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公認会計士合格体験記「52歳から、18年ぶりの再挑戦」宇都出 雅巳さん

宇都出 雅巳さん

受験回数:短答式(3回)・論文式(1回)

目次

はじめに

この合格体験記はさまざまな理由から、かなり長くなっています。不要な部分も多いと思いますが、何か一つでも参考にしていただければうれしいです。

公認会計士を志したきっかけ

高校生のとき、父から渡された本

私が初めて「公認会計士」なる言葉を初めて知ったのは、高校生のとき。「こんな仕事もあるよ」と、父から渡された『公認会計士になる法』という本でした。公認会計士は父がなりたかった職業でしたが、家の商売を継ぐために大学進学も許されず、断念したそうです。そんな自分の夢を私に託したかったのでしょう。ただ、私は公認会計士という仕事に全く興味を持てず、大学は経済学部に進学したものの、すっかりそのことは忘れてしまっていました。

大学生のとき、亡くなる父と約束

その父は私が大学3年のとき、病気のため亡くなりました。53歳でした。亡くなる直前、父が公認会計士になりたかったことを思い出し、思わず「おれ、公認会計士になるから」と病床の父に言ったのです。就職活動を控え、進路に迷っていたこともありました。父の死後、すぐに予備校の早朝クラス(簿記)に通い始めました。しかし、やはり、まったく興味を持てず、1か月ほどであえなく挫折。もともと目指していたマスコミ業界の就職活動を行い、経済記者となるべく、出版社に就職したのでした。

30代も半ば、会社帰りの書店で出会った本

その後、出版社は6年で辞め、コンサルティングの世界へ。アメリカのビジネススクール留学を経て、帰国後、外資系銀行で投資信託のセールス&マーケティングに携わりました。キャリアとしては順調だったものの、日々、売上アップに追われる中、「これが本当にしたい仕事なんだろうか?」と考え始めていました。30代も半ばに差し掛かろうとしているときでした。

そんな中、会社からの帰りに寄った書店で見かけた本に興味を惹かれました。それが、クレアールの講師が書かれた『公認会計士2次試験非常識合格法』だったのです。そこには、合格に必要な基本的範囲に絞って勉強することで、短期間で合格できるということが書かれていました。クレアールのホームページを見ると、『非常識合格法』を体現した薄いテキストを中心とした講座構成になっていて、実際、7か月で公認会計士試験に合格した方のインタビューも掲載されていました。

私は大学時代から速読に興味を持って、それまでに趣味として速読を研究し、かなりできるようになっていました。私の速読技術と非常識合格法を組み合わせれば、7か月どころか5か月でも合格できるのではないか、その合格体験をもとにした本を出版すれば、速読を使った勉強法を教えるビジネスを立ち上げられるのではないかと考えたのです。

銀行を辞め、5カ月での超短期合格を目指す

私は会社を退職して、公認会計士の試験勉強に専念することにしました。2002年3月下旬、短答式試験まで2カ月のことです。その際、クレアールの講座に申し込もうと思ったのですが、すでに直前答練が始まっている時期で、その年の合格を目標とする講座の申込みは終わっていました。そこをなんとか頼み込んで、テキスト・問題集、講義テープを格安で販売していただきました。

それから、2カ月間、朝から晩までひたすら勉強しました。ただ、論文式試験対策を優先し、短答式試験対策をおろそかにしたこともあり、残念ながら1問差で短答式試験を不合格になってしまいました。

もともと、公認会計士になるというより、5か月での短期合格が目的だった私は再度受験しようと思うことはなく、スッパリ、公認会計士試験の勉強はやめてしまいました。

「高速大量回転(KTK)法」を開発し、勉強法の専門家に

公認会計士試験に失敗してから4か月後、「これなら1か月で合格できるかも…」と、再び試験勉強にチャレンジしました。目指したのは、「CFP」というフィナンシャルプランナーの上級資格。この試験の全6課目を1か月で一発合格することを目標にし、試験勉強を始めるとともに、同時にその試験勉強の様子を実況中継するメールマガジンを始めたのです。

公認会計士試験での失敗からの学びもあって、CFP試験には、1か月で一発合格することができました。同時に、その経験の中で、「非常識合格法」をはじめとするさまざまな勉強法に速読を組み合わせた、私なりの勉強法が、「高速大量回転(KTK)法」という形でまとまりました。

この勉強法は、2000年1月に『速読勉強術』として出版され、5万部を超えるベストセラーになりました。その後、10冊を超える勉強法の本を出版し、勉強法についての個別指導や資格試験予備校での講演や講師の指導まで行うようになりました。

