。

監査論では、監査基準に関する知識や監査の諸概念、また特定の場面における監査手続やそれが適用される背景および理論を説明する問題などが出題されます。

抽象的な概念についての出題が多いため、とくに実務経験のない人は内容がイメージしづらく難易度が高いと感じるでしょう。なお、監査論の配点は100点です。

企業法は、企業活動に関する法律についての科目で、商法、会社法、金融商品取引法などが試験範囲です。

メインの内容である会社法に関しては全体的に出題されるため、大きなボリュームをカバーする必要があります。その他は限られた章に関して問われるのが一般的なため、範囲を絞って対策しましょう。

企業法の配点は100点で、内容理解をしっかりと行うことが確実に点数を取るためのポイントです。

租税法は論文式試験のみの科目で、配点は100点です。法人税法、所得税法、消費税法の3つの税法が試験範囲とされています。

記述問題と計算問題の両方が出題されるため、知識があっても計算ができなければ得点できません。したがって、税金に関する知識をつけるほか、計算問題に慣れることも重要です。

選択科目も論文式試験のみの科目で、配点は100点です。経営学、経済学、民法、統計学の4科目の中から1つ選んで受験します。

例年、経営学を選択する受験者が最も多い傾向にあります。これは、財務会計論と関連する問題が多く、他の選択科目よりも学習量を抑えて対策できるといわれているためです。

合格基準

合格基準:得点比率が52%以上

公認会計士・監査審査会によれば、論文式試験の合否は偏差値を基に決められています。具体的には、得点比率52%以上が合格基準です。

これは、平均を少し上回る点数を取れば合格できることを意味します。ただし、得点比率が40%に満たない試験科目が1科目でもある場合は、不合格になるため注意が必要です。

合格発表

合格発表:例年11月中旬

論文式試験の合格発表は、例年11月中旬にインターネット上で行われます。合格発表日に公認会計士・監査審査会のページに「受験番号」が掲載され、合格発表から約2週間後に合格者へ合格証書が郵送されます。

合格発表について、最新の情報が知りたい方は公認会計士・監査審査会のページでご確認ください。

公認会計士の論文式試験の合格率は?

論文式試験の合格率:35%前後

公認会計士・監査審査会の公式発表によれば、近年の論文式試験における合格率の推移は35%前後です。短答式試験の合格率が10%前後であることを考えると、論文式試験の合格率は比較的高い傾向にあります。

以下は、令和3年度以降の短答式試験と論文式試験の合格率を示した表です。

【公認会計士試験の合格率】

第Ⅰ回短答式試験第Ⅱ回短答式試験論文式試験
令和3年開催なし約21.6%約34%
令和4年約12%約7.9%約35.8%
令和5年約10.3%約8.8%約36.8%
令和6年約10.7%令和6年5月開催令和6年8月開催
出典:公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」
※回答提出者ベースの合格率

公認会計士の論文式試験に合格するための学習方法

公認会計士の論文式試験に合格するための学習方法

論文式試験の概要について説明しましたが、実際に論文式試験に合格するためには何をすればよいのでしょうか。ここでは、論文式試験に合格するための学習方法を解説します。

必要な勉強時間は?

論文式試験に必要な勉強時間:約1200~2000時間

公認会計士試験の論文式試験に合格するには、目安として1200~2000時間の勉強が必要だといわれています。また、公認会計士試験全体に合格のために必要な勉強時間の目安は3000~5000時間です。

1度で合格する人と複数回の受験で合格する人とで勉強時間は変動するため、必要な勉強時間は人によって異なると覚えておきましょう。

【論文式試験・科目ごとの学習時間の目安】

財務会計論200~250時間
管理会計論200時間
監査論150~200時間
企業法200~300時間
租税法330~400時間
選択科目200~400時間

論文式試験の科目ごとに必要な勉強時間の目安は上記の通りです。なお、選択科目のおいては選ぶ科目により勉強時間に差が生じます。経営学か統計学なら200時間、民法か経済学なら400時間が目安です。

