公認会計士の短答式試験を徹底解説!合格率・勉強方法も

公認会計士の短答式試験を徹底解説

公認会計士試験のうち、短答式試験とはどんな試験なのでしょうか。この記事では、短答式試験の概要や気になる合格率、合格するための勉強方法や勉強時間について詳しく解説します。合格後の流れについても触れるので、公認会計士試験の合格を目指している方はぜひ最後までご覧ください。

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目次

公認会計士の短答式試験とは?

短答式試験は公認会計士を目指すうえでの最初の関門です。マークシート方式の試験で、例年、年2回実施されています。試験内容は財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目です。

短答式試験に合格すると、公認会計士試験の2次試験である論文式試験の受験資格を得られます

公認会計士試験の構造

公認会計士試験の構造の図

公認会計士試験には2種類の試験があり、短答式試験の合格後、論文式試験を受験する必要があります短答式試験と論文式試験の両方に合格後、原則3年間の実務補習を履修して必要な単位を取得し、公認会計士としての実務経験(業務補助等)を3年間積んだうえで修了考査に合格することで、ようやく公認会計士として登録する権利を得られます。

登録を行うことで、正式に公認会計士として認められ、公認会計士を名乗って業務を行えるようになるのです。

短答式試験の合格率

公認会計士試験のうち短答式試験はどれぐらい難しいのでしょうか。ここでは、短答式試験の各回別の合格率について解説します。

年度実施回合格率実質合格率※1
2016年第Ⅰ回12.3%15.8%
第Ⅱ回10.1%13.5%
2017年第Ⅰ回15.3%19.8%
第Ⅱ回7.2%9.7%
2018年第Ⅰ回13.0%16.6%
第Ⅱ回13.6%18.2%
2019年第Ⅰ回12.9%16.6%
第Ⅱ回9.4%12.7%
2020年第Ⅰ回12.1%15.7%
第Ⅱ回7.7%12.9%
2021年※2第Ⅱ回16.8%21.6%
2022年第Ⅰ回9.4%12.1%
第Ⅱ回6.1%7.9%
2023年第Ⅰ回8.1%10.4%
第Ⅱ回6.7%8.8%
※1願書提出者数から欠席者数を引き、実際に試験を受けた人数をもとに計算した合格率
※2 2021年は新型コロナウィルスの感染状況を考慮し、1度のみ試験を実施

この表は各年度の短答式試験の合格率及び実質合格率(※1)の推移を表したものです。短答式試験の実質合格率は概ね15%~20%の範囲を推移しています。また年2回行われる短答式試験のうち、基本的には5月の第Ⅱ回試験の方が、12月の第Ⅰ回試験よりも合格率が低い傾向があります。

短答式試験の概要

公認会計士試験の仕組みや難易度がわかったところで、実際の受験に向けて、短答式試験の概要を把握しておきましょう。受験資格や日程、試験会場などの基本情報を解説します。

・受験資格・日程・試験会場・受験手数料・試験科目・方法・合格基準・合格発表・免除条件

受験資格

受験資格なし

短答式試験を含む公認会計士試験には、特に受験資格はありません。学歴や国籍、性別は一切関係なく、誰でも受験が可能ですこのため、ほかの資格よりも比較的チャレンジしやすい資格だといえます。

試験日程

例年12月上旬・5月下旬

短答式試験は、例年12月と5月の年2回行われます。それぞれの試験は1日で完結し、どちらか一方で合格すれば構いません。

試験の詳しい日程は、例年12月頃、公認会計士・監査審査会のWebサイトで公表されます。受験を検討している場合は必ず確認しましょう。

試験場所

東京都・大阪府・北海道・宮城県・愛知県・石川県広島県・香川県・熊本県・福岡県・沖縄県

短答式試験の試験場所は上記の11都道府県です。居住地に関係なく、出願時に好きな場所を選択できます

試験場所の詳細は、試験実施日の約1カ月前に公認会計士・監査審査会のWebサイトで公表されます。出願時点で都道府県の選択はできますが、具体的な場所の選択まではできないので、遠征や宿泊を予定している場合は注意が必要です。

また、出願後の試験場所の変更もできません

受験手数料

19,500円

短答式試験の出願時に、公認会計士試験の受験手数料として19,500円の納付が必要です。

短答式試験の全科目を受験する場合と、保有資格などにより一部の科目が免除される場合がありますが、どちらの場合でも費用は変わりません

なお、受験手数料は、書面による出願の場合は収入印紙で、インターネットによる出願の場合はペイジーで納付する必要があります。

試験科目・方法

試験科目試験時間問題数配点
財務会計論120分40問以内200点
管理会計論60分20問以内100点
監査論60分20問以内100点
企業法60分20問以内100点

