「社会人1年短期合格のススメ」 Vol.15.日商簿記2級対策 Part3

目次

はじめに

前回のVol.14.では、日商簿記2級のうち商業簿記の範囲において、具体的な学習方法をご紹介しました。
今回は、その続きとして、工業簿記における具体的な学習方法をご紹介したいと思います。

工業簿記は日商簿記2級で新しく追加される学習分野であり、いわゆる製造業を営む企業における「原価計算」について学習します。公認会計士試験の短答式試験・論文式試験においては「管理会計論」という科目名に変わりますが、引続き、原価計算は出題分野に含まれています。

日商簿記2級の工業簿記を学習する中で、その基礎をしっかりと身に付けるようにしましょう。

それぞれの原価計算の意義・つながりを理解する

工業簿記を効率的に学習するためのコツは、それぞれの原価計算の意義・つながりを理解することです。

日商簿記2級の工業簿記では、費目別計算・部門別計算・製品別計算・実際原価計算・標準原価計算・直接原価計算等を学びますが、まずはこれらの計算方法の意義を理解するようにしましょう。
たとえば、費目別計算の意義とは「製品の製造に要した原価を網羅的に把握するため、原価要素を材料費・労務費・経費と分類して集計すること」と言えます。このような計算方法の意義を理解することができていなければ、実際に練習問題を解いている最中に計算の趣旨が分からず、混乱してしまうことになります。そうならないように、それぞれの計算方法の目的を理解するようにしましょう。

また、それぞれの計算方法のつながりを理解することも極めて重要です。
たとえば、部門別計算とは、費目別計算で集計した原価要素を製品の製造に関連する部門に集計する手続きです。そして、製品別計算とは、部門別に集計した原価要素を製品単位で集計し直すことで、各製品に要した原価要素を把握するために必要です。

このように考えれば、費目別計算→部門別計算→製品別計算の順で原価要素の集計が行われることを理解することができ、それぞれの計算方法のつながりも理解できるようになります。
そうすることで、原価計算の全体像がクリアになり、どのような問題が出題されたとしてもスムーズに解答することができるはずですので、それぞれの計算方法のつながりを理解するよう心がけてみてください。

とにかく実際に問題を解いて理解する

工業簿記をシンプルに考えれば、製品にどれだけの原価がかかったのか計算することであると言えます。
実際の試験問題では、基本的には計算問題が出題されますので、講義動画を視聴した後は、実際に手を動かして何度も問題を解くようにしましょう。中学校や高校の数学の問題のように、公式を覚えて練習問題を何度も解けば、どのような問題が出てもある程度は対応することができます。

ただし、単に計算手順を暗記することは避け、時間が許す限り、それぞれの計算方法の意味を考えるようにしましょう。なぜなら、計算方法の意味を理解できていれば、公認会計士試験の短答式試験や論文式試験の学習をする際も、原価計算の理論問題の対策をスムーズに進めることができるためです。

今後の公認会計士試験の対策をスムーズに進めることができるよう、効率良く日商簿記2級を学んでいきましょう。

商業簿記と並行して学習する

日商簿記2級は商業簿記と工業簿記の2分野が出題範囲に含まれるため、それぞれどのような順序で学習を進めるべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
もちろん、どちらか一方を学習した後、もう一方を学習する方もいらっしゃるかもしれません。 しかしながら、私は商業簿記と工業簿記は並行して学習すべきであると考えています。なぜなら、どちらか一方を学習する間にもう一方の内容を忘れてしまい、結局のところ、復習に相当な時間がかかり非効率だからです。

エビングハウスの忘却曲線をご存知の方がいらっしゃるかと思いますが、一般的な人であれば、1週間後にはその記憶の75%程度を忘れてしまうそうです。これはすなわち、1週間学習をしなければ、せっかく学習したとしてもその75%を再度学習しなければならないことを意味しています。そうなると、復習にたくさんの時間がかかってしまいますので、時間のない社会人受験生にとってはかなりの痛手となります。

もちろん、商業簿記と工業簿記を並行して学習するとなれば、1日当たりの学習進捗度は微々たるものとなり、不安に思う方もいると思います。しかし、最終的に復習に係る時間が短く済むことも踏まえれば、商業簿記と工業簿記の対策を同時に進めるのが得策と言えます。

過去問・練習問題を繰り返し解いて貴重な得点源にする

日商簿記2級の工業簿記の実際の試験問題では、商業簿記と比較すると、過去問と同様の出題がされることが多いです。そのため、過去問やクレアールの直前対策問題をしっかり解くことで、工業簿記は十分に対策することができます。
工業簿記は第4問と第5問の合計40点分が出題されますので、そこで確実に40点を確保できれば、極端なことを言えば、残りの商業簿記60点分のうち半分を間違えても合格できます。

このように、工業簿記は商業簿記の失点をカバーできる貴重な得点源となります。したがって、試験直前期には、過去問やクレアールの直前対策問題を何度も繰り返し解き、工業簿記分野は確実に得点できるようになりましょう。

おわりに

今回は、日商簿記2級のうち工業簿記について、具体的な学習方法をご紹介しました。日商簿記2級は、控えめに言っても難しい試験です。

はじめのうちはうまく問題を解くことができないかもしれませんが、しっかりと対策すれば十分に合格レベルに達することができますので、日々、頑張って学習を進めていきましょう!

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