公認会計士 森 大地
最高の旅は、最高の計画から?
5月下旬に休暇を取り、約1週間の九州バイク旅行をしました。旅は神奈川県の横須賀港から始まり、フェリーで約21時間かけて、バイクとともに福岡県の新門司港を目指しました。九州一周は約1,500km。7日間であれば1日200km前後(3~4時間の走行)と、移動時間にはある程度、余裕がある行程です。計画も旅の一部。むしろ、旅の楽しさの半分以上を占めるとも言われています。出発前にバイクのツーリングマップ(道路からの眺めやバイクライダーにおすすめ情報が記載された専用地図)を購入し、ぼんやりとルートを考えたり、各地の名所を調べる時間はワクワクしました。一方で、旅の中で起こる「偶然性」もまた、魅力の一つです。今回の九州旅行では、1日目から新門司港→小倉(福岡県)→長崎→鹿児島→延岡(宮崎県)→湯布院(大分県)→門司港(福岡県)という全7日間の行程を計画し、詳細は当日に決めることにしました。
旅の偶然性を楽しむ余裕
学生時代の私は、「旅行するなら120%楽しみたい!」という考えから、かなり細かく旅の計画をしていました。時には現地のバスの時刻表まで調べて、まるで学校の遠足のような分刻みの計画をしていたこともあります。現地の魅力を余すことなく楽しめるという反面、どうしても計画に縛られ、窮屈になりがちです。ちょっとしたことで予定に狂いが始めると、せっかくの観光をゆっくりできなかったり、遅れに対して苛立つこともありました。最近は、旅先で「ここだけは行きたい」という場所を何個かピックアップして、あとは流れに身を任せたり、移動中に見つけたスポットに立ち寄るようにしています。今回の旅でのここだけは行きたいスポットは、「九州鉄道記念館」「ハウステンボス」「佐多岬(本土最南端)」「湯布院温泉旅館」でした。
頑張って計画にしがみつく時もある
余裕のある計画でも、急ぐことはあります。鹿児島宿泊の翌日、佐多岬(鹿児島県内)を目指すも片道3時間がかかることが判明。次の目的地の延岡(宮崎県)までは、高速を使っても4時間程度かかってしまいます。計画ミスなのですが、その日に延岡まで行けないと、旅のメインイベントである翌日の湯布院旅館の滞在時間が大幅に減ってしまい、そのあとの旅程にも影響します。延岡を目指すその日は、あいにく休暇中の仕事の関係で出発が昼過ぎになり、佐多岬に到着したのが17時頃。安全上の理由から避けていた夜間走行を決行し、延岡に到着したのは22時半頃でした。バイクでの移動はかなり体力を使うため、長時間走行はかなり大変でした。でも、そのおかげで、湯布院温泉宿では広い和室でのまったりとした時間、ほぼ貸し切りの露天風呂、朝夕の和食フルコースと、旅の疲れをゆっくり癒すことができました。
Aランク重視の学習計画
今回の旅では、ざっくりとした事前計画と旅行当日の柔軟さ、計画の遅れを取り戻す苦労を味わいました。お気づきのとおり、これらは資格合格への学習計画と通ずるものがあります。私が主張している「Aランク重視の勉強法」とは、本試験で合格者が100%正答する水準の基礎論点=Aランクを網羅的に習得するための戦略です。長期の受験期間で「いつ、なにをやるか」が学習計画であり、学習計画は合否に大きく影響します。私は、学習計画もざっくりが良いと考えています。月単位でマスターすべき単元を定め、ある程度、集中的にその科目や論点を勉強する、各週、各日の学習計画はその時々に柔軟に決めていくというイメージです。学習計画の肝はAランクの習得、すなわちAランクに満たない弱点を特定し、その弱点を中心に実力を底上げすることだからです。
学習計画の遅れは、「最低限」を一所懸命に
「弱点」をしっかりと特定し、月単位で「弱点」に照準を当てるところまでできれば、それだけでかなり合格に近づいていると言えます。合格までの道のりは人それぞれですが、既にその資格を2回以上受験している受講生であれば、あともう少しの上澄みを、抜けているAランク論点で補うことさえできれば、合格可能性はかなり高まると思います。学習計画から遅れをとっている人は、「最低限、7月までにここまでをマスターする」という月単位の目標に対して、短期間でもがむしゃらになることをおすすめします。Aランクに満たない「弱点」の勉強は、頑張れば頑張るほど合格可能性が高まる、成果の見えやすい部分です。成果が見えやすいと、「もっと頑張ろう」というモチベーションも自然と高まります。月単位のざっくりとした学習計画で合格までの最短距離を描き、合格に直結する効率的な勉強をしていきましょう。