短答式試験の各試験科目の出題範囲は、主に上記の通りです。

大きく出題範囲が変わることはほとんどありませんが、毎年、第Ⅰ回(12月上旬実施)の範囲は6月頃に、第Ⅱ回(5月下旬実施)の範囲は1月頃に暫定版が、4月頃に確定版が公表されるので必ず確認しましょう。

出題範囲は、公認会計士・監査審査会のWebサイト上の「出題範囲の要旨」欄で確認できます。

合格基準

総点数の70%を目安とする
※1科目につき満点の40%に満たず、かつ下位から33%の人数に当たる方は不合格となることがある

短答式試験の合格基準は、総点数の70%が目安で、実際は審査会が相当と認めた得点比率とされています。免除科目がある場合は、受験した科目の合計得点の比率で判断されます。

ただし1科目でも40%の得点率に満たず、かつ下位から33%に該当してしまった場合は不合格になる可能性があります

合格発表

例年1月中旬・6月下旬

12月上旬に行われる第Ⅰ回短答式試験の合格発表は1月中旬に、5月下旬に行われる第Ⅱ回短答式試験の合格発表は6月下旬にそれぞれ行われます。

合格発表は公認会計士・監査審査会のWebサイトで行われ、具体的には合格者の受験番号が掲載されます。そのほか官報にも公告され、合格者には合格発表から約2週間以内に簡易書留にて合格通知書等が届きます。

免除条件

公認会計士試験には、さまざまな人が受験しやすい制度となるよう免除制度が設けられています。短答式試験の場合、全科目の受験が免除される全部免除と、一部科目免除の2種類があります。それぞれの免除条件は以下の通りです。

免除の範囲条件
全部免除・大学等において商学に関する教授
・准教授を3年以上
・大学等において商学に関する博士の学位を取得
・大学等において法律学に関する教授
・准教授を3年以上
・大学等において法律学に関する博士の学位を取得
・高等試験本試験合格
・司法修習生となる資格を取得
・旧司法試験第2次試験合格者
一部科目免除・税理士となる資格を保有
・税理士試験の試験科目のうち特定科目で基準以上の成績
・会計専門職大学院において、特定の科目における研究により一定の単位を取得して修士の学位を取得
・上場会社等で、会計又は監査に関する事務又は業務に通算で7年以上従事

免除を受けるためには必要書類を公認会計士・監査審査会の事務局に提出し、免除要件を満たしているかの審査を受ける必要があります。

短答式試験の勉強方法・勉強時間

短答式試験の勉強方法・勉強時間

短答式試験の試験科目には特徴があり、適切な勉強方法で対策する必要があります。ここでは短答式試験に向けた勉強方法と勉強時間について解説します。

財務会計論

勉強時間約600時間
出題範囲・財務会計の意義と機能
・財務会計の基礎概念
・複式簿記の基本原理
・企業会計制度と会計基準
・資産会計総論 ほか
ポイント・テキストの例題と問題集を繰り返し解く
・内容をしっかり理解し、設問が変形されても対応できるようにする

財務会計論には「簿記」と「財務諸表論」の2種類の内容が含まれますが、勉強法の基本はどちらもテキストの例題と問題集を繰り返し解き続けることです。問題を見て自然かつ瞬時に、解答パターンを書き出せるくらい頭にたたき込む必要があります。もちろん、その際にどうしてその解答になるのか論理をきちんと理解し、応用問題にも対応できるようにしましょう。

管理会計論

勉強時間約300時間
出題範囲原価計算領域:原価計算の基礎知識、実際原価計算、個別原価計算と製造間接費の配賦、総合原価計算、ほか会計情報等を利用した意思決定及び業績 管理に関する領域:管理会計の基礎知識、財務情報分析、短期利益計画のための管理会計、ほか
ポイント・テキストの例題と問題集を繰り返し解く
・内容をしっかり理解して、理論的な基礎を固める

財務会計論と同様に、基本的にはテキストの例題と問題集を繰り返し解くことが重要です。ただし、管理会計論は理解度によって点差が付きやすいので、内容を理解せずに問題を反復しても点数に直結しづらい科目といえます。解答を覚えてしまっては意味がないので、慣れてきたら、問題を解く際に、なぜその解答になるのかも合わせて答えてみましょう。

監査論

勉強時間約200時間
出題範囲公認会計士監査の基礎、監査基準、監査における不正リスク対応基準、財務報告に係る内部統制監査の基準、ほか
ポイント・暗記量が多いので単純な丸暗記は非効率・実際の監査現場をイメージして深く理解する

