このページでは、試験区分や年齢条件など、公務員試験の受験資格の読み方・調べ方をご紹介します。自分が受験できる公務員試験について、一緒に考えていきましょう。

公務員試験の受験資格について
公務員試験は、受験先によって「受験資格」が異なるため、受験する人によって受けられる試験が異なります。受験資格は、年齢のみを要件とすることが一般的ですが、中には学歴や職務経験年数、資格免許が必要な試験もあるため、まずは大まかな違いからお話したいと思います。
試験区分と受験資格
公務員試験には、さまざまな「採用区分」があります。
例えば、ひとつの自治体でも「大卒程度(上級)」、「高卒程度(初級)」、「社会人経験者」など、年齢によって入り口となる「採用区分」が用意されているとお考えください。
まずは、一例として国家公務員一般職と、特別区(東京23区)、横浜市について採用区分ごとの受験資格をお見せします。
[国家一般職の場合]
区分 | 受験資格 |
高卒程度 | 受験をする年の4月1日時点で、高校、中等学校を卒業した翌日から2年を経過していない者、卒業見込みの者 |
大卒程度 | 22歳以上31歳未満 |
経験者(係員級) | 年齢が40歳未満の者(2022年5月現在では、ここ数年間は技術職のみの募集) |
[特別区(東京23区)の場合]
区分 | 受験資格 |
Ⅲ類(高卒程度) | 18歳以上22歳未満 |
Ⅰ類(大卒程度) | 22歳以上32歳未満 |
1級職(経験者) | 60歳未満で、職務経験が直近10年中4年以上※ ※同一企業での職務経験 |
2級職(経験者:主任) | 60歳未満で職務経験が直近14年中8年以上※ ※複数企業の経験年数を合算できますが、1社につき4年以上の職務経験が必要です) |
[横浜市の場合]
採用区分 | 受験資格 |
高卒程度 | 18歳以上22歳未満 |
大卒程度 | 22歳以上31歳未満 |
社会人経験者 | 31歳以上60歳未満で、職務経験が直近7年中5年以上※ ※複数企業の経験年数を合算できますが、2年以上の経験が必要です。 |
高卒、大卒、社会人経験者などの採用区分ごとに受験資格が異なることがおわかりいただけたでしょうか。
今度は、受験する試験ごとの受験資格について、大卒程度試験をベースにご説明いたします。
受験先ごとの年齢上限
受験者が最も多い採用区分である「大卒程度区分」ですが、受験先によって年齢上限が異なります。
現役大学生の方であれば、あまり気にすることではないとしても、既卒者の方であれば、年齢によって受験できる試験が変わるので要注意です。
まず、国家公務員ですが、大卒程度区分の年齢上限は、一般的に30歳で統一されています。
問題は地方公務員です。国家公務員とは比較にならない数の自治体があり、自治体ごとに年齢上限が異なります。
全国の県庁・政令市については、それぞれ以下のような年齢上限が設定されています。
年齢上限 | 自治体・区分 |
25歳 | 大阪府(22-25)、大阪市(22-25)、佐賀県(特別枠)、大分県(特別枠)、鹿児島県(特別枠) |
26歳 | 滋賀県(アピール試験型)、京都府、京都市(京都方式)、岡山県(アピール型)、広島県(事務B) |
27歳 | さいたま市、兵庫県、神戸市、愛媛県(事務B) |
28歳 | 千葉市、新潟市、浜松市、堺市 |
29歳 | 札幌市、青森県、茨城県、栃木県、群馬県、東京都Ⅰ類B、川崎市、長野県(行政B)、岐阜県、愛知県、三重県、石川県、奈良県、島根県、広島県、広島市、山口県、香川県、高知県、福岡県、福岡市、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
30歳 | 北海道、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、新潟県、静岡県(行政Ⅰ)、静岡市、名古屋市、京都市、岡山県、岡山市、北九州市、福岡市 |
31歳 | 東京都Ⅰ類A、特別区Ⅰ類 |
32歳 | 三重県、熊本市 |
34歳 | 岩手県、秋田県、福井県、滋賀県、大阪府(26-34)、大阪市(26-34)、愛媛県 |
35歳 | 宮城県、仙台市、福島県、千葉県(行政B)、相模原市、山梨県、長野県、静岡県(行政Ⅱ)、富山県、和歌山県、鳥取県、熊本県、沖縄県 |
36歳 | 徳島県 |
39歳 | 山形県 |
40歳 | 静岡市(創造力枠)、岡山市(特別枠) |
59歳 | 千葉市(行政B) |
同じ自治体の中に「行政A」「行政B」あるいは「行政Ⅰ」「行政Ⅱ」、「特別枠」のように、複数の採用区分を設けている自治体もあるため、「受験可能な自治体」に加えて「受験可能な区分」まで確認が必要となります。
市役所については800近くの自治体があるので、全国の実施データをまとめたPDFをご覧いただけばと思います。

