【緊急特集】コロナ禍でどう変わった?公務員試験最新動向

公務員試験の受験を考える方の多くは、「コロナで民間企業の就職が厳しくなったから、公務員試験の人気が高まっているのでは」「就職氷河期のような状況になっているのでは」といった不安を抱える方も少なくありません。
そこで、コロナ前から現在までの公務員試験を取り巻く動向についてデータを読み解きながら、今後の展望について一緒に考えてみたいと思います。

目次

コロナで公務員試験の受験者は増えている?

大卒程度試験のメインとなる「地方上級(県庁・政令市)」「国家一般職」などの一次試験が6月に行われ、少しずつ実施状況が発表されています。まずは2019年から2021年までの動きをデータで見てみましょう。

■国家公務員 申込者数

2019年

2020年

2021年

国家総合職(大卒)

15,435名

14,965名↓

12,799名↓

国家一般職(大卒)

29,893名

28,521名↓

27,317名↓

国税専門官

14,238名

14,131名↓

13,163名↓

※国家公務員試験は受験者数非公表のため、申込者数を記載しています。
※→は、ほぼ昨年並み、↑は昨年より増加、↓は昨年より減少

■地方公務員(県庁・政令市・特別区) 受験者数の推移 ※現在判明しているデータより一部抜粋

自治体名

2019年

2020年

2021年

自治体名

2019年

2020年

2021年

札幌市

875名

856名↓

859名→

滋賀県

305名

351名↑

297名↓

仙台市

702名

623名↓

579名↓

神戸市

460名

504名↑

465名↓

栃木県

327名

269名↓

212名↓

岡山県

312名

306名→

280名↓

特別区

11,501名

8,121名↓

9,019名↑

広島県

352名

363名↑

414名↑

埼玉県

1,251名

1,260名→

1,183名↓

山口県

197名

260名↑

220名↓

新潟市

197名

175名↓

136名↓

徳島県

408名

403名→

379名↓

長野県

325名

283名↓

254名↓

熊本市

391名

365名↓

325名↓

愛知県

688名

769名↑

668名↓

長崎県

143名

162名↑

150名↓

※→は、ほぼ昨年並み、↑は昨年より増加、↓は昨年より減少

国家公務員の申込者数、地方上級(県庁・政令市)の受験者数増減をコロナ前から比較してみると、殆どの自治体が減少傾向となっていることがわかります。
報道などで、大学生の進路に対する意識が民間から公務員に移っているという話を目にした方からすると、不思議に感じるかもしれません。

公務員志向の高まりが向かう先は…

マイナビが就活生を対象としたアンケートを行ったところ、就活生の公務員志望度はコロナ前と比べて高まっているという結果が出ていますが、同時に公務員を志望すると回答したの中でも「市町村」を志望する方が7割近くを占めているという回答だったようです。
市町村の実施結果については令和3年の試験がこれから実施されることも多く、データ化されていないのですが、一例として東京都内の市役所について、2020年の実施データをまとめました。

2020年 東京都内の市役所試験データ

自治体名

試験方式

2020年倍率

自治体名

試験方式

2020年倍率

八王子市

教養

20.3倍

国分寺市

SPI

12.5倍

立川市

SCOA-A

54.9倍

国立市

SCOA-A

18.2倍

武蔵野市

WEBテスト

31.4倍

福生市

SPI3

11倍

三鷹市

教養・専門

23.3倍

狛江市

SPI3

61倍

青梅市

基礎能力試験

14.9倍

東大和市

SCOA-A

22.7倍

府中市

基礎能力検査

16倍

清瀬市

事務能力検査

9.6倍

昭島市

教養

9.4倍

東久留米市

教養

9.1倍

調布市

SPI3

23.7倍

武蔵村山市

教養

7.4倍

町田市

SPI3

46.8倍

多摩市

SCOA-A

13.8倍

小金井市

事務能力診断検査

6.8倍

稲城市

基礎能力試験

不明

小平市

教養

6.8倍

羽村市

教養

不明

日野市

SCOA-A

11.4倍

あきる野市

教養

5.1倍

東村山市

教養

10.4倍

西東京市

SPI3

13.6倍

ここ数年のトレンドとして、市役所の多くが従来の試験方式ではなくSPISCOAなど、民間企業の就職試験で行われるタイプの試験を導入することが増えており、東京都内も「教養」と表記している自治体を除くと、その大半は「特別な公務員試験対策を不要とする試験」なのです。(民間企業の就職活動と併願しやすい試験ともいわれ、学習負担が少ない点が特徴です)
★新しいタイプの試験についてはこちらのページで紹介しています。

 参考までに、県庁や政令市などではどのような倍率となっているかまとめたページがありますので、ぜひこちらを見て比較してください。 
 公務員試験の倍率

長期的な視点で見る公務員試験

 コロナ禍で公務員に対する志望度が高まったからと言っても、民間企業という選択肢を捨てて公務員一本に絞ろうという考えの方ばかりではありません。
おそらく「どちらか決めかねている」「特にやりたいことはないが、あえて言えば公務員」と考えている就活生も少なからずいると思いますし、だからこそ公務員試験の特別な対策を立てなくても受験できる自治体の人気が高まることも頷けます。しかしながら、一見対策が立てやすそうな市役所や、県庁・政令市で行われることが多くなった、学習負担が少ないタイプの試験は受験者が集まりやすくなるため、むしろ従来のような教養・専門試験が課されるタイプの試験はねらい目とも言えます。
もちろん、これは現時点での採用状況・受験状況を元にしているため、今後採用人数が減少する可能性や受験者数が増加する可能性も大いに考えられますが、長期的な視点で公務員試験の動きを見ると、「今」がどのような流れの中にあるか俯瞰して知ることができます。
ここで、最も受験者数の分母が多い特別区の試験実施状況について、就職氷河期から現在までの動きをご覧いただこうと思います。