その間、勉強法のさらなるブラッシアップのため、行政書士試験や宅建試験などの試験を自ら受験しましたが、超難関試験である公認会計士試験は、かなりのコミットが必要なこともあり、受験することは全く考えていませんでした。

母の急死、思い出した父との約束

ただ、私の勉強法を活用して公認会計士試験に合格した人の話を聞いたり、公認会計士試験を目指している人の勉強法指導を行ったりするうちに、自分自身が公認会計士試験に不合格のままでいることがだんだんと気になり始めていました。

そんな中、2019年11月、毎週のように見舞いに行っていた病気療養中の母が急な容体変化で亡くなりました。ポッカリと心に穴が開き、ぼんやりと物思いにふける時間を過ごすうちに、ふと思い出したのが亡くなった父との約束でした。母の介護に当てるはずだった時間を、公認会計士の試験勉強に当てて試験合格を目指そう。父との約束を果たすとともに、これは父のことが大好きだった母への何よりの供養にもなると考えたのです。

こうして、18年ぶりの公認会計士試験への再挑戦を決め、クレアールに申し込んだのは年の瀬も押し迫った2019年12月28日でした。年齢は52歳になっていました。

クレアールを選んだ理由

教材入手のために予備校活用は必須

公認会計士試験への再挑戦を決めた私が、なぜクレアールを選んだのか? まず最初に、独学でなく予備校を利用することに決めた理由をお伝えすると、公認会計士試験の場合、市販のテキストや問題集では不十分だからです。

たとえば、効率的な勉強を行ううえで欠かせない過去問題集。市販されているものもありますが、収録されている回数は少なく、使いやすい項目別になっていません。また、テキストも市販のものは大学の教科書、もしくはその延長で、試験対策としては使いにくく、また、毎年アップデートされているものはないのが現状です。

このため、勉強の軸となる過去問題集、テキストといった教材を入手するためにも、予備校を活用する以外の選択肢は考えられないのです。

短期合格の王道=「非常識合格法」

次に数ある予備校の中で、なぜクレアールを選んだのか? その理由はズバリ「非常識合格法」です。私自身が開発し、ブラッシアップを重ねてきた勉強法・「高速大量回転(KTK)法」のルーツの一つが「非常識合格法」です。18年前は残念ながら「不合格」という結果に終わったものの、その後の勉強法の実践や指導のなかで、「非常識合格法」の正しさは確信に変わっていました。

18年前の勉強の記憶はほとんど残っておらず、簿記もほぼゼロの状態でした。そんな私が5か月で短答式試験に合格し、8か月で論文式に合格するには、「非常識合格法」のクレアールしかありえないと考え、クレアールに決めたのです。

「タダ同然」になる可能性もある超お得なコース

私が申し込んだのはクレアールの「上級1.5年 トータルセーフティコース」。これは受験経験者・簿記1級修了者を対象にしたコースで、短答式3回、論文式2回までの受験をカバーするものでした。また、本試験の受験料はクレアールが負担してくれるほか、合格お祝い金がもらえたり、早期合格の場合は未受講分の受講料が返金される制度になっていました。もし、私が2020年5月の短答式、8月の論文式試験に一発合格した場合、実質負担量は3万円程度になるという、超お得なコースだったのです。

簿記はほぼゼロ状態だったので、簿記1級レベルまでは別途、市販テキストの購入が必要だとしても、こんな超お得な(可能性のある)公認会計士の講座はもちろん見当たらず、迷わずこのコースに決めたのです。

なお、結果的には一発合格できず、「3万円」というわけにはいきませんでしたが、2年目も追加料金なく、短答式試験から論文式試験まで、答練を含めてすべてカバーしてもらいました。それでも、受験料還付や合格お祝い金を考慮すると、実質15万円の負担で済みました。追加で購入した他校の教材を含めても公認会計士試験にかかったお金は20万円程度。大手の予備校であれば、少なくとも2倍、さらには4倍近い受講料になったでしょう。

54歳・論文式試験合格までの道

2020年8月・短答式試験(不合格)

新型コロナ感染拡大で短答式が延期に

何をどのように勉強したかの詳細は下記の「科目別学習法」を参照いただきたいのですが、2020年5月の短答式試験に向けて急ピッチで勉強を進めていきました。ただ、勉強の進行とともに進んでいたのが新型コロナの感染です。3月初めの全国一斉の小中高休校措置などで収まるかと思いきや、その勢いは止まらず、4月下旬には5月に予定されていた短答式試験の延期が決まりました。

不合格への道―他校の「直前答練パック」を購入

そんな中、クレアールの短答式試験の模試に加えて、一つぐらい他校のも受けておこうと模試を申し込みました。ただ、そのときに短答式試験の不合格につながる、大きな失敗をしていまいました。それは他校の答練に手を出し、勉強範囲を広げすぎるという失敗です。

