市役所で働くにはどのような勉強や対策が必要なのでしょうか。そもそも具体的にどのような業務を行っているのか疑問を持つ方もいるでしょう。この記事では、市役所の職種や仕事内容から採用試験の概要、そして効果的な勉強方法まで、市役所で働くために必要な情報を網羅的に解説します。
市役所で働くにはどうすれば良い?
市役所職員は地方公務員の一つです。
市役所で働くためには、一般的に「市役所試験」「市役所採用試験」などと呼ばれる市役所の採用試験に合格し、内定をもらう必要があります。
受験資格には年齢・身体要件・欠格条項などがあり、さらに市役所の場合、一部で学歴要件が設定されていることもあります。ただし、試験区分(大卒程度、高卒程度)によって、学力の目安や試験問題の難易度が設定されており、自分の受ける試験難易度に合った適切な試験対策を行う必要があります。また、身長や体重、視力や体力などの身体要件は、警察官や消防士など公安系職種の受験資格として必要とされます。保育士や保健師など、特定の専門職は受験するために資格が必要な場合もあるため、受験案内をしっかりチェックしましょう。
市役所職員の職種と仕事内容

ここでは、市役所職員の職種と、それぞれの仕事内容について具体的に解説していきます。市役所職員といってもさまざまな職種があるため、どんな仕事があるのか理解し、自分に合った職種を見つけましょう。
事務職
事務職はさまざまな部署に配属されるため、部署ごとに仕事内容は異なります。具体的な仕事内容の一例は、以下のとおりです。
- 住民諸手続き:窓口での住民票や戸籍の発行・管理
- 福祉:生活保護相談や健康診断の企画・運営
- 観光:地域活性化のためのイベント企画・運営
- 広報:ホームページの運営、地域広報誌の作成
- 防災:地域防災の啓蒙活動
- 人事:職員の採用や配置、研修の企画運営
このように市民の生活に密接に関わるものから、市政の運営に関わるものまで、幅広い業務を行う点が特徴です。
事務職の採用試験では、市政全般の業務にあたる「行政区分」の人気が高く、採用人数も多い傾向にあります。3~4年ごとに部署を異動し、さまざまな業務に携わる形のキャリアプランが一般的で、これにより多角的な視点から市政を理解したうえで、より良いサービスを提供できるようになります。
技術職
技術職は、理系の知識や技術を活かせる職種です。その分野は、土木・建築・機械・電気・応用科学・造園・ICTなど多岐にわたります。具体的な仕事内容の一例は、以下のとおりです。
- 土木:道路や上下水道などをはじめとしたインフラの維持管理
- 建築:建物の企画立案や工事監督・メンテナンス
- 機械:省庁や公共施設の機械(空調やエレベーターなど)の維持管理
- 電気:公共施設の電気設備の保守点検や修繕
- 応用科学:生活に関係する水や空気などの監査や品質管理
技術職の主な業務は、現場での直接的な作業ではなく、事業の計画立案や管理といった役割が多いことが特徴です。
資格免許職
資格免許職は、特定の国家資格を活かして業務に従事する職種です。国家資格には保健師・獣医師・薬剤師・保健師・福祉士などがあります。具体的な仕事内容の一例は、以下のとおりです。
- 保健師:健康相談や健康指導、健康診断や予防接種などの実施
- 獣医師:違反食品や食中毒の調査、動物の愛護や狂犬病の予防
- 薬剤師:患者への薬の調剤や服役指導、薬事衛生や医薬安全に関わる検査や指導の実施
- 保健師:母子への保健事業や健康増進事業の企画・運営
- 福祉士:保健センターや児童相談所での相談業務
資格免許職に就くためには、各資格の取得と市役所の採用試験に合格する必要があります。また事務職とは異なり、資格ごとに配属部署が決まっている点が特徴です。
消防士
消防士は、火災や地震、台風などの自然災害が発生した際に、消火活動や人命救助活動を担当する職種です。警察官が都道府県単位で採用されるのに対し、消防士は市役所単位で採用が行われます。特に東京都には、東京消防庁という東京の消防本部も存在します。具体的な仕事内容の一例は、以下のとおりです。
- 消火活動:消防車で火災現場に急行し、消火作業や周囲への指示
- 救助活動:事故や災害で脱出できなくなった人々の救助
- 救急活動:救急車で急病人やけが人を病院に搬送
- 予防活動:建物の防火上の安全性に関わる検査や指導
このように消防士は、消火活動以外にも、幅広い業務を行っています。受験資格として、年齢と国籍が問われるほか、自治体によっては身長や体重制限などの身体要件も必要とされます。
技能員
技能員は専門的な知識を生かした仕事です。これには、調理員・用務員・自動車運転手・守衛などの仕事が挙げられます。具体的な仕事内容の一例は、以下のとおりです。
- 小・中・高等学校や公園での清掃や修繕などの環境整備
- 保育所や学校での給食調理
- 土木事務所での道路補修や倒木等の対応
- 環境事業所での粗大ごみや動物の死体などの収集・回収
各地域の学校や事業などの現場で直接作業する点が技能員職種の大きな特徴といえるでしょう。
市役所で働く魅力

