希望の資格を取得してクレアールを卒業した方のその後を取材する「卒業生インタビュー」。
今回は、難関「司法書士試験」に5か月という超短期間の集中勉強で初受験ながら合格をつかんだ、千速友紀さんにインタビューを行いました。効率よく短期合格を目指している方には必見の勉強法や、司法書士試験に合格された後にどのような変化が起きたのかなどを伺いました。
(取材・文=泉麻里子)
資格取得のきっかけ
私は理系の大学を卒業後に銀行に入行し、3年ほど個人のお客様向けの営業を担当しました。その後転職し、大手の法律事務所の秘書として、弁護士の日程調整やファイリングなどを行っていました。こちらも3年ほど勤務しましたが、営業職に戻りたいという思いから食品メーカーに転職。BtoBの営業をしていましたが、1年経ったタイミングで妊娠し産休に入りました。
当時、コロナが猛威を振るい始めた頃でした。生まれてくる子どものことを考えると、出張が多い営業の仕事は感染リスクが高いと感じ、転職を決意しました。今後の自分のキャリアについてじっくりと考えてみると、「自分にはアピールできるキャリアや強みがない」と感じ、「何か強みになる資格を取ろう」と思ったのがきっかけです。
司法書士の仕事を知らずに決意
資格を取ろうと決めたとき、資格を持っていることが仕事につながるものでなければ意味がないなと思いました。そこでインターネットで難易度が高いといわれている資格を調べました。そこで出てきたのが「弁護士」「司法書士」「税理士」「会計士」「弁理士」とあり、「司法書士試験」に決めました。
実は受験を決めたときは、司法書士がどのような職業なのか、何をする仕事なのかがピンと来ていなかったんです。単純に、数字を扱わなくてよい資格ということで司法書士を選びました(笑) 今は、私の性格として、前面に出て解決していく弁護士より、法律関連の業務を下から支えてコツコツと仕事をこなしていく司法書士が合っていると思っています。
初めての育児と勉強の両立
2020年3月に出産、4月に目標の資格を決めて、クレアールさんの講座を申し込んだのが5月。初めての育児と初めての司法書士試験の勉強で、とにかく、時間のやりくりが一番大変でした。娘は離乳食が始まる前は2〜3時間寝たら起きるという繰り返しで昼夜も逆転していましたが、娘が1歳になるまでには資格を取りたいと思っていたので、私も娘のサイクルに合わせて勉強しました。
当初の予定では、翌2021年の7月に受験することを目指していました(※注釈:司法書士試験は例年7月上旬が試験日)。ところがコロナの影響で、この年の試験月が9月に延期になりました。そのときに「今年合格しよう!」と決意したんです。
9月の試験で合格すると決めてからの2ヵ月間は、起きている間はすべて勉強をしているという状態にしました。携帯電話も封印して、外出もしませんでした。子どもを抱いているときは手を使えないので、講義の動画を見ていました。寝る瞬間まで講義を流しておいて、起きたらすぐ机に向かって勉強を始めていました。この2ヵ月間は、勉強以外は本当に何もしませんでした。最後の1ヵ月は食事も家事もほとんど主人が行ってくれていました。
周りに宣言!「頑張って」の言葉でモチベーションアップ
私は、誰かに話すとモチベーションが上がるほうなので、身内や仲のよい友人には資格を取るために勉強中だと伝えていました。「すごいね、頑張ってね」と言われる度に、「絶対合格しないと!」と自分でモチベーションを上げていました。また勉強に没頭すればするほど、こんなに勉強してきたんだから最後まで頑張らないともったいないと思えてきました。さらにもう1年この努力を続けるのは無理だという気持ちもありました(笑)
でもやはり、こんなに頑張れたのは、娘の存在が大きかったです。娘が大きくなって遊んでほしい時、私が勉強ばかりしていたら寂しい思いをさせてしまう、今このタイミングで合格しなかったら絶対に後悔すると思っていたので、勉強が辛いときは娘の寝顔を見て気持ちを奮い立たせていました。
テキストを読み込み、○○を使って苦手を克服
私はとにかくテキストを使って勉強しました。勉強開始当初は過去問も繰り返し解いていたのですが、同じ過去問の3周目で、同じ問題を3回とも間違えてしまったんです。しかもこの問題は、楽しくてすらすらと頭に入ってくると思っていた民法だったので、実際は知識が全く定着していなかったことに愕然としました。これでは絶対に合格しないと思い、基本をしっかり押さえるため、一旦、過去問を解くのをやめました。
テキスト中心に切り替えてからは、文章を読んだら次に出てくる答えを思い浮かべることを繰り返して、ひたすらテキストを読み込みました。何回読んでも覚えられないところはたくさん書き込みをしたので、テキストが真っ黒になりました。同じように講義動画も聴き込んで、先生の声を聴けば何の講義か思い出せるようになりました。
そして、試験の直前期には付箋を活用しました。なかなか覚えられないことを付箋に書いて壁に貼っていったのですが、とても効果がありました。同じ付箋を1日に5回は見るように貼る場所を工夫しました。トイレや洗面所、キッチンなど、普段から自然と見ることが多い場所がおすすめです。
書き方にもコツがあって、1枚1枚きれいに書くというよりは、大きめの付箋に「簡単なイラストと説明」を書いて、絵で内容を覚えるという感じです。文字よりも絵のほうが早く覚えられましたし、簡単なイラストでも自分で書いたものだと頭に残るので、私は付箋にとても助けられたと思います。
毎日10枚ずつ新しく付箋を追加していき、1週間で70枚の付箋ができます。週に一度付箋の内容を見直しして、確実に覚えたものだけを捨てていきます。少しでも不安があるものは残しました。この付箋は、試験当日にも持って行って、試験開始までひたすら見ていました。
合格!そして実務へ
今は企業の法務部で普通の社員として働いています。司法書士として仕事はしていませんが、登記手続きや法律関係の相談を受けることが多くなりました。その中で、司法書士試験は、試験勉強と実務が直結しているなと実感することが多いです。会社の登記の仕事に携わったときも、「あ、これはテキストに書いてあったな」ということが結構ありました。まさに働くための資格であり勉強だと思います。
資格を取得してから変わったこと
周りからの見られ方が変わりました。まだ司法書士の登録をしていないのに会社で「先生」と言われることもあって、資格を持つことで人からの見られ方がこんなに変わることに驚きました。自分自身も、法律家として恥ずかしくないような仕事をしようという意識がより一層高まりました。
また、街を歩いていて司法書士事務所がよく目につくようになりました。今までは気づかなかったんですが、自宅近くに法務局の出張所があったので、周りに司法書士事務所がとても多かったんです。「ここにもある!」という感じで驚きましたし、いろいろな司法書士事務所を見て、自分も将来独立したいと想像するようにもなりました。司法書士として独立された方々を見ていると、「独立」はそれほど遠い夢ではないという気がしています。
今後、ライフスタイルが変わったときに、企業で働くこともできるし、独立もできます。司法書士の資格は、自分の生活に合わせた働き方の選択肢を増やしてくれました。これが、仕事に直結する資格の最大の魅力だと感じています。
千速さんには合格者インタビューで講師と対談いただいております。あわせてご覧ください。