公務員試験ガイド 「新しいタイプの試験」

全国的に筆記試験の方式が多様化。 新しいタイプの試験の内容についてご説明します。

近年、地方自治体の行う採用試験では、全国的に筆記試験の方式が多様化していることから、試験内容は従来のような「教養試験のみ」「教養+専門試験」というタイプ以外に様々な方式があることを知っておく必要があります。受験先の試験案内を見て、どのような試験かわからない時は、概ね以下のような試験タイプのいずれかに該当すると考えられますので、ぜひご参考になさってください。

試験案内を見ていてわからないことがあるんですが…

相談室タニオカ

どんなことでしょうか?

試験内容なんですけど、これってどういう試験ですか?

公務員に必要な基礎的な知的能力についての筆記試験
(社会的関心と理解について問う分野、言語的な能力を問う分野、論理的な思考力を問う分野の3つから出題)

相談室タニオカ

ふむふむ…

これって、教養試験とは違うものですか?

相談室タニオカ

これは、社会人基礎試験で行われる「職務基礎力試験」ですね。

なんですか、それは?

相談室タニオカ

教養試験のアレンジ版みたいなものですが、昨今こうした試験が増えているので、今回は「さまざまなタイプの公務員試験」についてお話をしたいと思います!


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目次

多様化する公務員試験

 市役所試験や社会人経験者試験の試験案内を見ると、「特別な公務員試験対策は不要です」というコメントを目にすることはないでしょうか。
 また、筆記試験の内容も「教養試験」と書かれていなかったり、出題科目や試験時間が一般的なものと違うような場合、それがどんなタイプの試験なのか、よくわからず困ってしまうこともあると思います。

新教養試験~新しくなった教養試験

 まず、教養試験についてお話をしてこうと思います。
以前、「試験内容をまるっと解説」という記事の中で、教養試験の内容についてご紹介をしましたが、一般的な教養試験は下の図に書かれている分野・科目から出題されています。

 [一般的な教養試験]

教養試験には、数的処理や文章理解などの一般知能分野と、自然科学、人文科学、自然科学などの一般知識分野などが含まれています

教養試験は「120分40題」で解答することが多く、1題あたりの解答時間は約3分となっています。
これに対して、今からお話をする様々なタイプの試験はどう違っているのかを比較していただければ、どんな特徴の試験であるかがイメージしやすくなります。

相談室タニオカ

まずは「新教養試験」についてお話していこうと思います。

「新教養試験」って、なんですか?

「新教養試験」とは、地方自治体の試験問題を作成している財団法人「日本人事試験研究センター」が、新しく作ったタイプの教養試験です。
試験は「Standard(標準タイプ)」、「Logical(知能重視タイプ)」、「Light(基礎力タイプ)」という3つのタイプがあり、それぞれに以下のような特徴があります。

Standard(標準タイプ)
解答時間:120分 問題数:40題 形式:5肢択一式
従来の教養試験と共通性の高い試験(知能分野20題、知識分野20題)
★「古文」「哲学・文芸・芸術等」「国語(漢字の読み、ことわざ等)」の出題はありません。
★これまでと比べて時事を重視し、社会的に幅広い分野の題材(ICT、環境問題、社会保障など)を出題します。
※レベルは「StandardⅠ(大卒程度)」と「StandardⅡ(高卒~大卒程度)」に分かれます。

◆Logical(知能重視型タイプ)
解答時間:120分 問題数:40題 形式:5肢択一式
知識より論理的思考等の知能を重視する試験(知能分野27題、知識分野13題)
知識分野では、自然科学は出題されません。
★「古文」「哲学・文芸・芸術等」「国語(漢字の読み、ことわざ等)」の出題はありません。
★これまでと比べて時事を重視し、社会的に幅広い分野の題材(ICT、環境問題、社会保障など)を出題します。

◆Light(基礎力タイプ)
解答時間:75分 問題数:60題 形式:4肢択一式
基礎的な知的能力を検証するコンパクトで易しい試験。
(社会への関心と理解:24題、言語的な能力:18題、論理的な思考力:18題)
「社会への関心と理解」は時事、「言語的な能力」は文章理解、「論理的な思考力」は数的処理に置き換えることができます。(時事は政治・経済・社会に関する時事的な問題です)

相談室タニオカ

受験先の試験案内を見ると、どのタイプで実施しているのかがわかります

なるほど~。自然科学が出題科目に入っていなければLogicalタイプの可能性が高いとか、解答時間が75分で科目の表記が「社会への関心と理解」…みたいなものであればLightタイプ、ということですね!

