公認会計士合格体験記「3回の短答不合格を経て最後まで走り続けた論文合格」宇佐神 カナさん

学習スタートから合格までの軌跡

2019年 8月 簿記3級から学習開始
2019年11月 日商簿記2級⇒合格
2021年 2月 日商簿記1級⇒不合格
2021年 5月 短答式試験⇒不合格(54%/62%)
2021年12月 第I回短答式試験⇒不合格(61%/68%)
2022年 5月 第II回短答式試験⇒不合格(72%/73%)
2022年12月 第I回短答式試験⇒合格(80%/71%)
2023年 8月 論文式試験⇒合格:偏差値56.2

※()内は(短答式試験自己採点の得点率/その回の合格得点率)

目次

<公認会計士を目指した理由・きっかけ・動機>

2019年大学2年生の春学期に、経営学科の原価計算論という授業を受けました。その授業は実際に工場の生産データを摸したExcelのデータを関数を使って集計し、最終的に損益計算書を作成する実践的な授業でした。私はこの授業は選択科目で必ず受ける必要はなく、たまたま時間が空いていて入れた1コマでしたが、ここで初めて会計を知り、単なる情報の羅列が経済的価値のある情報となっていく様がとても面白く、会計・経理の道で生きていきたい!と急に思い立ちました。そしてその次の夏休みである2019年8月に、クレアールの4年セーフティーコースに申し込みました。それから4年経った今でも、この資格と職種を目指した事に後悔はありません。
それまで漠然と来年度にやらねばならぬ就活に悩んでいた中、急に来た転機でした。

<クレアールを選んだ理由>

私は当時結構ガッツリとサークル活動をしていた(学科期間は週4、長期休みは週6で午前練習がありました)ので、定期的に授業のために予備校に通うことは不可能でした。また、それを理由にサークルを諦めることも考えていませんでした。仕事のための勉強は最悪いつだってできますが、サークル活動は大学生でしかできないからです。(そのせいで在学中は勉強に専念しておらず、短答合格が卒業後なわけですが…)

また私は、大学受験も塾に行かず参考書を買ってほぼ独学で取り組むくらい、授業を受けるのが苦手でした。もっと早く進めて欲しいポイント、引っかかるポイントは必ずしもみんな一緒ではないからです。そのため、予備校を選ぶポイントとして、
①予備校に実際に通わなくても良い
②授業を受けなくとも必要な事項を全てテキストに書いてくれている
の2点を軸に選びました。

クレアールは、①については完全通信講座なのでぴったりでした。②についても実際にお話を伺いに行った時に、ご担当いただいた方が「必要だと思う部分だけ見てくれれば良い。一切見なくてももちろん大丈夫」と仰っていて、2点ともニーズにぴったりだったため、クレアールに決めました。 非常識合格法についても、圧倒的に薄いテキストや無駄のない要点を絞った答練などのお話も伺い、効率的な勉強ができそうだなと感じて決め手の一つになりました。

<具体的な学習方法>

1.短答式試験 科目別勉強法

1-1. 企業法

計4回の短答式試験を受験する間に、企業法の全体を通しての通読は2回しました。
1回目は完全な初学のとき、そして2回目は最後の短答受験のときです。

短答の企業法は、最初は暗記科目だと思っていました。知っていれば解け、知らなければ解けないものであると思っていました。そのため、初学で一度テキスト全編を蛍光ペンでアンダーラインを引きながら読んだ後、一問一答形式の問題集による勉強をしてしまっていました。
短答式は〇×ですから実際知っていれば解けるのですが、一問一答による完全に暗記に頼った方法では、「文言が違っても実際に問うている本質は同じ」問題に対処できません。また、一問一答の問題集は知識がゴリゴリと頭に入ってくるような錯覚に陥り、「勉強している感」が実際の勉強成果よりも感じやすい勉強方法だと思います。
その勉強方法をしていた頃は、答練の成績も振るわず、またはとてもムラがある状態でした。

