公認会計士合格体験記「受験専念の2年間」堀江 碧さん

堀江 碧さん

受験回数:2回

目次

はじめに

私は2018年の夏頃、簿記3級取得済み2021年合格目標のコースで受講し始めました。当時は働いていましたが、勉強との両立が難しい働き方をしており、簿記2級の取得もままならなかったため、2019年の夏に退職し、そこから本格的に勉強を始めました。幸いなことに私は実家暮らしで、両親も元気で働いていたため、2年間勉強に専念することができました。クレアールでは受験専念の方は少ないと思うので、私の勉強方法がご参考になるか分かりませんが、振り返ってみようと思います。

公認会計士を志した動機

私は就職活動が苦手で、また、やっと就職できてもしばらく働くと仕事が自分に合わないと感じるようになり、退職することを繰り返していました。何もスキルが身につかないまま転職を繰り返せば、そのうち転職先がなくなるという危機感を感じるようになり、資格を取って何かの専門家になりたいと思うようになりました。ちょうどその頃たまたま仕事の関係で簿記を勉強していたこともあり、人生一発逆転を狙うなら難しい資格を取りたいと公認会計士を目指すようになりました。

クレアールを選んだ理由

予備校を探し始めた頃は働いていたため、働きながら受講できる通信がいいと考えていました。クレアールは受講料も手頃でしたし、「非常識合格法」として重要なポイントだけを教えてもらえるということで、また授業を倍速で受講したり、授業の音声データももらえるということだったので、クレアールに決めました。

学習法

短答まで

私は簿記1級の勉強も隅々まではできていなかったので、毎日少しずつ講義を受けてはその範囲の例題や問題集を解き、簿記1級レベルで分からないところがあれば簿記1級のテキストを見直したり授業を聞き直したりしながらまずは1周しました。おそらく一通り受講し終わる前に答練が始まったと記憶しているのですが、答練は配信された授業の範囲までで作成されているようだったので、できるだけリアルタイムで解くようにしていました。テストは時間との戦いでもあると思うので、早い時期から時間を計って問題を解くことに慣れておくのは重要だと感じています。答練は丁寧に復習し、理解が足りない分野が見つかればテキストや問題集の類題を解き直しました。答練は何度も印刷し、忘れた頃にまた時間を計って解いてみて、同じように復習することを全科目の全答練で4周ほどしました。最終的には時間内に8~9割得点できるようになりました。私は短答の過去問題集は問題集としては使わず、公認会計士試験のウェブサイトに上がっている過去問を印刷して、そちらも時間を計って過去8回分くらい解きました。復習のために過去問題集の解説はとても役に立ちました。模擬試験に関してだけは、クレアールは受講者が少なく自分の位置が分からないと思うので、他予備校の公開模擬試験もいくつか受けました。それでも本番の試験を受けて感じたのは、本番の試験に一番似ているのはどの予備校の模擬試験でもなく、過去問です。出題分野等は毎年違うのかもしれませんが、解いた時の難易度感と言いますか、うまく表現できませんが、とにかく似ていると感じました。そのため過去問をたくさん解いたことで本番の試験にも慣れた感覚で臨むことができ、とてもプラスになったと感じています。

企業法

すみません、本当は科目別に短答対策を書こうと思ったのですが、あまり科目ごとに勉強方法が変わらなかったので、一括して書いてしまいました。ただ、企業法だけは少し特殊な勉強法をしていたので、書いておこうと思います。また私は2020年8月の短答合格者ですが、それまでほぼ短答対策しかしていなかったのに2020年11月の論文で企業法に科目合格できたので、企業法の短答対策が論文にも生きた可能性があるので書きます。

山本先生も講義でお話しされていたかと思いますが、企業法の学習で一番大切なことは条文を引くことです。山本先生のお考えからはずれるかもしれませんが、私はインターネットから会社法の条文をワードにコピペして、そこに答練等で間違えたことや分かりにくいと感じたことをどんどん書き込んでいきました。答練の復習時には毎回出題された条文を引くようにすることで、重要な条文を自然と覚えていきました。これは論文式試験の際に条文集を引くのにも役立ったと思います。