そうです!

あっ、そういえばLightの出題内容って、最初に聞いた「社会人基礎試験」の内容と似ていませんか?

相談室タニオカ

よく気づきましたね。それでは、あらためて社会人基礎試験のこともお話ししましょう。

社会人基礎試験

  社会人基礎試験も、教養試験と同じ「日本人事試験研究センター」が提供している試験です。
「新教養Light」と似ていますが、問題数や解答時間が異なります。

社会人基礎試験の内容

社会人基礎試験には、「職務基礎力試験」「職務適応性検査」という2つの種目があります。

[職務基礎力試験]
解答時間:90分 問題数:75問 形式:4肢択一式

・社会的関心と理解について問う分野(社会科学・時事)
・言語的な能力を問う分野(国語・文章理解)
・論理的な思考力を問う分野(数的処理)

[職務適応性検査]
社会人の職務、職場への適応性(職務への対応、人間関係等)の観点から受験者の性格傾向を把握し、面接や採用に当たっての必要な情報を提供
●質問項目数:150項目 
●形式:4件法(「当てはまる」、「やや当てはまる」、「あまり当てはまらない」、「当てはまらない」の四つのうちから一つを選ぶ形式)
●回答時間:20分

詳細や例題については日本人事試験研究センターのHPをご参照ください。

相談室タニオカ

社会人基礎試験は、主に社会人経験者採用試験で使われています。

あれっ?学生のわたしが受ける試験ではないってこと?
もしかすると試験案内を見間違えているかも!?

同じ自治体でも試験区分によって試験方式が異なることもあります。
大卒区分なのか、社会人経験者区分なのか、試験案内をよく見ておくことも大切です!

民間タイプの試験も導入例が増加中!

そういえば、市役所試験の試験データを見ていたんですけど…
「SPI」「SCOA」と書かれているのは何ですの?

相談室タニオカ

SPIとSCOAは、民間企業の就職試験でよく使われる試験ですね。

SPI(エスピーアイ)

リクルートが提供する適性検査で、民間の就職試験で広く導入されています。数的処理・文章理解などを扱う
基礎能力検査と、性格検査が行われています。
※「SPI3」と表記されることもありますが、これは「バージョン」のようなものだと思ってください。
※受験先によっては基礎能力検査のみを行うことがあります。

◆基礎能力検査(70問70分)
・言語能力検査:40問30分
 語句問題と長文問題があり、語句問題では言葉の意味を問う問題が出題され、長文問題は教養試験の文章理解(現代文読解)に類似する内容となっています。
非言語能力検査:30問40分
 教養試験の数的処理(判断推理・数的推理・資料解釈)と類似する内容で、40分で30問を解答することから、           
 1問あたりの平均解答時間は数的処理(約3分)と比べて1分程度となっており、難易度は易しめです。
 出題形式は8~10の大問に対して2,3問の小問が出題されるなど、1問ずつ独立した問題の教養試験とパターンが異なります。

◆性格検査(20分)

相談室タニオカ

SPIは、教養科目の数的処理や文章理解など、
知能分野のみが出題されています。

SCOA(スコア)

NOMA総研(日本経営協会総合研究所)が提供する総合適性検査です。SPI同様、民間企業の就職試験で導入されています。SPIと異なり、知識分野も出題されるところが特徴で、難易度は教養試験よりも易しめです。
 SCOAには「SCOA-A」「SCOA-C」など、内容の異なるタイプがありますが、試験案内に「基礎能力検査」と記載されている場合はSCOA-A、「事務能力検査」と記載されていればSCOA-Aと考えられます。

[出題内容] 
・SCOA-A(基礎能力検査)の場合 120問 60分
言語(20問)、数理(25問)、論理(25問)、英語(30問)、常識(20問) 

