2021年にクレアールの行政書士講座を受講し一発合格され、現在は開業行政書士・社会保険労務士として活躍されております田中伴典先生に、実践されていた「暗記法」についてお伺いします。行政書士に限らず、どの資格でも必ず必要になる「暗記すること」に悩みを抱えている方は必見です!
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Wライセンスで独立開業しました!- その後の合格体験記 –
はじめに~「丸覚え」ではなく「正しく暗記する」~
まず「暗記法」は目的を達成するための「手段」なので、「暗記法」を実践する「目的」を明確にする必要があります。ずばりその目的とは行政書士や社労士試験などの「難関国家資格に合格すること」です。
ただし、難関国家資格に合格にするためには「大量の法律知識を整理して意味を理解した上でどれだけ覚えているか」が重要となります。
本題に入る前に少しだけ私のバックグラウンドのお話にお付き合いください。
私は、偏差値の高い大学や高校を卒業したわけでもなく、ましてや勉強を真剣に取り組んだ経験がありませんでした。なので、テスト前だけ過去問を解き続け「答えだけを覚える勉強方法」しか知りませんでした。国家資格(私の場合は社労士試験が初めてでした)への対策方法も同様に本屋さんで買った10年分の過去問が一冊になったものをひたすら解いて答えを覚えると言うことをやっていました。
人間、回数を重ねると自然と答えを覚えていくものなので正答率もどんどん上がっていき、「これならいけるかもしれない」と自信満々で挑んだ本試験でした。
しかし、本試験の問題を読んだ時に「過去問でみたことのあるような問題だけど分からない」という現象が起きました。五肢択一のうち2つか3つまで絞れるけれども正解を選ぶことができませんでした。
今ならば分かりますが、本試験において過去問ははそのまま焼き増しされるだけではなく「角度を変えて違う方向から問われる」からです。
結果、箸にも棒にも掛からぬ点数で落ち「暗記するだけじゃ通用しない試験なんだ」と身をもって体感しました。この時の悔しい経験から「法律の意味を理解すること」が私には足りなかったと気付き、どうすればいいのか考えた結果、既に合格した方から教わることが近道だと思いました。
それは、クレアールのような「予備校」を活用することです。
後日予備校を活用し、トライ&エラーを繰り返した結果、社労士試験・行政書士試験を突破することが出来ました。
今回は、私が身に着けた暗記方法をご紹介させて頂きます。
実践した「暗記法」
暗記の仕方は「人それぞれ」なのですが、人間の性質として「覚えたい事」への「接触回数」を増やすことが重要となります。
「読む」「書く」「聞く」これらの方法を使って「覚えたいこと」への「接触回数」を増やします。
私の場合、教科書を読むにせよ、問題を解くにせよ、講義を聞くにせよ、一度で理解することはしませんでした。(正確にはできませんでした。)だからこそ、2周目、3周目と漆を塗るように少しずつ実力が伸びる過程を楽しみました。
では、具体的にどのような方法で2週目、3週目と接触回数を増やしていたかというと、1科目が終わるまではその科目に注力して、2科目目に入った時から同時並行で先に学習した科目を少しずつですが復習していました。
なお、3科目目に入ったときには2科目目の復習を始められるようにやっていました。あとは同じです。
この行政書士試験は「足切り」があるので全科目が同じくらいできなければなりません。なので「皿回し」に例えられています。
つまり、放置した科目(お皿)は回らなくなってくるので、復習は都度こまめにやって記憶や知識をメンテナンスしていました。
なお、本格的に復習に時間を投下したのは、「科目ごとの講義」が終わったタイミングです。その後の模試・答練・記述式対策はこれまで学んできた科目なので、ひたすら「復習」をすることが「模試・答練・記述式対策の点数UP」に繋がると考えてました。
私見ですが、全科目終わったころにまとめて復習をするのはオススメしません。なぜならば、本試験まで時間があまりないのに最初の知識が抜けてしまっていることにショックを受けてしまう可能性があるからです。
しかし、回数を重ねても覚えられないことがあります。そこで「意味づけ」が重要になってきます。「意味づけ」とは「覚えたいことの理屈・理論を理解する」のがシンプルです。
私の場合、講義を理解できるまで聞き直し、配布されたテキストを読みこんで、分からない箇所をリストアップして講師に質問をしていました。当時私が、購入したクレアールの行政書士通信講座はメールで無制限の質問ができましたので大変助かりました。
しかし、講師に質問しても理解できないこともあります。この場合は感情を勉強に持ち込みます。
何が言いたいかと言いますと「苦しかった・楽しかった記憶は残りやすい」と言う事です。実体験ですが泣きながら・楽しみながら読んだ民法の条文は、理論・理屈は分からなかったけれども本番当日、頭に浮かびました。
さらに、これでも覚えられない場合は「語呂合わせ」を使ったりしました。例えば、一般先取特権の種類4つ※1を覚える場合は「きょう、こ、そう、にちよう(今日こそ日曜)」と言う様に覚えました。
