健康保険法 12 療養の給付及び一部負担金 [健保法63条等]
目次
問題
問1身体に違和感を覚えて診察を受けたが、結果的になんらの異常が認められなかった場合、その診察は療養の給付とは認められない。(平成12年)
健保法63条、昭和10年保規338号
診察を受けた結果、異常が認められなかった場合であっても、療養の給付と認められる。
問2定期健康診断によって初めて結核症と診断された患者について、その時のツベルクリン反応、血沈検査、エックス線検査等の費用は保険給付の対象とはならない。(令和2年)
健保法63条1項、昭和28年保険発59号設問のとおり。なお、健康診断の結果、保険医が特に治療を必要と認めた場合のその後の診察については療養の給付の対象となる。[/open]
[open title=”問3 保険者が指定する病院等における療養の給付については、保険者が健康保険組合である場合には、規約で定めるところにより、一部負担金を減額し、又はその支払いを要しないものとすることができる。(平成19年)”]
健保法63条3項2号、84条2項
設問のとおり。いわゆる事業主医局については、一部負担金を徴収することを原則とするが、健康保険組合の規約で定めるところにより、一部負担金を減免することができる。
[open title=”問4 70歳以上で標準報酬月額が28万円以上の被保険者が、70歳以上の被扶養者の分もあわせて年収が520万円未満の場合、療養の給付に係る一部負担金は申請により2割負担となる。(平成24年改)”]
健保法74条1項、平成24年保発0208第1号設問のとおり。70歳以上の現役並み所得者であっても、被保険者及び70歳以上の被扶養者の収入の合計額が520万円未満(70歳以上の被扶養者がいない場合にあっては、383万円未満)であるときは、申請により一部負担金の割合は一般所得者と同じ2割負担となる。[/open]
ポイント!!
給付の範囲 | ①診察、②薬剤又は治療材料の支給、③処置、手術その他の治療、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護(食事療養、生活療養、評価療養、患者申出療養及び選定療養に係る給付は含まれない。) |
一部負担金 | ① 70歳未満の者 | 療養に要する費用の100分の30 |
② 70歳以上の者であって、標準報酬月額が原則として28万円以上 | 療養に要する費用の100分の30 |
③ 70歳以上の者(②を除く) | 療養に要する費用の100分の20(※) |
一部負担金の額の特例 | 保険者は、災害その他の特別の事情がある被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の措置を採ることができる。① 一部負担金を減額すること。② 一部負担金の支払を免除すること。③ 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予することができる。 |
※ 平成26年3月31日以前に70歳に達している者は100分の10
● 療養の給付の具体例
○ 美容整形、健康診断、治癒後の保養等は療養の給付の対象外である。○ 異常分娩による医師の手当、手術は療養の給付であるが、正常分娩、経済上の理由による人工妊娠中絶は療養の給付の対象外である。○ 保存血については療養の給付の対象となる。○ 温泉療養は、温泉のある病院等において直接医師の指導の下に行われるものに限り療養の給付の対象となる。○ 身体に違和があるとして診療を求め、診断の結果異常が認められなかった場合でも療養の給付の対象となる。
ポイント+α
○ 標準報酬月額が28万円以上であっても、70歳以上の被保険者と70歳以上の被扶養者の収入が520万円(70歳以上の被扶養者がいないものにあっては、383万円)に満たない者等については、申請により一部負担金の割合が100分の20となる。