「社会人1年短期合格のススメ」 Vol.18.日商簿記1級は取るべき?

目次

はじめに

 クレアール公認会計士講座の学習カリキュラムでは、学習ガイダンスの後、まず「計算力養成期間」として、日商簿記3級から日商簿記1級までの学習を順番に進めます。その後、「公認会計士 短答式・論文式試験合格力養成期間」として、短答式試験・論文式試験の学習を進めます。クレアールのみならず、他のどの予備校であっても学習カリキュラムは基本的には似通っており、まずは日商簿記の学習を通じて簿記に関する基礎学力を身に付けることが多いようです。この際に、受験生は、「日商簿記1級を取るべきか、それともすぐに公認会計士試験短答式の学習を進めるべきか」という悩みを抱えることが多いかと思います。そこで今回は、仕事と勉強を両立する社会人受験生の観点から、この悩みについてどのように考えるべきか、日商簿記1級の特徴を踏まえ、記事を執筆したいと思います。

日商簿記1級の難易度はかなり高め

 日商簿記3級や2級と異なり、日商簿記1級の難易度はかなり高いと言われています。実際に私が日商簿記1級を受験したときには、日商簿記2級とは比べ物にならないくらい難しいと感じました。日商簿記1級の難易度が高い理由は、主に次が挙げられるかと思います。

①学習範囲が幅広い

日商簿記1級の学習範囲は、日商簿記2級よりもさらに幅広くなります。たとえば、商業簿記・会計学の分野では、退職給付債務・資産除去債務・持分法・包括利益等が新たに学習範囲に含まれます。工業簿記・原価計算の分野では、修正パーシャルプラン・特殊原価調査等が新たに学習範囲に含まれます。これらの新規論点をただ学習することのみならず、何度も復習を繰り返す必要があります。

②応用的な学習論点が増加する

日商簿記1級では、日商簿記2級までに身に付けた基本知識をベースとして、応用的な学習論点を学習します。具体的には、商業簿記・会計学の分野における、退職給付債務・資産除去債務・固定資産の減損等が挙げられます。これらの学習論点はコンセプト・概念自体の理解が一筋縄ではいかないため、何度も練習問題を解き理解を深める必要があります。このような難易度の高い応用的な学習論点は日商簿記1級の難易度の高さに直結します。

とはいえ、日商簿記1級は取るべき

 日商簿記1級は難易度が高いですが、公認会計士試験でも同様の内容を学習する必要があることには変わりありません。そう考えれば、詰まるところの受験生の悩みは、「日商簿記1級を取得してから公認会計士試験短答式の学習を進めるか否か」ということとなるのではないでしょうか。結果として同じ内容を学習するのであれば、あえて日商簿記1級を取得せずとも、すぐに公認会計士試験短答式の学習にシフトすればよいと考えることもできます。一方で、私は、仕事と勉強を両立する社会人受験生であれば、次の理由からあえて日商簿記1級を取得した後に公認会計士試験短答式の学習を進めるべきだと考えています。

モチベーションを継続的に維持することができる

 一般的に、公認会計士試験合格までにかかる時間は、早くて1年、多くは2~4年であると言われています。これはすなわち、かなり長期間にわたり継続的に学習を続ける必要があることを意味しています。加えて、仕事を抱える社会人受験生であれば、1日当たりで確保できる学習時間はどうしても短くなってしまうため、専念受験生よりも学習期間は長期間となる可能性が高いことを覚悟する必要があります。長期間にわたり継続的に努力を続けるコツの1つは、小さな目標(=マイルストーン)をいくつか立て、それを達成することで成功体験を積み重ね、モチベーションを維持するようにすることです。公認会計士試験論文式の合格までには長い時間がかかりますので、日商簿記1級合格という中間地点のマイルストーンを設けることは、学習意欲の維持に効果的です。

財務会計論・管理会計論の基礎体力を身に付けることができる

 日商簿記1級で学習する内容は、公認会計士試験においても重要であることには変わりありません。具体的には、公認会計士試験短答式であれば、500点満点中300点(財務会計論200点、管理会計論100点)は日商簿記1級で学習する分野がベースとなります。すなわち、日商簿記1級を合格するということは、公認会計士試験短答式の合格に必要な基礎知識・能力を身に付けることができたと判断できる指針になります。そう考えれば、日商簿記1級を取得することは、今後学習を進めるうえでの大きな自信につながるのではないでしょうか。

キャリア上のリスクヘッジが可能

 公認会計士試験は難関資格であり、短答式試験・論文式試験を踏まえた最終的な合格率は10%前後で推移しています。簡単に言えば、全受験生のうち10人に9人は合格できず受験から撤退しているという事実を表しています。もちろん試験合格を目指すことは大前提ではありますが、必ずしも誰もが合格できる試験ではありません。この点を踏まえれば、日商簿記1級を取得することで、ご自身の人生設計におけるリスクヘッジを図ることは重要だといえます。日商簿記1級で身に付けることができる知識は比較的専門性が高いので、資格を取得すれば未経験であっても会計領域において就職できるケースもあるようです。日商簿記1級の保持により、ご自身のキャリアの方向性のリスクヘッジを図ることができること点は、資格取得の大きな魅力です。

おわりに

 今回は、日商簿記1級を取得すべきか否か、というテーマで記事を執筆いたしました。日商簿記1級の取得には数多くのメリットがありますので、ぜひ資格取得を視野に入れて学習を進めてみてください。もちろん、受験生の皆様にはそれぞれの事情があると思いますので、具体的な学習の進め方を悩まれた場合には、クレアールのスタッフ等の担当者に遠慮なく相談してみてください。

講座パンフレットやお得な割引情報などを無料でお届けします。
講座についてのご相談を受け付けております。お気軽にお問合せください。
講座のお申し込み案内ページです。講座をお申し込みの方はこちらからどうぞ。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次