また、企業法では、2週間なのか20日なのかとか紛らわしい暗記があったかと思います。教科書を見ているときは全然違うページにあるので混ざらなくても、テストで問題として見ると思いだす時に混ざってしまうことがよくあったので、私はなかなか覚えられない事項を大きめの単語カードに書いて、分野別に復習することもあれば、期間が出てくるものを集めて混ざらなくなるまで覚えたり、あるいは100分の3とか数が出てくるものだけ集めて暗記したりと工夫していました。

論文対策

基本的には論文対策も、講義を受けたり答練を解いたりして勉強しました。企業法に科目合格したことが分かってからは、単語カードでの暗記が良かったのかもしれないと思い、すべての科目でカードを作りました(この辺が時間の無い方だともっと効率よくやる必要があると思うのであまり参考にならないですね、すみません).。私は計算の科目も間違えるところは処理方法の暗記ができていないことが多かったので、計算の科目でも処理方法をカードに書いて暗記しました。カードは作るまでは時間がかかって大変ですが、作ってしまえば教科書を読むより早く全分野を一周できるので、忘却との戦いである会計士試験の勉強において、繰り返し確認できる良さがあったと思います。また、試験当日も試験時間前の休み時間に全範囲を確認できたので、直前暗記として良かったと思います。試験本番にはカードしか持っていかなかったので、荷物も軽かったです(笑)。もちろんカードだけでなく答練はすべて解きましたし、短答と同様模擬試験は他予備校のものも受験しました。過去問はやった方が良かったのかもしれませんが、自己採点できないので特にやりませんでした。

クレアールで良かった点

今振り返ってみて、クレアールで一番良かったと思う点は、教材をすべてPDFデータでもいただけることです。最近知ったのですが、他の予備校に通われている方の中には教科書を業者に頼んでスキャンしてもらっている方もいるらしいです。そんな手間なくデータがあるというのは素晴らしいと思います。私はテキストのPDFを加工して、例題のところだけ抜き出して解答用紙と組み合わせて新しいPDFファイルを作成し、繰り返し印刷して問題集として使ったりしていました。他にも、暗記したい単語の部分を赤字にして印刷して赤シートを乗せて暗記したり、いろいろな使い方ができると思います。論文式試験に合格すると、3年後の修了考査のためにテキストを取っておいた方がいいと言われたりするのですが、PDFデータがあれば紙ベースのテキストは処分して部屋を整理することができるので、その点でも良かったと思っています。

あとは授業の音声データも活用していました。受験に専念すると家に閉じこもりがちになり、とても不健康だと思ったので、毎朝散歩をするようにしていました。その際にただ歩くだけでは時間がもったいないので、既に受け終わった授業を聞き直して復習を兼ねていました。

先生で印象的だった方は、簿記の河野上先生です。受験勉強からは離れるかもしれませんが、監査法人時代の実務経験に基づいたお話や、会計基準についても本質的に理解され、今後変わっていくであろう点などについてもお話しされていて、公認会計士の仕事をよく知らなかった私にとって貴重で、モチベーションにつながるお話でした。

また、今はもう辞められたのかもしれませんが、企業法の論文の過去問の解説と条文を読む授業を担当されていた弁護士と公認会計士のダブルホルダーの先生の授業は興味深かったです。「公認会計士試験の企業法なんて簡単ですよ」みたいな態度で授業されるのは正直あまり好きではなかったのですが(笑)、過去問の講義で先生に教わった解き方をそのまま本試験で実践したら科目合格できました。去年のことなので詳細は忘れてしまったのですが、会社法上の責任を問われる問題で、①任務懈怠②故意か過失③損害④因果関係の4つについて検討する、といったことを確か教わりました。

本試験について

私が2020年に論文式試験を受験した時の体験なのですが、2020年の論文式試験はコロナの関係で例年と異なり2日間で6科目というタイトなスケジュールでした。確か本試験の3週間くらい前に試験場がウェブサイトで発表されたのですが、私の試験場は自宅から2時間以上かかるところで、ホテルを取った方が良さそうでした。私はたまたまその日ツイッターを眺めていたら試験場が発表されたことを比較的早く知ることができ、スムーズにホテルを予約できたのですが、その日のうちに試験場近くの安いホテルは予約が埋まっていたようでした。お伝えしたいのは、試験場が遠く宿泊が必要になる可能性のある方は、試験場が発表される頃はこまめにウェブサイトをチェックし、試験場が分かったらすぐホテルを取った方がいいということです。本試験のコンディションに関わると思いますので、注意してみてください。

