「公認会計士の活躍の場は幅広い」 近藤 弘さん

近藤 弘さん

PROFILE
公認会計士。1998年、横浜国立大学経済学部国際経済学科卒。1999年、中央青山監査法人にて監査業務、IPOアドバイザリー業務、中国ビジネスコンサルティング業務に従事。2007年、太陽ASG有限責任監査法人に移籍。現在、監査業務、M&Aアドバイザリー業務に従事
目次

中堅監査法人での業務

現在、太陽ASG有限責任監査法人という従業員300名強の中堅監査法人で、M&Aや事業再編に関連するコンサルティング業務を中心とした業務を担当しています。監査法人で行うM&Aや事業再編に関連するコンサルティング業務といいますと、①財務デューデリジェンス(※)、②株価算定業務、③買収・統合計画の策定支援等の業務が中心となります。これらの業務は、買収・再編に関する専門的な知識も必要ですが、会社の本質を見極める能力も必要となります。私たちは本業である監査を通じて会社の本質を見極める能力を養い、それをこのようなコンサルティング業務にフィードバックし、顧客のニーズにあった高品質のサービスを心がけています。私の仕事の大半はコンサルティング業務ですが、監査業務も担当し、監査の視点から最新の会計実務や経営者の考えなどに触れるようにしています。

また、M&Aの世界はスピードが重要となります。お客様のスケジュールに合わせて、ニーズにこたえていく必要があり、場合によっては徹夜で業務に挑まなければなりません。これまで何度か徹夜を経験しましたが、プロジェクトチームで作業やディスカッションを進めていきますので、納期が迫り、張り詰めた緊張感の中でも、それに押しつぶされることなく、楽しく前向きに仕事に取り組んでこれました。へとへとになりながらも、やっとの思いで、納品し、クライアントから高い評価を得られた時の達成感で、これまでの疲れはどこかに行ってしまいます。この達成感を得るために、仕事をしているといっても過言ではないかも知れません。また、お手伝いした会社のM&Aやファイナンスが日経新聞等に成立したことが掲載されると、資本市場に少しは貢献できたのかなと士業としてのひそかな喜びを感じることができます。

今後の公認会計士の需要について

資本市場における会計士の役割は、これからさらに重要なものとなっていくものと理解しています。現在導入が検討されているIFRSは、原則主義と言われています。今までの日本の会計基準と異なり、細かいルールが書いてありません。原理原則に戻って投資家保護に資する情報を提供するために、投資家をミスリードさせないために、どのような会計処理や開示が適切かを会社ごとに考える必要があります。これを全うしていくためには、必ず会計のプロとしての会計士が必要になると思っています。会計原則、会計理論に対する深い理解と投資家ニーズをくみ取る感覚をベースとした適切な判断力を持つ人材を市場は求めているのです。市場の番人としての監査人の立場からもそうですし、投資家に自ら情報発信すべしとされる企業の立場でも同様だと考えます。

会計士の仕事とやりがい

会計士の仕事の幅は非常に広く、監査、株式上場コンサルティング、M&Aコンサルティング、その他会計コンサルティング、内部統制コンサルティング、税理士登録をすれば税務業務も行えます。仕事場としても、大手監査法人、中堅・中小監査法人、税理士法人、個人事務所、一般事業会社、金融機関、それから独立開業と様々です。また、会計士としての仕事だけでなく、経営、投資や政治等、さまざまな分野で活躍している人もいます。これは、会計的な専門知識や経験を有していることも一つなのかも知れませんが、原理原則・基準・過去の経験等に基づく適切な物差しで合理的な判断を生み出していく能力を身につけているからかと感じています。

また、ある投資事業会社の社長が会計士の資格を有していたのですが、その動機を聞いてみたところ、投資の世界の入り口に立つに際して「(色々な意味で)騙されないようにするため」とおっしゃっていました。会計士資格の勉強を通じて、財務会計、管理、税務的な基礎知識と得ることが出来、その知識を活用して、自分自身が資本市場のプレイヤーとして差別化を図るということが出来る、このことも会計士資格の魅力なのかも知れません。

現在勉強されている方、これから目指される方へのメッセージ

私たちの法人にもいろいろなタイプの会計士がいます。大学在学中や大学卒業後に会計士になった人だけでなく、大学に行かず高卒で会計士になった人、理系大学を中退し会計士になった人、元SEや元証券マン、元公務員等、色々な人材がいます。それぞれが個性を生かし、会計士の中でも差別化を図っています。会計士資格に魅力を感じ、自分の将来像に会計士資格が必要と感じている方は、学生に限らず、老若男女問わず、一刻も早く、入口に立つべきだと思います。そして、一刻も早く試験に合格するために、その戦略を練り、その練りに練った戦略を強い信念で実行し、やり切ってもらいたい、そうすることが自分の将来像へ近づくための早道なのではないかと思います。

最近はやりの「ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則(ジェームズ・C・コリンズ)」に、偉大な経営者や困難を生き抜いた人の共通する考え方について、こう書いてありました。「どれほどの困難にぶつかっても、最後には必ず勝つという確信を失ってはならない。そして同時に、それがどんなものであれ、自分が置かれている現実の中でもっとも厳しい事実を直視しなければならない。」公認会計士試験は確かに容易ではないかもしれませんが、厳しい現実から目を背けず、最後は必ず合格できるという強い信念があれば必ず乗り越えられると思います。

(※)財務デューデリジェンス 買収相手の財務内容を調査し、投資意思決定、買収価格の交渉や買収後の統合プロセスにおける有用な情報や懸念される課題について洗い出す作業のことを言います。

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