公認会計士合格体験記「30代社会人受験生が合格に至るまで」黒川 賢大さん

黒川 賢大さん

受験回数:2回

目次

1. はじめに

私は30代の社会人で、金融機関に勤めています。2019年2月からクレアール公認会計士講座にお世話になり、この度2021年5月の短答式試験合格、2021年8月の論文式試験合格を果たす事ができました。

私には子どももおり、平日は仕事で朝7時に家を出て大体夜9時頃に帰ってくる生活を送っています。勉強に専念できない苦労を味わった身として、同じく時間の無い社会人の方や、家事に追われる主婦の方、金銭的な理由から多くのアルバイトをせざるを得ない学生の方等、勉強時間が確保しにくい方へ向けて学習のアドバイスになればと思い体験談を執筆させて頂く事となりました。

2. 公認会計士を志した動機

私は金融機関でM&Aのアドバイザリー業務に携わっており、日頃から様々な士業の方とやり取りする機会がありました。特に買収監査と呼ばれる企業の調査においては公認会計士、税理士、弁護士、社労士といった各分野のスペシャリストと協業して仕事を進めていきます。その中でひときわ憧れを抱いたのが公認会計士だったのです。

自分自身金融機関勤務だった事もあり財務諸表は一通り読めるつもりでしたが、複雑な会計処理や買収スキーム等の問題が出てきた時に対応できず、一方で公認会計士の先生が難なく問題解決されているのを見て「真の専門家」とはこういう姿なのだと気付かされました。

時を同じくして職場の先輩や後輩が公認会計士試験を受験するという話を耳にしたので改めて公認会計士について調べてみたところ、同業のM&Aアドバイザリーや投資ファンド、監査法人、会計事務所、事業会社のCFOと非常に多岐にわたるキャリアプランが描ける事を知り、「将来的にプラスはあってもマイナスはない」と考え、公認会計士試験にチャレンジする事を決意しました。

3. クレアールを選んだ理由

クレアールを選んだ理由は「通信であること」「テキストが分厚すぎないこと」「制度に対する実質的な価格の安さ」の3点が主な理由です。

まず、私が社会人かつ残業も多い職場のため、校舎に通う事は元々想定しておらず通信講座を前提に予備校を探していました。その中で非常識合格法を掲げ、要点のみを絞ったテキストを作成しているクレアールに非常に惹かれました。実際に合格してみてわかった事ですが、クレアールのカリキュラムでさえ何とかこなすのに手一杯(一部の答練や模試は手を付けられなかったものも有り)でしたので、他校のテキストやカリキュラムであれば確実に消化不良を起こしていたと思います。そうなると精神衛生上も良くない上に、消化不良の中にいわゆるA論点(最重要論点)が混ざっていた場合は本番で失点する可能性が高くなります。テキストや問題集を一通りこなしたという自信は自分を支えてくれますし、何より薄い冊子は持ち運びの時に助かりました。

価格についても他校より割安で、痒い所に手が届くような制度があった事もクレアールに決めた大きな理由の1つです。教育ローンを使用すれば36回まで無金利で分割払いをする事ができるため毎月の負担はほとんど感じませんでしたし、私が申し込んだような「3年トータルセーフティコース」というコースは簿記1級や公認会計士試験の受験料は予備校側負担となり、お試し受験のハードルが低くなったのも大きかったです。簿記1級は一度の受験に約8,000円、公認会計士試験は約2万円必要なので勉強量が足りていないとどうしても申込みに躊躇してしまいがちですが、積極的に受験して本番の雰囲気を味わう事ができました。また、最大のポイントは手厚い合格お祝い金+未受講料返金制度です。前述の3年トータルセーフティコースの場合、仮に1年度目で合格した場合はほとんど自己負担なく受験を終える事ができます。私の合格は2年度目の合格でしたが、それでも合格お祝い金と未受講料返金により支払った代金の半額以上が戻ってくる計算となります。このコースがある事によって公認会計士試験へチャレンジする時に家族の了解が得られやすくなったので、そういう意味でもクレアールを選んで良かったと思っています。

4. 私が実践した「勉強量を確保するための5つのポイント」

公認会計士試験はとにかく学習範囲の広い試験です。科目別の学習方法については後述させて頂きますが、まずは何においても勉強量を確保する事が先決です。本項目では、私が実践していた勉強量確保のための具体的な行動を5つ記載させて頂きます。

