こんにちは。クレアール司法書士講座受験対策室のR.Nです。
本日は、令和7年度の司法書士試験をお試し受験される方に向けて、「お試し受験の活用方法」をお話します。
お試し受験について
クレアールでは、司法書士試験について、本番(合格目標)の年度よりも1年(カリキュラムによっては2年)早い年度に、「お試し受験」をして頂くことを推奨しております。
お試し受験の対象となっている受講生の中には、学習を開始して日が浅い方もいらっしゃいます。そのような中で本試験を受けに行っても、全く答えられず自信を喪失するだけではないか?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、「お試し受験をどのように活用するか」が、今後の学習のモチベーションに直結すると思っています。
実際に、「お試し受験までにどこまで勉強すれば良いですか?」「お試し受験ではどのようなことに気を付ける必要がありますか?」「勉強が進んでいないのに、お試し受験に行くのは気が進まないのですが…」等とご質問・ご相談頂くことが思いのほか多くあります。
合格目標年度よりも前に受験することに対し、その位置付けや向き合い方にお悩みの方もいらっしゃると思います。
そこで本日は、改めまして、お試し受験をされる方に向けて、「お試し受験のおすすめの活用方法」についてご案内いたします。
お試し受験のお勧めの活用方法
本番のつもりで、具体的な目標を立てて臨む
お試し受験ではない、その年に照準を定めて学習してきた多くの受験生にとっては、このために苦しい勉強を積み重ねてきた「本番」ですので、試験会場は緊張感に包まれています。初めて資格試験合格を目指す!という方にとっては、味わったことが無い空気かもしれません。
そのような年に一度の貴重な空間の中で、「お試しだから」と言って漫然とした時間を過ごすのは、非常に勿体ないです。
そこで、個人的には、以下のような「試験上の具体的な目標」を立て、お試し受験まで本腰を入れて学習していただくことを強くお勧めします。
択一式
▼おすすめの目標
・勉強してきた科目の択一式を○割以上得点する。
(例:民法だけでも本気で解いてみて、7割以上の得点を目指す)
・学習進度にかかわらず、とにかく全問を解いてみて、まぐれでも択一式全体で○割以上得点する。
(例:未学習の科目であっても勘や推測でマークを塗ってみて、とりあえず全科目の択一式で5割以上の得点を目指す)
・午前の部だけでもじっくり取り組み、基準点超えを狙ってみる。
→基本4法の学習を一通り終えられている方におすすめの目標です。基準点だとプレッシャーを感じてしまう方は、20問超えでも良いと思います。
日頃CROSS STUDYを中心に演習をされている方にとって、本試験会場で実際の問題を解くのは、5肢択一形式の問題を解き慣れておらず、難しく感じられるかもしれません。
5肢択一形式の方が、前提問題文(正しい肢/誤っている肢)や各選択肢の文末(できる/できない等)の読み間違いが誘発されやすいので、ケアレスミスをしないように、気を付けて解いてください。
一方、5肢択一形式は組合せから正解を導くことができるため、一問一答形式や単純正誤形式のように全ての肢について正誤を判断しなくても解答できる問題も多くあり、解きやすい側面もあります。
お試し受験をされた方に感想を伺った際には、「民法などの学習済みの科目は、意外と正解することができて手応えを感じられた」というコメントをくださる方も多いです。実際に本試験会場で多く正解のマークをすることができると、「学習の方向性はこれで良いんだな」と、今後の弾みにすることができると思います。
是非「学習済みの科目は満点を取ってやる」くらいの意気込みで、全力で取り組んでいただけたらと存じます。
それでも、お試し受験での目標を達成できなかったり、学習に力を入れた割には点数に結び付かなかったということもあると思います。しかし、落ち込む必要は全くありません。
そのときは、お試し受験後から学習の方向性を変えてみたり、実際に本試験を受けてみて初めて気付くことも沢山あると思うので、それを踏まえてまた作戦を練れば良い話です。
お試し受験は「失敗できるチャンス」ですので、上手くいかなくても「失敗を糧に、来年は同じ過ちを犯さないようにしよう」と、前向きに考えてください。
記述式
▼おすすめの目標
・記述式の問題文全体を○分以内に読む(その後演習を繰り返すうちに、「お試し受験のときより読むのが〇分早くなった」という自信になるので、本試験会場で実際にかかった時間を記録しておくと良いでしょう)。
