簿記は他の資格・検定試験にも役立つ
日商簿記2・3級に合格すると、キャリアの選択肢が広がります。「数字が読める」強みは、新たな資格や仕事にチャレンジする後押しとなります。
また、簿記は他の資格・検定試験でも数問出題されることがあります。例えば、FP(ファイナンシャル・プランナー)、中小企業診断士、情報処理技術者試験が該当します。
簿記の知識がある方にとっては簡単な問題が多いため、ここで稼いでアドバンテージを取ることが可能です。
実際に問題を見てみよう
それでは実際に問題を見てみましょう。
ITパスポート試験 令和6年度分 問8(簿記3級相当)
表はA社の期末の損益計算書から抜粋した資料である。当期純利益が800百万円であるとき、販売費及び一般管理費は何百万円か。
※単位:百万円
売上高 | 8,000 |
売上原価 | 6,000 |
販売費及び一般管理費 | ??? |
営業外収益 | 150 |
営業外費用 | 50 |
特別利益 | 60 |
特別損失 | 10 |
法人税等 | 350 |
【選択肢】ア 850 イ 900 ウ 1,000 エ 1,200
解説
解答:ウ 1,000
法人税等の下に表示される金額が当期純利益です。当期純利益800万円を起点に、費用は足して、収益を引いて販売費及び一般管理費を求めます。
当期純利益800+法人税等350+特別損失10―特別利益60+営業外費用50―営業外収益150=1,000
FP技能検定2級学科試験 2025年1月 問40(簿記2級相当)
損益計算書および貸借対照表の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 損益計算書における売上総利益の額は、売上高の額から売上原価の額を差し引いた額である。
- 損益計算書における営業利益の額は、経常利益の額から販売費及び一般管理費の額を差し引いた額である。
- 貸借対照表における無形固定資産は、物理的な形態を持たない特許権や商標権等の資産の金額を表している。
- 貸借対照表における固定負債は、返済期限が決算日の翌日から1年以内に到来しない借入金等の負債の金額を表している。
解説
解答:2
営業利益の額は、「売上総利益」の額から販売費及び一般管理費の額を差し引いた額となります。
理論形式の問題は見慣れないかもしれませんが、日頃から財務諸表作成問題を解いている皆さんであれば、直感で判別がつくと思います。
以上の問題は、簿記の知識がある方であれば正答は容易と思われます。
一方で簿記の基本知識がない場合、正答が難しい箇所です。専門分野以外の範囲で点数を稼ぐことができるのは大きなメリットとなります。
まとめ
簿記の知識が他の検定試験でも活用できることをお伝えしました。お恥ずかしい話ですが、筆者は大学時代、学部の専門課程の授業は最低限しか取らず、単位の取得が簡単という理由で法律や経営学等の一般教養の授業ばかり受けていました。
しかし、社会人になり情報処理系の試験を受けた際、IT分野はボロボロでしたが、一般教養で得た知識のおかげでマネジメント分野で荒稼ぎしてギリギリ合格を掴んだ思い出があります。
資格や検定試験では、「専門分野以外の範囲で稼ぐ」は使える考え方です。意外と盲点なのでご参考になれば幸いです。