【確認テスト付き】記憶の補助線で司法書士試験対策!―代理権の消滅・不消滅の総まとめ―

司法書士コラム

こんにちは。
クレアール司法書士講座受験対策室の関口です。

今回は、「記憶の補助線で司法書士試験対策!」第3弾「代理権の消滅・不消滅の総まとめ」を配信します。

確認テスト(全16問)をご用意しております。
記事を読んでから取り組んでいただいても、先に確認テストに挑戦してから記事をお読みいただいても、どちらでも構いません。ご自身に合った順序でご活用ください。

▼確認テストはこちらから!
https://forms.gle/44huKjGfbbymNKEr8

代理権の消滅・不消滅については、まず民法の原則を押さえたうえで、他の法律(不動産登記法、民事訴訟法、商法など)による例外的な規定を整理することが重要です。

知識を混同しやすい主要な論点をまとめています。本試験で問われた際に自信を持って解答できるよう、しっかりと押さえていきましょう!

1.民法の原則│代理権の消滅事由

民法第111条に代理権の消滅事由が規定されています。

第111条【代理権の消滅事由】
① 代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
② 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

まずは下記の図表をもとに整理していきましょう。

<代理権の消滅事由>(〇:該当する、×:該当しない)

任意代理法定代理
本人に生じた事由死亡
破産手続開始の決定(民653条)×
後見開始の審判××
代理人に生じた事由死亡
破産手続開始の決定
後見開始の審判

①死亡
本人が死亡した場合も、代理人が死亡した場合も、代理権は消滅します。これは法定代理と任意代理で共通です。したがって、相続人はその地位を承継しません。
任意代理の場合】
本人と代理人との間における特別な信任関係によって成立している以上、本人又は代理人の死亡後に、その地位が相続人に承継されるのはおかしな話です。
法定代理の場合】
本人が死亡すれば、そもそも代理する必要がなくなるため消滅します。また、法定代理は一定の資格・職務にともなって与えられるものですので、代理人の死亡によっても消滅します。

②破産手続開始の決定
基本的には上記①の死亡の場合と同様、代理権は消滅します。
破産手続開始の決定を受けると、財産管理・処分権が消滅します。本人が破産した場合も、代理人が破産した場合も、本人と代理人の信頼関係が崩れたと見るべきでしょう。また、代理人の破産に関して言えば、破産した者が、他者の財産を管理することは望ましくないと言えます。
ただし、法定代理の場合本人が破産手続開始の決定を受けても、代理権は消滅しません
たとえば未成年者である本人が破産した場合であっても、なお法定代理人を必要とする場面が想定されるからです。

③後見開始の審判
代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅します。法定代理と任意代理で共通です。本人が代理人に対して期待していた財産管理能力は失われたとみるべきであるからです。
一方、本人が後見開始の審判を受けたときは、代理権は消滅しません。法定代理と任意代理で共通です。

なお、表には掲載しませんでしたが、任意代理に特有の消滅事由があります。
代理権授与行為の基礎をなす内部関係設定契約(たとえば委任契約)が消滅した場合にも、任意代理人の代理権は消滅します。
したがって、内部関係設定契約が委任である場合には、その終了事由である委任の解除(民651条)や、本人が破産手続開始の決定を受けたこと(民653条)によっても、代理権は消滅することになります。

2.不動産登記法│代理権の不消滅

第17条【代理権の不消滅】
登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
一  本人の死亡
二  本人である法人の合併による消滅
三 本人である受託者の信託に関する任務の終了
四 法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更


登記申請の代理人の代理権は、民法の原則とは異なり、次に掲げる事由が生じても消滅しないものとされています(不登17条)。
①本人の死亡、②本人である法人の合併による消滅、③本人である受託者の信託の任務終了、④法定代理人の死亡又はその代理権の消滅もしくは変更
⇒④の法定代理人には法人の代表者も含まれると解されています(平5.7.30-5320号)。

④のケースは、実務上も比較的よく生じます。
例えば、住宅ローンを完済すると、融資を行った銀行から弁済証や抵当権設定時の登記識別情報(通知)、委任状などが交付され、「あとは司法書士に抵当権抹消登記を依頼してください」と案内されます。
しかし、これを放置すると、実体上はすでに消滅しているはずの抵当権が、10年以上経過しても登記記録上に残ったままとなります。銀行はローン返済までは厳格に管理していますが、完済後の抹消登記手続については利用者側に委ねられることが多く、その結果、手続がなされないままとなることがあるのです。
このような場合、10年以上前に銀行から交付された委任状が旧代表者名義であっても、新たに委任状の交付を受ける必要はありません。皆さんが司法書士になったときも、現在の代表者名義の委任状を改めて取得することなく、抵当権抹消登記を申請することができます。

