CROSS STUDY不動産登記法リリースしました!&正答率50%未満の民法の過去問肢のご紹介

司法書士コラム

皆さんこんにちは。

クレアール司法書士講座を受講して令和4年度司法書士試験に合格したR.Nです。

本日、長らくお待たせしておりましたCROSS STUDY不動産登記法
をリリースいたしました!

是非日々の学習にお役立てください。

ちなみにですが、CROSS STUDY民法のリリースから2か月が経過し、
受講生の皆様が問題に取り組まれた回数(問題解答回数の合計)が、
民法・商法(会社法)合わせて、なんと 20万回 を超えました! 

受講生の皆さんに大いにご活用いただいておりますことを、
製作者の一人として大変うれしく思います。

本日は、現段階でのCROSS STUDY上のデータをもとに、
民法の正答率50%未満の過去問肢について、
一部抜粋してご紹介していきたいと思います。

不動産登記法や商法(会社法)の学習を併行しようとすると、
民法の復習はどうしても後手に回ってしまう
と思いますので、
苦手分野の再発見に是非お役立てくださいませ。

※以下、CROSS STUDY画面右上の8桁の問題IDを、「CS問題ID」と省略して示します。

分野:担保物権/根抵当権 正答率:32.5%

平成19年度 第9問 肢オ(CS問題ID:H19095AA)

【問題】
根抵当権の一部譲渡の登記は、対抗要件ではなく効力発生要件である。

【解答・解説】
誤り。根抵当権の一部譲渡(民398条の13)の登記は、対抗要件である(民177条)。共同根抵当権の一部譲渡は、すべての不動産につきその登記をすることが効力発生要件であること(民398条の17第1項)と間違えないこと。

(コメント)
ワースト1位はこちらの根抵当権の肢です。シンプルな1行問題ですが、意外に皆さん正解されていないようです。解説にもあります通り、「共同」根抵当権の一部譲渡の場合に、すべての不動産につき登記をすることが効力発生要件となるという知識と、混同されている方が多いようです。気を付けて問題文を読みましょう。

分野:債権各論/不法行為 正答率:39.1%

平成31年度 第19問 肢ア(CS問題ID: H31191AA)

【問題】
不法行為をした未成年者が責任を弁識する知能を備えている場合であっても、その未成年者の監督義務者が監督義務を果たさなかったことと損害との間に相当因果関係が認められるときは、監督義務者は民法第714条第1項に基づく責任を負う。

【解答・解説】
誤り。未成年者責任能力を有する場合であっても、監督義務者の義務違反とその未成年者の不法行為によって生じた結果との間に相当因果関係を認め得るときは、監督義務者につき民法709条の規定に基づく不法行為が成立する(判昭49.3.22)。民法714条1項に基づく責任を負うのではない。

(コメント)
民法714条「責任無能力者の」監督義務者等の責任を規定しており、責任無能力者がその責任を負わない場合に問題となる条文です。ですので、不法行為をした未成年者に責任を弁識する知能が備わっている場合には、民法714条の適用場面にはなりません。なお、その場合であっても、民法709条の一般的不法行為は成立しますので、併せて押さえましょう。

分野:担保物権/質権 正答率:42.5%

令和4年度 第14問 肢イ(CS問題ID:R04142AA)

【問題】
質権の設定者は、質権の目的となっている債権を取り立てることはできない。

【解答・解説】
正しい。債権が質権の目的とされた場合に、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されない(最判平18.12.21)。質権設定者が債権を取り立てることは、債権を消滅させ担保価値を害する行為となるから、質権設定者は、質権の目的となっている債権を取り立てることはできない

(コメント)
こちらも①と同様に、シンプルな1行問題ではありますが、正答率があまり良くありません。おそらく、民法366条第1項に規定されている「質権者は、質権の目的である債権直接取り立てることができる」という知識(質権者の強力な権限を示す、印象に残りやすい条文です)と混同していると思われます。問題文の読み間違いに注意しましょう。

分野:債権各論/売買 正答率:46.7%

令和3年度 第18問 肢ア(CS問題ID:R03181AA)

【問題】
売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものとみなされる。

【解答・解説】
誤り。売買の目的物の引渡しについて期限があるときは、代金の支払についても同一の期限を付したものと推定される(民573条)。同一の期限を付したものと「みなされる」という記述は誤り。

(コメント)
みなし規定推定規定の区別を問う問題は、法律科目の択一式試験において頻出です。是非一度、意識しながら問題演習をしてください。文末まで注意を払う集中力を養うようにしましょう。

民法クロスワードに「みなし規定・推定規定」を追加しました!