① 家族の理解を得る

家族がいらっしゃる方にとって、これは非常に大事なことです。プライベートの時間や家族サービスの時間及び金銭の一部を公認会計士試験に充てるため、理解が得られない場合はそもそも受験を進めていく事ができません。私の場合、「なぜ公認会計士を目指すのか」「いつまでを期限とするのか」「費用はどのくらいかかるのか」を初めに家族へ説明し理解を得ていたことから、問題なく受験生活を送る事ができました。

② 計画は立てすぎない

社会人受験生にはとにかく時間がありませんし、仕事の都合等で思うように勉強できない日も多々あった事から、あえて細かい学習計画は立てませんでした。詳細な勉強計画を立てる時間がもったいなく、その時間があれば学習そのものに充てた方が効率的だと考えたからです。大まかなスケジューリングはしていましたが多少ズレたとしても気にせず、日々の学習内容についてもその時の答練の出来具合等によって注力する科目を柔軟に変えていました。最終的に試験日というゴールに向けて学習が進めば問題無いので、プロセスはそこまでこだわらなくても良いと思います。

③ 移動は電車かつ各駅停車

私は通勤や顧客への訪問に電車を利用しています。顧客への訪問は社用車を使う事もできるのですが、移動は極力電車を使うようにし、なおかつ時間が許せば各駅停車に乗る事にしていました。電車は降車駅までの締め切り効果が得られやすいですし、コロナ禍ではあまり大きな声で騒ぐ人もいないため集中力が途切れる事なく勉強ができる最高の「スキマ時間活用場所」です。また、各駅停車であれば座席に座れる可能性も高く、それなりの勉強時間も確保できます。クレアールの講義は1コマ約30分が基本となりますので、倍速の有無や目的地にもよりますが電車で再生するにはキリよく受講できると思います。

車での移動が必須地域の方には沿わない内容かもしれませんが、電車を利用される地域の方にはオススメです。

④ すべてを我慢せず例外事項を決めておく

公認会計士試験は長丁場です。すべてを犠牲にして勉強一筋に励む事ができれば言う事はないですが、私の場合はそれだと精神が保てないと思ったのでいくつかの例外事項を設けました。例えば「以前から買い続けている作家の新刊だけは読む」「子どものイベントごとは土日であろうとも全部参加する」等です。良い気分転換になるので、その後の勉強は意外と捗る事が多かったように思います。勉強「時間」だけ確保してもダラダラと過ごしていては効果が薄いため、質の高い勉強「量」を確保するにも自分なりの例外事項を決めておく事も重要です。

⑤ 本業ではきちんと結果を残す

安定した受験生活を送るためにも、本業での成績には特に留意して仕事を行っていました。オープンにしていた訳ではないですが職場で何名か受験の事を知っており、仮に本業の働きが悪くなった場合には試験勉強と結び付けられる可能性が高く、折角の公認会計士受験がマイナス評価になると思ったからです。私の本業である仕事においては受験期間の2年半において全期間で目標達成していたため、合格後はもちろんの事受験期間中も社内で嫌味や文句を言われた事は一度もありませんでした。両立はかなり大変でしたが、社会人であれば仕事、大学生であれば大学の単位取得等、それぞれの本業は疎かにせず全うする事で安定した学習環境を整える事が可能になると考えています。

5. 具体的な学習方法と振り返り

【合格までの受験スケジュール】

クレアールではまず簿記1級の学習を推奨しているので、初めに計算力養成期間として簿記1級の学習に着手しました。2019年6月、2019年11月に1級の本試験を受験しいずれも不合格でしたが、11月時点で50%以上の得点が取れていたので公認会計士の学習に進む事を決めました。その後約9ヶ月の勉強期間を経て2020年8月の短答式試験を受験してみたものの、得点率は59.6%で不合格(その時の合格ボーダーは64%)。ただ、公認会計士の勉強をした事で一段上の力がついたのか、その後の2020年11月に実施された簿記1級には合格し、波に乗ったまま2021年の5月短答、8月論文の合格へと至ることができました。

その時の具体的な学習方法は以下の通りです。

【共通】

どの科目も、まずは講義を聴く事から始め、その後にテキストを一読しました。テキストから入るよりも、論点の強弱が講義を通じてわかるからです。公認会計士試験全般に言える事として趣旨への深い理解が大事となりますので、自分の中で理解していると思った項目があったとしてもあえて全部の講義を聴き、自分の言葉で説明ができるようになる事を意識していました。その代わり講義動画は全部2倍速で再生し、時間のロスを避けるように注意していました。(先生はゆっくり丁寧に話してくれているので2倍速でも意外と聞き取れるようになります。)