短答式試験の模試を申し込む際、その模試と直前答練の各科目3回分がセットになった「直前答練パック」なるものが眼に入ったのです。「せっかくだから、念のためにこちらを買っておこう」と申し込んでしまったのです。これは勉強範囲を広げることになり、「非常識合格法」的に言えばアウトです。もちろん、これまで勉強した範囲を潰しても余裕があれば別ですが、このついつい新たな教材に手を出すのは、非常に危険なのです。そして、実際、試験直前にこれが大きく足を引っ張ることになったのでした。

論文式対策への寄り道で短答式対策が手薄に

8月下旬に短答式試験が延期になったことで、3か月の余裕が生まれたわけですが、この3か月のうち、2カ月を私は論文式試験対策に当てることにしました。短答式試験の延期に伴い、論文式試験も当初の8月下旬から延期になりましたが、11月中旬の実施となり、短答式試験から論文式試験までの期間が3か月足らずと短くなりました。これに危機感を覚えたのです。

このため、5月下旬からいったん短答式試験の企業法や監査論の理論科目の勉強は中断し、それまで手付かずだった租税法や経営学などの論文式試験科目に取り組み始めました。ただ、今思えば、これが短答式試験に悪影響を与えてしまいました。その後、7月中旬から、租税法などの論文式試験科目の勉強をやめ、短答式試験に再度集中し始めたのですが、2カ月のブランクが想定以上に短答式試験への対応力を落としていたのです。

手つかずで残っていた短答式試験対策の答練に取り組んだのですが、財務会計論、管理会計論の計算問題がなかなか解けず、かなり不安になってしまいました。その結果、簿記、原価計算の復習に時間を割くことになり、理論科目については勉強をほとんど再開できないまま、試験2週間前に差し掛かってしまいました。

試験直前に新たな答練に手を出して混乱

試験直前の2週間。この段階では新たな教材、範囲には手を出さず、これまでやってきた教材、範囲を復習するのが鉄則です。しかし、ここで私は致命的な失敗をしてしまいました。その原因となったのが、4月に購入した他校の「短答直前答練パック」です。理論科目のほとんどが手つかずで、おまけに短答式試験が延期になったことから、さらに各科目2回分の答練がサービスとして追加されて送られていました。このほぼ手つかずの「答練直前パック」が気になり、取り組んでしまったのです。

大手予備校の答練だから、もしくは追加で作った答練だったからかもしれませんが、知らない論点も多く、「今の知識では不十分だ」と思い込み、さらに手つかずの答練に手を広げてしまい、悪循環に入っていきました。そして、結局は試験本番前日まで新しい答練に取り組んでいるという状況になり、これまで回転してきた問題集も十分に潰し切れないまま、本番に臨むことになってしまったのでした。

企業法、管理会計論の失敗で不合格

試験本番の午前、最初の科目は企業法。当日朝でなんとか追い込みをかけようとしましたが、基本的な問題をかなり落としてしまい、55点と7割に届かず。2科目目の管理会計論では、問題文の読み間違えにより、簡単な問題に時間を使ってしまい、35点と沈没してしまいました。午後の監査論、財務会計論は気を取り直して、7割以上とれたものの、総得点比率は61.8%。合格基準は64%以上、得点にして11点足らずで不合格となりました。

2021年5月・短答式試験(合格)

9か月後の短答式試験に再挑戦

2020年12月の短答式試験は中止となり、次の短答式試験は翌年2021年5月。日商簿記1級試験を目標に、簿記を改めて復習しながら、年内は論文式試験科目の租税法と経営学に時間を割き、年明けから徐々に短答式試験対策に集中していきました。

前回の痛い失敗からの教訓をしっかり生かし、他校の模試や答練には一切眼もくれず、ひたすらクレアールの問題集、テキスト、答練の回転を行っていきました。そして、前回よりも準備万端で臨んだ短答式試験でしたが……。

管理会計論でまたも問題読み違えミス

前回、問題の読み違えで沈没した「管理会計論」でまたも同じような問題の読み違えをしてしまい、何度計算しても選択肢にある数字が出ないという状況に陥って、そこで15分もの時間を使ってしまいました。最初に理論問題で15分使っていたので、管理会計論の試験時間である1時間のうち、残りはあと30分。計算問題が1問も解けていないという、前回よりもひどい絶体絶命の状況でした。

さすがにその問題はあきらめて、「原価計算」と「管理会計」のうち、得意なほうの「管理会計」のほかの問題を解こうとしたものの、すべてが難問で計算量も多く断念。

なんとか「原価計算」で2問、簡単な計算問題があり、それを解き終わったときは残り15分。ただ、原価計算の残りの問題も計算量が多く、管理会計の問題も歯が立たず、結局、計算問題は8問中2問しか解けていない状況でタイムアップでした。

「あきらめたら、そこで試合終了ですよ…?」でギリギリ合格

「これは今回もダメだ……」と思いながらも、なんとか昼休みで気持ちを立て直し、諦めないで残りの監査論、財務会計論は精一杯行いました。

その結果、管理会計論の計算問題で、正解を絞り込むことができなかった問題のうち2つの問題でたまたま正解となったこともあり、合格点数62%以上のところ、63.4%でギリギリ合格を勝ち取りました。

管理会計論の30分の段階ではほとんどあきらめかけていたのですが、漫画『スラムダンク』の安西先生の名言・「あきらめたら、そこで試合終了ですよ…?」の言葉が頭の中で響き、その言葉を繰り返しながら、最後まであきらめなかったことが合格に結びつきました。

2021年8月・論文式試験(合格)

模試では合格圏外、徹底的に範囲を絞り込んで回転

短答式終了後の5月下旬から論文式試験の8月下旬まで3か月。論文式試験科目の租税法と経営学の勉強を加え、企業法、監査法、そして財務会計論、管理会計論の理論問題に取り組みました。

7月上旬には、本番の雰囲気に慣れるためと自分の実力の程度を知るために、会場受験がある他校模試を受けました。その結果は、合格ボーダーに届かないD判定。会計学と企業法の2科目は合格ボーダー圏のC判定だったものの、残りの監査論、租税法、経営学は最低のE判定という厳しい結果でした。

それでもここからの逆転を信じ、クレアールの教材に最低限の他校教材を補強に加えて、徹底的に範囲を絞り込み、8月下旬の本番を迎えました。

論文式試験は会計学で大苦戦

初めての論文式試験でしたが、会場受験した模試を経験していたおかげで、落ち着いて臨むことができました。

1日目の最初の科目の監査論。法令基準集を活用しやすいように使い込んでいた成果が出て、空欄もなくしっかりと解答することができました。次の租税法も理論は法令基準集を駆使して、きっちり書けました。ただ、理論に時間をかけすぎて、計算は所得税、消費税は駆け足で、最低限取れそうなところだけの解答となりました。とはいえ、1日目としては、それなりの手応えはありました。

しかし、2日目の会計学で大苦戦。管理会計論、財務会計論とも、理論、計算とも思うように書けず、かなりの空欄を残し、「これはダメかも…」と落ち込んで終わりました。

そして最終日、3日目。比較的自信のあった企業法は、悩みながらも、とりあえず空欄を残すことなく、全問、文字で埋め尽くしました。最後の経営学は経営管理論、財務論ともかなり楽に解けて手応えはありました。

全体的にある程度できた自信はあったものの、ウエイトの高い会計学の出来が悪いと感じたこともあり、合格の手応えはあまりない、といった状況でした。

長かった発表までの3か月、そして合格

試験後は不合格を覚悟していたものの、仕事がかなり溜まっていたこともあり、合格発表までの3か月間、試験勉強は一切せず、一方で就職活動も全くしませんでした。

そして迎えた合格発表日、ほとんど期待もしていなかったのですが、なんと合格!でした。2週間後に送られてきた成績通知書を見てみると、予想通り、会計学の出来は悪く、得点率は43.73。足切りラインが40ですから、かなり危ないところでした。これだけ会計学の点数が低ければ、総合で合格点に届かないものですが、監査論が58.2、経営学が69.85と科目合格の56を超える高得点となり、会計学の不出来をカバーしてくれていました。企業法は52.90、租税法は55.75とまずまずの結果で、総合は52.55となんとか合格基準の51.5を超えることができたのでした。ちなみに、総合順位は1360人中、1158位でした。

こうして、初めて公認会計士という職業を知ってから35年。公認会計士になるという、父との約束を果たすための大きな前進をすることができたのでした。

科目別学習法

以下に科目別に何をどんなふうに学習したかを書いておきます。なお、2020年1月から2021年8月までの試験勉強や試験本番について、私のブログ「だれでもできる速読勉強術」に動画解説も含めた記事をアップしています。詳しくはそちらもご覧ください。

→ https://ameblo.jp/kosoku-tairyokaiten-ho/

財務会計論(計算)

短答式対策

私の勉強法では「試験本番で目指す状態」を明確にすることを大事にしており、そのために過去問を非常に重視しています。過去問が本番の試験について教えてくれるもっとも近い、信頼できる情報だからです。このため、私は簿記の知識ほぼゼロ状態にもかかわらず、まずはクレアールの過去問題集を読むことから始めました。問題を解くのではなく、解答解説も含めて読む形です。