「言語」は慣用句、四字熟語、漢字の読みなどの国語問題です。「数理」は数的処理の数的推理、「論理」は数的処理の判断推理、「英語」は穴埋め、発音、和訳選択など。「常識」は人文科学、自然科学、社会科学・時事など幅広い分野から出題されます。

・SCOA-C(事務能力検査)の場合 
「照合」「分類」「言語」「計算」「読図」「記憶」
初級レベルの試験で課されることのある「事務適性検査」と類似した内容です。

SCOAを導入している自治体は、試験内容をSCOAと表記しないことが多いため、「120問60分」で英語が出題されている場合は、SCOAである可能性が高いと推測できます。

相談室タニオカ

SCOAの特徴は、知能分野だけでなく、知識分野も
出題されることにあります。

作っているメーカーによって、試験内容が
微妙に違うようなイメージなんですね。

相談室タニオカ

まさしくそんな感じです!

とりあえずいろんな試験のことが
理解できました!

相談室タニオカ

あと少し、独自の試験方式についても触れておきます

独自の試験方式について

SPIやSCOA以外にも、独自性のある教養試験を行なう自治体があります。
有名な例としては、横浜市の大卒程度行政区分のように、人文科学・自然科学を行わないタイプの試験です。
もし、受験する自治体の試験案内を見たときに、試験内容が「教養試験」となっていても、出題科目に人文科学や自然科学が記載されていない場合は、独自タイプの試験である可能性が高いとお考え下さい。

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公務員試験は受験される自治体や受験枠により試験内容が異なり、試験に合わせた受験対策が合格への近道です。
クレアールでは、各種公務員試験の受験・受講に関する様々な疑問や質問、受講コース選び方などにリモート・電話・メールでお答えする無料の個別相談会を実施しています。これから学習スタートをお考えの方は、ぜひお気軽にご活用ください!

タイプ別の試験対策について

 試験対策においては、受験先の試験方式に合わせることが必要です。
教養試験であれば、Standard(標準タイプ)は一般的な対策で十分ですし、Logical(知能重視タイプ)の場合は自然科学は学習する必要がありません。
 Lightや社会人基礎試験、SPI、SCOAの場合は、教養試験と比べて出題される科目が少なかったり、問題の難易度が低いので、教養試験の対策を立てなくても対応できると言われます。
 ただ、そうした試験でも独学で対策を立てようとすると苦手な方がいたり、論作文や面接の対策まで含めると不安に感じる方もいると思いますので、そうした時はスクールを使うことも一つの選択肢ではないでしょうか。

 例えば、クレアールではSPI対策講座を開講しているので、SPI対策と論文・面接の対策を立てられるコースもご用意しています。
 対策講座については、個別にご案内しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

 ここ数年で、全国的に試験の方式が多様化していますが、これには理由があります。
一つは、筆記試験よりも人物試験を重視したいという考えがあるため、教養試験・専門試験といった従来タイプの試験ではなく、負担の少ない試験を行なったうえで面接試験に重きを置くというものです。

そして、もう一つは「受験者を増やしたい」という理由によるものです。 

  少子化の影響で、労働人口の減少が深刻な問題となっていますが、公務員も民間も人材の確保が喫緊の課題とされるため、特に採用スケジュールが民間より遅い公務員試験では「受けやすい試験」をしないと受験者が減ってしまう恐れがあります。
 もちろん、筆記試験の負担が少ない試験は一見受けやすく見えますが、そういった受験先は人が集まりやすいため、結果的に高倍率となってしまうこともあるので、できるだけ前年の実施状況などで倍率を知っておくことも大切です。

 まずは、今回の記事をお読みいただき、公務員試験の中で行われる様々な試験への理解を深めていただければと思います。

【まとめ】様々な試験の特徴

この記事を書いた人
クレアール公務員相談室タニオカ
これまで、公務員試験の受験・学習を考える3,000人以上の相談に答えた実績を持つアドバイザー。「公務員 転職ハンドブック」「ココからスタート!公務員試験入門ハンドブック」などを執筆。

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