健康保険法 20 出産育児一時金及び出産手当金 [健保法101条、102条]
目次
問題
問1妊娠85日以後の出産であれば、生産、死産、流産(人工妊娠中絶を含む。)又は早産を問わず、出産育児一時金又は家族出産育児一時金が支給される。(平成21年)
健保法101条、昭和27年保文発2427号
設問のとおり。出産育児一時金及び家族出産育児一時金は、妊娠4月(85日)以上であれば、早産、死産、流産、人工流産を問わずに支給される。
問2妊娠4か月を過ぎてから、業務上の事故により流産した場合、健康保険から出産育児一時金が支給される。(平成17年)
健保法101条、昭和24年保文発523号
設問のとおり。業務上の事由により流産した場合であっても、妊娠4月を超えているときには、出産育児一時金が支給される。
問3被保険者が出産予定日の42日前から出産休暇をとったところ、予定日より5日遅れて出産した場合、出産日以前の出産手当金の支給日数は47日となり、また、5日の超過日数が出産日後の56日から差し引かれることはない。(平成18年)
健保法102条
設問のとおり。出産手当金は、出産の日(出産の日が予定日後であるときは出産の予定日)以前42日から出産の日後56日までの間について支給される。
ポイント!!
出産育児一時金 | 支給要件 | 被保険者が出産したとき |
支給額 | 一児につき、40万4千円に3万円を超えない範囲内で保険者が定める額(1万6千円)を加算した額 |
出産手当金 | 支給要件 | 被保険者が出産したときに、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間において、労務に服さなかった期間 |
支給額 | 1日につき、原則として出産手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額とする。 |
○ 出産とは、妊娠4月(85日)以上の出産をいい、早産、死産、流産、人工流産を問わない。○ 出産手当金の支給における出産日当日は産前に含まれ、出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日から実際の出産日までの期間についても支給される。○ 労務に服さなかったとは、労務可能な状態であっても現実に労務に就かなかった状態であればよい。したがって、家庭で、炊事洗濯等の家事の労務に従事することがあっても出産手当金は支給される。○ 会社の公休日等があっても、その日について労務に服していなければ、出産手当金は支給される。○ 出産手当金は、任意継続被保険者及び特例退職被保険者に対しては支給されない。
ポイント+α
○ 正常分娩は療養の給付の対象とはならないが、出産育児一時金は支給される。異常分娩に対しては療養の給付が行われるが、この場合においても出産育児一時金は支給される。ただし、妊娠4月未満の場合にあっては、療養の給付のみの支給となる。○ 妊娠4月(85日)以降に業務上又は通勤による災害に伴い出産をし、労災保険法による療養補償給付又は療養給付を受ける場合であっても、出産育児一時金は支給される。