社会人経験者採用試験とは?
民間企業などで職務経験をお持ちの方を対象として行われる採用試験で、ここ数年、全国各地の自治体を中心に実施されています。名称は「社会人経験者採用試験」「民間企業等職務経験採用試験」「社会人枠」など、さまざまです。
受験資格
経験者試験の受験資格は、「年齢」と「職務経験年数」によって設定されることが多く、学歴については不問とされることが一般的です。
[年齢]
20代後半以降であることが多く、年齢上限は59歳とする自治体もあります。
[職務経験年数]
概ね5年程度とされますが、受験区分によっては10年以上必要とされることもあります。(複数の企業で通算とするか、1社のみでカウントをするかも自治体によって異なります)
どんなところで試験が行われているか
[国家公務員] 職務経験年数を必要としない「国家公務員(係員級)」と、職務経験年数が必要とされる「国家公務員(係長級)」があります。係長級試験は省庁ごとに採用を行っています。
[地方公務員] 全国の自治体で採用が行われており、主に都道府県や政令指定都市での募集が一般的ですが、市町村でも募集が行われることがあります。
募集職種
一般的には事務職が最も多く、その他技術区分(土木・建築・機械など)や資格免許職区分などでも募集されることがあります。事務職以外の職種区分では専門試験が行われることもあるようです。
2022年実施状況一例
6月19日 | 地方自治体(県・政令市) |
8月14日 | 東京都(キャリア活用) |
9月4日 | 国家一般職(社会人) |
9月4日 | 特別区(東京23区) |
9月25日 | 地方自治体(県・政令市) |
10月2日 | 国家経験者(係長級)、大阪市など |
10月16日 | 川崎市、広島県、岡山県、島根県、新潟市など |
11月27日 | 京都市 |
採用試験の内容
社会人経験者採用試験は、概ねこれらの様々な形式による試験の組み合わせで実施されています。実施形式のタイプは自治体のホームページを参考にしてください。
教養試験 (択一式)
■ 一般知能分野 ・数的処理(判断推理・数的推理・図形把握・資料解釈) ・文章理解(現代文読解・英文読解等)
■ 一般知識分野 ・社会科学(政治・経済・法律・社会等)※時事を含む ・自然科学(生物・物理・化学・地学・数学等) ・人文科学(日本史・世界史・地理・文学・芸術・思想等)
自治体によって教養試験のレベルが「大卒程度」「高卒程度」に分かれるため、志望先や併願先を踏まえて対策を立てていくことが必要です。
課題式論文(小論文)試験
行政の課題や社会問題などについて自身の考えなどを論述する。
例:「効率的な行政運営について」「行政に問われる説明責任について」
経験者論文(職務経験論文)試験
社会人経験者採用試験特有の論文試験。 自身の職務経験について具体的に述べ、その経験を公務員としてどのように活用することができるかを論述する。
面接試験
一般的には個別面接を行っているが、中には集団面接や集団討論、プレゼンテーションなどを行う自治体もある。 また、面接試験は1回だけでなく2回以上行われることが多い。
受験対策のポイント
教養試験は出題科目が多く、範囲が広いため、手を広げすぎてしまわないよう効率的に学習を進めることが必要です。数的処理や社会科学(政治経済)のように出題数の多い科目から優先して学習し、一科目あたりの出題数が少ない人文科学や自然科学はある程度得点源が固まってから学習するというように優先順位をつけていくことがポイントといえます。
採用試験スケジュール例
下記スケジュールは2022年実施時のものです。
札幌市の場合
受付期間 | 7月1日~7月19日 |
一次試験 | 択一試験 9月25日 面接試験 11月5日 or 6日 |
一次合格発表 | 11月11日(一般事務) |
二次試験 | 11月下旬 |
最終合格発表 | 12月上旬 |
仙台市の場合
受付期間 | 4月20日~5月16日 |
一次試験 | 択一試験 6月19日 ★筆記試験の成績を判断し、面接試験・適性検査の受験対象者を6/29に発表 面接試験・適正検査 7月23日 or 24日 |
一次合格発表 | 8月1日(一般事務) |
二次試験 | 8月20日~22日 |
最終合格発表 | 8月30日 |
特別区の場合
受付期間 | 6月23日~7月14日(インターネット) |
一次試験 | 択一・論文試験 9月4日 |
一次合格発表 | 10月21日 |
二次試験 | 面接試験 10月29日・30日/11月5日・6日のうち 指定する1日 |
最終合格発表 | 11月18日 ★最終合格者に対して、区面接が行われます(年内には区の採用が決まります)。 |
横浜市の場合
受付期間 | 6月23日~7月20日 |
一次試験 | 択一・論文試験 9月25日 ※論文試験は二次試験で採点されます。 |
一次合格発表 | 10月7日 |
二次試験 | 面接試験 10月29日・30日、11月3日 |
二次合格発表 | 11月11日 |
三次試験 | 面接試験 11月26日 or 27日(事務のみ) |
三次合格発表 | 12月9日 |
採用試験実施データ
- 一次倍率=一次受験者数÷一次合格者数
- 最終倍率=一次合格者数÷最終合格者数
PICK UP! 様々な試験方式
昨今の社会人経験者採用試験では、筆記試験の内容に多様化が見られ、従来の教養試験と異なるタイプの試験が 行われることも増えています。受験先の試験が教養試験ではない場合、以下のいずれかに該当するかもしれません。
SPI3 | リクルートが提供する適性検査。民間の就職試験で課されることが多い。数的処理・文章理解などを扱う「基礎能力検査」と、性格検査が行われている。 | 70問(70分) ※ペーパーテストの場合 ・ 言語能力検査 … 40問(30分) ・ 非言語能力検査 … 30問(40分) ・ 性格検査 … 問題数一定せず(約40分) |
SCOA-A | NOMA総研が行う総合適性検査。SPIと異なり、知識分野も出題されます。問題のレベルは教養試験よりも易しめです。 | 120問(60分) ・ 言語 ・ 数理 ・ 論理 ・ 常識 ・ 英語 |
社会人基礎試験 (職務基礎力試験) | 社会人経験者採用試験で取り入れられることが多いタイプです。時事、数的処理、文章理解から出題される「職務基礎力試験」と、性格検査の「職務適応性検査」を併せて行っています。 | 75問(90分) 4肢択一式試験 ・ 社会的関心と理解について問う分野 ・ 言語的な能力を問う分野 ・ 論理的な思考力を問う分野 |