そのため、あと1問というところで不合格となった短答式試験の後、もう一度企業法の理解を進める向き合い方をしよう!と2回目の通読を開始しました。
最初はまとめノートなども作っていたのですが、無駄に綺麗に作りたくなったり、そうでなくても純粋に時間がかかりすぎて非効率的でした。また、蛍光ペンアンダーラインで読み進めるにしてもダレてしまう事が多かったです。

そこで、初めて試しに映像授業を受けながらアンダーラインを引いてみることにしました。そうしたら進みが早い!2倍速で喋ってくださり、不要な箇所はばっさり説明を省くので、それについていくために自分でも取捨選択ができて無駄なアンダーラインを引くことが少なくなりましたし、総復習として全体の内容を理解する勉強に、授業はスピードを与えてくれました。
授業と共に通読が終わった後は、答練を解き、その問題自体が正解でも不正解でも全ての選択肢についてテキストを参照する勉強法をとりました。それによってその選択肢の記述に付随する部分も目に入りますし、体系的な復習ができていたと思います。

とはいえ、私が短答式試験に合格した際の企業法自己採点得点率は55%です。決して得意科目と言えませんし、この勉強法による暗記の網羅性が不十分であったことは言うまでもありません。改善方法として、頻出範囲だけでももう1回授業を聞いてもいいかもしれませんし、テキスト参照復習をもっと他の問題集まで広げてもいいのかもしれません。それは他の科目との兼ね合いといったところで。
しかしながら、私はこの勉強方法のおかげで論文式試験の企業法勉強時間をかなり短縮できたと感じていますので、後悔はありません。

1-2. 管理会計論

(計算)

短答試験の管理会計論は時間がありません。とても全ての計算を完答してから一息つけるものではありません。したがって、勉強自体は論文式も見据えて全編通して行っていましたが、実際の試験で解く問題は絞ろうと思っていました。
実際に私は総合原価計算は捨てました。それから、費目別計算も1つの知識不足で全滅したりケアレスミスが頻発するので、できる限り後回しにしてやるようにしていました。個人的に、管理会計部門よりも工業簿記部門の方が計算に時間がかかり、所謂タイパが低かったため、管理会計を全て見てから工業簿記に移るようにしていました。また、理論を全て解いてから計算を解くようにしていました。計算でわからないものが多いと思考が停止し、理論の文章が全然頭に入ってこなかったためです。理論はそうはいっても5点配点なので、前半で絶望を感じることは無くなりました。

こうした自分の特性に合った試験スケジュールを綿密に組んだ結果、合格した令和5年度第Ⅰ回試験では、埋没問題となりかけた問題に運良く一切触れず、それ以外の問題で高得点をとることができました。
勉強方法については、計算はただ実力養成問題集と答練をその問題を理解し解けるようになるまでやる。というシンプルなものですので、この科目に最終的に必要になるのは当日の戦略だと心から思っております。
時間が無い方は、解答時間がかかりすぎる分野の勉強自体を捨ててもいいかもしれません。よほどの管理会計論のプロでない限り、全ての問題を解くことは不可能です。

(理論)

短答式の管理会計論は、原価計算基準の暗記が鉄則です。理論問題8問中4問は出題され、そのほぼ全てが単純な暗記のみで対応可能だからです。私はネットから原価計算基準をプリントし、自分が読みやすいようにキーワードに蛍光ペンアンダーラインを引き、ちょっとした休憩や寝る前などに眺めるようにしていました。また、答練などで出題されて解けなかった場合にはアンダーラインを追加していきました。おかげでほとんど黄色に塗られてしまっていましたが…。