監査論の出題範囲は監査基準が中心のため、暗記が必要な部分が非常に多いです。単純に丸暗記する勉強法は非効率的なので、他の科目以上に深く内容を理解しながら覚えていく必要があるでしょう。実際の監査の現場をイメージしながら、暗記していくと実務にも生かせる知識を修得につながります。

企業法

勉強時間約400時間
出題範囲会社法、金融商品取引法
ポイント・暗記のほか、問題演習を通じて条文の趣旨を深く理解する

企業法では会社法や商法、金融商品取引法といった企業に関連する法律が出題されます。なかでも短答式試験では、8~9割が会社法から出題されるのが特徴です。

暗記だけでもある程度の点数が取れますが、問題演習を通じて条文の趣旨を深く理解し、知識を確実に覚えていくことが重要です。

公認会計士の短答式試験合格後の流れ

公認会計士の短答式試験合格後の流れ

短答式試験に合格したら、次は論文式試験を受験する必要があります。論文式試験は例年2月頃に出願し、8月中旬に実施するので、第Ⅰ回(12月上旬実施)・第Ⅱ回(5月下旬実施) 短答式試験のどちらに合格したとしても、翌年の論文式試験を受けることになります

第Ⅰ回に合格している場合でも、半年以上の準備期間があるので、この期間は論文式試験の対策をしっかり行いましょう。

論文式試験にも合格すれば次は就職です。監査法人に就職するケースを前提にすると、監査法人での実務経験と実務補習所での実務補習にそれぞれ3年間にわたって取り組み、年数や単位等の要件を満たしたら修了考査を受験します。修了考査の合格後、公認会計士登録を行えば公認会計士を名乗って業務が可能になります。短答式試験合格から公認会計士登録までは、少なくとも3年~4年はかかると考えておきましょう。

公認会計士の短答式試験に落ちてしまったら…

短答式試験のボーダーの点数は毎年変動するので、十分な勉強を積んでいたつもりでも、残念ながら不合格になることもあります。ただし短答式試験は年2回のチャンスがあるので、せっかく身に着けた知識が色褪せないうちに、次の試験に向けて準備し、あきらめず再度チャレンジしましょう

クレアール公認会計士講座では非常識合格法を採用しており、出題傾向を見極めたうえで学習範囲をお伝えしています。学習を必要最小限に絞ったうえで、効率的な短期合格を実現できるはずです。短答式試験合格に特化したコースもあるので、ぜひお気軽にご確認ください。

公認会計士の短答式試験に関するよくある質問

公認会計士試験は短答式と論文式のどちらが難しい?

試験内容や方法が異なるので一概に比べられませんが、短答式試験の方が合格率は低いです。

過去数年度の短答式試験の実質合格率は15%~20%程度で推移しています。他方、論文式試験は、受験者が短答式試験合格者のみであり難易度の比較は困難ですが、合格率はいずれの年度も35%前後と、短答式試験よりも高くなっています。

公認会計士試験に合格するには何年かかる?

公認会計士の合格には、効率的に勉強した場合でも3,000時間以上の勉強時間が必要といわれています。年数に換算すると、最短でも1.5~2年間の学習期間が必要です。一般的には、学生・受験専念生で2~3年間、社会人で3~5年間はかかるでしょう。

公認会計士試験の勉強はいつから始める?

公認会計士試験を受ける年度を決め、そこから逆算して約3000時間以上の勉強時間を取れるよう、勉強を始めるタイミング毎日の勉強時間を決めましょう。学生で、卒業に合わせて、公認会計士試験への合格を目指したい場合は、本業と並行して勉強することを考えると、卒業年の2~3年前には勉強を始めた方がよいでしょう。

短答式試験のチャンスは年2回!効率的な学習で短期合格をつかもう

短答式試験は公認会計士試験の最初の関門です。合格率は決して高くありませんが、年2回、受験のチャンスがあるので挑戦しやすく、科目ごとに要点を押さえた勉強法を心がければ社会人や学生だとしても十分に合格可能です。効率的・効果的に学習をすすめ、短期合格を勝ち取りましょう。

クレアール公認会計士講座では独自の「非常識合格法」を採用し、公認会計士を目指す受験生を全力でサポートします。

自分にあった勉強法やコースがわからないという人も、学習相談もできますのでお気軽にお問い合わせください。YouTubeのワンポイントアドバイス動画もあるのでぜひどうぞ。

監修:公認会計士 森 大地

大学在学中に公認会計士の勉強をはじめ、公認会計士論文式試験に一発合格。現在は、クレアールの公式YouTubeチャンネル「公認会計士対策ワンポイントアドバイス」にて、監査法人での仕事や試験対策の学習法などを紹介している。

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