22年10月上旬。都内某所のクレアール社内にて。
受験生に役立つ情報探しを行っている取材班は、いよいよ行政書士の本試験日が近づいてきたこともあり、行政書士講座をご担当の杉田徹講師に突撃取材を行いました。数時間におよぶ講義収録の直後にもかかわらず、快く応じてくださった杉田先生。行政書士講座に限らず、すべての受験生に通じる内容を語ってくださいました。
(取材・文=泉麻里子)
合格をつかむ心構え
クレアール:今はまさに行政書士試験の直前期ですね。(※行政書士試験日は2022年11月13日)
杉田先生:受験生たちもいまが一番の追い込みですね。
もしかしたら「今年はもう勉強が間に合わない、記念受験だけして、来年頑張ろう」と思っている人もいるかもしれませんね。
しかし、そのような考えは捨ててください。来年も勉強しようと思って受けると、合格は、2年は延びる危険があります。
クレアール:2年延びるとは、どういう事でしょうか?
杉田先生:社会人になると、会社で一定の地位を得たり、家庭で親としての地位があったりして、一生懸命やって泣きたくなるような惨敗をするのは避けたいという気持ちを持つかもしれません。しかし、本気で試験に挑む経験をしないまま次の年に挑んでしまうと、試験勉強が惰性になり、いつまでも実力がつかない恐れがあります。
一方、今年試験に受からなかったら二度と受験できないというような背水の陣の覚悟で受験すると、落ちた時、大きなショックを受けます。この、落ちた時の絶望的な激しい悔しさ。それが起爆になって、次の年の合格につながるのです。
この悔しさがない人は、合格まで長引く傾向があります。だからここまでの勉強の状況はどうあれ、絶対受かるつもりで、受かると思い込んで受験してください。
受かると思い込んでギリギリまで集中して勉強すると、運が味方して奇跡が起こることもあります。本試験の時に、たまたま勉強したところがポンポンと出ることもあります。特に行政書士は〇×試験がほとんどですし、合格のボーダーはたった6割(300点中180点)しかありません。宝くじに当たるより確率は高いと思います(笑)
合格する人の特徴
クレアール:杉田先生は多くの受験生に接していらっしゃいますが、合格する方に共通する特徴はありますか?
杉田先生:合格者のみなさんから、強いパワーが発せられているのを感じますね。勉強は頭を使うのですごく疲れます。きちっと6時間、7時間と集中して勉強を続けると、しばらく反動で体を動かせなくなることもありますよ。
今年も合格者の中から十数名にインタビューしましたけど、どの方も、強いパワーがありました。合格者には、サラリーマンとして働いている方や主婦の方がいらっしゃいます。みなさん、日常の仕事をしてご家族のこともやって、それに加えて受験勉強をできています。合格に必要な勉強をやりきる力があったわけですから、年齢関係なく、パワーを発しているのは当然ですね。
クレアール:そういう方たちに近づくために、何を気を付けたら良いのでしょう?
杉田先生:合格者共通の特徴とまでは言えませんが、今までの指導経験上、言えることがあります。それは「真面目に勉強するのは当たり前。だけど、少しいい加減が良い」ですね。
クレアール:いい加減、ですか。
杉田先生:ほんの少しね。いい加減過ぎるのは問題があります(笑)真面目すぎる人は、肩に力が入りすぎて試験勉強の途中で疲れて続かなくなってしまったり、本試験のときに緊張しすぎて実力を発揮できないケースがあるんです。
クレアール:完璧主義ではない、ということでしょうか。
杉田先生:そうです。例えば過去問を解く場合、要領のいい人は、面倒くさい問題だなとかちょっと難しいなと思ったら、逃げることができるんです。ややこしい問題は飛ばして後回し、時間が余ったら戻ってもう一回解き直すと。
でも真面目な人はそこで立ち止まってしまいます。どうでもいい細部にこだわって、時間配分をミスして、肝心なところを理解する時間が足りなくなります。
例えば、勉強として過去問は必ずやらないといけませんが、全部を理解する必要はないんですよ。
クレアール:全部を理解する必要はない?
過去問は全部を理解しなくても良い
杉田先生:問題を作る立場から考えてみましょう。例えば、5肢の問題を作るとします。まずは問題に対して正解を一つ作りますね。これは確実な正解です。決して、解釈によってマルにもなりバツにもなる内容にはしませんね。だから正解は、確実な判例、確実な情報をもとに作ります。
そして、それ以外の選択肢はというと、確実な内容でなくてもよいのです。真偽不明の選択肢が入る場合もあります。こういう問題の復習の時には、不正解の選択肢を丁寧に勉強する必要はない訳ですよ。
他にも、判決文などを読ませて、判決文と矛盾する内容の選択肢を探させる文章理解のような問題がでることもあります。このような文書理解タイプの問題は、知識ではなくその場での読解力が試されているため、個々の選択肢の意味を吟味してもあまり合格には直結しません。
対して、条文をそのまま聞いているようなものは、全ての選択肢の知識を確実に理解して暗記する必要がありますが、それ以外は違います。だから過去問の内容を全部理解しようとしなくて大丈夫なのです。
クレアール:大丈夫か大丈夫じゃないかの見極めはどうすれば良いのでしょう?
杉田先生:これは素人では判断できません。だから過去問を繰り返すだけじゃなく、過去問を解説しているような講義を受講することをおすすめします。ちなみに、基本講義とセットで、私も基本講義レベルではありますが、過去問についての解説講義を担当していますので、受講者の方は参考になさってください。
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杉田先生のお話はまだまだ続きます!後半もお楽しみに!!