原価計算分野については、移り変わりが激しそうなので何とも言えないですが、何度か受験した身としては、カタカナの用語の意味をいかに知っているかにかかっていると感じていました。そしてクレアールのテキストは非常識合格法なため、より体系的な理解を促す重要な語句しか記載されておらず、それだけでは短答式には不十分だと感じ、答練などで出題している語句を集めた手書きのノートを作成していました。もちろんこの答練もクレアールのものですので、出題範囲の網羅が不十分というわけでは全くありません。テキストで説明されている語句とそれに付随する考え方・計算を理解したうえで、答練で1周しか見ない危険性がある語句も、自分でテキストのようにして覚えておきたいと考えたからです。
ちなみに工業簿記の頃から会計士試験の管理計算・管理理論に至るまで、一切授業は受けていません。工業簿記の時にテキストの基礎からやったような記憶があるおかげか、計算は最初から実力養成問題集に立ち向かっていました。

1-3. 監査論

監査論も企業法と同じような道を辿っています。しかし違うのは、早めに一問一答形式の勉強に問題を感じ、テキストの通読を何周もする方法に切り替えたことです。とはいえ、監査論の答練や本試験の結果は常に波がありました。直前の答練で90点なのに本試験では55点だった回はよく覚えています…。
結局、最後の短答試験に向けた勉強になるまで監査論をまるで理解していなかったように感じます。より正しく言えば、監査論という試験において覚えるべきポイントというのを押えられていなかったように感じます。

それを変えてくれたのは、映像授業でした。前述のとおり私は授業が得意ではありませんが、監査論はどの科目よりも基礎講義をしっかり受けることをお勧めします。なぜならば、監査論は普通に生きる人生でなかなか出会わない概念だからです。計算はある程度数学でやってきた感覚が活きますし、企業法は会社の話なので生活に寄り添ってはいないものの、日常の倫理のような感覚で、こういう悪さをさせないようにこういう法律、といった話は比較的理解しやすいものです。しかしながら、監査論は企業の経営目的・どんな思惑があるか・それに対してどんな手段がありどんな対策を講じる必要があるかを、当事者ではない第三者の目線で考えるので、通常の学生までの生活ではなかなか出会いません。

監査論は暗記より理解だと言われますが、実際その通りで、クレアールの一問一答も他の予備校のもっと分厚い一問一答も、何度もテキストをさらったとしても、何も身についたように感じませんでした。それが授業を受けて出題ポイントを押えた後にテキストを読み直すと、急に監査の流れが理解できるようになりました。
クレアールの監査論の授業は、ここがこう出題されると伝えてくれた上で、とても豊かに監査のイメージをさせてくれました。それを満足するまで聞いて、短答直前対策の暗記項目を詰めたPDFを合わせれば、論文式試験にも繋がる短答試験対策が完了すると思います。

1-4. 財務諸表論

(計算)

計算は、実力養成問題集をテキストが届く毎(セーフティーコースで4年かかっているので計3回くらい貰っています)に最初から解き、できなかった問題に付箋をつけて、その問題のみをできるようになるまで周回する形を取りました。管理会計論の計算と同じ方式です。計算の勉強は全てこれで良いと思っています。
実力養成問題集は、絶対に解くべき問題+α解けると良い問題を厳選したうえで網羅してくれているので、そちらを全て解けるようにすることで十分だと感じます。

加えて、クレアールの答練を解いてできなかったところは実力養成問題集をもう一度→理解が足りなそうだったらテキストを参照するといった流れで全体的な知識を保てていたかと思います。
また、ケアレスミスは手書きのミニノートにまとめていました。特に連結ではケアレスミスというよりは大きな仕訳の忘れ等が多発していたので、間違えるたびにメモを増やしていき、直前の安心感に繋がりました。

(理論)

こちらも企業法と同様、最初は一問一答を使用して失敗しました。とはいえ、計算の解法もまだ身につききってない頃には、計算方法も一緒に出題してくれて良い復習になっていたかもしれません。
短答の財務諸表論の理論は、計算の方法がある程度わかっていれば解けたような感じがします。計算の背景にある考え方の理解が必要になります。現行の正しい計算方法を覚えていれば、その考え方だとそうはならないんじゃない?といった選び方ができます。
そのため、ある程度計算をできるようになってきたら、理論の勉強を並行して行うことで、より理解が進むと思います。
それ以外にも理論特有の概念などは、薄くまとめてくださっている講義テキストに記載された内容を覚えれば十分だと思います。

