公認会計士合格体験記「社会人として試験に臨む非常識な合格法」吉岡 祐斗さん

学習スタートから合格までの軌跡

2016年 6月 日商簿記3級⇒合格(97点)
2016年12月 公認会計士試験学習開始
2017年12月 第Ⅰ回短答式試験⇒不合格
2018年 5月 第Ⅱ回短答式試験⇒不合格
2018年12月 第Ⅰ回短答式試験⇒不合格・学習撤退
2020年 2月 日商簿記2級⇒合格(88点)
2020年 4月 一般企業(鉄道会社)就職
2021年 5月 公認会計士試験学習再開(クレアール)
2021年 6月 日商簿記1級⇒合格(90点)
2021年12月 第Ⅰ回短答式試験⇒合格(76.8%)
2022年 8月 令和4年度論文式試験⇒仕事のため欠席
2023年 1月 鉄道会社を退職・監査法人に転職(受験生採用)
2023年 8月 令和5年度論文式試験⇒合格(偏差値総合得点:59.75(143位))

目次

<公認会計士を目指した理由・きっかけ・動機>

もともと金融系の仕事をしたいと、当時理系コースだった私は経済学部に進学するため文系コースに移籍し、無事経済学部に進学しました。2回生から各専門分野のゼミに所属するのですが、将来どのような選択肢を取るとしても会計専攻で勉強することがベストと判断し、会計系のゼミに所属しました。しかし所属したゼミの担当教授が企業会計審議会の会長を歴任されるほどの教授であり、また同級のゼミ生が最終的に9人中7人が会計士になる(全員一発合格)という会計士に特化したゼミであったため、将来の選択肢を増やすというメリットも含めその流れに乗る形で公認会計士の勉強を始めました。
しかし、大学生時代に行っていた塾講師の仕事が非常に楽しく、並行して行う形となった会計士の試験勉強に集中できなかったのもあり短答式に3回不合格、一旦撤退して鉄道会社に就職することとなりました。ところがコロナ禍による業績悪化、また会計士に未練があったこともあり、会社員生活を続けながら再度公認会計士をもう一度目指すことになりました。
友人の紹介もあって、2023年の1月付けで監査法人の受験生採用制度(トレーニー採用)で転職し、法人のバックアップを受けつつ受験勉強をしていきました。ただ、論文直前2か月は試験休暇がもらえるため勉強に専念できたものの、それより前の期間は諸事情で1日平均2時間程度の勉強しかできませんでした。

<クレアールを選んだ理由>

主に2点です。

・トータルセーフティコースの存在
受験料の予備校による負担、また一発合格すれば実質予備校代全額返金という初見時では衝撃的な内容のコースは、経済的にもメリットが大きく、また早期合格のモチベーションにもなりました。

・通信講座に特化している
予備校校舎が集積している地域からは遠いところに住んでいたこと、また鉄道会社に勤務しながらの学習であり、通学することは難しい状況でした。そこで通信講座をリーズナブルなスタイルで受けられるクレアールに惹かれました。

<具体的な学習方法>

※社会人受験生であり、かつ家庭の都合で1日の勉強時間が平均2時間以下の期間も長かったため、時間が相当に限られていたことから、インプットよりもアウトプット重視の勉強を短答・論文ともに行いました。講義は基本2倍速程度で流して全体像を把握するだけとし、答練等の演習ベースで、間違えたところの復習を手厚くする形で最後まで進めました。

⓪大学時代の会計士試験勉強の下地作り(計算分野)

大学時代、上記経歴の通り短答式試験には合格できなかったものの、当時の予備校の方針通りに「計算を重視」した勉強をしていました。テキストの例題・問題集・答練を中心に解き、不合格であったものの計算の部分については3回目の短答式試験で合格点ボーダー程度の点数までは到達していました。この下地が、勉強復帰後の学習の基礎部分になったと思っています。

計算の強化は会計士試験の戦略上短答式・論文式ともに優位に立てますので、クレアールの簿記のテキストをがっちり身に付けるよう何度も解きなおして自分のものにしてください。理論の勉強はある程度計算の実力が積みあがってからで構わないと思います。

  • 簿記検定対策時(1級)

クレアールのコースでは簿記の資格取得が会計士試験までの延長線上に位置づけられているので、まず最初の目の前の目標としました。大学時代の学習時の下地があったので、クレアールのカリキュラムの簿記のテキストを用いて講義を視聴、テキストの例題を解くという対策で計算分野の思い出しをした結果、無事比較的高得点で合格することができました。

②短答式試験対策

⑴財務会計論=144点/200点

㊀計算(簿記)

ネット上では諸説ありますが、先述の通り、会計士試験で必要な計算の水準は簿記1級の延長線上にあると考えます。そのため、簿記1級のテキストを参照しつつ、クレアールが提供してくださった過去問演習をしました。特に私は当時、連結会計と企業結合/事業連結が苦手だったため、この分野の講義を直前期に再度見直し、基礎的な問題だけは解けるという状態まで引き上げた上で本番に臨みました。

