目次
問題
問1労働基準法第24条第1項は、賃金は、「法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、通貨以外のもので支払うことができる。」と定めている。(令和元年)
問2労働者が5分遅刻した場合に、30分遅刻したものとして賃金カットをするという処理は、労務の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について労働基準法第24条の賃金の全額払の原則に反し違法であるが、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として同法第91条の制限内で行う場合には、同法第24条の賃金の全額払の原則に反しない。(平成23年)
問3定期賃金を、毎月の末日というような特定された日に支払うこと、又は毎月第4金曜日というような特定された曜日に支払うことは、労働基準法第24条第2項に規定する賃金の一定期日払いの原則に違反しない。(平成13年)
ポイント!!
● 賃金支払いの5原則(法24条)
原則 | 例外 | 具体例 |
通貨払 | (イ)法令に別段の定めのある場合 | (現在存在しない) |
(ロ)労働協約に別段の定めのある場合 | 現物給与(通勤定期券等) | |
(ハ)厚生労働省令で定める賃金について、確実な支払いの方法で厚生労働省令で定めるものによる場合 | 労働者の同意を得た場合① 賃金の支払について、その者が指定する本人名義の金融機関の預金・貯金への振込み、証券総合口座への払込み② 退職手当の支払について、上記①の方法によるほか、一定の小切手・郵便貯金銀行がその行う為替取引に関し負担する債務に係る権利を表章する証書を交付する方法によることができる | |
直接払 | 使者(妻子等)に渡す | |
毎月1回以上一定期日払 | (イ)法令に別段の定めのある場合 | 所得税、社会保険料等の源泉控除 |
(ロ)労使協定がある場合 | 購買代金、組合費等事理明白なものについて控除する | |
(イ)臨時に支払われる賃金(ロ)賞与 | ||
(ハ)厚生労働省令で定める賃金 | 1か月を超える期間を基礎として支給される精勤手当、勤続手当、奨励加給、能率手当等 |
ポイント+α
● 賃金の全額払いの違反とならない端数処理
1か月間の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合は、控除後の額) | (イ)100円未満の端数が生じた場合 | 50円未満⇒切り捨て50円以上⇒100円に切り上げ |
(ロ)1,000円未満の端数が生じた場合 | 翌月の賃金支払日に繰り越して支払う |