財務諸表論も、計算・理論共に授業は受けておりません。計算については管理会計論と同じ理由で計算がある程度できたためです。理論についてはきっと理解度が進む内容だったのだろうとは思いますが、科目自体にそれほど理解の難しさを感じていなかったため、講義時間が長く感じ、視聴をしませんでした。

1-7. その他/総括

短答は理論は○×の一問一答問題のように感じやすいですが、短答の勉強!と意気込むよりは、論文にも繋げるための理解度を重視した勉強の方が、短答においても全科目の点数を伸ばせたなと感じます。
また、私は直前期が最も大事だと考えています。当たり前のことのようですが、実体験として感じました。あと1問で不合格となった回も、最後の短答と同じくらい勉強していました。しかし、本当に直前の2,3日だけ、急に勉強ができなくなっていたのです。試験直前の不安によるものか、最後の最後に失速しました。結果、あと1問が取り切れませんでした。

最後の短答では、試験前2週間はバイトもお休みしていたので、「この2週間毎日10時間勉強し続けられたら絶対に受かる!」とジンクスを自分で勝手に作って、もし10時間に到達せずに寝てしまうならそれは不合格を意味すると自分を追い込んで、最後の最後まで勉強をし続けることができました。結果、自己採点でボーダーを気にすることのない点数を取れました。
勉強していたら点数が伸びるのは当たり前だろうと思われるかもしれませんが、今までがどうであれ、最後の最後に勉強をつづけた人が勝つと思います。

2. 論文式

2-1. 監査論

論文の監査論の勉強は、
①問題集による重要記述の暗記
②答練を周回→都度テキストを参照してテキスト配置で監査論全体の記憶を保持
の2本立てで行っていました。

①は第一問の知識問題に対し、クレアールの企業法の論文対策講義テキストのようなものが欲しくて購入しました。もちろんクレアールの監査論テキストや答練でも網羅されている情報ですが、問題集であることで、試験の問題をイメージできて周回もしやすく、よかったです。

②について、こちらも第一問の知識問題をさらに定着させるのにとても役立ちました。また、第二問の事例問題については、個人的に会社の不正の方法を覚えていれば、それ以外は残念ながら第二問も知識問題だなと感じていたので、事例問題がやばい!という気持ちになったことはありませんでした。監査論答練の第何回かに書いてくださっていた、「事例問題この要素が出てきたら要チェック!」といった不正や誤謬のきっかけになるポイント集がとても参考になりました。あれを覚えれば事例で気づくべきところに気づけると思います。
授業については、短答勉強期に受けた分で十分でしたので、追加の受講はしておりません。

2-2. 租税法

(計算)

私が租税法(計算)で言いたいことは、消費税を捨てないで欲しいということです。
消費税の問題は集計するだけです。その見落としが怖いところですが、非課税・不課税などになるものを覚えて集計方法を工夫すれば、科目自体は法人税や所得税よりも学生でも身近な税金であり、安定して得点できるようになります。まあまあな人数が捨てていて得点上限を10点強も失っているところを得点できたら大きいです。
ただ、私は税理士事務所でアルバイトをしていたこともあって租税法の特に消費税は本当に得意でした。なので主観が含まれると思います。本当にご自身に合う方法かどうかは取り組んでみて考えていただきたいです。

法人税については、頻出箇所が決まっています。そしてそれは全てテキスト①です。正直テキスト②は外国子会社の受取配当金と外国税額控除以外ほとんどやらなくてよいと思います。この2つなら1回見て覚えればいいだけなので初学に30分もかかりません。あとは答練に出題された繰延資産の償却年数をメモしておくくらいで良いです。
私はテキスト②は一応ダラダラと授業を見て一周例題を解きましたが、全くと言っていい程復習せず、上記箇所以外はすべて捨てています。直前問題集にもテキスト②の内容はほとんどないので、よほど余裕があって租税法で稼ぐ心意気がある方以外は全捨てで構わないと思います。

