労働基準法 13 休業手当、出来高払制の保障給 [労基法26条、27条]
目次
問題
問1労働基準法第26条の休業手当は、民法第536条第2項によって全額請求し得る賃金のうち、平均賃金の100分の60以上を保障しようとする趣旨のものであるから、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない。(平成18年)
労基法26条、昭和24年基収4077号
休業手当は、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については支給する義務は生じない。
問2労働基準法第26条に定める休業手当は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払が義務付けられるものであり、例えば、親工場の経営難により、下請工場が資材、資金を獲得できず休業した場合、下請工場の使用者は休業手当の支払義務を負わない。(平成22年)
労基法26条、昭和23年基収1998号
経営上の障害に基づく休業は「使用者の責に帰すべき事由による休業に該当する」ものとされており、休業手当の支払い義務を負う。
問31日の所定労働時間の一部のみについて使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合であっても、当該1日について平均賃金の100分の60以上に相当する金額が支払われなくてはならないから、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、使用者はその差額を支払わなければならない。(平成9年)
労基法26条、昭和27年基収3445号
なお、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60に相当する金額以上である場合には支払わなくてよい。
問4労働基準法第27条に定める出来高払制の保証給は、労働時間に応じた一定額のものでなければならず、労働者の実労働時間の長短と関係なく1か月について一定額を保障するものは、本条の保障給ではない。(平成28年)
労基法27条
「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と規定されている。したがって、労働者の実労働時間の長短と関係なく1か月について一定額を保障するものは、本条の保障給ではない。
ポイント!!
休業手当 | 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。 |
出来高払制の保障給 | 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。 |
● 休業手当の支給
○ 労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない。○ 1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の100分の60相当額に満たない場合は、その差額を支払わなければならない。○ 1週の中の所定労働時間がたまたま短く定められていても、その日の休業手当は平均賃金の100分の60相当額を支払わなければならない。○ 休業手当は、労基法上の賃金であるから、その支払については賃金支払の原則の規定が適用され、所定賃金支払日に支払わなければならない。○ 派遣中の労働者の休業手当について、使用者の責に帰すべき事由があるかどうかの判断は、派遣元の使用者についてなされる。
ポイント+α
○ 安衛法66条の健康診断の結果に基づき労働時間の短縮を行ったときは、使用者は労働の提供のなかった限度において賃金を支払わなくても差し支えない。○ 親工場の経営難から下請工場が資材、資金の獲得ができず休業した場合は、使用者の責に帰すべき事由に該当する。○ 出来高払制の保障給は、労働者の責に基づかない事由によって仕事が少なくなりその賃金が極端に低額になる場合における最低保障給を要求しているのであって、労働者が労働しない場合には、出来高払制たると否とを問わず保障給は支払う必要はない。○ 出来高払制の保障給の額については、労基法においては規定がないが、常に通常の実収賃金とあまりへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるべきものとされている。