公認会計士合格体験記「スポーツで一流を目指していた方々へ」後沢 広大さん

学習スタートから合格までの軌跡

2020年 3月 競技引退と同時に簿記3級から勉強開始
2020年11月 日商簿記2級→不合格
2021年 2月 日商簿記2級→合格
2021年 6月 日商簿記1級→不合格
2021年11月 日商簿記1級→合格
2021年12月 短答→不合格(お試し受験)
2022年 5月 短答→不合格(得点比率65%)
2022年12月 短答→合格(得点比率75%)
2023年 7月 他校論文模試E判定
2023年 8月 論文式試験→合格(得点比率52.15)

目次

<公認会計士を目指したきっかけ>

私は高校、大学、社会人と陸上競技の長距離種目に打ち込み、学生時代には箱根駅伝、社会人時代には企業の実業団選手としてマラソンやニューイヤー駅伝といった大会に出場していました。
競技を引退する際、私はこれまで競技しかしてこなかったので、その後の自身のキャリアにかなり不安になりました。職場の同僚は仕事で成果を出し始め、中には海外赴任をして活躍している人もいました。そんな中、私も何かスキルを身につけなければ!と思い、まずは簿記の勉強をしよう、と発起して勉強を開始しました。

<クレアールを選んだ理由>

学習を開始して半年ほど経った頃、日商簿記2級を受験して不合格になりました。勉強の進捗は順調で、受験前は合格する気満々だったので、かなりショックでした。ちょうどその頃、クレアールで日商簿記1級+公認会計士講座がセットになった学習プランがあり、その講座で特待生を募集している記事を見つけました。「公認会計士になったら」というお題で400文字程度の作文を提出するものでした。私はそこで、自身の競技のことを書き、公認会計士という立場からスポーツを応援したい、と書いて提出しました。すると、すぐにクレアールから返事があり、苦しい練習に取り組んできた後沢さんなら必ず公認会計士の勉強も乗り越えることができるから、是非クレアールの講座を受講してほしい!と背中を押されたのがクレアールを選んだきっかけです。また、この時に初めて公認会計士を目指そうと思うようになりました。

<大まかな勉強スタイル>

公認会計士試験と聞くと、毎日10時間以上勉強する、というイメージを持っている方もおられ、ハードルが高いように思うかもしれませんが、それは短期合格される方です。私は最後まで働きながら勉強していたので、平日はまず時間の確保ができませんでしたし、休日も10時間勉強した日は1度もありません。「継続すること」が何より重要です。

簿記1級に合格してからは、平日5時間、休日7~8時間勉強して、毎週40時間を目安に勉強を継続していました。このスタイルは論文試験の直前期でも同じでした。朝は5時に起きて1時間半勉強し、会社に早めに行って自身のデスクで1時間ほど勉強しました。会社の休憩時間に1時間勉強し、会社が終わってから1時間半ほど勉強して、平日は大体5時間勉強しました。本当にその繰り返しです。
ですが、簿記3級、2級の段階で毎週40時間も勉強しようと思ってはダメです。自身のレベルが上がっていくにつれ、勉強範囲が広くなり、自然とより多く勉強しないと間に合わなくなりますから、それに応じて勉強時間を増やしていけば良いと思います。私も簿記3級の勉強を始めた時は、毎日勉強できませんでしたし、1時間勉強するのもやっとでした。自然と勉強する習慣が身に付くので心配しなくても大丈夫です。そういう意味でも、まずは簿記1級の合格を目指し、その後、公認会計士試験へ臨む非常識合格法は、段階的にステップアップできるので遠回りのようで効率的で、勉強も継続して取り組むことができると思います。

<科目別勉強法>

日商簿記1級取得まで

私は、1級の学習を始める時期くらいで公認会計士試験を意識し始めました。ですが、1級に合格するまで、公認会計士試験の学習は一切していません。とにかく、1級の合格を最優先に取り組みました。結果的に簿記を集中的に学習する時間を設けることができ、最後まで計算力には自信を持てるようになりました。

公認会計士を目指すうえで、簿記2級、1級は通過点のような位置づけですが、だからと言って決して合格することは簡単ではありません。現に私は2級、1級共に1回ずつ不合格を味わっています。そのため、学習する心構えとしては、最初はできなくて当たり前、というスタンスが学習を継続させるコツかなと思います。日商簿記検定は普通に難しいです。2級は以前と比べて範囲が広くなっていますし、1級は一癖も二癖もあるような問題が出題されたりします。そのため、最初は問題が解けなかったり、覚えることができないことが多々出てくると思います。そこで悩んだり自信を失くすのではなく、クレアールの基礎レベルの例題を繰り返し何度も解きましょう。簿記は基礎基本が本当にすべてだと思います。これは財務会計論の計算問題でも言えることですが、答練などの応用問題に気を取られ、基礎基本が厳かにならないようにくれぐれも注意してください。簿記で点数が伸びない方は、上記のような状況に陥っている方が大半なのではないかなと思います。解く問題を広げる必要はなく、同じ問題で全然構いませんから、基礎基本を徹底して取り組むようにしてください。

