今回は、「これから簿記2・3級にチャレンジしてみよう」と考えている方向けの投稿になります。
今からの学習をお考えの方、学習プランにお悩みの方は、ぜひゴール地点を見定めた上で一緒に考えていきましょう。
ネット試験・統一試験の2種類がある
日本商工会議所が実施する、簿記2・3級試験にはネット試験・統一試験の2タイプの試験があります。両者のテスト形式の違いは以下となります。
ネット試験 | 統一試験 | |
---|---|---|
解答方法 | PC | 紙 |
受験日 | ほぼ通年 | 年3回(2月・6月・11月) |
合否判定 | 試験終了後、即時 | 数週間後 |
会場 | 全国各テストセンター | 各商工会議所の指定会場 |
両者の難易度には差がある
ここから本題です。簿記検定試験の問題が非公開のため、問題の難易度を直接判断することができません。
しかし、商工会議所が公表するデータより、ネット試験の方が統一試験よりも合格率が概ね高いことから、相対的にネット試験の難易度が低いことがわかります。
また、統一試験は実施回によって、合格率にかなりのバラつきが生じます。ネット試験の各年度の合格率がほぼ一定であることからも、実力が結果に反映されやすい出題になっていると推測されます。
3級
統一試験
実施回 | 合格率 |
---|---|
169 | 28.7% |
168 | 29.5% |
167 | 40.7% |
ネット試験
年度 | 合格率 |
---|---|
2024年度 | 38.6% |
2023年度 | 37.1% |
2022年度 | 41.2% |
2級
統一試験
実施回 | 合格率 |
---|---|
169 | 20.9% |
168 | 28.8% |
167 | 22.9% |
ネット試験
年度 | 合格率 |
---|---|
2024年度 | 35.7% |
2023年度 | 35.2% |
2022年度 | 37.1% |
どちらを受験するべきか
これから簿記検定試験を受験される方の中には「せっかくだから難しい方にチャレンジしよう」とお考えの方もいるかもしれません。
ただし、大半の方にとって目的(ゴール)は「合格」のはずです。誤解を恐れずに申し上げれば、簿記そのものを根本から理解することではありません(他の資格・検定試験でも同様です)。
どちらの試験を受けても「合格」という目的を果たせるのであれば、合格率が安定し、かつ実力が反映されやすいネット試験の受験を筆者はお勧めします。
経理職に転職を検討中であれば
経理職への転職を検討されている方であれば、「2級統一試験の合格を履歴書に書いて差別化を図りたい」とお考えの方もいると思います。
この場合、まずは2級ネット試験に合格し、改めて統一試験を受験する方法もあります(受験回数に制限はありません)。
上記のデータの通り、2級は統一試験とネット試験の合格率に大きな差があることから、別物の試験と筆者は捉えています。ネット試験をクリアできる実力がなければ統一試験の合格は難しいと思われます。確実にステップを踏んで行きましょう。
1級・会計士試験の受験を考えているのであれば
通年受験可能なネット試験を勧めます。早期に2・3級の学習を終わらせて、1級・会計士試験の学習を始めることが重要です。
目安として、時間に余裕のある方は1ヶ月半、仕事等で時間に制約のある方は3ヶ月以内に合格を目指すことが目標と筆者は考えます。
最後に
簿記検定試験では統一試験とネット試験の難易度に差があることをお伝えしました。
資格・検定試験の短期合格の考え方として、まずは試験の性質・特徴を理解することが重要です。皆様の判断の一助になれば幸いです。