論文式試験を学習するときのポイント

論文式試験の合格に向けた勉強において、過去問をうまく活用するのがポイントといえます。知識をインプットするのと同時に、記述式で解答するスキルも身につける必要があるためです。

アウトプット力もつけるために、「過去問を解いて解答を見る」の流れを何度も繰り返して対策しましょう。なお、令和4年論文式試験の過去問と回答はこちらから確認できます。

【合格・不合格】論文式試験の結果が出たあとの動き

論文式試験の合格発表後に、どのような行動を取ればよいのか覚えておくことは重要です。ここでは、合格だった場合と不合格だった場合に分けて必要な動きを解説します。

合格したあとの動き

3年間、実務経験を積む
3年間、実務補習所に通う

公認会計士試験に合格したあと、公認会計士として働くためには、3年間の「実務経験」と「実務補習」に取り組む必要があります。試験の合格だけでは公認会計士にはなれないということです。

3年間の実務経験と実務補習が終わったあと、修了考査に合格すれば公認会計士として登録できます。なお、実務経験を積むために、監査法人へ就職し業務補助を行うのが一般的です。

不合格だったあとの動き

残念ながら不合格になった場合でも、短答式試験の合格から2年以内なら、短答式試験を受験せずに論文式試験を受験できます。つまり、一度短答式試験に受かれば、論文式試験に合格できるチャンスが合計3回あるということです。

不合格になっても、諦めずに次の論文式試験の対策に取り組みましょう

公認会計士の試験に関するよくある質問

以下では、公認会計士試験に関するよくある質問と回答をまとめています。

論文式試験の科目を免除する要件は?

論文式試験では科目を一部免除できる制度があります。得点比率が50%後半以上と良い成績を取った科目においては、そのあと2年間、科目を免除したうえで論文式試験の受験が可能です。

また、司法試験合格者や税理士、大学で特定分野の教授等を務めた人などが、一部もしくは全科目の免除を適用できる制度もあります。

試験の合格者は、すぐに公認会計士になれるの?

試験合格後、すぐに公認会計士になれるわけではありません3年間の実務経験の要件を満たし、かつ実務補習を履修して単位を取得する必要があります。その後、修了考査に合格すれば公認会計士として登録することが可能です。

しっかり対策して論文式試験の短期合格をつかもう!

論文式試験は3日間の長期戦となります。試験では記述方式で解答するため、合格のためには内容に関する深い理解に併せ、文章で表現する力も必要です。
ただ、短答式試験と比べ合格率は高いため、しっかり対策し落ち着いて臨めば十分合格を目指せます。要点を押さえた効率的な学習を通じて、論文式試験の短期合格を勝ち取りましょう。

クレアール公認会計士講座では独自の「非常識合格法」を採用し、働きながら勉強する人も含め、公認会計士を目指す受験生を全力でサポートします。
自分にあった勉強法やコースがわからないという人は、学習相談もできます。短期合格のための勉強法の書籍プレゼントもあるので、ぜひご応募ください。

監修:公認会計士 森 大地

大学在学中に公認会計士の勉強をはじめ、公認会計士論文式試験に一発合格。現在は、クレアールの公式YouTubeチャンネル「公認会計士対策ワンポイントアドバイス」にて、監査法人での仕事や試験対策の学習法などを紹介している。

無料オンラインセミナー配信中!

クレアールで働きながら会計士試験に合格した方に登壇していただいたオンラインセミナーを無料で公開中!
セミナー視聴後は公認会計士講座で使えるクーポンもプレゼント!お気軽にお申し込みください!

講座パンフレットやお得な割引情報などを無料でお届けします。

講座についてのご相談を受け付けております。お気軽にお問合せください。

講座のお申し込み案内ページです。講座をお申し込みの方はこちらからどうぞ。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次