目的を大切にしよう

公認会計士コラム

公認会計士試験合格者 森大地

やってみて初めてわかること

昨年から、所属する監査法人で短答合格者職員(受験生職員)の合格支援を行っています。
その活動の一つのメルマガ配信(毎月)は、たった一人で始め、最後まで一人で配信を続けました。こちらのコラムや公認会計士講座の合格者ブログの経験を踏まえ、受験生を後押しするメッセージを伝えようと、魂を込めて執筆に取り組みました。
ところが、結果は大失敗でした。
アンケートによると、2割が「廃止してほしい」、5割が「改善するなら継続してほしい」と、約7割が現状の配信内容に否定的だったのです。「上から目線の主張」「自己満足」「読んで不愉快になる」など、非常に厳しい声が上がりました。

何のために、やるか

合格支援メンバーや受験生職員と対面で話してみると、「メッセージ内容は共感できるけど、伝え方が強すぎて受け止めきれない」との声が浮き彫りになってきました。問題は、「伝え方」にあったということです。
合格を支援したいという情熱、受験指導経験を通じて得た合格論などは、決して間違っていませんでした。でも、正しいことや求められている内容でも、肝心の相手に伝わらなければその価値はゼロか、下手するとマイナスになってしまいます。
この事実と直面した時、自分は「何のために、合格支援活動をしているのだろう」と、自分に問うてみました。その答えは一つでした。「自分の能力を活かし、人の役に立ちたい」。目的がわかれば、手段にこだわる必要はありません。会計士試験新年度開始の12月号では、「伝え方」を変える工夫、さらには情報の多様化を図るために複数の執筆者を用意するなど、抜本的にメルマガ配信の内容を変化させました。結果として、昨年度の受験生職員だった合格支援メンバーからは、その変化に対し称賛の声があがりました。

迷ったら、目的に立ち返る

将来のキャリアを考えた結果として資格試験にチャレンジする場合、そのスタート地点は「自分の目指す人生像」にあると思います。公認会計士であれば、専門性を持った仕事でやりがいを得たい、出産育児後も続けられる仕事を手にし、育児も仕事も充実させたい、あるいは今より年収の高い仕事を手にし、より豊かな暮らしをしたいなど、その目的は、それぞれの人生像の数だけあると思います。
資格試験の受験生活で躓くことがあれば、その目指す人生像に立ち返ってみると良いでしょう。何も、具体的、現実的である必要はありません。「本当に自分はこれを目指してたんだっけ?」と、振り返るだけで、目的意識が大きく変わります。
目的を思い出し、納得できたなら、それを活力として学習に励むのみです。目的はやっぱり何か違うと思ったら、一度立ち止まって目的を再考してみることをおすすめします。再考した結果、目指している資格の別の側面に魅力を感じるかもしれません。あるいは、再考した結果、目指している資格よりもっと重要なことに気が付くかもしれません。
いずれにしても、すべては自分の人生のための決断です。手段より、目的にこだわりましょう。目的と手段が一致したとき、努力を努力と感じなくなる瞬間が来るはずです。心と体を一致させ、本当に大切なものを手にしましょう。

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