新型コロナウイルスの感染拡大によって、人々の働き方が激変しました。公認会計士の働き方も例外ではありません。これから公認会計士を目指す方は、今までとどのように働き方が変化してきているのか、気になるところでしょう。
今回は、コロナ禍の現状を含む近年における公認会計士の働き方の変化を解説していきます。将来的な公認会計士のやりがいや魅力にも触れているので、あわせて参考にしてみてください。
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近年における公認会計士の働き方の変化
日本公認会計士協会近畿会のダイバーシティ推進委員会では、2020年11月~12月にかけて公認会計士の働き方に関するWebアンケート調査を実施しました。2017年に実施した調査の経年比較を行うことが目的です。 調査対象は中日本五会(近畿会・東海会・北陸会・京滋会・兵庫会)の会員・準会員であり、回答総数は483名(2017年度は529名)となっています。
調査結果からわかる公認会計士の働き方の変化についてご紹介していきます。
公認会計士の働き方の変化その1.無理なく働ける環境が整ってきている
「あなたの職場は定時で帰りやすい雰囲気だと思いますか。」という質問に対して、「定時で帰りやすい雰囲気」と回答した方の割合は、2017年が62.6%、2020年が77.4%となっています。
8割近くの方が定時で帰りやすいと感じていることから、公認会計士は残業が少なくなってきていることがわかります。
また、「あなたの職場は有給休暇を取得しやすい雰囲気だと思いますか。」という質問に対して、「有給休暇を取得しやすい雰囲気」と回答した方の割合は、2017年が73.7%、2020年が82.0%となっています。
残業が少なくなってきているだけでなく、休暇を取得しやすい環境まで整ってきていることがわかります。
公認会計士は、ワーク・ライフ・バランスを重視する方にとって、検討しやすい職業になったといえるでしょう。
参考:公認会計士のワーク・ライフ・バランスとキャリアに関するアンケート調査結果P–13
公認会計士の働き方の変化その2.コロナ禍によって勤務スタイルが変化した
「今回の感染症の影響下において、経験した働き方をすべて回答してください。」という質問に対する集計結果は下記の通りです。
コロナ禍で経験した働き方 | 割合 |
テレワーク中心(50%以上) | 32.30% |
時差出勤やフレックスタイムによる勤務 | 20.70% |
基本的に出勤(不定期にテレワーク) | 20.30% |
定期的にテレワーク(出勤中心:50%以上) | 18.00% |
テレワーク(ほぼ100%) | 15.10% |
週4日、週3日などの勤務日制限 | 7.00% |
特別休暇取得などによる勤務時間縮減 | 2.10% |
その他 | 1.90% |
いずれも実施していない | 9.30% |
勤務時間の半分をテレワークで過ごす方が多くなっていることがわかります。
完全にテレワークに切り替わった方も少なからずいることから、公認会計士の業務はテレワークで完結させることも不可能ではないのかもしれません。
今後も公認会計士の働き方としてテレワークが普及していく可能性は高いです。
参考:公認会計士のワーク・ライフ・バランスとキャリアに関するアンケート調査結果P-21
コロナ禍のテレワークで変化した公認会計士の働き方
コロナ禍によって、公認会計士の間でもテレワークが普及されるようになったことが、お分かりいただけたでしょう。
その点、公認会計士の働き方はテレワークによってどのように変化したのか、気になるところですよね。
コロナ禍のテレワークが公認会計士にもたらした変化についても詳しく解説していきます。
コロナ禍のテレワークによる公認会計士の働き方変化その1
「通勤の必要性が減って家族と過ごせる時間が増えた」
公認会計士が、コロナ禍でテレワークになってよかったと感じる例として挙げられるのが、通勤時間の短縮です。
最近では、Web会議ツールやチャットツール、クラウド会計ツールなど、事務所に行かなくても業務に専念できるようになったことから、公認会計士の間でも通勤の必要性が減ってきています。
自宅で過ごせる時間が増えるので、通勤や仕事のストレスが減るほか、家族と一緒に過ごしやすくなってきました。
コロナ禍をきっかけにテレワークが普及したことで、公認会計士は従来よりも働きやすくなって、生活水準が向上しているようです。
ただし、各種ITツールを柔軟に使いこなせるスキルが求められます。
コロナ禍のテレワークによる公認会計士の働き方変化その2
「コミュニケーションに課題が生じた」
コロナ禍でテレワークが普及したことによって、クライアントや監査チーム、社内のコミュニケーション、上司や先輩への報連相などに課題が生じています。
例えば、チャットツールでは複雑な内容を説明するときに、たくさんのテキストを入力しなければなりません。また、相手から内容を誤って解釈されてしまうと、仕事のミスが発生してしまうことがあります。
Web会議で打ち合わせをするときには、開催日時を調整しなければなりません。調整がうまくいかないこともあり、通常のオフィスで働くよりもスムーズに会話できないことがあります。
今後の公認会計士の働き方に関しては、テレワークのコミュニケーションを円滑にするための工夫が不可欠だといえるでしょう。
