「会計士としてコンサルティング会社で働く!」Vol.4.実際の業務での資格活用例②(IT・FAS)

目次

はじめに

 前回は、コンサルティング会社において日々の業務レベルで具体的にどのように公認会計士資格を活かすことができるか、「戦略コンサルティングファーム」と「総合コンサルティングファーム」についていくつかの具体例をご紹介しました。今回はその続きとして、その他のコンサルティングファームにおける具体例をご紹介したいと思います。

「ITコンサルティングファーム」の場合

 多くの「ITコンサルティングファーム」は、企業のIT戦略の策定からシステムの見直し、新システム導入の提案、システムの最適化や動作検証まで幅広くサービスを提供しています。ここでは「ITコンサルティングファーム」の提供サービスの一部と考えられる、①会計システムの導入支援、②IT監査支援業務を例に挙げてみたいと思います。

 まず①会計システムの導入支援においては、クライアントのシステムグランドデザインの作成や製品選定に関わる各種業務、プロジェクト全体の計画策定等のサービスを提供することがあります。このようなサービスを提供する際には、会計士として身に付けた会計領域の知見を活かし、クライアントのビジネスモデル・組織構造・業績管理体制を踏まえた最適なシステム導入に携わることができるのではないでしょうか。
特に、上場企業クライアントに対する会計システムの導入支援に当たっては、J-Sox法(内部統制報告制度)の要件に準拠し財務報告の信頼性を確保することが十分に可能な形でシステムの導入をする必要があるため、監査法人等で内部統制監査に携わったことのある会計士であれば、その際の知見を十分に活かすことが可能であると考えられます。
また、会計システムの導入の際には、関連する他のシステム(販売管理システム・債務管理システム・在庫管理システム・稟議システム 等)との関係性を踏まえた内部統制の構築も併せて検討する必要があるため、財務諸表監査・内部統制監査等で企業全体の業務プロセスを俯瞰して分析・評価したことのある会計士は重宝されることもあるのではないでしょうか。

 加えて、「ITコンサルティングファーム」では、②IT監査支援業務を提供することがあります。これは、IT内部統制監査の受査部門への直接的な支援やIT内部監査の被監査組織(情報システム部門等)に対して内部統制の整備・運用を支援するサービスです。
昨今の企業活動の多くはITシステムを活用して日々の各種業務に取り組んでいることもあり、特に会計監査が求められる上場企業等においてはIT内部統制監査は必要不可欠であるといえます。会計士として内部統制構築・評価等の経験があれば、このようなIT内部統制監査の対象となるクライアントに対し、高い付加価値を提供することも可能ではないでしょうか。

 余談ではありますが、近年は会計士は会計領域の知見のみならず、IT領域における知見・経験や英語等を活かしたグローバル対応力が求められるようになっており、ITに対する知見・経験を身に付けた会計士のニーズは非常に高いそうです。したがって、ITに対する知見・経験を身に付けるために、会計士が「ITコンサルティングファーム」で勤務することは有望な選択肢となるかもしれません。

「財務アドバイザリー系コンサルティングファーム」の場合(その1)

 「財務アドバイザリー系コンサルティングファーム」は、主に会計・税務等の領域に軸足を置いたサービスの提供を生業としており、企業の合併や買収を意味するM&A(Mergers and Acquisitions)が中心的な業務であるようです。
会計士がコンサルティング業界に転職する場合、多くの方は「財務アドバイザリー系コンサルティングファーム」の門戸を叩くことが多いそうです。
ここでは、「財務アドバイザリー系コンサルティングファーム」が提供する①財務デュー・ディリジェンス、②バリュエーション、③ファイナンシャルアドバイザリー、④フォレンジックスの4つのサービスを例に挙げたいと思います。

まず、①財務デュー・ディリジェンスとは、M&A(企業買収や合併)のための買収価格を決定する際、買収者が買収対象企業の財務などに関する情報を入手し、その情報が真実であるかを調査する業務のことです。業務の実施イメージとしては、1か月から2か月程度の比較的短期間において、公開財務情報・非公開財務情報の精査やキーパーソンに対するヒアリングを通じて、買収先企業が抱える財務上の強み・弱み等を明らかにし、レポート形式で報告することとなります。
したがって、会計領域・税務領域の知見を十分に有する会計士であれば、それらを活かし買収先企業の分析・評価を行うことが可能であると考えられます。 また、監査法人において主査(インチャージ)業務を経験し特定の事業・産業における業界知見を有している方であれば、単なる財務的分析に留まらずより深い分析・評価をすることができ、クライアントに対し高い付加価値を提供することができるかもしれません。

おわりに

 今回は、コンサルティング会社において日々の業務レベルで具体的にどのように公認会計士資格を活かすことができるか、「ITコンサルティングファーム」と「財務アドバイザリー系コンサルティングファーム」に着目し、ご説明しました。
ブログ記事の文字数の関係上、「財務アドバイザリー系コンサルティングファーム」の残りの②バリュエーション、③ファイナンシャルアドバイザリー、④フォレンジックスの3つのサービスについては、次回の記事でご紹介させていただきます。

講座パンフレットやお得な割引情報などを無料でお届けします。
講座についてのご相談を受け付けております。お気軽にお問合せください。
講座のお申し込み案内ページです。講座をお申し込みの方はこちらからどうぞ。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次