ただ、読むなかで、解答解説に出てくる言葉自体がわからず、やはり簿記をある程度勉強しないと歯が立たないと、簿記1級のテキストを購入して一通り取り組みました。前から順番に読み、例題・問題を解いていく形です。そのあと、過去問題集を回転させていきました。

過去問題集がある程度、楽に回転できるようになって、新たな勉強対象として、クレアールのテキストにするか実践問題集にするか悩んだのですが、テキストにしました。テキストといっても例題中心であり、問題集よりも解説が丁寧であるため、簿記の土台がない私にとって取り組みやすかったからです。結果的に、問題集にはほとんど取り組まず、テキストの例題を徹底的に繰り返しました。また合わせて、講義動画を倍速で一通り聞きました。それが短答式試験である程度、安定的な点数を取ることにつながったと思います。

論文式対策

財務会計論(計算)については、短答式対策と論文式対策で特に大きな変更は必要ありません。論文式試験対策用の答練に取り組んで、短答式試験とは違う問題に慣れるぐらいでしょう。

私は連結会計・企業結合にいまひとつ自信がなかったので、Youtubeのサンプル講義がわかりやすかった他校のテキスト・講義動画を購入し、取り組みました。クレアールの解説とは違った視点で理解が深まったと感じたものの、クレアールのテキスト・問題集の回転がその分おろそかになってしまいました。振り返ると、試験合格ということでは、クレアールのテキスト・問題集・講義で十分だと思います。

なお、短答式試験終了後から論文式試験まで、租税法や経営学の計算問題に時間を使い、あまり財務会計論の計算問題に時間を割きませんでした。このことが影響し、論文式試験では得点率は40台前半と足切り寸前となりました。会計学は配点ウエイトも高いので、簿記にかなり自信がある人以外は、論文式試験まで油断せず、短答式試験でのレベルを維持するくらいに日々、少しでも問題に触れるようにすることをお勧めします。

財務会計論(理論)

短答式対策

私の勉強法では、論述式試験の理論科目の、新しく未知の分野のものについては、最初に取り組みやすくするために目次項目を記憶術(イメージと場所を使った「場所法」と呼ばれるもの)を使ってとりあえず覚えることを勧めています。今回の試験でも、短答式・論文式ともあり、配点ウエイトも高い財務会計論(理論)のテキストについては、とりあえず目次項目を覚えました。

こうして、目次項目を覚えることで財務会計論の全体像を押さえつつ、クレアールの短答式過去問題集を回転していきました。過去問題集の回転が楽になったところで、さらに、クレアールの実践問題集も加えて回転していきました。テキストは問題集に取り組むなかで不明な部分は参照する程度で、講義動画はほとんど視聴しませんでした。

ただ、振り返ってみると、短答式試験、論文式試験とも、計算に比べて理論の出来は総じて悪く、問題集を中心に勉強することの限界、非効率さを感じました。財務会計論に関しては計算についても理論についても、講義動画を最初から順番に視聴して、内容の理解をしっかりしておくことが、結果的に近道だったと思います。

論文式対策

論文式試験対策としては、テキストを中心に記憶していくという形で行いました。その際、クレアールの論文式試験対策問題集や答練から、テキストのどこを押さえて覚えておかないといけないか明らかにしつつ、記憶する範囲を絞っていきました。

なお、反省としては、論文式試験の際に配布される法令基準集の活用をうまくできなかった点が挙げられます。法令基準集に書かれていることは覚えておかなくていいので、記憶する量を減らすことができます。しかし、私は最後までどう活用するかイメージできないまま、本番を迎えてしまいました。

論文式試験に向けて早い段階で法令基準集を購入して、短答式の問題集に取り組むなかでも、参考書として使って目を通し、予備校の講師にも相談しながら、自分なりに位置づけ、活用法を考えていくことをお勧めします。

管理会計論(計算)

短答式対策

財務会計論(計算)と同様、まずは過去問題集を読むことから始めました。問題を解くのではなく、解答解説を含めて読む形です。なお、管理会計論は大きく「原価計算」と「管理会計」にわかれますが、後半の「管理会計」については、20年前ではありますが、アメリカのビジネススクールで学んだ内容に絡むことも多く、最初から比較的楽に解くことができました。「原価計算」も財務会計論に比べれば取り組みやすく感じました。

このように取り組みやすく感じたこともあり、財務会計論と同様、簿記1級のテキストも購入しましたが、こちらは参照程度にとどまりました。また、テキストも、財務会計論(計算)ではきっちり取り組んだものの、管理会計論では参照する程度にとどまり、テキストの例題にはほとんど取り組まず、講義動画もほぼ視聴しませんでした。