→不動産登記記述式および商業登記記述式のそれぞれにおいて、最終目標は「1時間で解答を終える」ことですので、それを意識した目標を立てることができるとベストです。
・わかるひな形のわかる箇所だけでも書いてくる。そのために、不動産登記または商業登記のいずれかに絞って構わないので、お試し受験までに「合格書式マニュアル」に掲載のあるひな形を、可能な限り多く(できたら全部)暗記する。
記述式の学習にまだ入れていない方もいらっしゃると思いますので、ひな形の暗記ならまだしも、具体的に問題を解いてくるということを目標にするとかなりハードルが高いと思います。そこで、記述式の学習に着手できているか否かにかかわらず、最も重要なことをお伝えします。
お試し受験の記述式の向き合うにあたって何よりも大切なことは、とにかく「本試験の記述式の問題について、全体のイメージを掴んでくること」です。
お試し受験で初めて本試験相当の記述式の問題を目にする、という方も多いと推測します。最初は午後の部の問題冊子の分厚さに驚くと思います(令和6年度の午後の部の試験問題は、表紙・背表紙を合わせて75ページでした)。
記述式の問題文の長さがどれくらいで、別紙資料が何枚あって、解答用紙に記載しなければならない事項(解答欄)がどれくらいあって…等、学習して日が浅いなりに色々とアンテナを張って内容を確認することをおすすめします。
もしかしたら、部分的に択一式の知識から解答を導くことができる箇所(連件申請のパターン等)もあり、覚えているひな形を書けるかもしれません。
その場合、上記の「▼おすすめの目標」でも挙げましたが、うろ覚えで良いので書けるだけひな形を解答してきて頂きたいです。仮にその記載内容が正解で無かったとしても、全くの白紙で提出するよりも達成感(お試し受験しに来た意義)を感じられるはずです。
気候や会場の状況に合わせて、持ち物をチェックしておく
本試験の内容そのものや、本試験に向けた学習ではありませんが、時間と気持ちに余裕があるうちに、持ち物の準備や、コンディションを含めたイメージトレーニングをしておくことが非常に重要です。
持ち込む文房具
記述式の解答を記載するためのボールペンについて、何種類か持ち込んでおいて実際の解答用紙に試し書きをしてくる、というのもお勧めです(※記述式の答案用紙は白紙であっても回収されますので、書き味を試せるのは試験時間中だけです)。
ボールペンについては、今後記述式の問題を演習する際に、本試験を見据えて日ごろからボールペンで取り組まれることを個人的にはおすすめしておりますので、今から準備しておいて良いと思います。
なお、文房具について付け加えますと、問題検討用として(問題用紙に限って)黒インク以外のボールペンやラインマーカーを持ち込むことが可能とされていますが、個人的にはラインマーカーよりも多色ボールペンの方がおすすめです。
なぜなら、試験会場の自席が狭かった場合にスペースを取らず(試験中に、脇に置いておいたペンが転がり落ちるのは非常にストレスになります)、ラインマーカーと比べてインクが跳ねる危険性も低いためです。
冷房対策・暑さ対策
司法書士試験は7月の第1週の日曜日に実施され、ここ数年はかなりの暑さか梅雨が明けきらず悪天候であるかのどちらかで、少なからず快適な気候ではありませんでした。
そこで、予め「暑い場合」と「雨の場合」の2パターンを想定した服装や持ち物を準備して、臨んで頂けたらと思います。
併せて、試験会場についても「空調が効きすぎて寒い場合」と「空調が効いておらず暑い場合」があり得ますので、それぞれの場合に備えて上着や冷却シートなど、しっかり準備・持参していただけたらと存じます。わずかな備えで、本試験会場内、試験時間中の快適さが全く異なります。
勉強以外のことにも気を向ける余裕があるのは、お試し受験ならではとも言えるかもしれません。是非、本番を見据えて抜かりなく、色々なことを想定した準備をしてください。
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ちなみに、筆記試験当日の試験時間中に持ち込みが可能である物については、令和7年度の受験申請書(願書)で以下の通り例示されていますので、併せてご参照ください(※一部抜粋・簡略化してあります)。
P5 6筆記試験当日の注意事項(4)
・筆記用具(B又はHBの鉛筆、黒インクの万年筆又はボールペン(インクが消せるものは不可)、プラスチック製消しゴム)以外のもの(定規、付箋、筆記具入れ、メモ用紙等)、六法全書その他の図書の使用は認められません。
・ただし、問題検討のため、問題用紙に限り、シャープペンシル、ラインマーカ―、黒インク以外の万年筆若しくはボールペン又は色鉛筆の使用を認めます。