分野:相続/相続の承認及び放棄 正答率:46.8%

平成26年度 第22問 肢イ(CS問題ID:H26222AA)

【問題】
相続人において、相続財産が全く存在しないと信じ、かつ、このように信ずるについて相当な理由がある場合における相続の承認又は放棄をすべき期間は、当該相続人が相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算する。

【解答・解説】
誤り。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない(民915条1項本文)。この3か月の熟慮期間は、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じるについて、相当な理由があると認められるときは、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識したとき又は通常これを認識しうべきときから起算するとされている(最判昭59.4.27)。

(コメント)
この肢の判断には、判例の細かい内容まで踏み込んだ知識が必要になります。本番の緊張した状況下では、このような肢は正解に見えてしまうことが多いと思います。日頃から精度の高い知識を身に着けられるように、重要判例は登場する都度しっかり読むようにしましょう。

分野:物権/不動産物権変動の対抗要件 正答率:46.9%

平成25年度 第9問 肢オ(CS問題ID:H25095AA)

【問題】
不動産の共有者間で持分の譲渡がされたものの、その譲渡について登記がされていない場合における当該不動産の共有物分割訴訟において、裁判所は、当該持分が譲受人である共有者に帰属するものとして、共有物分割を命ずることができる。

【解答・解説】
誤り。不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者民法177条の第三者に該当するため、右譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は、右持分の取得をもって他の共有者に対抗することができない。そして、共有物分割の訴え、共有者間の権利関係をその全員について画一的に創設する訴えであるから、持分譲渡があっても、これをもって他の共有者に対抗できないときには、共有者全員に対する関係において、右持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割をなすべきものであるとされている(判昭46.6.18)。したがって、裁判所は、共有者全員に対する関係において、当該持分がなお譲渡人に帰属するものとして共有物分割を命ずべきである。

(コメント)
「共有物分割訴訟」というキーワードに気を取られ、「その譲渡について登記がされていない場合に…」という部分の印象が薄くなり、つい正解に見えてしまう肢であると思います。本肢において、譲受人はいまだ持分の譲渡について登記を受けていませんので、裁判所は、当該持分が譲渡人に帰属するものとして、共有物分割を命じることになります。

分野:債権総論/債権の消滅(弁済) 正答率48.1%

平成30年度 第17問 肢エ(CS問題ID:H30174AA)

【問題】
弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは、引渡しをすべき時にその物が存在する場所において、しなければならない。

【解答・解説】
誤り。弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは、債権発生の時その物が存在した場所において、しなければならない(民484条1項)。引渡しをすべき時にその物が存在する場所ではない。

(コメント)
民法483条の、特定物はその「引渡しをすべき時」の現状でその物を引き渡さなければならない、という規定と混同しているものと思われます。民法483条【特定物の現状による引渡し】と民法484条【弁済の場所及び時間】セットで押さえましょう。
債権総論分野は不動産登記法との重複が少ないことから手薄になりがちで、触れる回数が民法の他の分野よりも少なく直前期に焦ってしまうことがあるので、1回1回の演習を大切にして、しっかりと知識を定着させましょう。

以上、7肢についてご紹介いたしました。
これらについて全て正解することができた方は、
日頃の学習の成果が如実に表れていると、自信を持っていただきたい

と思います。

ちなみに、現時点でのCROSS STUDY上の民法の正答率50%未満の過去問肢は、
過去問19年分のうち、たったの 13肢のみ でした。

これは勿論、CROSS STUDYをご利用いただいている皆さんの学習の成果が
大いに出ている結果
でありますが、個人的にはそれ以上に、
司法書士試験においては、基礎知識が定着しており、
他の受験生が間違えない問題(肢)を落とさないことが非常に重要である

ということが実証されたと考えております。

やっと暑さが和らいできましたが、なかなか涼しくはなりませんね。
ですが、半月前に比べたら、だいぶ過ごしやすい気候になりました。
筆記試験合格発表がもうすぐですので、なかなか勉強に身が入らないかもしれませんが、
目の前のノルマを着実にこなしていけるよう、日々の学習に励んでください。

商法(会社法)・商業登記法が苦手な方は、是非こちらも併せてご覧ください
(※前回更新分の記事です)。

執筆:R.N(司法書士有資格者)

クレアールの初学者向け司法書士講座を受講し、令和4年度司法書士試験に一発合格。
大学在学中は司法試験を目指していたが、挫折してしまい法科大学院に進学しなかった経験あり。法律難関資格への想いを断つことができず、司法書士試験を目指すことに。
現在は、クレアールの司法書士教務担当として受講生のサポートなどを行う。他に行政書士、宅建士、日商簿記2級、漢検準1級等を保有。

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