スキマバイトとは、その名のとおり自分自身の空いた時間(=隙間時間)に働くスタイルで、スポットワークとも呼ばれています。
社会のニーズにもマッチして、近年急拡大していますが、その一方で、様々なトラブルも起きているようです。
今回は、スキマバイトに関するニュースから、スキマバイトの特徴や急増する理由、気を付けたいポイントについて見ていきましょう。
スキマバイトで不正横行か「給与即日払い」仕組み悪用―大阪で逮捕者も
【10月6日 時事ドットコムニュースより】
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024100500273&g=soc
生活や仕事の空き時間を使って短時間働き、給与が即日支払われる「スキマ(隙間)バイト」の利用者が急増している。即日払いが人気の理由だが、給与を立て替え払いする仲介アプリの運営企業が、利用者から金銭をだまし取られる被害が相次いでおり、業界団体は被害拡大を警戒している。(以下省略)
報道された内容によると、ポイントは次の4点です。
- 仲介業者の団体「スポットワーク協会」によると、主要4社と、3月に新規参入した1社を合わせると、登録人数は9月時点で延べ約2500万人に上る。
- スキマバイトの仕組は、運営企業が労働者からの勤務報告に基づいて給与を即日で立替え払いし、月末に雇用した企業から給料に手数料を上乗せした金額を回収している。
- 今回、雇用主役と働き手役が共謀して、雇用主役が出した架空の求人に対して、働き手役が応募、虚偽の勤務を報告。さらに雇用主役が運営企業に対する給料・手数料を支払わないというケースがあった。
- 大阪では、運営企業から現金計約68万円を詐取したとして、介護事業所の元経営者ら4人が逮捕された。
スキマバイトとは? 知っておきたい5つの基本
短時間・単発の仕事をするための雇用形態
スポットワークとも呼ばれ、短期の雇用期間であることが一番の特徴です。
雇い主は「就業先」の企業
スキマバイトは、労働者派遣ではなく「人材紹介」です。そのため、紹介された就業先の企業と雇用契約を結びます。
働いた時間に応じた給料
業務委託の場合は「行う仕事内容(成果)」に対して報酬が支払われますが、スキマバイトは、働いた時間に対して支払われます。
条件に該当すれば社会保険も加入
労災保険(仕事中や通勤中のけが・病気)が対象になるほか、雇用保険や健康保険、厚生年金についても条件に該当すれば就業先(雇用主の企業)で加入することになります。
引き抜きOK
スキマバイトをした後、就業先で「長期アルバイト」や「正社員」に切り替えることも認められています。
急増するスキマバイト
前述のとおり、スキマバイトの登録者数は増えています。
スキマバイトの代表格「タイミー」が発表したニュースリリースでは、2021年末時点の登録累計ワーカー数228万人から、わずか2年9ヶ月で約3.9倍に増加。2024年9月の登録者数は900万人を突破したそうです(※)。
なぜここまで急速に増えたのでしょうか。
雇い手、働き手それぞれの事情
スキマバイトが急増した理由をひと言でいえば「雇い手、働き手のそれぞれのニーズがマッチした」からといえます。
雇い手として一番の理由は、やはり「人手不足」でしょう。もちろんスキマバイトですべて補えるわけではありませんが、多くの企業では、新たな採用の切り口として活用を進めています。
対する働き手の登録が増えた主な理由として、次の2点が挙げられます。
1つは手軽さ。
企業に就職すれば人間関係の構築やスキルアップの向上が求められますが、スキマバイトではそれらが不要です。そのうえ、自分の空いた時間を有効活用できる手軽さがあると考えられます。
もう1つは「本業での給料額の目減り」が考えられます。
一昔前は「残業代で稼ぐ」ことができました。しかし、いまは働き方改革により、企業に残業時間の規制が課せられているため、「働きたくても働けない」状況なのです。その結果、生活のためにスキマバイトをしているという方も少なくありません。
※株式会社タイミー ニュースリリースより
https://corp.timee.co.jp/news/detail-3510/
今後規制が入る可能性も
サービス利用者が急拡大する中で、冒頭にご紹介したようなトラブルも増えています。また、現在は法律で禁止されている「日雇い派遣」と似ている点もあります。
もちろん、スキマバイトはあくまでも人材紹介であり、派遣元会社と雇用契約を結び派遣される労働者派遣とは違います。
しかし、「手軽さ」と「(労使ともに)責任感の希薄」は表裏一体にあるものです。
今後、スキマバイトに関する様々な労使トラブルが発生すると、雇用の不安定を理由として禁止された日雇い派遣と同様に規制が入ることも考えられます。
まとめ
今回は、スキマバイトの特徴と急増の理由を見てきました。みなさんが「ちょっと働いてみようかな」と思われることもあるかもしれません。
しかし、スキマバイトであっても就業先と雇用契約を結ぶことには違いありません、就業先はどのような会社なのか、運営企業は確かな会社か、また、本業がある場合は副業に関する規定も確認したうえで、利用するようにしましょう。
お互いにとってニーズのある新たな雇用スタイルですから、適法に、また健全にすすめられることを願うばかりです。