2024年6月の給料の手取りが増える!?定額減税のしくみをわかりやすく解説

講師が気になるニュース

監修:神野 沙樹 講師(社会保険労務士講座)

ニースル社労士事務所/株式会社Niesul(ニースル)代表。
社会保険労務士として会社の組織活性に携わる傍ら、年間50回を超える講師業をこなす。一方的に押し付ける講義ではなく、双方向のやり取りの中で気付きを生む研修・セミナーに定評がある。著書に『「社会人になるのが怖い」と思ったら読む 会社の超基本』(飛鳥新社)。労働基準法をはじめとする労働法の「基本のキ」が分かりやすく伝えられている。

みなさんは普段、給料明細をご覧になりますか?
「手取り額(振込額)は確認するけれど、明細をじっくり見ない」という方も多いのではないでしょうか。しかし、2024年6月に支給される給料明細やボーナスの明細は、じっくり眺めてみませんか。
なぜならば、前の月と同じ時間数働いたとしても、給料額が多く振り込まれている可能性があるからです。

今回は、2024年に実施される定額減税に関するニュースから、私たちへの影響について見ていきましょう。

定額減税、6月に1人4万円 2024年度税制改正法が成立

【3月28日 時事ドットコムニュースより】
1人当たり4万円の定額減税などを盛り込んだ2024年度税制改正関連法が(3月)28日の参院本会議で可決、成立した。6月以降に所得税3万円、個人住民税1万円をそれぞれ減税し、物価高による家計の負担を和らげる。(以下省略)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024032800947&g=pol

報道された内容によると、ポイントは次の3点です。

●2024年6月以降に、一人あたり所得税3万円、個人住民税1万円を減税する
●納税者だけでなく、配偶者を含めた扶養家族の分も減税される
●年収2,000万円超の富裕層は対象外となる

定額減税とはなに?

定額減税とは、その名のとおり「国民が納めるべき税金を、定額で減らします」という、2024年度税制改正の一つとして行われる施策のことです。

ニュースにある通り、一人あたり所得税3万円、個人住民税1万円の計4万円を減税し、さらに対象となる扶養家族がいれば、その人数分の減税が行われます。年間の所得1,805万円(給与収入だけの方は2,000万円)を超える場合は対象外となりますが、それ以外であれば所得額に関わらず、計4万円減税されるので、「定額」減税とよばれています。

対象となる配偶者・扶養家族とは?

定額減税の対象となるのは、所得税や住民税を納める納税者本人はもちろんのこと、条件に当てはまる配偶者や扶養親族の方です。

該当するか、チェックしてみましょう。

①納税する本人と家計を一緒にしている(生計同一)
②日本国内に住所がある、または引き続き1年以上日本に住んでいる
③年間の所得見積額が48万円以下である

上記3点すべてに当てはまる場合は、該当する可能性があります。
例えば、これら対象となる方を3人扶養している場合は、本人と併せて4人分と計算されるため、所得税は12万円(3万円×4人)、住民税は4万円(1万円×4人)が減税されることになります。

なお、扶養親族について、通常の所得税計算をする際に「扶養親族」に含めるのは16歳以上が対象ですが、今回の定額減税に関しては、15歳以下の方も対象とされています。

どうやって減税される?

それでは、これらの減税額のメリットをどう受けるかについてですが、会社にお勤めの場合で一番多いケースは、「2024年6月1日以降に初めに支払われる給料もしくはボーナスで調整」です。

もう少し詳しく説明しましょう。
通常、私たちが受け取る給料額は「働いたそのままの金額(総支給額)」を受け取るのではなく、あらかじめ社会保険料や税金(所得税や住民税)が引かれています。
この「あらかじめ」引くことを源泉徴収と呼びますが、定額減税では、この源泉徴収額で調整がなされます。

(例)Aさん(配偶者や扶養親族はいないとした場合)

次のとおりボーナス・給料の支給があります。
・ボーナス支給日:6月10日(本来であれば2万円の所得税が差し引かれる)
・給料支給日:6月25日(本来であれば1万円の所得税が差し引かれる)

この場合、本来であればボーナスと給料から計3万円の所得税が差し引かれるところ、2024年に限っては、ボーナス・給料の所得税額は「0円」つまり、所得税を差し引かずに支払われるため、その分の手取り額が増えるというわけです。

なお、上記は所得税を例に挙げて説明しましたが、住民税は役所があらかじめ年間の税金額から減税分を調整したうえで今年の住民税額を決定します。

もちろん、現実にはさまざまなパターンがあります。
場合によっては、年末調整で精算することもあれば、確定申告する方もいらっしゃいます。また、税金額は1円単位で計算されるため端数も出てきます。

まずは、ご自身の給料明細を確認してみましょう。
せっかく減税されるわけですから有意義に使っていきたいですね!

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