公認会計士試験を受験する前に簿記1級を取得するとよいと聞くことがありますが、本当なのでしょうか。公認会計士試験と簿記1級の試験はいずれも簡単ではなく、合格すれば就職で有利になります。本記事では2つの試験の関係性や、それぞれの特徴、試験制度と出題範囲、必要な勉強時間や就職面での違いなどについて詳しく解説します。
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公認会計士試験と簿記1級の関係性
公認会計士試験を受験する前に簿記1級を取得するとよいと言われることがあります。実際に、商業簿記や工業簿記といった簿記1級の試験内容には公認会計士試験の計算科目にも含まれる内容が多く、簿記1級の学習で得られる知識が公認会計士試験でも役に立つことは事実です。後述の章では、公認会計士試験と簿記1級の違いをさらに解説します。
公認会計士試験と簿記検定の特徴の違い
公認会計士試験と簿記検定にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、両者の特徴およびそれぞれの違いを解説します。
公認会計士試験は独占業務のある国家資格試験
公認会計士試験は、公認会計士になるための試験ですが、公認会計士は独占業務として財務書類の監査・証明業務(財務諸表監査)を行える唯一の国家資格です。またこれらに加えて、税務やコンサルティングも行うことができ、また経理や財務担当として企業内会計士として働く公認会計士もいます。
公認会計士はいわゆる「士業」の中でも試験の難易度が高く、司法試験などに続く難関国家資格とされています。また、公認会計士の資格を取得すれば税理士として登録できるため、独立開業する公認会計士の多くは税理士業務も行っています。
簿記検定はスキルアップに役立つ技能検定
簿記とは企業の経営活動を記録・計算・整理して、帳簿に記入することで経営成績と財政状態を明らかにする技能のことです。簿記検定の種類には「日商簿記検定」「全経簿記検定」「全商簿記検定」などがありますが、最も受験者数が多く歴史も長いのは商工会議所が主催する日商簿記検定です。この記事では簿記という場合日商簿記を指すことにします。
日商簿記検定は簿記のスキルのレベルを問うもので1~3級までありますが、このうち特に公認会計士試験と関連があるのは日商簿記1級です。
公認会計士試験と簿記1級の試験制度
公認会計士試験と簿記検定の試験の概要はわかりましたが、具体的な試験制度はどうなっているのでしょうか。ここでは公認会計士試験のほか、簿記検定のうち日商簿記1級の試験制度を解説します。
公認会計士試験は2段階式試験
受験資格 | なし |
日程 | 短答式は毎年5月と12月の年2回論文式は毎年8月の年1回 |
会場 | 東京都、大阪府、北海道、宮城県、愛知県、石川県、広島県、香川県、熊本県、 福岡県、沖縄県その他公認会計士・監査審査会の指定する場所。 |
受験料 | 19,500円 |
申し込み方法 | インターネット出願または書面出願(郵送) |
合格基準 | 短答式試験は70%、論文式試験は52%の得点比率を目安とする |
最新年度の合格率 | 7.6%(令和5年) |
公認会計士試験は年2回の短答式試験と年1回の論文式試験とに分かれており、両方に合格する必要があります。ただし短答式試験に一度合格すればその後2年間は短答式試験の受験が免除されるほか、論文式試験の科目のうち一定の得点比率以上を得た場合はその後2年間、論文式試験のその科目の受検が免除されます。
また公認会計士試験には受験資格はなく、年齢や学歴に関係なく受験が可能です。
願書提出者のうち論文式試験合格者の割合を示す合格率は、令和4年は7.7%となりました。近年の合格率は8%~11%で推移しています。
簿記1級は1日完結型で年2回
受験資格 | なし |
日程 | 毎年6月と11月の年2回 |
会場 | 全国の商工会議所が指定する会場 |
受験料 | 7,850円(税込) |
申し込み方法 | 原則として商工会議所の窓口での申込が必要だが、郵送やインターネット等で受け付ける商工会議所もある |
合格基準 | 70%以上。ただし、1科目ごとの得点は40%以上。 |
最新年度の合格率 | 16.8%(令和5年11月試験) |