P5~6 6筆記試験当日の注意事項(9)
・試験時間中は、受験票、時計又はストップウォッチ(計時機能のみのものに限り、アラーム等音の出る機能の使用は不可)、持ち込みを認めた筆記具、キャップ付きペットボトル飲料(1本のみ、ペットボトルカバーは禁止、その他のアルミ缶等は不可)、目薬及び点鼻薬(外箱等から出した状態のものに限る)、ハンカチ、タオル、ポケットティッシュ、ウエットティッシュ、携帯用手指消毒液(アルコール除菌シートを含む)並びに膝掛け以外のものは机上又は机の中には置かずに必ずかばんの中にしまってください。
・マスク、フェイスシールド(透明で顔全体の表情等が試験監督員等から確認できるものに限る)、冷却シート及び手袋(透明で音が出ないものに限る)を使用する場合は、試験開始時刻までに着用してください。ただし、試験監督員が試験の公正な実施を妨げるおそれがあると判断した場合には使用を認めないことがあります。
合格目標年度の本試験当日のコンディションを想定して、イメージトレーニングする
本試験当日のコンディションに関連して、特に昼食等の内容については、合格体験記でも経験談としてよくご執筆いただいております。
昼休みは、午前の部の試験終了時間(午前11時30分)~午後の部の試験開始時間(午後1時)の1時間30分もあるようにも見えますが、午後の部の着席時刻が午後0時30分、指定時刻(試験室に出頭していなければならない時刻)が午後0時45分であること、そしてもちろん問題用紙等の配布や解答用紙の回収にもそれなりに時間がかかりますので、正味1時間程度であると思います。
そのことを念頭においた上で、昼食の量やお手洗いのタイミング、リフレッシュ方法等についてお考えください。
昼食について
・昼休憩時間に昼食を食べ過ぎると、午後の部の試験時間中に眠くなるから、少なめにした方が良い。
・昼休憩時間に飲み物を飲み過ぎると、午後の部の試験時間中にお手洗いに行きたくなるから、少なめにした方が良い。
以上を踏まえて、少なめに昼食の準備をされている方が多い印象があります。
満腹まで食べてしまうと、血糖値が上がって身体がリラックスモードになり、また消化器官に血流が集中することで脳への血流が減少し、眠くなってしまいます。ただでさえ午後1時~4時の3時間は、起床から約6,7時間が経過しており、「自然な眠気」が誘発されやすい時間帯と言われています。
そこで、この時間帯に最大限のパフォーマンスを発揮するためには、昼食は多くても腹8分目になるように調整していただくことを推奨します。また、普段食べ慣れていない物を食べて調子を崩さないように、お試し受験であっても、合格目標年度にも同様のものを持ち込むことを想定した昼食を持参されると良いと思います。
なお、筆者の経験談ですが、お試し受験では朝と昼にブドウ糖を含むゼリー飲料(ラムネ味)をそれぞれ摂取しました。ブドウ糖を摂取すると頭が働きますのでおすすめです。
最近は、コンビニでも様々な種類が揃っていますし、ラムネそのものでも良いと思います。緊張や口寂しさを紛らわすのにも有効です。
試験時間中の水分補給・お手洗いについて
前述の通り、飲み物の持ち込みは「ペットボトル1本のみ可」ですので、試験中に飲みすぎることは基本的にないかと思います。しかし、もし会場内が暑い場合等には水分補給をしない方が危険ですので、午後の部の3時間お手洗いを我慢して過ごすのが難しいことが想定されます。
合格者のお話を伺うと、例えば択一式を解き終わったタイミングや、記述式の問題文を読み終わったタイミング等で、気分転換に敢えてお手洗いに行くという方も意外と多くいらっしゃいます。無理をせず臨機応変に対応することが大事だと思いますが、戦略的にお手洗いに行くタイミングを試験時間内に組み込んでおくのも有りのように感じております。
午後の部の分厚い問題冊子を手に取りながら、合格目標年度はどのように過ごすのが良いか、今からイメージトレーニングしてみてください。
最後に
いかがでしょうか?お試し受験のイメージを掴んで頂けましたら幸いです。
お試し受験は、目標や目的意識を持って、今現在の実力でできる限り向き合うことがもちろん大切ですが、「試験対策は必ずしも勉強だけではない」ということを事前に肌で感じる場でもあると思っています。来年度の本試験で悔いのないパフォーマンスを発揮するために、「今からでもできる準備」がきっとあるはずです。
是非今年のお試し受験を有効活用して頂き、モチベーションの維持、ひいては目標年度の合格に繋げてください!

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