市役所で働く魅力は、地域の住民と密接に関わったり、地域の課題に直接取り組めたりすることです。市役所職員は、市民が快適に生活できるよう、さまざまな場面で直接的なサポートを提供します。国や都道府県レベルでも同様の業務は行われますが、市役所職員ほど、地域住民との距離が近い立場は公務員ではほかにありません。
地域住民に対して直接的な施策を実施したり、感謝の言葉を直接かけられたりなど、地域に深く根差した仕事ができる点が、市役所で働く最大の魅力といえます。
市役所の採用試験制度の概要
市役所の採用試験の内容について、詳しく解説していきます。適切な試験対策をするために、試験日程や試験内容などについて、しっかり理解しておきましょう。
試験日程
試験日程の種類 | おおよその日程 |
---|---|
A日程 | 6月第4日曜日 |
B日程 | 7月第2日曜日 |
C日程 | 9月第3日曜日 |
D日程 | 10月第3日曜日 |
多くの自治体に試験問題を提供している「日本人事試験研究センター」が設定している試験日程は上記のとおりです。市役所の採用試験は、「A日程」「B日程」「C日程」「D日程」と、筆記試験の実施日によって分けられています。最も多くの自治体で試験が行われるのは、C日程です。一方、A日程は、政令指定都市や県庁所在地のある市役所など、比較的規模の大きい自治体が主に実施する傾向にあります。
ただし、独自に試験日を制定している自治体もあるため、必ず各自治体の受験案内をチェックしましょう。また、同じ日程で2つの自治体を受験することはできません。そのため、複数の自治体を併願する場合は日程が重ならないように注意してください。
試験区分
試験区分 | 学力の目安 |
---|---|
上級試験 | 大学卒業程度 |
中級試験 | 短大卒業程度 |
初級試験 | 高校卒業程度 |
市役所試験のレベルは「上級試験(大卒程度)」「中級試験(短大卒程度)」「初級試験(高卒程度)」の3つに分類されます。ただし、「程度」とあるように、あくまで学力や試験難易度の目安であり、卒業資格が必要というわけではありません。したがって、高卒でも他の受験資格を満たしていれば、大卒レベルの試験を受験することが可能です。
試験内容
試験の種目 | 試験方法 |
---|---|
筆記試験 | 教養科目、専門科目、SPI、SCOA、小論文・作文 |
人物試験 | 個別面接、集団面接、集団討論(グループディスカッション) |
試験は一般的に、筆記試験と人物試験の2つから成り立っています。
筆記試験は、一次試験として行われ、高校レベルの教養科目・SPI・小論文などが出題されます。二次試験として行われる人物試験では、個別面接や集団面接、グループディスカッションなどを通して、公務員としての適性や組織への適応力などが評価されます。
筆記試験と人物試験の試験方法の詳細や具体的な問題は、自治体によって異なります。さらに、特定の専門知識を必要とする技術職では、筆記試験において、教養科目に加えて専門科目も問われることが多いです。
難易度
市役所の採用試験は、筆記試験において専門科目が必須ではない自治体も多く、他の公務員試験と比べて試験の難易度は比較的低いといわれています。
しかし、市役所試験は公務員試験の中でも人気かつ、県や国の公務員と比較して採用数が少ないため、倍率が高い傾向にあるでしょう。特に、政令指定都市や大都市圏の市役所は人気が集中するため、倍率が10倍や20倍に達することも珍しくありません。試験に合格するためには十分な試験対策が必要でしょう。
市役所採用試験を突破する効果的な対策方法

市役所の採用試験を突破するための効果的な対策方法を3つご紹介します。これらの方法を活用し、競争率の高い市役所試験への挑戦を有利に進めましょう。
筆記試験と人物試験の比重を確認する
受験者数 | 筆記試験合格者数 | 最終合格者数 | |
---|---|---|---|
A市 | 1,000 | 100 | 50 |
B市 | 1,000 | 500 | 50 |
試験対策を始める前に、まずは志望する自治体の筆記試験と人物試験の比重を把握しましょう。受験する自治体が筆記試験と人物試験のどちらを重視しているのかによって、対策方法も変わってきます。
たとえば、表のA市とB市を比較してみましょう。A市は筆記試験の倍率は10倍、人物試験の倍率は2倍です。一方のB市は、筆記試験の倍率は2倍で、人物試験の倍率は10倍となっています。このことから、A市よりもB市の方が人物試験(面接)を重視していることがわかるでしょう。
面接を重視する自治体にもかかわらず、筆記試験ばかりに時間を割いてしまうと、合格率は大幅に下がる可能性があります。試験当日までの限られた時間を最大限有効に使うためにも、自治体の試験傾向は必ず掴んでおきましょう。
面接対策を徹底する
市役所試験では、面接対策をしっかりと行うことが大切です。自治体にもよりますが、近年の市役所試験では、面接を重視する傾向が見られます。具体的には、筆記試験をSPIやSCOAなど民間企業の就職試験で用いられる形式に変更してハードルを下げたうえで、その分、面接を重視する自治体などが増えています。
面接対策は筆記試験とは異なり、一人で行うには限界があるので、面接対策をしっかりと行いたい方や、面接試験に不安を感じている方は、予備校やスクールのサービスを利用するのがおすすめです。
予備校やスクールでは、模擬面接を受けて講師からフィードバックを得るなど、充実した面接対策のサポートを受けることができます。実際の面接に即した模擬面接を受けられれば、試験本番への大きな自信にもつながるでしょう。
通信講座で効率よく学習する
市役所試験の対策には、通信講座の活用がおすすめです。通信講座であれば、PCやスマホで学習が可能なため、忙しい社会人や学生でもスキマ時間を使って勉強できます。さらに独学での対策とは異なり、公務員試験に精通した講師がいるため、疑問点を解消しやすく、挫折しにくい点もメリットといえるでしょう。
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市役所試験は職種ごとに適切な対策を!
市役所の職員にはさまざまな職種があり、市民と直接関わりながらサービスを提供できることが魅力です。倍率が高く人気である市役所試験に合格するためには、試験傾向をつかむことや面接対策を徹底すること、通信講座で効率よく学習することが欠かせません。
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