合格に「こだわる」ためにまず学習過程に「こだわる」!必修ポイントを大公開

公認会計士コラム

監修:森 大地(公認会計士)

大学在学中に公認会計士の勉強をはじめ、公認会計士論文式試験に一発合格。現在は、クレアールの公式YouTubeチャンネル「公認会計士対策ワンポイントアドバイス」にて、監査法人での仕事や試験対策の学習法などを紹介している。

公認会計士 森大地先生のコラム。
受験勉強や会計事務所での実務経験から得た気づきやアドバイスを共有していただきます。【毎月掲載】

学習を始める前に把握しよう

資格合格には、絶対的な勉強量が必要です。ただ、必要な勉強量を順調に積み重ねている人は少数派で、ほとんどの人は勉強ペースに何かしらの悩みを抱えているのではないでしょうか。

その一つの理由に、「合格までの学習過程」が具体的にイメージできていないことがあると思います。
合格までの学習過程とは、「いつ、何を、どのように勉強すれば合格する」という具体的な手段です。例えば「学習戦略として大まかに何をやればいいかはわかっている」ことと、「事前に、各教材の使用目的の理解から効率的な使い方・使用タイミングなどを具体的に把握できている」ことは違います。後者をわかっている人は少ないのではないでしょうか。

このような「合格までの学習過程」をしっかりと事前に理解できていると、今日、目の前の勉強が合格に不可欠であることが実感でき、良い意味での焦りや緊張感を持って学習を進めることができます。

今回は、「合格までの学習過程」をイメージするために見極めるべき3つのポイントを考えていきます。

ポイント① 合格に必要な力を見極める

イメージしやすいように英語学習を例にお話します。
最近は低価格のオンライン英会話スクールが普及したため、多くの社会人が何かしらの英語学習に取り組んでいます。私の所属する監査法人でも、海外出向を目指して多くの仲間が英会話スクールに通っています。しかし、ほとんどのケースで目に見える成果はありません。

その理由は、「英語力の習得」というゴールには様々な要素が必要だからです。
基礎力(単語、文法、発音)、英語回路(英語理解力)、実践力(読む、書く、話す、聴く)などありますが、英会話スクールではすべてを網羅することができません。
そのため、自分には基礎力が足りないのなら、自習で単語帳や文法書をこなさないといつまでも力はつきません。実践力にしても、定型表現を覚えたり文章作成の練習を自習でこなしていかないと、いつまでも話せるようにはなりません。

資格学習でも同様です。ただ講義を聞いているだけ、ただ問題集や答練を解いているだけではなかなか成果があがりません。
私の専門である公認会計士試験で言えば、短答合格というゴールは4科目(財務会計論、管理会計論、企業法、監査論)で網羅的にAランクを習得することですが、得点の取りやすさは科目ごとに異なり、効率的な教材の使い方も異なります。

まずは科目別の目標点数を理解したうえで、現在の自分の実力と比べ、各科目で合格までどれくらい離れているのかを把握するのがポイントです。

ポイント② 教材の使い方を見極める

実はかくいう私こそ英語学習者の典型的な失敗例で、長年、英語学習のモチベーションに悩んでいました。そんな中、ネットで「英語学習プラン作成」というサービスを見つけ利用したのをきっかけに、本格的な英語学習を再開することができました。

このサービスでは、簡単な英語力テストを行い、目標の英語力と照らして何が足りないかを明確にした上で、自習用の市販の教材を紹介してくれます。また、その教材の効率的な使い方(英語力のトレーニング方法)まで、詳細に教えてもらえます。
おかげで、「英語力の習得」に必要なゴールが明確になり、各教材の使い方にも無駄がないと感じられることから、自然と勉強をやりたくなるようになりました。

資格試験の教材についても同じです。自分自身の得意不得意や科目別の目標点数などを考慮したうえで、戦略的に教材の使い方を考えていくことが大切です。
以下は、私が考える、教材や講義の目的と使い方を簡単に説明したものです。

講義テキスト、答練解説の理解を補助する
テキスト本文問題集を解くための予備知識や、直前のインプットを助ける
※以前の参照記事は下記をチェック!
テキスト例題学習時のアウトプット、苦手論点のアウトプットを鍛える
問題集Aランクを中心としたアウトプットを鍛える
答練実力不足の論点を見つける、不正解のAランクを復習する
過去問本試験得点力を磨くアウトプットを鍛える(直前期より前に3周以上行うのがベスト)
本試験不合格の記憶を書き換えるため、100点になるため何度でも繰り返す最終兵器

星マークをつけた3つ(問題集・過去問・本試験)は、この中でも特に重要だと考えています。
アウトプットは資格学習の8割くらいを占めると思いますが、基本戦略としては、序盤は問題集、中盤は過去問を中心に、論点別に解いていくことをお勧めします。
公認会計士試験のような試験範囲が膨大な試験ほど、論点別かつAランク重視と区切ることで、日々の学習成果も見えやすくなります。

ポイント③ 目標に着実に向かう学習プランを見極める

私にとっての英語学習は、目標である海外出向を叶えるためにとても大切な手段です。
それでも、なかなか成長の実感を持てないまま英会話レッスンを受けるのが何となくつまらなくて、気づいたらほとんど英語の勉強をしていない状況になっていました。

しかし、前述のサービスでの学習プランの作成をきっかけに、「これをやれば夢のアメリカ行きが叶えられる」と感じて、英語学習が目標達成に直結しているように思えてきました。生活の中での英語学習の優先順位が格段に上がったのです。
これまでは家にいる時間の大半はベッドの上でどうでも良い動画ばかり見ていましたが「こんなことよりも夢を叶える勉強をしたい」と本心から思えるようになり、自然と、寝る前の時間を机の前で過ごすことが増えました。

資格試験も同じことが言えるでしょう。特に社会人の受講生の方は仕事が終わってから資格学習に取り組まれるため、体力的、心理的な負担は大変だと思います。心身ともに頑張って働いた1日の終わりに、1時間、2時間と継続して勉強する時間を確保するのは難しいものです。

しかし、「合格したい」という目標と「目標を叶えるための学習プラン」が明確であれば、今日勉強した分が確実に合格へ1歩近づくという実感が持てるようになります。
そして教材の使い方が効果的だと、やればやっただけ着実に進歩します。点数に表れる成果は、安定的な勉強のモチベーションになります。

本記事を参考に、講師の先生や過年度合格者に相談しながら、具体的な学習プランをぜひ見つけてみてください。
好循環を得るために「合格までの学習過程」にこだわっていきましょう。

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