財務会計論

計算は簿記1級の勉強を進めている方であれば、土台はできているので、本試験の形式に慣れてしまえば大半をカバーできるはずです。ただ、やはり全てを網羅しているわけではないです。私は特に、企業結合会計は当初、全然解けませんでした(特に連結仕訳)。ですが、テキストの基本的な例題を何度も解くことで頭に叩き込みました。企業結合会計に限らず、簿記1級、公認会計士講座テキストの例題の問題を完璧にしておけば、短答、論文共に本試験の問題も十分に対応できます。答練を解き、間違えた問題はテキストに戻って例題を完璧にする、その繰り返しです。その意味で、基本的な例題が詰まっているクレアールのテキストは本当にお勧めです。また、直前期は計算の復習をするのが大変です。そもそも、自分がどの論点が抜けているのかわからなくなります。普通に既に解いた答練を解くのはあまり時間効率が良くないです。そのため、私は、短答過去問題集の各分野の見出しの見開きページに「引っかけ一覧表」なるものを作り、間違えた部分や引っ掛かりそうな論点が見開きでわかるようにまとめたものを作りました。例えば、リースなら、使用する利率や維持管理費用の扱い、貸手の処理、など直前期でぱっと見で見直せるようにまとめます。作るのも問題を間違えたときや思いついた時に書くようにすることで、そこまで時間をかけずに作れましたし、直前期には効率よく論点の見直しができました。短答の勉強時に作ったのですが、論文でもそのまま生かすことができました。

 短答の理論は実力養成問題集と答練の問題を繰り返しスピーチして覚えました。実力養成問題集は、ボリュームに欠ける部分があったので、テキストの文言や過去の答練、本試験過去問題など自分で書き足して、こちらもぱっと見で復習ができるようにまとめました。私は理論の点数が最後まで伸びなかったのですが、繰り返し問題を解いて、みんなが解ける問題は必ずとる、という思いで、とにかく基礎を徹底することを意識して勉強しました。論文は、時間に余裕がなかったので、テキストの読み込みはできず、答練中心に学習しました。論文では、なんとなく問題を見たことあるかどうか、で答案の出来が全然違います。答練を中心に繰り返しスピーチ練習していましたが、関連する分野はテキストをパラパラめくって正確性よりも多くの問題を見るようにしていました。

管理会計論

 計算は簿記1級で十分です。本番まで答練を繰り返し解くことで、スピードと精度を高めてください。管理会計でも、直前期に見直しできるよう、論点の一覧表のようなものを作成していました。理論は、短答は原価計算基準の読み込みが重要です。過去問や答練で出題された箇所は重点的に押さえると良いと思います。論文は、理論問題集のAランク論点はスピーチである程度精度を高めて覚えていました。管理会計は短答、論文共に、本当に時間が足りません。ですが、大切なことは早く解くのではなく、正確に解くことです。特に短答は選択肢のない答えが出てしまうとかなり焦ります。丁寧に時間をかけて解いた方がよかった、となることが多いと思うので、スピードよりも正確性を重視していきましょう。簿記1級まで取得していれば、スピードも他の受験生よりも早く、それだけでアドバンテージです。自信を持って臨みましょう。

監査論

短答では、答練や過去問でなんとなく合ってた、点数がとれた、で終わらせないことだと思います。〇肢、×肢それぞれにきちんと根拠がありますから、選択肢の1つ1つを丁寧にテキストや監基報(監査基準委員会報告書)をあたって、本番で自信を持って正誤判別できるように仕上げていくのが重要だと思います。短答では、部分的な論点ばかりを局所的に覚える、という傾向になりがちなので、監査の全体像や体系を掴みにくいと思います。そこで、ある程度力がついてきた方は、短答の勉強している段階でも、論文式答練や本試験過去問題の事例問題、論文対策講義を見てみると良いと思います。具体的な事例設定がされていて面白いですし、講師の先生の解説動画も監査の考え方に触れることができて参考になります。

論文では、答練の問題をスピーチで繰り返していました。論文では、「なぜ?なんで?」この手続きや考えが必要なのか、考えてみると良いと思います。問題解決の手法に「なぜなぜ分析」というものがあります。「なぜ?」と質問を繰り返して根本的な原因を明らかにする手法です。監査論の論文試験では、監査の本質を問うような問題が出題されることがありますから、なぜなぜ分析のような問いを繰り返し、論点の本質を考えてみると良いと思います。わからなければ電話やメールで質問しましょう。

企業法

 条文の文言に当たるのが本当に大切です。また、すべての基礎講義を2周し、山本先生がここは重要!と言ってた箇所は必ず印をつけ、その日のうちに覚えました。短答までは、答練よりも実力養成問題集を繰り返し見ていました。実力養成問題集に自分なりに情報を書き加えたりして、直前期の復習にも役立てました。