振り返ると、この過去問題集、答練中心の勉強が、短答式、論文式試験を通じて、ミスが多く得点が伸び悩んだ原因だと思っています。過去問題集は早い段階で取り組むことが重要ですが、同時に講義を最初から順番に視聴してテキストを読み、テキストの例題にも取り組むことで、全体の理解、内容の理解をすることが遠回りのようで近道だったと感じています。

論文式対策

論文式試験対策としては、答練に取り組んだだけです。上記のように短答式試験の勉強の段階で、内容の理解も含め、きっちりとしておけば、答練以外は特に追加的なものは必要ないでしょう。

管理会計論(理論)

短答式対策

理論も「原価計算」と「管理会計」にわかれますが、「原価計算」については「原価計算基準」を理解・記憶することに尽きます。そのためには、過去問題集の回転は必須ですし、クレアールで追加で配布された「原価計算基準」に特化した教材が役立ちました。また、クレアールの論文式試験対策問題集はとても簡潔ですぐれていて、2年目はこの問題集に取り組んでいたこともあり、原価計算基準の内容の理解が深まり、「原価計算」の理論はほぼ落とすことがなくなりました。このため、短答式試験までに、もし余裕があれば、論文式試験対策問題集にも取り組み始められることをお勧めします。

「管理会計」については、過去問題集、答練の回転を中心に行いましたが、加えて、テキストに掲載されているキーワードは押さえる必要があったと思います。私はビジネス経験もあり、ビジネススクールで関連分野を学習していたこともあり。致命傷にはなりませんでしたが、そうでない方はテキストに掲載されているキーワードについては押さえておくことをお勧めします。

論文式対策

すでに触れた論文式試験対策問題集に取り組んだだけです。論文式対策としては、「原価計算基準」を押さえることは必要なく、クレアールの論文式試験対策問題集の理解・記憶で十分でしょう。薄くコンパクトにまとめられているので、これをしっかりと押さえておけば、大きく点数を落とすことはないと思います。

企業法

短答式対策

この科目も財務会計論と同様、論文式試験を見据えて、最終的にテキストを理解・記憶することを目標に、まずはテキストの目次項目を記憶術を使って記憶しました。同時に、短答式試験の過去問題集を回転していきました。問題を解くというより、解答解説も合わせて読むという形です。

短答式試験合格のためには、クレアールの過去問題集、実践問題集、答練、そして最終チェックも兼ねて、市販の一問一答形式の問題集を潰せば、合格ラインには届くと思います。なお、問題集、答練に取り組む際、テキストは参照しましたが、講義動画は一部視聴した程度で、ほとんど視聴しませんでした。

論文式対策

当初はテキストを理解・記憶することを目標にしていましたが、途中でクレアールの論文式試験対策問題集(過去問を含む)を中心に取り組むことに切り替えました。法令基準集で条文は参照できますし、記憶する必要があるのは条文趣旨や制度の定義・趣旨などに限られ、それも重要なもの、頻出するものに絞ることが必要です。それには、テキストよりも論文式試験対策問題集のほうがあらかじめ絞られているので適しています。また、論述する際の論文構成・展開を習得する必要がありますが、これはテキストではできず、論文式試験対策問題集で学ぶことが効果的です。

クレアールの論文式試験対策問題集は、問題と解答のみで、長々しい解説もなく、非常にコンパクトにまとまっています。このため薄く、回転しやすいです。解答を読んで、解答構成がどうなっているかを、横線も入れながら分解・分析することで、本番でどういう解答を書けばいいのかがわかってきますし、記憶すべき定義や趣旨もチェックできます。論文式試験対策問題集を繰り返し読み・思い出し・語る(毎回書く必要はありません)ことで、理解・記憶していきました。

また、本番と同じように、問題を読んで答案構成を考え、実際に書く練習も欠かせません。このため、答練は時間がかかっても自分で最後まで書いて、提出し、添削を受けることが必須です。クレアールの企業法の添削には非常に助けられました。ズバリと自分のいいところ、欠けているところを指摘していただき、とても励まされ、得点アップにつながりました。

なお、法令基準集が試験では配布されているので、この活用も重要です。私は早い段階から、短答式の勉強の段階から市販の六法などは使わず、条文を引くのはこの法令基準集で行うようにしていました。これによって、かなり法令基準集に慣れ、論文式試験本番でもフル活用できました。

監査論

短答式対策

監査論も財務会計論、企業法と同様に、論文式対策を見据えて、テキストの目次項目を記憶術を使って覚えました。ただ、講義動画はまったく視聴せず、テキストは講義用スライド資料が別にあったので、それとテキストを照らし合わせながら、わかりやすそうなスライドは適宜、切り貼りして一元化しました。クレアールの監査論テキストは図解がわかりやすく、参照していて理解しやすかったです。