勉強時間は当初1年間が平日で1~2時間、土日の片方を6時間くらい費やす(もう片方は休息や家族との時間に使用)というペースで、1年経過後には少しピッチを上げ平日で2~3時間、土日は両方とも7時間くらいは確保できるよう努めました。

【財務会計論】

計算に関しては簿記1級の知識をベースに、実力養成問題集・答練・過去問の3点セットをひたすら反復していました。クレアールの過去問は年度別ではなく論点別で収録されているため、自分の苦手な分野だけ多く回転させる事が簡単にできてオススメです。また、どうしても理解できない部分があった場合には簿記1級講座まで戻る事により腹落ちした事も多々ありました。

理論に関しては答練や過去問の反復だけでは点数が伸び悩んでいたため、会計法規集を参照したり、手を動かして板書ノート(財務諸表論の講義に付属しているノート)を取りながら講義を改めて視聴したりする事で徐々に得点が伸びていきました。

【管理会計論】

こちらも財務会計論と同じく、簿記1級の知識をベースに問題集・答練・過去問を繰り返し解く方法を取りました。

管理会計については本試験の計算問題の難易度がかなり高いため、少なくとも理論では点数を落とさないように理論問題は特に何度も学習を重ね、原価計算基準の細かい言葉についても暗記できるよう努めました。公認会計士試験は得点率40%を切る科目があると足切りで不合格になるとされており、短答式試験においてはこの管理会計論が足切りの可能性が最も高いため、まずは足切りにならない事を目標にすると良いかと思います。

【監査論】

実務をやった事がないので一番イメージが沸きにくかったのが監査論です。中々定着しなかったものの、監査に関する市販の書籍を読んで答練や過去問を繰り返し解く事で合格レベルには到達できるようになりました。

いわゆる「監規報」と呼ばれる監査基準委員会報告書が記載されている監査法規集は購入したものの手付かずだったため、論文式試験では非常に苦労しました。時間に余裕のある方は短答式試験の時から監査法規集を参照しておくと論文式試験の対応が楽になります。

【企業法】

企業法は答練・過去問を解き、何度も間違える箇所があればテキストに立ち返る事を繰り返していました。ただ、講義の中で担当の山本先生が「実際に条文を引いて下さい」と口を酸っぱくして何度も仰っていたにもかかわらず、面倒くさがって法令基準集をめくりもせずアウトプットの繰り返しばかりを優先していたところ、論文式試験当日にどの条文がどこにあるか全く探し当てられず頭が真っ白になりました。他の科目にも言える事ですが、先生の言う事はまず素直に聞くべきだったと反省しています。

【租税法・選択科目(私の選択は経営学)】

租税法及び選択科目は論文式試験特有の科目です。私は5月の短答式試験に合格したため、論文式試験までの準備期間が3ヶ月しか無い状態でした。

そんな時にも真価を発揮したのが非常識合格法です。租税法・経営学ともに手を広げすぎず、限られた時間の中でテキストの例題や答練を用いて重要論点のみを学習し、本試験では全くわからない問題やカバーできていない論点はバッサリと切り捨てる事にしました。特に租税法は試験に出題される論点がある程度決まっているため、高いコストパフォーマンスでの学習ができました。

結果的には2科目とも合格ボーダーを上回る事ができたので、勉強方法さえ誤らなければ5月→8月での公認会計士試験合格も十分可能です。

6. 最後に

公認会計士試験は範囲が広く、必ずしも短い期間で終わる試験ではありません。長く勉強していると不安に見舞われ、外部の声に惑わされる事も多いと思います。他の予備校や受験生と比較してしまう事もあるでしょう。ただ、人の置かれている状況は千差万別です。自分を取り巻く環境は自分だけのものですから、多くの他人が薦める予備校や学習法があったとしても、それが自分に必ずしも合うとも限りません。環境に合った学習場所を見つけるために割く時間は価値がありますので、私の体験記もあくまで一つの参考として、共通する部分や共感頂ける部分があればご活用頂けますと幸いです。

これから受験される皆様、頑張って下さい。応援しています。

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