■特別区Ⅰ類(事務)2005年~2021年実施状況 ※2021年は判明している数値まで

 

採用

予定数

受験

者数

最 終

合格者数

合格

倍率

2005

310名

6,749名

487名

13.9倍

2006

490名

5,972名

758名

7.9倍

2007

610名

5,847名

964名

6.1倍

2008

640名

5,934名

1,278名

4.6倍

2009

700名

9,397名

1,231名

7.6倍

2010

720名

12,852名

1,524名

8.4倍

2011

820名

14,005名

1,724名

8.1倍

2012

830名

13,815名

1,635名

8.4倍

2013

780名

13,014名

1,549名

8.4倍

2014

830名

12,906名

1,668名

7.7倍

2015

930名

9,712名

1,739名

5.6倍

2016

940名

11,795名

1,781名

6.6倍

2017

980名

12,683名

2,176名

5.8倍

2018

1,130名

12,718名

2,371名

5.4倍

2019

966名

11,501名

2,032名

5.7倍

2020

906名

8,121名

1,741名

4.7倍

2021

874名

11,449名

1,881名

4.8倍

「就職氷河期」と言われた2005年当時は分母・分子ともにさほど多くないものの、倍率が14倍程度となっていますが、「団塊の世代大量退職」による職員数不足で2006年から採用者数が増加していきます。同じタイミングで民間企業も採用を活発に行ったため、2008年は4.6倍という低倍率となりました。
2009年はリーマンショックによる景気悪化と、旧民主党政権が掲げた国家公務員の大幅削減によって地方公務員の受験者が増加し、倍率が一気に上がっています。
その後、民間の採用が好転したことによって受験者は2013年から2015年まで減少、特別区は受験者増加のために受験資格を27歳から31歳へ引き上げを行いました。
コロナ禍になって初の試験となった2020年は、感染リスクを鑑みて受験を控えた方が多く、57%程度しか受験しなかったことで低倍率となっています。

公務員試験はその時の景気だけでなく、様々な社会の動きとも密接に関わりながら影響を受けていることがおわかりいただけたと思いますが、長い目で見てみると採用人数は15年前と比べ物にならないほど増えていることが見て取れます。
※特別区では、最終合格をされた方が辞退することを想定し、採用予定人数より多く最終合格を出しています。

これからの公務員試験はどうなる?

これまで「コロナ禍と公務員試験」について現時点での最新情報を盛り込みながらお話させていただきましたが、肝心なのはこれからのことです。

公務員試験の今後
 現在の動向としては、受験者の増加が顕著なのは学習負担のかからないタイプの試験で、従来のようなタイプの試験はそれほど倍率が高まっていないことがデータから読み取れました。
 今後の動向については様々な推測をする人もいますので、「これから数年の間に採用数は減少する。受験者も増えていくから公務員試験は激戦になる」という意見を耳にすることもあると思います。
 不安になる要素はいくらでもありますが、前向きに考えるための要素として、以下のようなこともあらためてお伝えしたいと思います。

民間企業の採用状況から見た今後の展開
 外食産業や旅行業界などを中心に、コロナ禍で大きな打撃を受けた業界、業種もありますが、一方でニーズが高まり、業績を上げている企業も存在します。
 民間企業がすべて採用を縮小しているわけではないため、そうした業界で働きたいと考える方にとっての受け皿は決してなくなっているわけではないのです。
 有効求人倍率は2014年以降、1倍を超えて上昇し続け、2018年に1.61倍となったことで、「戦後最高水準の有効求人倍率」と言われました。2020年はこれが1.18倍に落ち込んだものの、この数値は1991年から2014年まで一度も超えたことがないのです。この背景には少子化による労働人口の不足もあり、社会全体が若い働き手を求めていることには変わりがないとお考え下さい。

これから公務員試験合格を目指す方へ

公務員を志望する方、関心を持つ方は増えたとしても、最後まで対策を立てられている方は限られていることに違いはありません。
特に、卒業までに内定を取ることが目的化しやすい大学生の方は、公務員試験を受験する気持ちがあっても周囲の友人たちが民間企業の内定を貰っている姿に焦りを感じたり、保険として民間企業も回ってみようとすることも少なくないと思います。(民間で内定が取れた瞬間に受験対策を辞めてしまう方も一定数います)
また、学習時間の負担がかかる試験であれば、長期間にわたって地道な学習の繰り返しをしなければならないため、公務員になるという目的が弱いと苦しい時に乗り越えることもできなくなってしまいます。
つまり、敵は受験生ではなく自分自身なのです。受験会場で敵と戦う前に、自分の中の「諦め」や「不安」に負けてしまうことも少なくないと思ってください。
しかし、かつて就職氷河期の時代も、リーマンショックの時代も、公務員になりたいと本気で考えてチャレンジしていた先輩方は、そうした競争を見事に勝ち抜いてきました。ぜひ、あなたも目標に向かって前向きな気持ちで挑戦していただきたいと思います。

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