㊁理論(財表)

非常に範囲が広い為、理論で一番対策に時間をかけた気がしています。社会人受験生ですので講義を丁寧に見返すことはできず、演習ベースで学習を進めることにし、問題集を4~5回転させました。特に意識したのは、計算分野とリンクさせながら「理解」することです。ある計算のルールは理論においてこのような考え方があるからこそこのように制定されている、という形です。といっても財務諸表論については複数の考え方にそれぞれメリットデメリットがあり、比較衡量したうえで採用されている制度というものも多い為、ある程度の暗記は必要です。

⑵管理会計論=90点/100点

㊀計算

管理会計論の計算分野は昔から得意だったので、簿記1級の勉強の他は、短答の過去問を1周だけしました。計算の勘を鈍らせないよう、毎日最低1問はノルマとして解くように意識していました。ちなみに、結果として計算問題は全問正解していますが、適当にマークしたのが2問たまたま当たっているのが混ざっています。

㊁理論

原価計算基準だけは毎日読み込んでいました。振り返ると良くなかったと思いますが、対策と点数のコスパがあまり良くないと感じたため、それ以外の理論分野はほぼ対策はなしで突っ込みました。

⑶企業法=65点/100点

短答の科目の中で最後まで苦労した科目です。山本先生の講義動画を全て見て全体像を俯瞰した後、過去問をぐるぐる何周も対策しました。企業法は過去問が肢単位でみると繰り返し出ており、クレアールのテキストでは過去の出題実績が一目瞭然なので、重点的に知識として持っておくべきところに特化して暗記していきました。ただ、本番はなかなか難しかったです。。

⑷監査論=85点/100点

企業法と同様、肢単位でみると過去問が焼きなおされて何回も出題されますので、講義動画で全体像を把握した後は過去問を繰り返し解きました。ただ、試験直前期まで問題セットによって点数が大幅に乱高下する状況だったため、本番には不安を抱えながら臨みましたが、本番では結果として過去問で見た問題が結構数多く有り、それが功を奏して本番では比較的点数をとることができました。

③論文式試験対策 各問の数値は偏差値換算

⑴財務会計論=総合65.43(第3問:72.3  第4問:58.5  第5問:66.5)

財務を制する者は論文式試験を制するとはまさに真理だと思います。

㊀計算(簿記)

財務会計について、論文式試験で必要な計算スキルは短答式試験に少し毛が生えた程度なのかなと思います。しかし、連結系の問題がかなり比重高く出ること、そして短答と同様論文式試験の合否を最も左右するのが財務計算だと思っているので、捨て論点を作らないことを意識しました。連結はかなり得意といえるような状態まで持って行けましたが、相変わらず企業結合/事業分離は最後まで穴といえる状況のままでした。本番ではがっつりは出なかったため助かりましたが、春くらいまでには得意と言える状況にしておけば盤石かと思います。直前期はなかなか計算の実力を上げる時間を割くことは難しくなってきます。

論文式試験では計算力はある程度の勘というものがあるので、短答式試験が終わったあとも継続して定期的にメンテナンスが必要と思い、なるべく毎日1問以上は問題を解くようにしていました。そして直前期については、時間がかかりますが毎日大問1問解くようにし、他の受験生にある程度アドバンテージを取れることを目標に頑張りました。

㊁理論(財務諸表論)

通勤の電車内では、クレアールの問題集をやると決めていました。最終的には本番までに5~6周くらいしたと思います。特に手を動かして記述練習をするというよりは、問題を見れば書くべき答えの方向性がわかるという状態を目指し、全問題に目を通しました。やはり財務会計が最も大事な科目であることはゆるがないため、この科目に関してはそこまで優先度の強弱をあまり意識することなく、問題集に盛り込まれている全ての論点について頭に入れるよう意識しました。また答練についても別途しっかり取り組み、間違えたところはノートにまとめ、問題集と同様穴を作らないよう全体的に記憶できるよう繰り返し回転させました。テキストについては参考程度にしか使っていません。

⑵管理会計論=総合60.15(第1問:61.0  第2問:59.3)

財務会計と同様、いやそれ以上に、必要とされる計算スキルは簿記1級・短答式試験とほとんど変わらないと思います。資料の量は増えるので一見解くことが大変に見えますが、冷静になってみると短答式レベルの問題の寄せ集めにすぎないこと、そして代わりに小問ごとに分かれているので、最後の小問まで解ききれなくてもある程度の点数は確保できます。計算については毎日1問は問題を解くようにしていました。

ただ、理論部分については自分の言葉で記述する必要があるため、短答プラスアルファの勉強が必要となりますから、問題集の重要度の高い問題は的確に書けるようにするとともに、答練でできなかった問題をまとめて空き時間に簡単に復習できるようにしました。しかし、近年は計算をして出てきた数値を用いながら記述する問題が大幅に増えてきており、計算問題と理論問題の垣根が低くなってきているので、やはり計算重視で勉強を進めるべきかと思います。

