「社会人1年短期合格のススメ」 Vol.7.日商簿記3級対策 Part1

目次

はじめに

前回Vol.6.までの執筆記事では、公認会計士試験の制度の理解や、社会人受験生が仕事と勉強を両立するコツ等、主に学習に対する姿勢・考え方に焦点を当ててご紹介しました。今回のVol.7.以降では、いよいよ公認会計士試験のそれぞれの学習段階に応じた、具体的な学習方法をご紹介したいと思います。

クレアール公認会計士講座の学習カリキュラムでは、学習ガイダンスの後、まず「計算力養成期間」として、日商簿記3級から日商簿記1級までの学習を順番に進めます。その後、「公認会計士 短答式・論文式試験合格力養成期間」として、短答式試験・論文式試験の学習を進めます。
そして、学習スタート時における受験生の個々のレベル(初学者、3級修了者、2級修了者、1級修了者等)に応じたカリキュラムが用意されています。したがって、例えば、以前に日商簿記3級の学習経験がある方であれば、日商簿記2級の学習からスタートすることができます。

一方で、本記事をご覧いただいている皆様の中には簿記初学者の方も多数いらっしゃるかと思います。そこで、まずは日商簿記3級に着目し、その特徴をご紹介したいと思います。

日商簿記3級の学習内容

日商簿記3級は70点以上合格の絶対評価方式の試験であり、第1問~第5問までの全5問が出題されます。3級では、簿記の基礎的なしくみ・考え方が問われます。具体的には、個別の仕訳のみにとどまらず、精算表・財務諸表の作成問題も出題されます。私が初めて日商簿記3級を学んだときは、仕訳の貸方・借方の理解や、精算表と財務諸表の関連性等、簿記の基本的なしくみの理解に苦労しました。

日商簿記3級の受験方法・受験者数

日商簿記3級は、以前は会場受験(統一試験)のみであったものの、2020年12月よりネット試験での受験が可能となりました(ネット試験での受験であれば、都合の良い時間帯を選び、日本全国各地のテストセンターで受験することが可能です。)
会場受験(統一試験)の受験者数は、以前は年間約8万人であったものの、「ネット試験」が普及したこともあり、近年は年間2~4万人に減少しています。

日商簿記3級では簿記の基礎的なしくみ・考え方が問われる

日商簿記3級では、小規模な株式会社の事業活動を想定し、簿記一巡の手続を学びます。簿記一巡の手続きとは、①日々の各種取引について、仕訳計上することで総勘定元帳を作成し、②期末時に決算を行って各種帳簿を締め切り、③損益計算書・貸借対照表等の財務諸表を作成するという、企業が毎期行う簿記の大きなサイクルのことです。

日商簿記3級では、簿記一巡の手続の理解に加え、仕訳計上の考え方や各種帳簿間の関連性の理解、損益計算書等の財務諸表のしくみの理解等、簿記の基礎的なしくみ・考え方を学びます。これはすなわち、今後の公認会計士試験の学習の基礎知識を学ぶことを意味しますので、一つ一つ丁寧に学習をするように心がけてください(私の場合は、短答式試験の受験前にもう一度簿記3級のテキストを読み直した際、簿記一巡の考え方がしっかりと理解できていないことを痛感し冷や汗をかいた経験がありますので、皆様はそうならないようにしてください、、)
日商簿記3級だからといって、決して侮ったり焦ったりすることなく、しっかりと学習するようにしましょう。

公認会計士試験のイメージを持つことができる

日商簿記検定を受けることのメリットの一つとして、公認会計士試験の学習のイメージを持つことができる点が挙げられます。具体的に言えば、公認会計士試験の中でも重要な試験科目である、財務会計論を受験するイメージを持つことができます。

公認会計士試験では、財務会計論の配点の割合が大きく、いわゆる簿記の学習に学習時間の多くを費やします。公認会計士試験の短答式試験はマーク式、論文式試験は記述式であり、日商簿記3級と全く同じ出題形態ではなく、難易度も異なりますが、問われているのは簿記分野の知識・計算能力等であることは共通しています。

したがって、日商簿記3級の学習は、簿記がメインとなる公認会計士試験の第一の登竜門であると考えることもできます。そのため、そもそも公認会計士試験を受験しようか悩まれている方であれば、まずは日商簿記3級を学習してみて、簿記の学習がご自身に合うかどうか、また、この学習を論文式試験の合格までの少なくとも1年以上の長期間にわたって続けることができるか、考えてみるのもよいかもしれません。

日商簿記3級の合格に要する時間

日商簿記3級の合格に要する時間は、およそ50~100時間と言われています。効率よく学習を進めれば、早い方で1~2か月程度で合格する方もいらっしゃいます。ただし、初めのうちは内容理解に時間がかかることもありますので、必ずしも1~2か月で合格できるとは限りません。合格レベルに到達するまでの学習時間は人それぞれと考えておきましょう。

終わりに

今回は、クレアールの公認会計士講座の学習カリキュラム「計算力養成期間」における最初のステージである、日商簿記3級の試験制度・学習内容等の特徴について、ご紹介しました。
日商簿記3級は、それぞれの学習論点は比較的簡単かと思いますが、簿記一巡のしくみを理解する良い機会となり、会計士試験の学習の第一歩となります。日商簿記3級の学習の目的は、あくまで公認会計士試験の学習の土台となる知識・計算力を養成することである、ということを肝に銘じたうえで学習を進めていきましょう。

次回は、日商簿記3級の特徴を踏まえて、私が具体的にどのように学習を進めていたのか、そのポイントをご紹介します。

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