限られた時間内で実力を上げる!試験直前期にやるべきこととは?

公認会計士コラム

監修:森 大地(公認会計士)

大学在学中に公認会計士の勉強をはじめ、公認会計士論文式試験に一発合格。現在は、クレアールの公式YouTubeチャンネル「公認会計士対策ワンポイントアドバイス」にて、監査法人での仕事や試験対策の学習法などを紹介している。

直前期なのに、思いどおりに問題が解けない…!そんな時どうする?

学習期間の長い難関資格では、学習期間を「基礎期」「応用期」「直前期」に分けて考えることが多いです。
「基礎期」は、文字通り基礎を固める期間で、一般的には学習カリキュラムの一周目、講義や問題集などを一通り終える時期を指します。
「応用期」は、学習カリキュラムの一周後、論点別に答練を解いたり、苦手論点を問題集などで対策する時期を指します。
「直前期」は、試験直前1~2か月前に総合答練や模試、総復習などを行う時期を指します。

直前期では、これまでの基礎期、応用期と違って、答練の難易度が高かったり、これまで限定されていた出題範囲が本試験と同様になったりすることで、得点を取るのが格段に難しくなります。
学習カリキュラムとしても、試験直前の「ラストスパート」がかかってくるので、一気に答練の難易度が上がるこの時期についていけない受講生は、少なくありません。

今回は、限られた時間しかない直前期のラストスパートをどう乗り切ればよいかを考えてみます。

ラストスパートを乗り切るために

本試験を目の前に控えた直前期にできることは多くありません。
時間がないからこそ、冷静に自分の実力を見定めることが大切です。

自分はどの程度の実力をつけられているのかを判断するために、基礎期、応用期、直前期の学習で行うべきことを考えてみましょう。

「基礎期」は、アウトプット中心で新たな論点を習得していく

学習カリキュラムの一周目は、講義と問題集を中心に学習します。
当たり前のことですが、1度講義をきいただけ・1回問題を解いただけでは、本試験で通用するレベルにはなりません。
毎単元、新しい論点に触れることになり、早く習得しようとテキストを読み込んだり、講義を繰り返し聴いたりしがちですが、インプットばかりに時間を割いてはいけません。

この時期で非常に重要になのはアウトプットです。
論点の理解は、講義→テキスト→問題集→答練→テキストのように、段階を踏むにつれて少しずつ深まるものです。
一度インプットが済んだら、アウトプットを繰り返していく。論点の完璧な理解よりも、まずは問題をたくさん解いて、その論点の問題に慣れていくことを優先するのです。
理解はほどほどに、アウトプットをできる限り繰り返してカリキュラムを進めていくのが基礎期の目標です。

「応用期」は、苦手科目を猛特訓する

学習カリキュラムを一周すると基礎期は終了しますが、その時の実力は一般的には、本試験に通用するレベルとは程遠いものです。
例えば合格点が70点の場合、順調に基礎期が終了したとして40~50点程度でしょうか。

ここで、合格点との差を埋めていくのが応用期にやるべきことです。
しかし、基礎期で得られた50点と応用期で身に着ける20点の内容を比較した場合、試験の性質上、応用期の20点の方が各段に難しいです。
応用期で残りの20点を稼ぐ学習におけるポイントは、「苦手なところから攻める」です。

一口に「苦手」といっても、単純に解き方を習得できていない、重要な基礎知識を暗記していないなど、意外と対策が取りやすいことは少なくありません。
多くの受験生を見てきた私が感じているのは、合格点が70点の本試験で僅差で合格を逃してしまう受験生の多くは、苦手科目の対策が不足していたり、論点別対策で得意科目を作れていないことが要因だと思います。

各科目で本試験実績を並べて(本試験未受験者は模試や答練の結果でも)、弱点科目から、まとまった時間をかけて強化していきましょう。
実はこの期間が学習期間の大半であり、合否を決定付ける最重要期間なのです。

「直前期」は、本試験答案力を鍛えていく

試験前1~2か月は、学習カリキュラムでは本番を想定した「総合答練」や模試を実施します。
この時期に問題の難易度や試験範囲が格段と上がることから、得点を稼ぐのが非常に難しくなってきます。

ただし、学習の目標はあくまで本試験合格であって、答練や模試は合格までの過程や手段です。
私は「答練・模試の目的」は「本試験答案力の確認」だと考えています。

本試験答案力の確認で見るべき点は2点です。

  1. Aランク(基礎論点)の知識は十分か
  2. 問題を時間内に回答できるか

模試を受験する際に②をイメージする人は多いと思いますが、①のAランク知識の確認、という視点こそが非常に大切です。私自身、公認会計士試験の答練では、得点はほとんど気にせず、とにかくAランクやBランクの問題の取りこぼしがないかを注意し、取りこぼしていた場合は、その後数日、間違えた問題を繰り返し復習していました。

直前期の答練は、どの予備校も本試験以上の難易度で出題してくることが多く、必ずしも答練の結果=本試験試験の結果ではありません。
ですので、「答練の点数が伸びない」と悩むのではなく、本試験答案力の確認のために「Aランク問題をどれだけ落としたか」という視点を常に持ちましょう。

学習の総仕上げ、ラストスパートへ!

仮に、直前期にAランク問題を大量に間違えてしまったら「応用期」の学習に戻るしかありません。
限られた時間を弱点対策に時間を費やすことになるのですが、その方が結果的には本試験での得点力に繋がっていきます。
急がば回れ、着実に本試験答案力をつけていくことがやるべきことです。

また、学習の総仕上げとして、試験の2週間~1か月前に「テキストの読み込み」をする時間を日々の学習に取り入れるのもおすすめです。
基礎期、応用期でアウトプット中心に細切れの知識を積み上げていき、直前期のインプットでそれらをつなぎ合わせて体系的な理解を目指します。各論点の問題をたくさん解いた後に基礎期の「第1章」から順番に読んでいくと、最初に読んだ時とは異なり、テキストの内容が頭に入ってきやすく、理解につながりやすいです。

読み込みのコツとしては、1週間で全科目の基礎期のテキストを1周するイメージです。
まずは下線を引いたところや太字を中心に、ざっと流し読みをすることです。繰り返すことで1周のスピードも速くなり、本試験までの1か月で4~6周くらいできれば上出来でしょう。

「本試験答案力」をキーワードに、ラストスパートを乗り切って合格をつかみましょう!

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