雇用保険法 1 総則及び適用事業 [雇用法1条~5条]
目次
問題
問1雇用保険では、労働者が失業した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行う失業等給付のほか、失業の有無を問わず労働者の自発的な教育訓練の受講を支援する教育訓練給付と、雇用安定事業及び能力開発事業のいわゆる二事業を行っている。(平成14年改)
雇用法1条
教育訓練給付は、失業等給付として行われるものであり、失業等給付及び育児休業給付のほかに行われるものではない。
問2雇用保険は、政府が一元的に管掌する制度であり、都道府県知事にその事務の一部を行わせることは許されていない。(平成14年)
雇用法2条
雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができ、能力開発事業の一部の事業の実施に関する事務は、都道府県知事が行うこととされている。
問3国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業は、いかなる場合も適用事業とならない。(平成22年)
雇用法5条、雇用法附則2条
国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業は、適用事業となる。なお、国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、一定の者は、雇用保険の適用が除外され、被保険者とならない。
問4個人経営の小売店で常時2名の労働者のみを雇用する場合、事業主が任意加入の申請をしない限り、それらの者は被保険者となることはできない。(平成18年)
雇用法5条1項、雇用法附則2条、雇用令附則2条
常時2名の労働者のみを雇用する事業であっても、個人経営の小売店は強制適用事業であり、その事業に雇用される者は被保険者となり得る。
ポイント!!
雇用保険の目的 | 労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ること |
定義 | 離職 | 被保険者について、事業主との雇用関係が終了すること |
失業 | 被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること |
賃金 | 賃金、給料、手当、賞与、その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであって、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。) |
○ 雇用保険は、失業等給付を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行うことができる。○ 雇用保険は、政府が管掌する。また、雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより都道府県知事が行うこととすることができる。
● 強制適用事業及び暫定任意適用事業
○ 強制適用事業⇒労働者が雇用される事業を適用事業とする。○ 暫定任意適用事業⇒農林水産(船員が雇用される事業を除く)の事業であって、常時5人未満の労働者を雇用する個人経営の事業(国、都道府県、市町村、法人等以外の事業)
ポイント+α
○ 「労働の意思」とは、自己の労働力を提供して就職しようとする積極的な意思をいう。○ 「労働の能力」とは、労働に従事し、その対価を得て自己の生活に資し得る精神的、肉体的及び環境上の能力をいう。○ 「職業に就くことができない状態」とは、公共職業安定所が受給資格者の求職申込みに応じて最大の努力をしたが就職させることができず、また、本人の努力によっても就職できない状態をいう。○ 賃金に算入すべき通貨以外のもので支払われる賃金の範囲は、食事、被服及び住居の利益のほか、公共職業安定所長が定めるところによる。