モチベーションの維持について

モチベーションの維持は私にとって一番大きな課題でした。モチベーションだけで言えば、なぜ受かったのか分からないくらいです。私は落ちたら恥ずかしいと思って、同居している家族以外の誰にも試験を目指していることを話していませんでした。当然受験仲間もいませんでしたし、クレアールの事務局の方にもほとんど連絡したことはありません。特に1回目の論文式試験が終わった後は、一通り受講は済ませてしまっていたので、答練くらいしかやることがありませんでした(真面目な方はちゃんとテキストの復習とかしてくださいね)。一方で私は心の健康を重視するタイプだったので、受験生だからとあまり自分を追い詰めることはせず、運動をしたりテレビを見たり、日々いろいろな気分転換をしていました。だんだんと気分転換ばかりして、勉強があまりはかどらなくなっていた時期もありました。その中でモチベーションを維持できたことがあったとすれば、答練だけは配信されてすぐ取り組むようにしていたことかと思います。答練を解いて自分の実力不足を実感すると、その後数日はやる気になれ、それを何とか繰り返すことでだましだまし勉強していました。

今論文式試験に合格し、監査法人の就職活動をしている私が振り返って感じるのは、受験時代の私が公認会計士についていかに理解していなかったかということと、合格後の自分をまったく想像できていなかったということです。私は前向きな方だと自負していますが、それでも受験専念にはつらい面もありました。友達は皆働いて社会に貢献しているのに、自分は無職で、このまま合格しなければ一生親の年金に寄生する引きこもりになるのだろうかとか、よく考えていました。合格できれば就職できるかもしれないけれど、それは自分にとって遠いことで、実感を持って目指せるものではなかったように感じます。

2021年の論文式試験が終わって、合格している手ごたえはまったくありませんでしたが、かといって絶対に落ちていると確信するほどでもなかったので、就職活動を始めてみました。監査法人は今人手不足らしく、就活生は皆さん引っ張りだこだと思います。私も久しぶりに自分が認められる感覚を味わいました。そして実際に活躍されている会計士の方とお話しすると、会計士試験に合格するとこんな方々と働けるんだ、と希望がわいてきます。

今どんなお仕事をされているかにもよりますが、ニートだった私にとっては会計士は夢のような職業です。この素晴らしさをもっと早く思い描けていれば、もっとモチベーションが維持できたかもしれません。皆さんの多くは既に会計士としてどのように働きたいか夢が描けているかとは思いますが、もし私のようによく分からず漫然と目指している方がいたら、ぜひ会計士について調べてみて、可能なら会計士として働いている方に会ってお話を聞いてみると、すごくモチベーションアップになると思います。

終わりに

会計士試験は難しい試験ではありますが、毎年一定数の人が必ず合格していますし、相対試験の面はあるとはいえ、試験範囲の内容をある程度理解し、それを答案に反映させることができれば受かる試験です。勉強方法に絶対はなく、皆さんそれぞれ合う勉強方法は違うと思います。一方で、身につけるべき試験範囲はクレアールのテキストと講義にすべてまとまっています。他予備校の模擬試験を受けても、クレアールのテキストに載っていないことが出た記憶はほとんどありません(経営管理論だけは本試験も何が出るかよくわからないところがありますが、それは他予備校で受講していても同じだと思います)。大切なのは、自分の現状と、目標(合格できるレベル)の差がどれくらいなのか認識することです。講義の受講を進め、答練を解いていけば、あと何をどれくらい理解すれば合格レベルに達するのか見えてくると思います。それ以降は、ご自身で工夫して目標までの道筋を描いてみてください。ご自身に合う勉強法は簡単には見つからないかもしれませんが、ご自身の進歩具合を答練で確認しながら試行錯誤してみてください。勉強法を見つけるまで大変でも、見つかればその後の進歩は早いと思います。頑張ってください!私も一人前の会計士を目指してこれからも頑張ります。

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