簿記1級の試験は1日で完結しますが、毎年6月と11月の年2回のチャンスがあります。公認会計士試験と同様に受験資格はなく、年齢や学歴に関係なく受験が可能です。ただし、1級から受験する人は少なく、3級から順に取得していくことが一般的です。
合格率(実際の受験者に占める合格者の割合)は、令和5年11月の試験では16.8%となりました。近年の合格率は10%前後で推移しています。申し込み方法や会場は商工会議所が決定するため、お住まいの地域の商工会議所に確認が必要です。
公認会計士試験と簿記1級の試験科目・出題範囲
公認会計士試験 | 簿記1級 | |
短答式試験 | 企業法 管理会計論 監査論 財務会計論(マークシート式) | 商業簿記 会計学 工業簿記 原価計算 (記述式) |
論文式試験 | 監査論 租税法 会計学 企業法 選択科目(経営学、経済学、統計学、民法の中から1科目) (記述式) |
公認会計士試験は三大難関資格に数えられ、当然ながら簿記検定よりも難易度は高く、問題のボリュームや論点の幅広さでも上回ります。ただし日商簿記1級は「経営管理や経営分析を行うために求められるレベル」と説明されている通りかなりハイレベルな論点も出題され、公認会計士試験の会計学の同じ分野と比較しても劣らない難易度の問題が出題されるので、油断はできません。
公認会計士試験と簿記1級に必要な勉強時間
公認会計士試験 | 簿記1級 |
---|---|
3,000~5,000時間 | 500~1,000時間 |
これまで見てきたように、公認会計士試験は難易度が高く科目数も多いため、合格に必要な勉強時間は簿記1級よりも長くなります。目安となる勉強期間は、公認会計士試験は一般的には2年以上、簿記1級は1年ほどと言われています。
しかし効率のよい学習方法により勉強期間を短縮することは可能です。一般的に、独学よりもカリキュラムや講師によるサポートがあるスクールや通信講座の方が、学習効率がよく、早く合格に近づけます。
クレアールでは「非常識合格法」を採用し、重要な論点のみを抽出し、効率良く、しかし質を落とすことなく学習します。教材の分量も最低限に絞り、合格に必要な部分のみを徹底的に学習して短期合格を目指します。
公認会計士と簿記1級の取得後の就職面での違い
試験内容や勉強時間の違いはわかりましたが、就職に関しては公認会計士と簿記1級とで違いはあるのでしょうか。ここでは、公認会計士と簿記1級の取得後の就職面での違いについて解説します。
公認会計士取得後は9割が監査法人に就職する
公認会計士試験に合格するとほとんどの人がまず監査法人に就職し、そこで実務経験を積んで数年以内に公認会計士登録をするのが一般的です。その後もずっと監査法人に残る人もいますが公認会計士事務所や税理士法人、コンサルティング会社、一般企業などに転職する人が多くいます。また少数ですが、最終的に独立開業して活躍している人もいます。
簿記1級取得後は有利に就職・転職できる
簿記1級の試験も難関なので、簿記1級を取得すれば就職や転職を有利に進めることができます。簿記1級では連結会計まで学ぶため、有名な大企業への就職も視野に入れることができます。簿記の資格のみでは独占業務といえる業務はできませんが、その取得のために得た知識を生かして税理士や公認会計士の資格を取得して独立するパターンもあります。
簿記1級から公認会計士試験へのステップアップも可能!効率的な学習で短期合格をつかもう!
試験問題の難易度も必要な学習量も公認会計士試験の方が上回りますが、簿記1級もハイレベルで就職に有利となる試験です。簿記1級の学習で基礎を固めれば公認会計士試験の会計学の理解に役立つので、公認会計士試験の合格にも役立ちます。
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監修:公認会計士 森 大地
大学在学中に公認会計士の勉強をはじめ、公認会計士論文式試験に一発合格。現在は、クレアールの公式YouTubeチャンネル「公認会計士対策ワンポイントアドバイス」にて、監査法人での仕事や試験対策の学習法などを紹介している。
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