 論文は、短答と違い、条文の趣旨を覚えることが重要です。判例は覚えるのは当然として、なぜ、そのような判例なのか、条文の趣旨に立ち返って本番では答案を書きます。趣旨は法令基準集には記載されていませんから、論文講義で山本先生がここは覚える!と言ってた箇所はスピーチで正確に覚えました。企業法の論文試験特有の三段論法については、テキストを見るだけでは掴めない部分が多々ありますから、論文講義を丁寧に聞いて、なんでこのような文章構成になるのか、講義をしっかり聞いてコツを掴みました。実際に書いて問題を解いたのは答練だけで、論文テキストなどの問題はスピーチして判例の考え方や趣旨を覚えるようにしました。

租税法

 私は12月の短答に合格するまで、租税法の勉強は一切していませんでした。ですが、クレアールの要点を押えたテキストや答練であれば、十分に8月の論文に間に合うので、そこは心配しなくても大丈夫です。クレアールの租税法のテキストは、出題可能性の高い論点から学習していく構成になっており、非常識合格法の最たるものだと思います。一通り講義を受講して、マスター答練、応用答練を何度も解きました。逆に言うと、それ以外のことはやっていません。強いて言えば、直近の本試験問題には触れておいた方がよいと思います。私は時間的に間に合わず解けませんでした。短答直後は租税法、経営学の勉強の割合を増やし、いち早く全講義を視聴して答練演習に入った方がいいかなと思います。学習の順番は、法人税テキストⅠが終わったら法人税テキストⅡに進むのではなく、所得税、消費税に進んだ方がいいと思います。法人税はテキストⅠに出題可能性の高い論点が敷き詰められていますから、最優先で学習し、テキストⅡは後回しです。テキストⅠを完璧にするだけで法人税は十分に得点できます。所得税、消費税は税額を算出するまでの「計算の流れ」を掴むのが重要です。一通り講義、答練を終えた後は、難しすぎないレベルの総合問題を何度も解いて、計算の流れを頭に叩き込みます。流れを掴むことが目的なので、複数の総合問題に手を付ける必要はありません。自分が最適だと思った1問でいいです。過去の本試験問題でもいいですし、テキストの巻末にあるような総合問題や他校で受講した模試でもいいかもしれません。また、本試験では法令基準集が配布されるため、基準集に記載がないため暗記すべき事項と、基準集に載っている場合はどこに記載されているか、の2点を区別して覚えるといいと思います。

経営学

 経営学には、大きく分けて経営管理論と財務管理論の2種類があります。クレアールでは、まず経営管理論の講義が配信され、その後、財務管理論の講義が配信されます。私はその流れの通り、経営管理論の講義を受講後、財務管理論の学習へ進んだのですが、これが間違いでした。2つはできれば同時並行で学習するか、財務管理論を優先して学習した方がいいと思います。理由は、経営管理論は用語の暗記が中心で、直前期に一気に覚えた方が効率的な一方で、財務管理論は計算がメインとなるからです。財務管理論は、管理会計と重複する部分があり、取り組み易いと思いますが、それでも計算に慣れるには時間がかかります。そのため、早い段階から財務管理論の計算問題を答練中心に解いていくのが良いと思います。私はそのような形で学習しなかったので、財務管理論の学習のスタートが遅れてしまい、直前期で大変苦労しました。計算部分は何とか本試験までに戦える所まで持っていけましたが、その分、経営管理論が厳かになってしまい、両者とも直前講義や過去問の学習まで手が回りませんでした。

<クレアールで学習してよかった点>

私は3.5年セーフティコースで学習しました。公認会計士試験は長期戦です。ここまで長い期間面倒を見てくれる学校は他にないと思います。焦らず、自分のできるペースで学習を継続することが合格の秘訣だと思いますから、そういった意味でも私はクレアールを選んでよかったと思っています。
また、ずっと通信講座で学習するので、合格祝賀会で実際に講師の先生方とお会いできたときは感動しました。同席した合格者の皆さんとも仲良く歓談することができ、とても楽しかったです。

<最後に、スポーツに一生懸命取り組んできた方々へ>

私のように、スポーツに一生懸命取り組んできたものの、その後の就活や将来のことに不安になる方は、少なくないのではないでしょうか。私も競技の引退を迎えた時は、今まで競技に費やした時間は無駄だったのかもしれない、と悩んだ時期がありました。でも、それは違います。競技で結果を出すことは、体力と忍耐が必要で、どんな競技でも何年も継続して努力を惜しまず取り組まなければなりません。そう言った意味で、スポーツに一生懸命取り組んできた方は、公認会計士試験の勉強において、大きなアドバンテージになると思います。普通の方よりも1つのことを継続する、という点において優れているはずです。苦しい練習を必死に乗り越えた方であれば、公認会計士試験の勉強も乗り越えることができるはずです。
私と同じような境遇の方が、私の合格体験記を読んで公認会計士試験に挑戦する、という新たな一歩を踏み出す一助になれたら幸いです。

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