短答式試験対策としては、過去問題集のほかは実践問題集と答練、そして市販の短答式問題集をいくつか買って回転させました。

論文式対策

当初はテキストを中心に行おうと思っていたのですが、テキストの内容をすべて押さえる必要はないこと、法令基準問題集に用語の定義をはじめ、かなりカバーされていることから、テキストを対象に勉強するのは非効率だと考えました。

また、監査論には企業法のような論文式試験対策問題集がなく、短答式試験後、論文式試験対策として何を中心に取り組むかで悩みました。こちらは他校の監査論のテキスト、問題集を購入してカバーしました。

租税法

計算問題対策

租税法に関してはクレアールの過去問題集、テキスト、答練のみ取り組みました。最初は過去問題集から取り組みましたが、租税法の計算問題は総合問題形式であるため、項目別に整理されていません。ただ、実際にはその中身は個別問題の寄せ集めといってもよく、年度別の過去問題集で計算問題に取り組むのは非効率的だと感じました。

このため、途中からテキスト中心の勉強に切り替えました。テキストには例題、練習問題が掲載され、解説が詳しい項目別問題集とも言え、取り組みやすいからです。なお、配点ウエイトの大きい法人税だけは講義動画も視聴しました。全体像をつかむうえで効果的だったと思います。

個別論点をしっかりと押さえるためにはテキスト中心に繰り返すことで対応し、答練は時間内で取捨選択する練習として1回ずつ取り組むだけで十分であり、効果的だと思います。

所得税については、各種所得控除の条件・金額について、最初はテキストを記憶しなければと思っていたのですが、実際には法令基準集に掲載されている条文でかなりカバーされています。テキストに関連する条文の番号が掲載されているので、条文を引き、何を記憶する必要があるか確認するようにしてください。これである程度、所得税の部分点が確実に取れます。

消費税については、勉強時間が足りない人は捨てるのも選択肢の一つだと思います。消費税の問題は総合問題に近く、一つ間違えると連鎖的に間違えてしまう危険があり、なかなか得点を取ることが難しいからです。ただし、「控除過大調整税額」「返還等の対価に係る税額」「貸倒れに係る消費税額」に関しては、単独で算出し、得点することが可能なので、ここだけは必ず押さえるといいでしょう。

クレアールのテキストは、おそらく他校よりもかなり論点を絞っていると思いますが、効率・効果を考えれば、さらに重要論点・頻出論点に絞って、そこを確実に取るという戦略が有効だと思います。

理論問題対策

理論問題は計算問題で問われる内容がベースになっているので、計算問題を押さえておけば、あとは解答の書き方に慣れることで、ある程度、得点することができます。私は7月の模試で理論問題はまったくできませんでしたが、試験直前に答練の理論問題ばかり集めて、それを集中的に繰り返すことで、解答の仕方に慣れ、本番の租税法・理論の得点率は57.6とよかったです。

経営学

経営学は大きく「経営管理論」と「経営財務論」の二つにわかれます。戦略論や組織論など、いわゆる「経営学」に当たるのが「経営管理論」で、「企業財務(コーポレートファイナンス)に当たるのが「経営財務論」です。経営管理論は理論問題が中心で、経営財務論は計算問題が中心となります。

私は社会人経験も長く、ビジネス書もかなり読んできたので「経営管理論」に出てくる用語にはある程度なじみがありました。また、「経営財務論」も、20年前ですがアメリカのビジネススクールに留学した際に履修した「コーポレートファイナンス」と重なる部分があり、比較的なじみやすかったです。

そういった前提知識もあり、「経営管理論」「経営財務論」ともクレアールの過去問題集、テキスト、答練で十分でした。なお、テキストは基本テキストに加え、試験委員対策として直前対策講義テキストが配布され、これも勉強対象に含めました。結果的には、得点率は69.85と非常に高い得点となり、会計学の失点をカバーしてくれました。

「経営管理論」はどういう問題がでるかわからず、問題によって点数は振れてくるので、計算中心の「経営財務論」で確実に点数を稼げるようにしておくことが大事だと思います。

クレアールの良かったこと

薄いテキスト

まずは重要論点に範囲を絞ったテキスト・問題集の薄さ。このおかげで、テキスト・問題集の量に圧倒されることなく、継続し続けることに役立ちました。受講申し込み後、段ボール箱に入って送られてきたテキスト・問題集は全部で60センチほどあり、最初は圧倒されましたが、他校だとこんなものではないと思います。他校のテキスト・問題集の厚さに比べると、「これだけでいいの?」と思われるかもしれませんが、合格するには十分です。さらに絞れるとも思いますし、少ない範囲でも確実に記憶し、確実に本番で点数を取れることが何よりも大事です。