所得税については苦手気味だったので何とも言えませんが、全範囲を理解するのは難しく、専従者給与や配当控除など要所要所の得点源を確保するので精一杯でした。直前問題集に載っている引っ掛け箇所(譲渡所得の認識時期など)がとても参考になりました。あと非居住者についてはどうしても理解が及ばず捨てましたが、過去問研究もせずにこれをするのは相当リスキーだと思うので真似しない方が良いかもしれません。

(参考)消費税の集計方法について

4色ボールペンを使って区分していました。

①課税売上(ピンク) ①免税売上(オレンジ) ①非課税売上(水色) ①その他売上(黄緑)
※その他売上は、不課税売上や、軽減税率売上です。
⑴課税売上に係る仕入税額控除(ピンク) ⑴共通仕入れ税額控除(オレンジ) ⑴その他の仕入税額控除(水色)

といったように色分けして下線を引いて、それぞれの売上・仕入税額控除の個数ごとに①売上高 ②事務所家賃収入 のようにしてカウントしていました。また、売上値引等はそれぞれ対応する色で(-1),(-2)といったようにカウントしました。 最終的にそれぞれのカウントが何番までいったかをメモしておけば、最後の集計で漏れてしまうことも防げます。

(理論)

私の受験した論文式が特に租税法理論が難しい回だったこともあるのですが、租税法理論は勉強し甲斐の無い科目だと思います。
財務や管理の理論と違って計算との相乗効果もそれほどありませんし、出題可能性のある条文を全て知っている必要はなく、法令基準集からの宝探しの側面もあるからです。クレアールテキストの各章練習問題の〇×と答練が解けるようになれば十分だと思います。模試などは練習のためにみんな初見になるような問題も含めていますので、クレアールの基礎固め力を信じてあまり気にしないようにした方が良いと思います。

租税法はそうは言っても初学なので、授業を全編通して受けました。本当に出題されやすいところが説明されていて、わかりやすかったです。また、授業でも法人税はほぼテキスト①だと仰っていたので、効率的な勉強を促してくれていると感じました。

2-3. 会計学(午前)

管理会計論は、結構直前期まで問題に直面するとどう解けばよいのかわからず頭が真っ白になることが模試で頻発していました。
これは圧倒的に論文式試験の計算の演習が足りなかったので、なんだか他科目より回数の多い答練をありがたく周回していました。そうすると、同じ問題が出ているわけではないのに基礎答練より応用答練、応用答練より直前答練の方が解けるようになっていき、結果本番では合格点を保てる点数を獲得できました。(第二問は一行問題の理論1つしか解けていませんが、それでも偏差値は22.5/50です。0点じゃなければ保てる場合も多いので、当日は失点を気にしないほうが良いです。)

理論については、どの模試でもクレアール理論テキストに記載のある内容から出題されていることがほとんどだったので、理論テキストの全問題を自分の言葉で話せるようにしておけば十分だと思います。
授業については、テキストの内容で理解が難しいところのみ掻い摘んで受講しました。

2-4. 会計学(午後)

(計算)

論文時期の財務諸表論計算の勉強は、模試の受験と答練2周以外していません。第三問は特にですが、みんなが解ける問題を解けるようにするのが目標で、それで十分だと感じていたからです。もともとは答練も理論とセットの財務会計論以外する気はなかったのですが、模試で第五問の連結会計がボロボロすぎて手を出しました。答練に取り組んだことで短答式の連結よりさらにハイレベルな引っ掛け箇所にいつも1つか2つ引っかかって全体をだめにしていることがわかり、短答の時から引き続いてそのミスをメモしていくことで対策しました。結果、第五問では40.9/70の偏差値が取れています。

(理論)