⑶企業法=総合51.15(第1問:50.7  第2問:51.6)

短答式とは完全に別物の科目と言っても過言ではないです。答案の書き方にはいわゆる「型」があり、この型に従って答案を書く練習を積む必要があります。そして型を守りながら論理展開をするときの道具として、脳内に溜めておいた問題集の典型論点を使う・応用させるというイメージです。クレアールは企業法に特に強いと感じており、論文対策問題集の各種論点を頭に入れ、関連条文が会社法の中のどこにあるかを大まかに言えるような状態を目標に勉強しました。社会人受験生で勉強時間も相当限られることから暗記量をなるべく増やしたくなかったため、これは何条だ、みたいなことはあまり覚えることなく(423条など頻繁に出てくるものはいつの間にか頭に入ってしまいますが)、問題集の論点の内容に絞って頭に入れることを意識しました。7月に行われた直前の外部模試では偏差値39.95をたたき出し足切りという非常に焦る結果となっていましたが、それ以降本番まで企業法に半分くらいの時間を割き、脳内の論証のストックを増やすべく頑張った結果、なんとか及第点の点数までは確保できました。

⑷監査論=総合56.00(第1問:55.8  第2問:56.2)

監査論は、正直最後まで自分なりの勉強法が見つからず、既に監査トレーニーとして働いていたことによる実務のイメージを膨らませながらテキストを読み込み、答練で問題の出題方法・雰囲気を知り、外部で調達した問題集で少しだけ答案作成練習をするという対策だけで本番に臨むことになってしまいました。時間もなくちゃんと勉強したという自覚があまりあるとは言えないため、他の方の記述を参考にしてほしいと思います。

⑸租税法=総合61.70(第1問:58.5  第2問:63.8)

租税法には第1問理論と第2問計算がありますが、理論については直前の勉強である程度どうにかできます。ただ、計算については財務や管理と同次元に重要であり、ここを固めることこそが論文の勝算につながると考えています。計算を固めることによって租税法の大枠を知ることができ、それが自ずと理論の点数にもつながっていく感覚です。

私の場合大学時代に租税法はほとんど手を付けておらず、勉強再開後ほぼ1からのスタートとなったので、本試験までかなり租税法の勉強に時間を割きました。山幡先生の面白い話を絡めた講義により租税法の背景も含めて学ぶことができ、その後の計算演習も効果的に勉強できたと感じています。

模試も含め、最終的にそこまで得点源となるような科目にはなりませんでした(模試ではいつも偏差値50以下。本番はたまたま上手くハマったような感覚でした)が、答練の内容を何度か解きなおし計算を頭に沁みつかせることで、十分戦える水準の実力を身に付けることができました。

⑹統計学=総合58.45(第7問:58.6  第8問:58.3)

中学・高校時代、数学が圧倒的に得意科目であったこと、そして覚えることが圧倒的に少ないことから、選択科目は統計学一択でした。クレアールを選んだのも、統計学の講義があったことがひとつの理由になります。

私は企業法でもそうなのですが、暗記することがそこまで多くない科目については、覚えるべきことをノートにまとめて一覧のようにして勉強する派です。統計学については、覚えるべきことがA4の用紙2枚表裏に収まってしまうのでそれを丸暗記するとともに、あとは計算問題のパターン(これも数えるほどしかありません)を手が覚えるまで何回も解くようにしました。企業法と同様、本試験問題の答案の書き方には「型」があるため、それを決して崩さないよう記述する練習を行いました。答練で出てくるシグマ等数学チックな問題は、正直本試験ではほとんど出ないのでそこには目をつぶり、数値を出す系の計算問題の練習を重視して徹底的に行いました。

<クレアールで学習して良かった点>

非常識合格法に沿って重要なところに絞ったテキスト・講義であるため、端的に短い時間で試験範囲の全体像をまず俯瞰することができました。その後、答練等の内容を肉付けしていく形で、本番の試験で戦うために必要な準備をすることができました。
受験生目線、試験範囲が非常に広いこの試験では、学習していない範囲が出たらどうしようと不安になる気持ちになるのもわかりますが、クレアールで学習できていない範囲は基本的に他の予備校でも対策が手薄になっている内容であり、基本的に差はあまりつきません。全範囲を網羅的に学習するよりも、予備校が重要と判断する部分のみを確実に身に付け、本番で答案用紙に確実に反映させる練習に特化することが、最も有効な戦略だと確信しています。

<最後に>

大きなブランクはあったものの、公認会計士を目指しだしてから7年もかかりました。その間紆余曲折ありましたが、初志貫徹できたことは自分の人生の中でも大きな自信になりました。一度目指すと決めた方は、自分を信じて最後までやり切ってほしいと思います。

最後に、合格まで導いてくださったクレアールの先生方、大学時代の予備校の先生方、そして7年間も振り回した妻、両親、親戚の皆さん、ありがとうございました。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します。

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