受験資格の「読み方」について
パターン➀ “経過”という言葉の捉え方
公務員の試験案内に記載された受験資格は、慣れている人でも解釈に迷うことがあります。
例えば、国家一般職(高卒程度)の受験資格は、「受験をする年の4月1日時点で、高校、中等学校を卒業した翌日から2年を経過していない者、卒業見込みの者」と記載されていますが、一度読んだだけでは理解が難しいですよね。
これをかみ砕くと、「中学を卒業した日の翌日(つまり4月1日)から2年を経過」するのは、高校3年生の4月2日となります。(経過という言葉が入ることによって混乱してしまいますが、ちょうど2年目にあたる4月1日は「経過していない」、4月2日は「経過した日」ということを意味しています)
つまり、高卒程度試験は高校3年生になれば受験できることになるのです。(普通に考えると、卒業と同時に就職するので3年次に受験するのが当然、とも考えることができます)
パターン② 起算日の捉え方
社会人経験者試験によくある「職務経験年数」については、どの時点で満たすかが受験先によって異なるので要注意です。
例えば、特別区の1級職については「直近10年中4年以上の職務経験」が受験資格に含まれていますが、いったいどの時点で4年を満たせばよいのでしょうか。
特別区の試験案内では、このように表記されています。
試験を行なったのは令和3年9月ですが、ここで「令和4年3月31日現在」と表記されています。
つまり、9月に試験を受験している時点では3年5か月しか職務経験年数がない人でも、翌年の3月31日まで仕事を続けていれば、後付けで受験資格を満たすことができるのです。
これは、大学在学中に受験をしている人に対して「大学卒業見込み」という表現を用いるのと同じです。
逆にいえば、もし合格できたとしても間違って3月30日に退職となってしまった場合は、受験資格がないということで内定が取り消されてしまうことになります。
「自分はいつから受験できるか」ということを考える時に、よく試験案内を確認しておかないと、「今年はまだ受験できない」と勘違いしてしまって受験チャンスを逃してしまうことになるので、ぜひ知っておいてください。
また、職務経験年数のカウントについては自治体によって異なる点も要注意です。
横浜市の経験者試験では「31歳以上60歳未満で、職務経験が直近7年中5年以上(複数企業の経験年数を合算できますが、2年以上の経験が必要です)」と記載されていますが、加えてこのような条件があります。
試験が行われる令和3年6月30日時点で5年以上ということが書かれていますので、特別区と異なり、職務経験年数は後付けでカウントすることはできません。
パターン③ 学歴要件の捉え方
一般的に公務員試験は学歴不問とされていますが、判断に迷うことがあります。
それは、試験案内の受験資格を見ると以下のような表記がされているからです。
国家一般職の大卒程度試験では、このように書かれていますが、「人事院がこれらの者と同等の資格があると認める者」という言葉には「大卒レベルの試験を受験して合格できる人」が“同等の資格があると認める者”に該当しています。
つまり、筆記試験で合格できる人は大学を卒業した人と同じ学力水準を満たしているので、結局のところ学歴不問ということになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
公務員試験の受験資格は複雑でわかりにくい側面も持っていますが、調べ方や読み方さえわかれば、自分が受験できる試験かどうかが確認しやすくなります。
もちろん、ここでご紹介をした試験はあくまでも一例ですので、専門職や資格免許職、試験区分によっては判断が難しいケースもあると思います。
今回の内容を踏まえたうえでご不明な点があれば、ぜひお気軽にクレアール公務員相談室までお申し付けください。

この記事を書いた人
クレアール公務員相談室アドバイザー タニオカ
公務員試験の受験に関して、3,000件以上の相談実績を持つアドバイザー。「公務員 転職ハンドブック」「公務員試験 入門ハンドブック」などの執筆も担当。