理論の勉強法は、ひたすら論文講義のテキストの周回です。計算の実力問題集と同様に解けなかった問題に付箋をつけて周回しますが、私は計算より理論が苦手だと感じていたので、3,4周ほどはできるできないに区別をつけず全体を周回していました。最悪全部に付箋がつく可能性があったためです。
後述しますが、他校主催の模試を受けるのも良い手です。どの予備校でもそうだと思いますが、問題の書き方にはそれぞれ特徴があります。他校の問題の書き方でわからない!となっても、意外と答えるべき内容の本質はすでにテキストで学んだことだったりします。他校の問題集や答練を取り寄せる必要はありませんが、数回でも自分の予備校以外の文章に触れると、理論周回を行う上でこの文言ならこの答え!と覚えてしまう一問一答の二の舞を防ぐことができると思います。

授業については、最初は受講していました。特に重要な論点・理解しにくい論点をピックアップして説明してくださっていましたが、短答に引き続き私は財務理論の理解にそれほど難を感じていなかったため、途中で受講を中断してテキストのみで勉強しました。

2-5. 企業法

論文の企業法は短答とは違うからと身構える方は多いと思います。しかし、前述した理解重視の勉強方法をしていれば、単なる暗記からの切り替えは起きないので、それほど大変ではありません。もっとも、短答対策でどうしても必要だった細かい数値の暗記などが不要になるため楽になったと感じる方もいると思います。実際私は暗記が苦手なのでそちら側でした。

論文式では自分で文章を記述しなければならないので、その書き方を染み込ませるのがまず必要になってきます。そして企業法の問題では誰かが何か不正などの問題やグレーゾーンの行動を起こしているので、それがどのような利益を目的とした行為で、どういう抜け道があって、どういった対策がされてきたかに何度も触れて覚えていく勉強になります。この意味で、勉強法の考え方は監査論と似ているように感じます。監査論もどういった利益を目的としてどういった不正が生じるかを考えるためです。最後にどういった対策がされたかについては判例を覚える他ありません。これは暗記になりますが、その判例の背景も一緒に見ていけば、より理解度が高まると思います。

ここまで記述した勉強は、全て企業法の論文講義テキストで完結します。また本試験での出題が予想された少々込み入った判例も答練でカバーされています。他校の模試や本番でも同じ問題が出されるわけではありませんが、前述のどういう意図かを考える思考を身につければ、自力で解ける問題は少なくありません。

私は一度授業を受けながらテキストを読み、それから①法令基準集にそのまま記述のある内容 ②その趣旨 ③判例やその他意見などの3色で色分けしたアンダーラインを引き、覚えるべきところを明確にしていきました。法令基準集を参照すれば十分なものまで暗記しなくて済むので、効率の良い周回ができるようになったと思います。

2-6. 経済学

経営学選択でなくてすみません。レアケースです。逆にもし経済学を学習されている方がいらっしゃれば参考になれば幸いです。
はじめに、経済学選択はおすすめできます。それほど凝った問題も引っ掛け問題も出題されません。本試験問題は、答練以上に簡単な問題ばかりです。それぞれの単元の考え方を理解し、答練と模試をいくつか受けてその出題内容を復習して覚えれば点数は取れます。とはいえ、全体としての出題範囲は広く、テキストはとても分厚いのに捨てられる部分は無く、数学的な微分の知識も説明なく急に必要になるため、敷居が高いのは事実です。大学で選択科目ででもミクロ経済学・マクロ経済学の基礎をなんとなく触れたことがある方がとっつきやすいとは思います。経済学科の方には特におすすめです。

私は経済学科だったので必修でちゃんと学んだはずですが、不真面目な大学生だったので、会計士試験の経済学の勉強をし始めた卒業後にはほとんど覚えていませんでした。そんな状態からなので、経済学の勉強時間は選択科目の目安と言われている割合よりも2倍以上の時間はかかったと思います。

体系的な理解はとても難しいですが、一度理解してしまえば問題は簡単なので安定的に得点が可能であり、満点も狙える科目です。私は満点は取れませんでしたが、全体4位で偏差値は59.8でした。夢のある科目だと思います。数ⅡBか経済学に少しでも触れたことのある方はぜひ。 授業については全編受けましたが、結構昔の映像なこともあり、それほど理解に貢献してくれたとは感じられませんでした。ただ、テキストの記述は要点がしっかり記載されており、微分の計算方法が説明なく使用される以外はとてもわかりやすかったです。

