本記事では、公認会計士試験と大学の関係性に焦点を当てて、大学や学部による試験合格の有利不利があるのか真偽について解説します。あわせて、大学在学中に公認会計士を目指すメリットや、大学在学中に合格するためのポイントについてもご紹介します。
1.公認会計士になるのに有利な大学はある?
慶應義塾大学の公認会計士三田会が公表している「令和6年度公認会計士試験の大学別合格者数」は、以下の通りです。
大学名 | 合格者数 |
---|---|
慶應義塾大学 | 171名 |
早稲田大学 | 131名 |
明治大学 | 81名 |
中央大学 | 63名 |
東京大学 | 60名 |
上記のデータを見ると、合格者数が多い大学が存在すると考えられます。ただし、そもそもの大学での受験者数が多いと、それに比例して合格者数も多くなる可能性が考えられます。一概に合格者数が多い大学であれば必ず有利であるとは限りません。
とはいえ、周囲に受験者が多いとモチベーションを維持しやすいため、その点で合格を目指しやすい環境と言えるでしょう。
また、大学によっては資格勉強に前向きに取り組める制度や環境を整えている場合もあります。例えば明治大学や立命館大学には、合格者に報奨金を出す制度があり、他にも、自習室の完備や先輩公認会計士との交流を設けている大学も存在します。
しかし、実際にはダブルスクールで合格を目指す学生が多数を占めており、専門スクールでの学び方が合否に影響する場合が多いです。合格者数が少ない大学であっても合格を目指せますし、やる気があれば最終的に大学は関係ないと言えるでしょう。
2.公認会計士を目指すのに大学の学部は関係ある?
商学部・経済学部・経営学部などは学習範囲の1部が重なるため、大学卒業と公認会計士試験突破という、2つの目標を同じ分野で目指せる点では効率的と言えます。また、中央大学の商学部(会計学科)や、明治大学の経営学部(会計学科)などのように、大学によっては、選択学科で公認会計士試験の対策ができるところも存在します。
とはいえ、基本的に大学の授業だけで公認会計士試験に合格することは難しいです。
会計に関係のない学部はもちろんのこと、会計と関係のある学部であっても、専門スクールを利用することで公認会計士試験合格を効率的に目指せます。
クレアールでは、独自の「非常識合格法」で効率的に公認会計士試験合格を目指せます。単元ごとの専門家が抽出した合格必要論点を徹底的に学習することが可能です。
3.大学在学中に公認会計士試験に合格できる?
公認会計士は、弁護士・医師と並ぶ難関資格ですが、大学在学中に合格することも決して夢ではありません。
というのも、公認会計士試験合格者の構成比において、合格者の高い割合を大学在学中の人が占めているからです。事実、令和6年度の試験では、合格者の約4割(37.7%)が大学在学中となっています。
令和6年度公認会計士試験の学歴別合格者の合格者構成比と合格率
区分 | 願書提出者数 | 合格者数 | 合格者構成比 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
大学在学(短大含む) | 6,901人 | 605人 | 37.7% | 8.8% |
大学卒業(短大含む) | 9,657人 | 747人 | 46.6% | 7.7% |
高校卒業 | 2,255人 | 102人 | 6.4% | 4.5% |
大学院修了 | 1,071人 | 60人 | 3.7% | 5.6% |
会計専門職大学院修了 | 745人 | 28人 | 1.7% | 3.8% |
会計専門職大学院在学 | 207人 | 21人 | 1.3% | 10.1% |
大学院在学 | 176人 | 14人 | 0.9% | 8.0% |
その他 | 561人 | 26人 | 1.6% | 4.6% |
出典:公認会計士・監査審査会
また、上記のデータによれば、大学在学中から勉強を始めて、大学卒業後に合格をつかむ人も多い結果となっています。公認会計士を目指すのであれば、なるべく早い段階で勉強を始めた方がいいと言えるでしょう。
年齢別合格者の割合
区分 | 合格者数 | 合格者構成比 |
---|---|---|
20歳未満 | 18 | 1.1% |
20歳以上25歳未満 | 986 | 61.5% |
25歳以上30歳未満 | 418 | 26.1% |
30歳以上35歳未満 | 123 | 7.7% |
35歳以上40歳未満 | 42 | 2.6% |
40歳以上45歳未満 | 10 | 0.6% |
45歳以上50歳未満 | 2 | 0.1% |
50歳以上55歳未満 | 4 | 0.2% |
55歳以上60歳未満 | 0 | 0.0% |
60歳以上65歳未満 | 0 | 0.0% |
65歳以上 | 0 | 0.0% |
出典:公認会計士・監査審査会
さらに、公認会計士試験の年齢別合格者割合についても、20代が全体の85%以上で、この点からも、勉強の開始時期は早いに越したことはないと言えます。
▼公認会計士試験の合格率や難易度について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

4.大学在学中に公認会計士を目指すメリット
前述の通り、公認会計士試験は、大学在学中から勉強を始める人が圧倒的に多いですが、大学在学中に公認会計士を目指すことに具体的なメリットはあるのでしょうか?