※1:共益費用、雇用関係、葬式費用、日用品の4つ。
ですが、本番ではこれらのことを全てやっても対応できない問題が出題されます。
いわゆる、「合格を分ける1問」です。こればっかりは、「法律の本質※2」を頭に叩き込んで、そこから苦しくても正解に近いものを選びます。例えば民法なら「日常生活に適用される法律」「対立する2つの利益の調整がされる」これらのキーワードと問題をすり合わせ分からなくても正解に近しいものを選ぶ感じです。
※2:法律の性格や目的(概ね1条目に書いてあります。)
「暗記をする」時に気を付けていたこと
特に気を付けていたことは忘れてしまったり分からなくて間違えてしまっても「落ち込まないこと」を意識していました。これは、先ほどお伝えしたとおり「何回も漆を塗るように教材を回転させる度に、精度を上げていけばよい」と考えることで落ち込まなくなります。
なお、勉強時間が増えるほど実力は伸びていきますがどこかで「飽き」がくることがあります。
初めて勉強取り組んだ時は新鮮さがありますが慣れてきたら辛くなってきます。何が言いたいかと言いますと「勉強が暗記するだけの作業」になってしまう時が必ずやってきます。ここが一番の踏ん張り時です。
こんな時は、発想を逆転させてください。「確かに作業かもしれないが、作業になるレベルまで実力がついてきているぞ」と考えてください。
クレアールの講義、教材を「暗記」にどのように役立てたか
私は、以下のルーティンを組んで日々、暗記に取り組んでいました。
1) 講義を視聴する…30%(%は終わった後の初回の理解度。以下同じ。)
2) テキストを読む…50%
3) 問題集を解く…70%
4) 自分で調べて分からなければ質問をする…80%
5) 1)~4)を回転させて理解度が深まってきた頃に模試・答練を受ける…80%
6) 自分で調べても分からなければ質問をする…90%
具体的には、私は予習をしなかったので理解度0でクレアールの杉田先生の講義をまず視聴しました。講義を視聴し終わった後では、その講義内容について大体30%しか理解できておりませんでした。
しかし、この理解度が低い状態でテキストを読み、違う角度からの解説を読み解くと30%の理解度が50%に上がるんです。
さらに問題集を解くと、講義でもテキストでも問われてなかった箇所で躓きますが、これが新しい発見・学びとなり、どんどん理解度が深まってきます。
ここまできたら、講義・テキスト・問題集で理解しきれなかったところを自分で調べてみて、それでも分からなければ質問をするということをしていました。
このルーティンのポイントは各段階で理解度(暗記度)にある程度の基準を設けていたところにあります。講座を視聴したり、テキストを読んだり、問題を解くことで同じ題材を取り扱っていても都度、新しい発見が生まれ理解度を深めていくイメージです。
また、私見ですが「1つの教材を100%理解する必要はない」と思います。勿論、出来るならしていた頂いても問題ありませんが、それは合格後でもいいかと思います。
なぜならば、本試験では「教科ごとに足切り」がありますので全教科の理解度を80%~90%に常に保つ工夫が「試験に合格すること」を戦略的に考えると必要だと考えます。
当社のWeb学習ツール「CROSS STUDY」では、「認知心理学」を取り入れた学習法を実践できます。今回の田中さんの「暗記法」には認知心理学に基づく暗記法が多々取り入れられていましたので、解説させていただきます。
「読む」「書く」「聞く」これらの方法を使って「覚えたいこと」への「接触回数」を増やします。
実践した「暗記法」より
⇒これは「二重符号化」にあたります。「CROSS STUDY」特設サイトでは「言葉と図」を例にしていますが、本質は、単一の学習スタイル(文字を読むだけ、音声を聞くだけ)ではなく、複数の学習スタイルを織り交ぜることによって深く記憶定着できるという意味です。
1科目が終わるまではその科目に注力して、2科目目に入った時から同時並行で先に学習した科目を少しずつですが復習していました。
実践した「暗記法」より
⇒これは「分散学習」に当たり、1週間後に再学習する、など比較的短いスパンで繰り返すことで忘れない知識を習得する方法です。
こんな時は、発想を逆転させてください。「確かに作業かもしれないが、作業になるレベルまで実力がついてきているぞ」と考えてください。
「暗記をする」時に気を付けていたことより
⇒モチベーション維持に「メタ認知」を活用していた好例ですね。自分の状況を客観的に捉えなおすことで、認知を改めて、やる気を復活させています。
Web学習ツール「CROSS STUDY」では、このような「認知心理学」に基づいた学習法を実装しています。CROSS STUDYを活用した振り返りによって、効率的かつ効果的に覚えたいことを記憶することができますので、是非ご活用ください!
※CROSS STUDYは講座お申込みの方が利用できるツールです。単体でのご提供はしておりません。対応講座については「CROSS STUDY」特設サイトをご覧ください。