2-7. その他/総括

論文の勉強では、短答より特に全体として偏りが生じないように勉強することを心がけました。どうしても模試の結果が悪かった科目のみ重点的に勉強してしまいがちですが、そうするとおざなりにした科目の学力が落ち、悪循環に陥ります。会計士の勉強期間は、短いようで長いです。勉強したことが抜け落ちないよう、知識のメンテナンスを続ける必要があります。そのために毎日全科目を勉強する!というのは非現実的ですが、私は2日空かないように各科目に触れるようにしていました。加えて、短答の時にも行った14日間無休勉強も、論文は1ヵ月前から1日9時間、2週間前からは1日10時間として1ヵ月続け、自信を持って挑むことができました。

また、他校の模試を受けることをおすすめします。財務諸表論のところでも記述しましたが、予備校ごとの問題文の書き方の癖・模範解答の書き方の癖は確実にあります。私は直前模試で他校の模試で素点280点ほどしか取れていませんでしたが、クレアールの直前模試自宅受験では素点400点取れていました。この2つの受験時期は1週間ほどしか変わりません。クレアールで勉強してきたからこそクレアールの書き方では高得点が取れたのだと思います。逆に言えば、他校の模範とする回答の書き方と違うがために点数が来なかった部分もあります。同じようなことを書いて他校では×、クレアールでは〇なこともありました。

これはクレアールの採点が甘いわけではないと思います。模試の採点はキーワード式と聞きますので、どちらも言いたい事は同じでも使うべきとしているキーワードは予備校ごとに違うのだと思います。そして、本試験ではその言いたい事が合っているかどうかで採点されているように感じます。論文式試験の正解は一つではありません。これは上述の×と〇をもらったことに悩んでインターネットで調べたときに見つけた記事で教えられ、とても救われました。そして複数の模試と本試験を受けたことでその事実を確信しました。

論文式試験は、もちろん知識を問う試験ではありますが、その場で考えることである程度対応できます。というよりその場で考えないと対応できません。勉強した問題が勉強した通りの出題方法で出題されることはそう多くありません。それに対応するためにも、本質理解を重視した勉強と、各予備校の考える模範解答に支配されずに自分が考えていることを言葉にする能力を養うことが重要です。

<クレアールで学習して良かった点>

クレアールでよかった点は、論点を絞ったうえで重要なところは網羅しているテキスト・問題集と、授業を受けるかどうかは自分で選択できるところです。また、答練も多すぎないことで、やりっぱなしにならずちゃんと復習ができ、効果的な勉強が可能になりました。非常識合格法は伊達じゃない、素晴らしいテキストと答練でした。おかげで本当に自分に必要な、又はより効率を上げてくれる授業だけを厳選して受けることができました。

<最後に>

合格に必要な事、それは合格すると決めることです。
各勉強法のその他/総括の部分でも書かせていただいたので重複にはなりますが、私は短答と論文それぞれ2週間と1ヵ月の無休勉強期間をやり続けることを合格の条件として自分に課し、それを達成した時点でもう合格することを決めていました。

反対に、試験の本当に直前に失速してしまった3回の不合格の回では、今回は合格しないと心のどこかで決めていました。だって自分が合格する人ならば、最後まであと1点を取るために勉強するからです。

結局は気の持ちようといいますか、自信に勝るものはありません。自分自身に満足できる勉強をやりきって試験に臨んでください!そのためには、長期の勉強計画をざっくりとしか立てないのも一つの手です。無駄な挫折を防げます。最後まで全力でやり切ったという自負を持つことが大事だと思います。そうすれば、合格発表までの3ヵ月を(そうはいっても不安はありつつも)勉強を再開する必要に駆られずに穏やかに過ごせることでしょう。

皆様が満足のいく受験をできることを願っております!

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