企業法の答練

企業法に関しては論述構成や論証の仕方など、知識以外のスキルを身に付ける必要があり、それは実際に答練によって書いていくことでしか身に付きません。すでに科目別学習法の企業法のところで書きましたが、企業法の講師の熱のこもった添削は非常に励まされ、企業法の答練に取り組むのが楽しみになりました。

受講料の安さ。

これについてはクレアールを選んだ理由のところでも書きましたが、安いながらも、合格に必要は範囲の教材は十分提供されています。逆に多くない分、安易に手を広げることがなく、確実な知識を増やすことができるので、非常に良心的だと思います。

もう一度、試験勉強するとしたら…

今回の試験勉強を振り返って、もしもう一度、試験勉強するとしたら、何を行いたいか、気をつけたいかを付け加えて書いておきます

財務会計論・管理会計論の講義動画を視聴し、テキストに取り組む

財務会計論、管理会計論は短答式試験では得点が安定せず、論文式試験では、管理会計論、財務会計論の得点率がそれぞれ、46.6と42,3(会計学全体では43.73)と、どちらも平均を下回り、足切りに引っ掛かる危険さえありました。

簿記1級を市販テキストを1回読むだけ(工業簿記は参照するのみ)で終えたことに加え、財務会計論(計算)については講義動画を視聴したものの、財務会計論(理論)、管理会計論については講義動画をほとんど視聴しませんでした。これが内容理解の甘さにつながり、結果的に短答式、論文式とも最後まで苦戦する原因になったと考えています。

財務会計論、管理会計論の得点が安定すれば、かなり、試験は楽になるので、クレアールはじめ多くの予備校で行われているように、公認会計士試験の勉強に先行させて、まず簿記の勉強をして固めることや、それが難しい場合でも少なくとも財務会計論、管理会計論の講義動画は視聴し、テキストに取り組むでしょう。逆に企業法、監査論については、講義動画の視聴は必ずしも必要ないと思います。

法令基準集の早期使用と論文式試験でのフル活用

科目別学習法でも触れましたが、法令基準集をどう活用するかについて、あまり情報がなく、使い始めるのが遅く、どう活用するかも直前までハッキリしないままでした。公認会計士試験は範囲が広いので、記憶する量を少しでも減らすために、論文式試験で配布される法令基準集をもっと積極的に活用します。

講師への質問のフル活用

クレアールの場合はライブ授業はなく、通信のみなので、質問も電話やメールといった形でした。私は解答解説に疑問を持ったときのみ、メールで確認した程度、あまり気軽に質問していませんでした。今思えば、ちょっとしたことでも気軽に質問して、講師の人との関係も築きつつ、相談していればもっと楽に点数を伸ばせたと思います。遠慮せず、恥ずかしがらず、ガンガン質問します。

最後に

公認会計士という職業を知ってから試験に合格するまで、35年以上の年月がかかったこともあり、かなり長い合格体験記となりました。ここまで読んでいただいてありがとうございます。

私が公認会計士試験を受験したきっかけは、最初にも書いたように公認会計士の仕事そのものへの興味からではありませんでした。ただ、試験勉強として会計や監査などを学ぶなかで、会計監査をはじめとする公認会計士の仕事に今は強い興味を持ち、ぜひ取り組んでみたいと思っています。

私がここ20年にわたって取り組んできた仕事の一つが「コーチング」です。これはクライアントのビジネスをはじめ、人生全体にわたるテーマに対して、主に質問やフィードバックを通してかかわり、クライアントが自らのあり方、行動、起こしている現実に気づき、成長、目標達成することをサポートする仕事です。いわば、クライアントの「人生・いのち」の監査とも言えるものです。企業などの組織に対する会計監査に対しても、これまでの経験が何かしらの形で生かし、お役に立てるのではないかと思っています。

現代は多様性の時代。さまざまな経験を積んだ、さまざまな年齢の方が公認会計士になることが求められてくると思います。ただ、現実には、公認会計士試験を受験する方は、20代前半までが大半を占めます。確かに科目数も多く、計算問題と理論問題の両方があり、大変手間がかかる試験であることは事実です。働きながらの受験、とりわけ会社勤めの方には高いハードルがあるでしょう。ただ、「非常識合格法」やKTK(高速大量回転)法をはじめ、工夫次第ではまだまだ効率的に勉強する余地はあります。

そして、社会人経験が少ない会計士が多い中、ますます、社会人経験のある方の価値は高まっていると思います。実際、私は今年(2022年)1月から、都内の監査法人でフルタイム勤務をしていますが、手応えを感じています。

私の合格体験記を読んで、自分も公認会計士試験に挑戦してみよう!と思っていただければうれしいです。どこかでご一緒できることを楽しみにしております。

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