コロナ禍のテレワークによる公認会計士の働き方変化その3
「いつも通りの業務が行えなくなった」
テレワークによって、いつも通りの業務が行えなくなり、不便を感じるケースも生じてきています。
例えば、クライアントの資料の秘匿性が高く、資料をメールやクラウドサービスで送受信したり、自宅に持ち帰ったりすることが禁止される場合があります。
また、普段利用しているパソコンがデスクトップ型の場合、自宅に持ち帰ることができず、業務に支障が出るケースも少なくありません。
その他、上司の立場からするとOJT・部下への指導(コーチング)機会・勤怠管理が行いづらいと感じることもあります。
コロナ禍によるテレワークの実施は、必ずしも公認会計士の働き方を効率化できるわけではありません。現場では目の前の課題を一つずつ解決していく必要に迫られているようです。
公認会計士を取り巻く時代の変化
公認会計士を取り巻く時代の変化は、コロナ禍だけが原因ではありません。法律の改正も挙げられます。
例えば、令和3年度の税制改正において電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)が改正され、帳簿書類を電子的に保存するときの手続きが抜本的に見直されました。
経済社会のデジタル化に応じて、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上を図ることが目的です。
紙媒体の請求書については、保存要件が緩和されたことで、スキャンによる電子保存が容易になりました。その一方で、メールなどで受信する電子請求書に関しては、電子データとしての保存が必須になりました。
改正による電子保存の主な要件は下記の通りです。
・取引情報の授受後は速やかにタイムスタンプを付す(真実性の要件)
・日付と取引先名称、取引金額で検索できるようにする(可視性の要件)
今後は、電子保存にともなう管理工数の負担増加が見込まれます。
したがって、これからの公認会計士の働き方では、クラウド請求書受領サービスを導入するなど、ITツールを利活用するスキルが求められるようになるでしょう。
未来の公認会計士のやりがいと魅力
ここまで公認会計士を取り巻く状況は大きく変わってきていることをお伝えしました。テレワークの課題もありますが、ワーク・ライフ・バランスの観点から、勤務環境が改善され始めていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
実は公認会計士の今後の働き方として、勤務環境の改善だけでなく、やりがいと魅力まで増える可能性も期待できます。
将来的な公認会計士のやりがいと魅力を変化させる要因として見過ごせないのがDX化です。
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称であり、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)といった最新テクノロジーを活用して、業務プロセスや製品、サービス、ビジネスモデルを変革する取り組みを指します。
近年は、政府を主導に数多くの企業が市場における競争力を高めるためにDX推進に取り組むようになり、会計事務所も例外ではありません。
たとえば、税務申告書が完成したあとにe-Taxでの提出やメッセージの印刷を自動で行う会計事務所向けロボットがすでに開発されています。
このような最新テクノロジーの導入によって、電子申告作業に費やす時間を大幅に削減することが可能です。結果としてスタッフが専門知識を活かしたコア業務に集中しやすくなります。
一般的に単純作業は、誰でもできる仕事のように感じる内容であり、働く人の勤務意欲を下げてしまいがちです。
現代は技術革新が目覚ましい発展を遂げていることから、将来的に公認会計士の単純作業も大幅に減っていく可能性が高いです。
これから公認会計士の仕事に携わる方は、今まで以上にやりがいと魅力のある業務に携われるチャンスが多くなるでしょう。
時代の変化に対応できる公認会計士を目指そう!
今回は、近年における公認会計士の働き方の変化をお伝えしました。
コロナ禍によってテレワーク化が進み、公認会計士の働き方も大きく変わりました。
通勤の必要性が減ってワーク・ライフ・バランスが実現しやすくなった一方で、コミュニケーションや情報共有、業務の遂行などに課題が生じています。
コロナ禍だけでなく、電子帳簿保存法の改正やDXの推進によっても、公認会計士を取り巻く環境が変化しています。
書類の電子化に対応しなければなりませんが、最新技術によって単純作業が減る可能性があり、その分やりがいと魅力のある業務に専念しやすくなる可能性が高いと言えるでしょう。
これから公認会計士を目指すのであれば、時代の変化に対応できるように、デジタルツールを使いこなせるスキルまで磨いておくことをおすすめします。
監修:公認会計士 森 大地
大学在学中に公認会計士の勉強をはじめ、公認会計士論文式試験に一発合格。現在は、クレアールの公式YouTubeチャンネル「公認会計士対策ワンポイントアドバイス」にて、監査法人での仕事や試験対策の学習法などを紹介している。
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