森先生流「不思議の勝ち」を引き寄せるために押さえる3つのポイント

公認会計士コラム

監修:森 大地(公認会計士)

大学在学中に公認会計士の勉強をはじめ、公認会計士論文式試験に一発合格。現在は、クレアールの公式YouTubeチャンネル「公認会計士対策ワンポイントアドバイス」にて、監査法人での仕事や試験対策の学習法などを紹介している。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

資格試験では、運によって結果が左右されることがあります。
「自分が受けた本試験だけ過去に比べて難易度が高く、不合格となってしまった」、あるいは「直前期に暗記した内容がそのまま本試験に出題されて、合格できた」。運と言ってしまえばそれまでですが、私の公認会計士試験での経験からする運が良くて合格になったケースはあっても、運が悪くて不合格になったケースはないと思うのです。

これは、プロ野球の楽天の監督時代に野村克也氏が残した「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉の影響も受けています。厳密には古い書物の引用のようですが、競争の厳しいプロ野球において、ラッキーで勝つことがあってもよいが、負けには必ず原因があるという格言です。

今回は、「不思議の負けなし」に着目し、不運と思っていた不合格の原因追求をするとともに、「不思議の勝ち」を引き寄せる方法を考えます。

本試験が難化したとしても変わらないポイント

受講生に直近の本試験の感触や結果を聞いたときに、「今回の試験は〇〇(試験科目)が難化したため苦労した」と言う人が多いです。しかし、厳しい言い方になるかもしれませんが、その試験の合格率が大きく減少していない限り、本試験の難化は不合格の理由にはなりません。
多くの国家資格の場合、実質的な相対評価となっており、本試験ごとに合格点が変動します。難しい試験であれば、合格点も下がるのが一般的です。つまり、本試験の難易度に関わらず、受験生の中で「合格者レベル」の実力をつけられているかというのが、合否の要因になるのです。

難化した本試験で差がつくのは、やはり「基礎論点」です。もちろん、例年に比べてAランク問題は少ないかもしれませんが、応用問題であるBランク問題のうち、Aランク寄りの比較的取りやすい問題を取りこぼさないことが大きな差につながります。
本試験の大原則であるAランク重視を再認識し、不合格要因である基礎論点の習得漏れを追求しましょう。

合格まであと一歩の状況をさらに分析しよう

直近の本試験で合格まであと一歩だったという受験生には、2つのパターンがあります。
1つ目は、本試験までに勉強計画を完了できなかったためにあと一歩の結果だったケースです。2つ目は、前回は自分の力を出し切った結果、あと一歩だったというケースです。

前者は、勉強計画が結果に結びついているので、今回はまず計画どおりに学習を勧めていくことを目指しましょう。計画が完了できれば結果が上向く可能性が高いです。

問題視すべきは後者です。勉強計画を完了したにもかかわらず合格レベルに達していないということは、どこかの科目でAランクの知識が漏れている可能性が高いです。基礎論点に抜けがある弱点科目を特定し、徹底した復習が必要です。(弱点科目の特定には答案練習を活用しましょう!)

不思議の勝ちは、前向きな言動から

長期に渡る資格学習は、メンタルとの戦いでもあります。誰しもはじめは失敗の連続であり、本試験に合格するまで多くの失敗と向き合わなければなりません。勉強の悩みを共有できる勉強仲間がいればよいのですが、通信講座ではなかなかそうも行かず、受験生時代の私も同様でした。

そのため、自分を自分で励ますために、「合格ノート」を作成しました。合格ノートのルールは2つ、「前向き」と「感謝」です。
基本的には、資格試験合格後の目標や資格学習で達成したことを書き、資格学習の中で成果や結果が出たときなど良いことがあった時は、資格挑戦を応援してくれている様々な人への感謝をその度に合格ノートに書きました。勉強に悩んだときも、愚痴を書くのではなく、悩みを解決策に置き換えて前向きな文章を書き続けました。

合格ノートを書いたり読み返したりしているとき、少しずつですが自分の中で運を味方につけることができていたのではないかと思います。特に、合格ノートを通じて周囲への感謝の気持ちを意識すると、たった一人で合格を目指すよりも遥かに大きな力を感じられる気がするからです。
結果として、公認会計士試験の論文式試験では、直前に勉強のスランプがあったにも関わらず、本試験当日の朝に復習した箇所がそのまま試験に出るという幸運に恵まれ、一発合格することができました。

もちろん因果関係は不明ですが、私は合格ノートの存在があったからだと信じています。日常のちょっとした習慣から、不思議の勝ちを引き寄せましょう。

森先生はこちらの記事でも合格ノートについて触れております。ぜひ併せてチェックしてください!https://www.crear-ac.co.jp/palette/cpa-column/137/

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