3.民事訴訟法│訴訟代理権の不消滅

民事訴訟法では、訴訟代理権が消滅しない範囲を拡大しています(民訴58条)。
これは、訴訟手続を円滑かつ迅速に進行させるべき要請や、訴訟代理人の資格が原則として弁護士に限定されており当事者の利益を害する危険性が低いことなどを理由とするものです。

第58条【訴訟代理権の不消滅】
① 訴訟代理権は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
一 当事者の死亡又は訴訟能力の喪失
二 当事者である法人の合併による消滅
三 当事者である受託者の信託の任務終了
四 法定代理人の死亡、訴訟能力の喪失又は代理権の消滅若しくは変更
② 一定の資格を有する者で自己の名で他人のために訴訟の当事者となるものの訴訟代理人の代理権は、当事者の死亡その他の事由による資格の喪失によっては、消滅しない。
(資格当事者の資格の喪失)
③ 前項の規定は、選定当事者が死亡その他の事由により資格を喪失した場合について準用する。(選定当事者の資格の喪失)

下記の図表では、訴訟代理権の不消滅について、法定代理人の場合と比較してまとめています。

<法定代理人と訴訟代理人の比較>

法定代理人訴訟代理人
当事者本人の死亡代理権消滅事由にあたる
(民111条)
代理権消滅事由にならない
(民訴58条1項1号)
訴訟手続は中断する
(民訴124条1項1号)
訴訟手続は中断しない
(民訴124条2項)
代理人の死亡訴訟手続は中断する
(民訴124条1項)
訴訟手続は中断しない

※以下、訴訟代理人は弁護士認定司法書士をイメージしてください。
訴訟代理権の消滅については、原則的には民法の委任による代理人の規定(民111条2項)に従いますが、民法とは異なり、当事者本人が死亡しても訴訟代理権は消滅しません(民訴58条1項1号)。
訴訟代理人が選任されているときは、訴訟の実情に精通しており、そのまま手続を進行させても当事者の利益を害するおそれがないため、訴訟手続の中断事由となりません(民訴124条2項)。訴訟代理人は、そのまま訴訟を進行できるわけです。

なお、間違えやすいところなので訴訟代理人が死亡した場合にも触れておきます。
訴訟代理人が死亡した場合は、当然に訴訟代理権は消滅します。
しかし、訴訟代理人の死亡は、訴訟手続の中断事由とはされていません。訴訟代理人が死亡した場合は、当事者本人が直ちに自ら訴訟を追行するのに障害がないからです(民訴124条1項参照)。
例えば、訴訟手続の代理を依頼していた弁護士が亡くなったとしても、「本人が自分で手続を進めることもできるでしょう」という考え方です。

訴訟手続の中断についてこれ以上深入りすると記事が長くなってしまうため、ここでは割愛しますが、民事訴訟法第124条をご確認ください。
とくに、当事者の死亡や法人の合併など、通常であれば訴訟手続が中断する事由が生じた場合であっても、訴訟代理人がいるときは中断しない点を押さえておきましょう。

4.商法│商行為の委任による代理権の消滅事由の特例

第506条【商行為の委任による代理権の消滅事由の特例】
商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しない。

民法の原則では、代理権は本人の死亡によって消滅します(民111条1項1号)が、商行為の委任による代理権は本人の死亡によって消滅しません(商506条)。
支配人も特定の商人の代理人として補助する商業使用人ですから、本条の適用を受けます。
したがって、商人が死亡しても、支配人の代理権は消滅しません。仮に消滅するとなると、営業活動が中断し、商機を逸するといった不都合が生じるおそれがあります。そのため商人の死亡によっても支配人の代理権は存続します。

🔦ワンポイント
支配人の代理権消滅原因には、「辞任、解任、商人の破産手続開始の決定、会社の破産手続開始の決定、事業の廃止、営業所の廃止、支配人の死亡・後見開始の審判・破産手続開始の決定、会社の解散」があります。
一見すると多く感じられますが、民法の原則と、今回解説した「商人の死亡は支配人の代理権の消滅事由に当たらない」という点を押さえておけば、あとは特別に暗記しなくても思い出すことができるでしょう。

上記2~4のまとめ

ここまで代理権の消滅・不消滅についてまとめてきましたが、上記2~4の共通点は何でしょうか。
それは、「本人が死亡しても代理権は消滅しない」という点です。
この視点を意識してもう一度記事を読み返していただくと、理解がより一層深まると思います。

2.不動産登記法│代理権の不消滅
3.民事訴訟法│訴訟代理権の不消滅
4.商法│商行為の委任による代理権の消滅事由の特例
  →本人が死亡しても代理権は消滅しない

★確認テスト★

今回の学習事項をまとめて復習することができる確認テストを作成しました。全16問×5点の80点満点です。ぜひお試しください!

▼確認テストは、こちらから!
https://forms.gle/Bgi2BqthpKkQXcRF7


過去の記事はこちらから!

タイトルとURLをコピーしました