そこで本章では、大学在学中に公認会計士を目指すメリットについて解説します。
具体的には、以下の3つです。
記憶力が高く座学に慣れている
一般的に、記憶力は年齢とともに減退していきますが、大学生などの若い時期は記憶力もピークの状態であるため、公認会計士試験を目指す時期としては最適と言えます。
また、大学生は直近で厳しい大学受験を突破しているため、座学やテストへの対応力も残っており、その点も有利に働くでしょう。
比較的時間が自由である
公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は、4,000時間前後と言われています。そのため、仮に2年での合格を目指すとなると、最低でも1日平均5時間の勉強時間が必要となり、仕事をしている社会人にとっては、これだけの勉強時間を確保するのはかなり大変でしょう。
一方で、大学生は講義や期末試験があるものの、比較的自由な時間が多く長期休暇もあるため、勉強時間を確保しやすく非常に有利と言えます。
資格を持って就職活動ができる
大学生は就活までに公認会計士試験に合格すると、資格保持者として就活が有利になる点もメリットとして挙げられます。監査法人への就職を希望しているのであれば、公認会計士の資格は必須ですが、一般企業に就職する場合であっても、難関資格を取得したという実績は高く評価されるでしょう。
また、監査法人から内定を得た場合には、大学を卒業するまで非常勤として働けることもメリットと言えます。
5.大学在学中に公認会計士試験に受かるポイント
大学在学中に公認会計士試験を目指す方が有利とはいえ、やみくもに勉強するだけでは、合格は困難でしょう。
そこで本章では、大学在学中に公認会計士試験に受かるポイントについて解説します。
具体的には、以下の3つです。
勉強の開始はできるだけ早く
勉強の開始時期は早いに越したことはありません。目指すと決めたらすぐに動き出しましょう。ベストは大学1年生から始めることです。というのも、公認会計士試験に合格するための勉強期間は平均で2年ほどかかるため、勉強の開始時期が遅くなると一般企業の就活と重なってしまうからです。
なお、2年という数字は、あくまで平均であるという点にも注意が必要です。実際には、3年以上かけて合格している人も多く存在するため、なるべく早く勉強を開始しましょう。
計画的に取り組む
公認会計士試験の試験範囲はかなり幅広いため、計画的な勉強が必要です。
具体的には、1.5年・2年計画といった、自分にあった合格プランを決め、全ての分野に必要な勉強時間を割けるよう、1日・1週間単位の学習スケジュールを立てましょう。
また、勉強がスケジュール通りにいかなかった場合の対応も決めておくことや適宜スケジュールを見直すことも必要です。
効率的に学べる専門スクールで学ぶ
合格のためには、スクール選びも非常に重要です。スクールを選ぶ際は、教材や講義の質も大切ですが、「学習スケジュールの相談や変更に対応してくれるか?」「自由に質問できるか?」といった、サポート体制にも着目しましょう。
最近はWeb通信講座を設けているスクールも多いですが、通学・通信はそれぞれ一長一短であるため、自分に合った方法を選択しましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
通学 | ・勉強仲間ができる ・自習室が使える | ・講義のたびに通学する必要がある ・欠席した時のリカバリーが大変 |
通信 | ・場所や時間を選ばず学習できる ・繰り返し受講できる | ・モチベーションの維持が難しい ・孤独になりやすい |

公認会計士試験は大学よりもスクール選びが重要
大学によって公認会計士試験の受験を推奨する制度や環境を用意している場合もありますが、本人のやる気があれば、大学は関係ありません。ただし、超難関資格である公認会計士試験に効率的に合格するためには専門スクールをおすすめします。
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監修:公認会計士 森 大地
大学在学中に公認会計士の勉強をはじめ、公認会計士論文式試験に一発合格。現在は、クレアールの公式YouTubeチャンネル「公認会計士対策ワンポイントアドバイス」にて、監査法人での仕事や試験対策の学習法などを紹介している。